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Category  不動産

2019年09月05日 更新

家・土地の売却の流れ、費用、業者の選び方を徹底解説

不動産を売る機会はそんなにあるものではありません。多くの人にとって、一度か二度くらいではないでしょうか。一度もないということも珍しいことではありません。周りに詳しい人がいれば安心できますが、経験者が少ないこともあり、中々相談できる人を見つけるのは難しいです。

また、一見詳しそうな人がいたとしても、その人が本当に正しい知識を持っているのかどうかを確かめるのは、正直に言ってとても難しいです。

そこで、最低限知っておいた方が良いことだけを簡単にまとめてみました。不動産の売却は、慣れないことばかりだと思いますので、専門用語を極力外すようにしています。
是非、最後までお付き合いいただけますと幸いです。

この記事でわかること

1. 家・土地の売却時の流れ

まずは不動産取引の流れを把握しましょう。どんなステップで売却が進むのか知っておくことでスムーズに進めることができるようになります。

1-1. 情報収集を行う

まずは情報収集です。査定を不動産会社に依頼するとしても、予めどのくらいの価格で売れそうか分かっていると不動産会社を判断する材料にもなります。

価格を調査する方法ですが、間取りや地域が似ている物件がいくらで売られているかについて、インターネットや住宅情報雑誌などで調べることでわかります。ただ、地域、道路付け、築年数、間取りなど、非常にたくさんの要素が絡んでいるので、参考になるような物件を探すことはかなり手間がかかります。

時間をかけたけど、結局、参考にできるようなものは見つからなかったということも少なくありません。

インターネットで簡易査定のサービスを行っている会社がありますので、そのようなサービスを利用すると良いでしょう。

 

1-2. 不動産業者に査定の依頼をする

ある程度の相場を把握したら、正式に不動産業者に査定を依頼します。この際に、現地調査をして正確な金額を提示してくれるように依頼してください。図面や写真などの机上の見積りだと実際の売却価格と差が出る可能性が高いからです。

この時点で測量などをするように勧めてくる業者もありますが、最初から費用のかかることはしないで、依頼する不動産業者を決めた後でその会社と相談して行うと良いでしょう。

土地の測量など物件に関する調査の費用は、通常、売主の負担となります。

 

1-3. 不動産業者と媒介契約を結ぶ

不動産業者が買主になることはめったにないので、通常は買主を見つけてもらうことになります。いわゆる仲介というものです。仲介を依頼する際に結ぶのが媒介契約です。仲介を依頼された業者は、法律で媒介契約を結ばなければならないと決まっています。

媒介契約には、専属専任媒介契約、専任媒介契約、一般媒介契約の3つがあります。これらの違いについては、後ほど詳しくお話します。

 

1-4. 販売の開始

媒介契約を結んだ業者が不動産を売りに出します。この時の売出し方はどのような媒介契約をしたかで変わります。共通しているのは、自社のホームページへの掲載やレインズと呼ばれる不動産流通機構が運営するネットワークシステムへの登録です。この点も詳しくは後述します。

 

1-5. 価格の交渉

いよいよ大詰めの段階です。複数の買主が現れた場合は、オークションのように一番高い金額をつけてくれた人に売れば良いのですが、実際には値下げ交渉となることが多いです。価格だけに気を取られないで、引き渡し日や引き渡しの状態(現状のままで良いのか、リフォームするのかなど)、支払い方法など、引き渡しの条件などもしっかりと確認するようにしてください。

契約の際に『重要事項の説明』というのを行うのですが、その内容もこの時点でしっかりと伝えて双方で合意しておくようにしてください。

この時の注意点についても、詳しくは後述します。

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重要事項の説明とは、売買契約の締結前に行うもので、対象となる不動産の情報や隠れた不具合があった場合の対処の方法など、取引の内容を細かく記した「重要事項説明書」を元に行うものです。

