アパート経営・マンション経営の利回り及び儲かるポイントと注意点

利回りは、そのマンションやアパートの投資物件としての優劣を判断する重要な数字です。

しかし、一般的に言われる「利回り」だけでその投資物件を判断することは避けるべきです。なぜなら、一般的に言われている利回りとは表面利回りのことだからです。この表面利回りでは、不動産の運用で重要となる空室率や家賃下落率、税金、ローンの返済、毎月掛かる費用などが一切考慮されていないからです。

実際の不動産運用では、実際に見込まれる家賃収入はもちろん、税金やローン返済、毎月掛かる費用を予測した上で投資物件としての価値を判断する必要があります。このような判断基準をキャッシュフローといいます。

そこでこのページでは、利回りについてくわしく説明した上で、不動産投資で利回りよりも重要となるキャッシュフローについて紹介します。

1. 利回りとは

 マンションやアパートのような物件を判断するためによく使われる利回り。実は、利回りには表面利回り(想定利回り)、実質利回り、投資利回り、NOI(エヌオーアイ)利回り、最終利回りの5つがあり、それぞれ計算方法が異なります。以下で、これら5つの利回りの内容と計算方法について説明していきます。

 

1-1. 表面利回り(想定利回り)

 1つ目は、表面利回りです。なお、想定利回りとも呼ばれます。この表面利回りは、一般に言われたり表示されたりしている「利回り」であることがほとんどです。

具体的な計算方法としては、以下のとおり単純なものになります。

年間で想定される家賃収入 ÷ 物件価格

たとえば、想定される年間家賃収入が1,000万円で、物件価格が1億円のアパートであれば、1,000万円÷1億円=10%となります。

このように、年間想定家賃収入を物件価格で割ったもっとも単純な利回りが、もっとも広く使われる表面利回り(想定利回り)です。

 

1-2. 実質利回り

 2つ目の利回りは、実質利回りです。この実質利回りは、実際のマンションやアパート経営で重視すべき利回りです。上記で説明した表面利回りでは、実際に必要となる管理費や管理費、修繕費、借入金の利息、税金のような費用が一切考慮されていないからです。

 そのため、実質利回りは年間家賃収入から必要な費用を控除した実質的な収入を物件価格で割ることにより計算します。具体的には以下のとおりです。

年間の実質的な収入(年間で想定される家賃収入 - 必要な費用)÷ 物件価格

たとえば、想定される年間家賃収入が1,000万円で、年間の税金が50万円、管理費が50万円、修繕のための積立金が70万円、借入金の利息が120万円だと想定される、物件価格1億円のアパートがあるとします。

この場合の実質利回りは、(1,000万円-(税金50万円+管理費50万円+修繕のための積立金70万円+借入金利息120万円))÷1億円=7.1%となります。

なお実質利回りは、必要な経費を考慮しているため、上記の表面利回りよりも必ず低くなります。

このように、実質利回りは現実的な利回りを知るために必要な費用を考慮して計算したものです。

 

1-3. 投資利回り

3つ目の利回りは、投資利回りです。ここまで説明した表面利回りと実質利回りは物件価格を基に計算しました。しかし、マンションやアパートのような投資物件を購入するときは、多くの場合金融機関から借り入れを行います。そこで、自己資金に対してどれだけ効率のよい投資物件であるかを、この投資利回りで判断します。

投資利回りは、以下のように計算します。

年間で想定される家賃収入 ÷ 自己資金

つまり、表面利回りの物件価格の代わりに、投資利回りでは自己資金で割るのです。

たとえば、想定年間家賃収入が1,000万円で物件価格が1億円のアパートを、金融機関から8,000万円の借り入れで経営するとします。この場合、持ち出す自己資金は1億円-8,000万円=2,000万円ですので、投資利回りは想定年間家賃収入1,000万円÷2,000万円=50%となります。

また、まったく同じ1億円の物件だったとしても、金融機関からの借り入れが5,000万円、つまり自己資金5,000万円であれば、投資利回りは想定年間家賃収入1,000万円÷5,000万円=20%とちがいが出ます。

以上のように、投資利回りとはマンションやアパートを購入するときに持ち出す自己資金対して、どれだけの家賃が見込めるのかを判断するときに使われます。

 

1-4. NOI利回り

 4つ目の利回りは、NOI(エヌオーアイ)利回りです。NOIとは、Net Operation Incomeの略で、実質利回りをさらに現実的に計算し、マンションやアパートのような投資物件の価値を判断しやすくします。