重要事項説明書について詳しい説明は、㈶不動産適正取引推進機構が出しているチラシがありますのでそちらで確認をしてください。
これでわかる「重要事項説明書」

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1-6. 売買契約を結ぶ

売主と買主の双方で売買について合意が出来たら売買契約を結びます。これで一安心と言いたいところですが、買主が借り入れ行って購入する場合はこれで終わりではありません。不動産の購入は多くの場合、銀行などの金融機関から融資を受けて購入します。

この融資の最終承認を得るには、売買契約書が必要なため、売買契約の締結後に金融機関の審査を受けることになります。この審査で落ちてしまうことがゼロではないため、売買契約を結んだものの白紙撤回となってしまう可能性があります。

売買契約書にもローン特約という条項を盛り込むことが通例となっています。このような契約解除のリスクを減らす方法は、後ほど詳しく説明をします。

契約が解除となる可能性はありますが、売買契約は完了となるため、買主から手付金を受け取ります。不動産業者との契約条件によりますが、この時点で不動産業者に仲介手数料の半額を支払うことが多いようです。

手付金の額に決まりはありませんが、通常、売却金額の5%~10%のことが多いです。仲介手数料は400万円以上の物件の場合は、売却金額の3%+6万円と決まっているので、この金額の半分となります。5%以上手付金をもらっておけば、不動産業者への支払いは十分にまかなうことができます。

 

1-7. 物件の引き渡し

売買契約が完了して、ローンの審査が通ったら、いよいよ引き渡しです。引き渡しの前に抵当権などが付いていれば抹消しておく必要があります。ただ、抵当権を抹消するには、ローンの残債を返済する必要があります。

このため、予め決済の日時に金融機関に連絡をしておいて決済と同時に抵当権を抹消するようにしてください。これらの準備は、一般的に売却を依頼した不動産業者が手配をしてくれます。

建物の場合は、決済と同時に鍵の引き渡しを行います。これで売却はすべて完了となります。ただし、売却によって売却益が発生した場合は、所得税と住民税の納付が必要となります。

以上が不動産売却の一連の流れとなります。

 

2. 売却する家・土地について(現況と登記内容の確認)

流れがわかったところで、次に行うことは売りたい物件の内容を把握することです。これは不動産業者に相談に行く前に行うと良いです。現在、お住まいの物件を売る場合などは、改めて調べなくてもわかっていると思われるかもしれませんが、不動産業者の目線で考えなければなりません。

不動産業者の知りたい情報とは、登記の内容、物件の状態などです。例えば、登記の内容は絶対に知りたい情報ですが、実際の物件が登記通りのものではないこともあります。増改築などをおこなっている場合に、増築部分の登記がされていないケースは珍しくありませんし、土地の境界を示す杭が無くなっている場合もあります。

極端なことを言うと、敷地の境界を示す杭があったとしても、お隣の方がその杭の場所が間違っていると言い張るケースもあります。さすがにここまで事前に調べるのは難しいとしても、増築が反映されているかどうかくらいは確認をしておくと良いでしょう。

用意すると良い資料だけお知らせすると、

  • 登記事項証明書(以前は登記簿謄本と呼ばれていました。)
  • 公図
  • 地積測量図(ない場合もあります)
  • 現況写真
  • 購入時のパンフレットなどの資料
  • 購入時の重要事項説明書

があります。
最初の3つ(登記事項証明書、公図、地積測量図)は、法務局で入手することができます。

また、この時に物件に手を入れるかどうかも考えておくと良いと思います。手を入れるというのは、建物のリフォームをするとか、建物は解体して更地にするとかいうことです。状況によってどうするのが一番良いかは変わりますので、不動産業者と話し合って決めるのが良いのですが、そういうことも必要となる可能性があることは頭の隅に置いておくと良いでしょう。

 

3. 不動産の仲介と買取りの違い

先ほど不動産の取引は仲介が多いとお話しましたが、仲介と買取りの違いについて簡単に説明をします。まず、不動産を売却する方法は、『仲介』か『買取り』のどちらかしかありません。どちらも、不動産業者さんが対応してくれるのですが、売却の内容はかなり違っています。それぞれの特徴を見てみましょう。