具体的には、ここまでの利回りの計算では、家賃収入は満室時のものでした。しかし、NOI利回りでは空き室を考慮した家賃収入を基に計算します。

そして、実際に見込まれる家賃収入から必要な費用を控除します。ただ、NOI利回りを計算するときの必要な費用は、管理費や管理費、修繕費、税金のようなもののみです。上記で説明した実質利回りでは借り入れ利息を費用として計算しましたが、NOI利回りでは考慮しません。

その理由は、借り入れ利息は購入時の自己資金によって変動するため、物件の純粋な価値を判断するには適していないからです。

(年間で想定される実際の家賃収入 - 必要な費用)÷ 物件価格

たとえば、想定される年間家賃収入が入居率も含めて考えると800万円で、年間の税金が50万円、管理費が50万円、修繕のための積立金が70万円の物件価格1億円のアパートがあるとします。

この場合のNOI利回りは、(800万円-(税金50万円+管理費50万円+修繕のための積立金70万円))÷1億円=6.3%となります。

このように、NOI利回りは実質利回りよりも現実的にマンションやアパートのような物件について把握することができます。そして借り入れ利息のような投資家の状況によって異なる数字が含まれていないので、純粋な投資物件の価値をくらべることができます。

 

1-5. 最終利回り

 5つ目の利回りは、最終利回りです。この最終利回りは、実際にマンションやアパートの不動産投資を行った上での結果的な利回りです。ですから、物件を購入するまでに計算することはできません。

具体的には、以下のように計算します。

(年間で想定される実際の家賃収入 - 必要な費用)÷ 自己資金

実際に不動産投資を行った上で、1年間で実際に得られた家賃収入から必要となった費用を除きます。このとき、借り入れの利息も含めます。そして、物件を購入するときに持ち出した資金に対して、1年間でどれだけの利益となったかを判断します。

たとえば、年間の実際の家賃収入が800万円で、税金が50万円、管理費が50万円、修繕のための積立金が70万円、借入金の利息が120万円で、購入時に2,000万円を自己資金として支払った1億円のアパートを運用しているとします。

この場合の最終利回りは、(800万円-(税金50万円+管理費50万円+修繕のための積立金70万円+借入金利息120万円))÷2,000万円=25.5%となります。

最終利回りを計算することにより、自己資金2,000万円が、不動産投資によって1年間で25.5%増えたと判断することができるのです。

以上が、マンションやアパートのような不動産投資での利回りになります。これら5つの利回りについて知ることにより、マンションやアパートのような物件がどれだけの運用効率となるのかを前もって予測することができます。

 

2. 利回りが高ければ儲かるのか

 ここまで挙げた利回りの数字が高ければ「儲かる物件」と判断できます。しかし、単純に利回りの数字が高い物件を選んで実際に購入することはお勧めできません。なぜなら、マンションやアパートのような物件は年々古くなるからです。建物が古くなれば退去してしまう人が増え、新たな人に入居してもらうためには、家賃を下げるなどの対策が必要になります。

 そして、建物が存在する数十年単位で考えたとき、地域の状況も変化します。さらには、建物が古くなればなるほど、必要な修繕費は多くなっていくのは明らかです。つまり、利回りは毎年下がっていきます。

 これらのことを踏まえた上で、今後数十年間にわたる家賃収入や必要な費用を予測した上で「儲かる物件」なのかどうかを判断する必要があります。

 なお、家賃や必要な費用の考え方については、後で詳しく説明します。

 

3. アパート経営・マンション経営の平均利回り

 ところで、アパートやマンションの平均利回りはどれくらいなのでしょうか? なお、ここで言う利回りとは、上記で説明した表面利回りのことです。不動産仲介業者は、表面利回りを店頭やインターネットで「利回り」として表記しています。

 話を戻すと、アパートやマンションの平均利回りは、大都市では8%、地方では12~15%です。ただし、物件の種類によって大きく異なります。物件の種類とは、木造や鉄筋コンクリート、鉄骨造などのことです。以下で大都市と地方のそれぞれについて説明します。

 

3-1. 大都市では8%

 大都市の平均的な表面利回りは8%です。ここでの大都市とは東京都23区内や大阪市、名古屋市、横浜市などの人口100万人を超える都市のことです。このような大都市では、利回り10%以上の物件が売りに出されることはまずありません。

 