 

3-1. 不動産仲介で売却をする場合

仲介で売却をする場合、不動産業者が買主を探すことになります。媒介契約の内容によって異なりますが、不動産業者が広告を用意して買主を見つけてきてくれます。成約時には、国土交通省の規定内の仲介手数料を支払います。法律上は仲介手数料の上限金額だけが決まっています。

また、売却のための基本的な広告費は不動産業者の負担と決められています。基本的なというのは、売主の特別な指示で出す広告は費用の請求が認められているからです。特別な依頼をしていないのに、広告費の請求をされた時は即座に断るようにしましょう。

一度でも認めると依頼したことにされてしまう可能性があります。詳しくは後述します。

 

3-2. 不動産買取りで売却をする場合

買取りで売却をする場合、不動産業者が買主となります。買主を探す手間が省けるので、それだけ早く売却することができます。また、直接契約なので仲介手数料は発生しません。また、売却までの期間が早いというメリットもあります。

反面、仲介に比べて売値が安く7割程度になる場合もあります。どのように仲介と買取りを使い分けると良いかは次のところで説明をします。

 

3-3. 仲介と買取りどちらが良いか

仲介の場合は、仲介手数料が不動産業者の利益となりますが、買取りの場合は転売によって利益を得ることになります。単に転売をしてもそんなに利益が見込めないため、転売目的で買取りをした場合は、リフォームとか建て替えなどをおこなって価値を上げて販売をします。

この際の危険負担などを考慮することもあり、通常、買取りは価格が安くなります。

これだと買取りにはメリットがないように感じるかもしれませんが、買取りでないと売りにくい場合もあります。例えば、非常に大きな土地の場合です。大きな土地の場合、平米単価×全体の面積が売却金額となるため、金額が大きくなります。

そうなると、買える人が極端に限定されます。このような場合でも、買取り業者であれば、区画を細かく割ってリーズナブルな価格にして販売するとか、ショッピングモールなどを誘致して売却するなどの対応ができます。これらの開発にかかわる業務は、マーケティング戦略を考えて行う必要があり、失敗した時のリスクも高いので個人の手には余ります。

これらの作業を行う業者をデベロッパーと呼びます。

デベロッパーに依頼するほど、大きな土地ではなくても、いくつかに分けて売った方が売りやすいケースは良くあります。都会では、一軒の家が取り壊されて跡地に数件の家が建つことは珍しくありません。このようなケースは買取りになっていることが多いです。

中には大きな土地を欲しいと思っている人もいるはずですので、大きな土地のまま売りに出すか小さな区画にして売るかどちらが良いか不動産業者と良く話し合ってみると良いでしょう。

それ以外にも、最初は仲介で出しておいて、一定の期間で買い手が見つからなかった場合に買取りに切り替えるという方法もあります。このような場合は、売れない物件を買ってもらうことになりますので、価格的に残念な結果となることが多いです。どうするのが一番良いかについては、担当者と良く相談してみましょう。

 

4. 家・土地の売却価格の相場を確認するには

先ほど、相場の確認は難しい場合が多いとお話しましたが、国土交通省が提供している土地総合情報システムがありますのでご紹介だけいたします。このサイトでは、国土交通省が不動産取引を行った人にアンケート調査を実施して、そのアンケートの結果から得られた情報をデータとして公表しています。

実際に売買された生のデータですので、あなたの物件と近いものが見つかればとても良いデータとなります。
使い方はとても簡単ですが、参考となる物件が見つかるかどうかはわかりません。

まず、下記のサイトにアクセスをしてください。
国土交通省 不動産取引情報検索ページ

 

国土交通省 不動産取引価格情報検索ページ

 

左側の赤枠の部分で選択をしていきます。

①時期を選びます。
物件があればなるべく直近の方が良いですが、見つからなければ範囲を広げて探してみましょう。
ダウウンロードというボタンがありますが、特にダウンロードしなくても閲覧だけでも十分だと思います。

②種類を選びます
選択肢は、宅地(土地だけ)、宅地(土地と建物)、中古マンション等、農地、林地、すべての6つです。宅地を選択すると土地と建物の両方を同時に見ることができます。どれかひとつを選んでボタンを押すと下の枠の中の物件数が変わるので対象の物件数がわかります。

③地域を選びます。
選択の方法は2種類あり、住所から選択する方法と最寄り駅から選択する方法があります。住所から選んだ場合はその地域だけとなりますが、最寄り駅を選択した場合には、その下の『上記の地図を表示する』というボタンを押したときに表示されている範囲内の物件が選択されるようです。

④右側の地図から探す
地図から探す場合には、まず都道府県を選択してその後表示された地図の縮尺などを調整しながら目的の場所を探してみてください。

利用上の注意がありますので、使い方などを含めてこちらのページでご確認いただければと思います。
国土交通省 不動産取引情報検索WEBの見方

 

5. 家・土地の売却にかかる費用について

売却時に必要となる経費などがどのくらいの金額になるのか知らないと、売却後の運用などの検討できないと思いますので、簡単にはなりますが、どんな費用がどのくらいかかるのかお知らせします。

 

5-1. 仲介手数料

買取りの場合は不要ですが、一般的には仲介になると思いますので、仲介手数料の説明をします。仲介手数料は法律で上限金額が決められています。上限金額が決まっているというのは、上限金額までの範囲であれば、自由に決めて良いということです。

最近では、仲介手数料半額を売り物にする不動産業者もあります。しかし、ここでは基本の上限金額についてお話します。

仲介手数料は下記の3つから構成されています。

  1. 200万円以下の部分の手数料として5%
  2. 200万円以上400万円以下の部分の手数料として4%
  3. 400万円以上の部分の手数料として3%

これらの合計額が不動産業者への仲介手数料の上限となります。

例えば、500万円で売却した場合の仲介手数料は、

  1. の部分として、200万円×5%=10万円
  2. の部分は、200万円以上400万円以下の部分なので、対象の金額は200万円となります。
    200万円×4%=8万円
  3. の部分は、500万円―400万円(①と②の合計)=100万円
    100万円×3%=3万円
    10万円+8万円+3万円=21万円となります。

 

この計算をするのが面倒なので、不動産会社のパンフレットなどには、売却金額が400万円以上の物件の仲介手数料は、3%+6万円と書いてあることが多いです。この+6万円の部分が、400万円以下の部分の調整額となっています。

ちなみに、200万円以上400万円以下の場合は、売買価格×4%+2万円となります。

また、仲介手数料には消費税が課税されます。土地の譲渡は消費税が非課税となっていますので、うっかりしやすいので注意してください。中古建物については、目的などによって消費税が課税される場合と非課税となる場合があります。これらの違いについては、別のページで説明をしていますのでこちらのページをご覧ください。

こちらのページの「消費税がかからない不動産取引」を参照してください

最近では、仲介手数料を税込み価格で表示しているところもあります。そのような会社の表示をみると、

  1. 200万円以下の部分の手数料5.4%
  2. 200万円以上400万円以下の部分の手数料4.32%
  3. 400万円以上の部分の手数料3.24%

と書かれています。
400万円以上の場合の速算式では、取引額×3.24%+64,800円となっています。

 

5-2. 広告宣伝費

販売と広告は切っても切れない関係があります。不動産を売る場合も同様で売りに出ていることを、見込み客となる人に知らせなければ売れることはありません。そのための手段として一般的に使われるのが広告です。

広告には色々な種類があり、ほとんどお金のかからないものから数十万円の費用のかかるものまで様々です。高いお金をかければ売れるというものではありませんが、中々売れない場合にはそれだけ広告費を使うことになります。

では、この広告費を負担するのは誰なのでしょうか?