3-1-1. 大都市では家賃収入が安定する

 大都市は、地方とくらべると利回りが低くなっています。しかし、予想に近い家賃収入が得られるというメリットがあります。人口が多くマンションやアパートの需要が安定してあるため、退去する人がいてもすぐに新しい人が入居してくれるからです。

 そのため、空き室が出て家賃収入が下がってしまったり、家賃引き下げを考えたりするリスクは低いと言えます。つまり、大都市でのマンションやアパート経営では、着実な不動産経営ができると言えます。

 

3-2. 地方では12~15%

 一方で地方の平均利回りは12~15%と、大都市よりも高くなります。北海道だと、利回り20%以上の物件を簡単に見つけることができます。

 大都市では利回り10%以上の物件が売りに出されないにも関わらず、地方では高利回り物件が売られる理由は、地方では物件の取得価格が低いからです。同じ土地の値段であっても、地方では大都市よりも広い土地を購入できます。結果として大きなマンションやアパートとなって多くの家賃収入が見込めるのです。

 ただし、地方ではマンションやアパートの物件を購入したときは満室だったとしても、わずか数年で空き室が目立つことも珍しくありません。人口そのものが減っていく傾向にあり、近くに新しいマンションが建ったり新しい道路ができたりのような要因で、将来の家賃収入を予測することが難しくなります。

 このように、地方の平均利回りは12~15%と大都市にくらべて高いものの。家賃収入を予測どおりに得られない可能性が高いというデメリットがあります。

 

3-3. 表面利回りだけでは物件の判断はできない

 ここまで、大都市と地方の平均利回りについて説明しました。しかし、不動産仲介業者が表記している利回りは、あくまで表面利回りです。表面利回りは上記で説明したとおり、その物件が満室のときの物件価格に対する利回りなので、現実に得られる利回りではありません。

 たとえば、東京都で利回り8%の1億円の物件を購入したからといって、每年1億円×8%=800万円の収入が得られるわけではありません。実際にどれだけの収入が得られるかは、実質利回りや投資利回り、NOI利回りのような数字から実際に得られる家賃収入と必要な経費を現実的に予測して判断する必要があります。

 このように、表面利回りが高いという理由だけで「大都市よりも地方のマンションやアパートのような物件の方が儲かる」と判断することはお勧めしません。

 

4. 中古物件の表面利回り(想定利回り)を考えてみる

 中古物件の表面利回り(想定利回り)は、新築物件とくらべて10~20%と高くなります。一見収益性が高い物件のように感じますが、決してそうではありません。

 なぜ中古物件の表面利回りが高くなるのかというと、中古物件は新築とくらべて取得価格が低いからです。

4-1. 表面利回りは物件価格が低いほど高くなる

 上記で表面利回りの計算方法は次のとおりだと説明しました。

年間で想定される家賃収入 ÷ 物件価格

 表面利回りを計算するときの家賃収入は、満室だったときのものになります。そのため、物件価格が安い中古物件の利回りが高くなるのです。

 たとえば、満室時の年間家賃収入が1,000万円で、物件価格が1億円の新築アパートの表面利回りは、1,000万円÷1億円=10%となります。

 一方、これと同じように満室時の年間家賃収入が同じ1,000万円であっても、物件価格が5,000万円の中古アパートであれば、表面利回りは1,000万円÷5,000万円=20%になるわけです。

 

4-2. 中古物件は空き室や修繕費用が高くなる

 これまで書いたように、実際の不動産経営で表面利回りどおりの利益を得ることはできません。中古物件は空き室が多くなるため年間家賃収入が下がる上に、修繕費が高くなります。物件が古いと入居したいと考える人は少なくなりますし。古くなればなるほど修理が必要になるからです。

 表面利回りの計算方法では、中古物件の経営上もっとも大切な空き室や修繕費がまったく考慮されません。そのため、建物が古くなればなるほど、表面利回りと実際の経営との差が大きくなると言えます。

 

5. アパート経営・マンション経営の利回りの要注意点

 ここまで、表面利回りはもちろん、実際に見込まれる家賃収入や必要な費用、持ち出す自己資金などを考慮した上で収益が出る物件なのかどうかを判断することが重要であると書きました。そこで、より現実的な利益を見込むための家賃と必要な費用についてくわしく説明します。

 

5-1. 家賃は年々下がっていく

 表面利回りの家賃収入は、マンションやアパートのすべての部屋に入居者がいる状態で計算します。しかし、実際には退去する人がいたり、入居者がおらず空き室となったりすることも起こります。空き室となれば家賃収入を得ることはできません。

 また、建築から古くなるにつれて家賃を下げる必要が出てきます。新築から家賃が同じ古い建物に入居したいと考える人は少ないからです。

 それらを踏まえて長期的な家賃を見込むときには、空室率と家賃下落率を考える必要があります。以下でこの2つについてくわしく説明します。

 

5-1-1. 空室率

 空室率は、マンションやアパートの部屋のうち、どれだけの割合が空き家になっているかです。たとえば、10部屋あるアパートで2部屋が誰も入居していないのであれば、空室率20%となります。

 空室が多くなればなるほど、家賃収入は減っていきます。当然のことですが、家賃を支払う住人がいないからです。

 ですから、空室率がなるべく低くなるように対策を行う必要があります。具体的には後述します。

 

5-1-2. 家賃下落率

 家賃の金額は、物件が古くなるにつれて年々引き下げる必要が生じます。なぜなら、近くに新しいほかの物件が建つようになると、多くの入居者は同じような家賃であれば新しい物件に住みたいと考えるからです。ですから、空室率を抑えて家賃収入を得るために家賃を引き下げる必要があるのです。この引き下げ率のことを家賃下落率といいます。

 そのため、マンションやアパートのような物件を購入する前に、将来にわたってどれだけ家賃を引き下げる必要があるのかを予測しておく必要があります。

 

5-2. 必要な費用を正確に計算する

 家賃の次に重要なのは、必要な費用を正確に計算することです。マンションやアパートのような物件がいつも満室だったとしても、当初の考えよりも多くの費用がかかってしまっては期待どおりの収益を得ることができません。最悪の場合、赤字になってしまうことも考えられます。

 そこでここでは、不動産の運用で発生する必要についてくわしく説明します。

 

5-2-1. 税金

 不動産は、持っているだけで税金がかかります。また、購入するときにも税金が発生しますし、不動産の運用で利益が発生すれば、その金額に応じた税金を納める必要があります。

 まず、不動産を購入する際に不動産取得税登録免許税が必要です。不動産取得税とは、土地や建物を買ったり新築したり、また親などから譲り受けたときに納める税金です。

 具体的には、不動産取得税は手に入れた不動産の固定資産評価額の4%の金額です。固定資産評価額とは、市区町村が評価した土地や建物の評価額で、実際の購入金額と異なることがあります。購入してから実際に納める金額が予想とちがった場合、収益性に関わるので、固定資産評価額は前もって調べる必要があります。

 そして登録免許税とは、購入した物件を自分の名義に登記するときに発生する税金です。土地や建物を購入したときは固定資産評価額の2%、建物を新築したときは固定資産評価額の0.4%に相当する税金を納める必要があります。

 このように、不動産を手に入れたときに1度だけ、不動産取得税と登録免許税を納める必要があります。

 そして、土地や建物のような不動産を持っているだけで、種類に関わらず固定資産税と都市計画税を每年支払う必要があります(都市計画税がかかるのは、市街化区域だけです。市街化区域とは東京や大阪、名古屋のような大都市で指定されている区域のことで、日本の国土の約3.9%です)。これらの金額は市区町村が決定しており、建物であれば経年劣化とともに金額が下がっていきます。

 每年納めなければならないのは固定資産税と都市計画税だけではありません。個人で不動産を運用しているなら所得税を、会社のような法人であれば法人税のどちらかを納める必要があります。

 所得税や法人税は、年間の不動産運用で得た利益に応じて每年納めます。また、もしも赤字となったのであれば納める必要はありません。

 

5-2-2. ローンの返済

 多くの場合、物件を購入するときは金融機関からローンとして借り入れを行います。このローンは当然ですが返済していかなければなりません。ローンの元金と利息を合わせて必要な費用として考慮する必要があります。

 

5-2-3. 毎年掛かる費用

 最後に、マンションやアパートを経営するために必要な費用を見込む必要があります。具体的には共有部分の水道光熱費や電灯の交換費用、通信費、火災保険や地震保険、修繕費の積立て金です。

 修繕費は老朽化して大掛かりな修繕が必要になったときのために、定期的に積み立てて置く方法が一般的です。物件が古くなればなるほど修繕の回数や金額が大きくなることを踏まえて積み立てておくと、長期的に安定した不動産運用ができます。