法律では売主が特別に依頼した広告の場合は売主が負担しなければならないと決まっています。逆にいうと、特別な広告を依頼しなければ、売主は広告費を払う必要はありません。不動産業者が行う広告宣伝活動で必要となる費用は、営業経費と見なされるため、成功報酬の仲介手数料の中で負担するものとなっているのです。

しかし、売主から早く売りたいからもっと広告を出して欲しいというような依頼があった時には、(売主が同意しているという条件で)売主の負担で広告を出しても良いとなっています。この為、悪質な業者は、さりげなく広告費を払って欲しいと持ち掛けてくる場合があります。

この時に安易にOKしてしまうと、特別な広告を依頼したと見なされてしまいますので、注意をするようにしてください。

 

5-3. 税金

土地の譲渡については消費税は非課税となっていますが、サービスなどについては消費税が課税されます。ですので、仲介手数料には消費税がかかります。消費税については、普段からなじみ深いものですので改めて説明は不要だと思いますが、消費税以外にも必要となる税金があります。主に4つだけですので、簡単に説明をしていきます。

 

5-3-1. 印紙税

印紙税は契約書に収入印紙を貼って納める税金です。買主と交わす売買契約書に貼って納めます。売主と買主のどちらが負担するべきとは決まっていませんが、2通契約書を作成するので、売主と買主の双方で1枚ずつ負担するというのが一般的です。

印紙税の金額は契約金額によって変わりますので、下記の表を参考にしてください。なお、期限付きで軽減措置がとられています。尚、不動産業者との媒介契約書については、印紙を貼る必要はありません。

不動産譲渡契約書印紙代一覧表
領収書には本来印紙を貼る必要がありますが、不動産の売買代金を受け取った際は印紙を貼らなくてはならない場合と貼らなくても良い場合とがあります。不動産の売買代金の受け取りの場合は、売主が一般の個人で自分の家や別荘を売った時には不要となっています。

一方、不動産業者などの会社の場合は、印紙を貼らなければなりません。また、個人であっても、投資用の不動産などを売却した場合は、印紙を貼る必要があります。

これは手付金を受け取った場合も同様です。

領収書に貼る印紙税の額は下記の通りです。

領収書印紙税額一覧表

 

5-3-2. 登録免許税

登録免許税とは登記にかかる費用です。売却の場合は、一般的に買主の方で所有権移転登記を行いますので、登録免許税の負担をするのは買主となります。但し、抵当権などが付いている場合は、売主の負担で抹消登記をする必要があります。抹消登記の際に法務局で払う費用は、1通あたり1000円です。

これは、建物を解体して時の建物の抹消登記も同じです。抹消登記する数×1000円が税額となりますが、自分で行わない場合には、別途、司法書士などへの依頼料が必要となります。司法書士への依頼料ですが、1万円~2万円くらいの場合が多いようです。

 

5-3-3. 譲渡所得税及び住民税

譲渡益が出た場合には、利益に対して所得税と住民税が課税されます。それぞれに所有期間が短期(5年未満)か長期(5年超、または10年超)かで税率が変わります。いくつか特例なども用意されているので、詳しくは別のページ説明をいたします。今回は簡単な表を用意しましたので参考にしていただければと思います。

 

6. 不動産業者の選び方

不動産売却が成功するかどうかは、どんな不動産業者と契約するかで決まると言っても過言ではありません。もしかすると会社よりも担当者の方がウエイトが大きいかもしれません。大きな金額が動くことですし、失敗例などを聞くと不安になると思います。しかし、いたずらに不安になっていても良いことはありません。

良いパートナーを見つけるために考えるべきことを順にお知らせしますので、パートナー選びの参考としてください。

 