 そして、多くの場合共有部分の掃除や修繕は、管理会社に委託します。この場合は管理委託費が発生します。

 また、物件を購入したり、所得税や法人税を納めるために每年の利益を計算したりするためには。税理士に依頼することがほとんどです。その際の税理士報酬も費用として見込む必要があります。

 

6. アパート経営・マンション経営の利回りよりもキャッシュフローを重視する

 ここまで利回りについてくわしく説明してきました。マンションやアパートのような不動産を運用するとき、投資家にとってもっとも大切なことは、「どれだけお金を払えば、どれだけ増えるのか?」ということです。

 ですから、ここまで挙げた実際の家賃収入や必要な費用を現実的に予測し、どれだけの自己資金を投資すれば每年いくらの利益を得ることができるのかに注目しなければなりません。

 たとえば1億円のマンションを購入する場合でも、1,000万円を自己資金として持ち出して9,000万円はローンなのか、1億円全額を自己資金で持ち出すのかによって、投資効率が大きく変わります。

 不動産投資で物件の優劣を判断するには、利回りではなく現実的な収入や費用、金融機関から借り入れる金額などを将来的に予測する必要があるのです。

 

7. アパート経営・マンション経営の利回りと投資回収期間の関係

 上記で、不動産投資で大切なことは、どれだけの自己資金で每年いくらの利益を得ることができるか、だと書きました。利益を出すために不動産を運用しているわけですから、自己資金を早く回収して純粋な利益を得ることが必要です。

 しかし、表面利回りはもちろん、ほかの利回りによる計算方法でも投資回収期間を知ることはできません。

 一見投資利回りであれば投資回収期間を知ることができるように感じます。それでも、投資利回りは満室時の家賃収入を自己資金で割って求めるだけなので、現実とはかけ離れた数字となり、参考になりません。

 そのため、投資回収期間を知るためには、上記のキャッシュフローの考え方で、物件を取得してから何年で自己資金を回収できるのか把握しておく必要があります。

 特に不動産投資をこれから始めようと考えているなら、どれだけ早く自己資金を回収できるかが重要になります。なぜなら、早い段階で自己資金を回収できれば、次の物件をスムーズに購入することができるからです。

 一方、自己資金を回収していない段階で次の物件を購入しようとすると、さらに多くの持ち出しを行うことになってしまいます 。経済的にはもちろん、精神的にも大きな負担となってしまいます。

 

8. アパート経営・マンション経営の利回りに影響を与える要素

 ここまでマンションやアパートのような不動産物件について説明してきました。しかし、マンションやアパートといってもろいろいろな物件があります。木造や鉄骨造などの構造、建物の耐久性、物件のデザインや間取りによっても利回りやキャッシュフローは異なります。

 たとえば新築の場合、同じ面積や部屋数であっても、木造や鉄骨造のような構造によって建築費が異なりますし、家賃設定も変わります。木造よりも鉄骨造の方が建築費は高くなり、また家賃設定も高くなります。

 また、木造とくらべて鉄骨造は、耐久性があるため、家賃の下落率は小さくなります。また、鉄骨造は修繕する機会が少ない代わり、1度で多くの修繕費が必要です。

 そして空室率は、物件の地域や立地条件だけでなく、デザインや間取り、管理体制に影響されます。好みのデザインや間取りであれば多くの人が入居したいと感じ、また長く住んでくれます。そして共用部分の掃除や不都合があったときの対応が良い場合も住みたいと感じてくれるでしょう。

 これとは逆に、物件のデザインや間取りが入居者の求めているものでなければ新たな入居者がなかなか現れず、せっかく入居してもすぐに引っ越してしまって空き室になってしまう可能性が高くなります。また、共用部分の掃除のような管理が行き届いていなくても同じことが考えられます。

 そして、物件の広さや階数がまったく同じだったとしても、間取りを狭くして戸数を増やすほうが家賃収入は上がります。また、部屋数が多い分、1部屋が空き室となったときに減少する家賃収入の割合が小さくなります。結果として安定した不動産経営が可能です。

 

9. まとめ

このページでは、一般的に言われる利回りとは表面利回りのことであるため、実際の不動産運用での利益を判断するためにはほとんど参考にならないことを説明しました。

実際に利益が出る物件なのかどうかは、現実的な家賃収入や必要となる費用をすべて考慮し、持ち出し金に対してどれだけの利益を得ることができるのかを把握することが重要です。