6-1. 不動産業者の種類

まず、不動産業者はどれも同じではないということを理解してください。大手が良いか中小が良いかということではなく、根本的に違いがあるということです。看板だけ見ると○×不動産というようになっていることが多いので、同じ仕事をしているように見えますが、中身はまったく違います。不動産業者には大きく分けて下記の4つの種類があります。

 

6-1-1. 分譲業者

分譲を中心に仕事をしている会社です。デベロッパーと呼ばれることもあります。大きな土地を手に入れて、大規模な開発をしたり、土地を切り分けて住宅を建てて販売したりします。マンションの建築、分譲などをするのもこの業者です。

 

6-1-2. 買取再販業者

競売物件を買い取ったり、中古物件などを主に買い取ってリフォームなどをして販売する会社です。安く仕入れて、付加価値を付けて儲けを出すことを生業にしています。デベロッパーが売り切れなった建売を仕入れて再販することもあります。

 

6-1-3. 媒介業者

主に仲介を中心にした業務をしている会社です。個人同士の不動産の売買を取り持ったり、投資用の物件の仲介をしたりしています。また、賃貸の仲介をしている業者も媒介業者に入ります。売買の仲介と賃貸の仲介の両方をしている業者が多いですが、業者によっては売買の仲介の方が得意だったり、賃貸の仲介の方が得意なケースもあります。できるだけ、専門のところに依頼すると良いでしょう。

 

6-1-4. 管理その他を行う業者

賃貸物件の管理などをしている会社です。マンション1棟丸ごとの管理をしているケースもありますし、商業ビルの施設運営や不動産投資ファンドなどの企画をしている会社もあります。

それぞれの仕事が被る部分もありますが、仕事の内容が大きく違うことがお分かり頂けると思います。例えば、自分の住んでいる家を売りたいと思った時に、賃貸の仲介を専門にしている業者に相談に行くのはあまり適しているとは言えません。通常の状態であれば、売買を専門としている仲介業者が一番適していると思います。

しかし、同じ個人住宅の売却でも、事故物件だったりする時は、買取再販業者の方が向いている場合もあります。

ひとまず、ざっくりと4つに分けましたが、実際にはもっと細分化が可能です。自分の目的に合った業者を選ぶことが何よりも大切ですので、相手の得意分野を確認した上で依頼をするようにしてください。

 

6-2. 免許番号で選ぶ

不動産業(宅地建物取引業)を行うには宅建業免許を取得する必要があります。宅建業免許には、国土交通省大臣免許と都道府県知事免許の2種類があります。この2種類に実質的な違いはほとんどありません。

ひとつの都道府県内だけで事務所を持つなら、都道府県知事免許で良いですし、複数の都道府県にまたがって事務所を構えるなら国土交通大臣免許が必要となります。国土交通大臣免許を持っていてもひとつの都道府県内でしか営業をしていないケースもあります。

また、都道府県知事免許でも、日本国内のどこでも営業することは可能です。

気にするべきところは、国土交通大臣か都道府県知事かではなく、その後ろの数字です。どちらの免許も、「国土交通大臣(○)第○○○号」、「○○県知事(○)第○○○号」というようにカッコの中に数字が入っています。この数字は免許の更新ごとにひとつずつ増えていきます。つまり、数字が2となっていれば、1度免許の更新したことがあるということです。数字が3であれば、2回更新したとわかります。

更新の頻度ですが、1996年4月1日以前は3年ごとで1996年4月1日以降は、5年ごとの更新となっています。カッコ内の数字が1の場合は、免許を取得して5年以内ということがわかります。

一概には言えませんが、長く営業している会社の方が経験があって安心できると思います。また、長く続いているということは、それだけ安定している会社ということでもあります。

 

6-3. 行政処分の履歴

行政からの指導があった履歴を確認することも、目安のひとつとして考えると良いと思います。免許を交付した行政庁で業者の名簿を無料で閲覧することができます。この名簿には、過去の業績と行政処分の履歴が記載されています。尚、国土交通省と一部の都道府県では、行政処分の履歴をインターネットで確認することができるようになっています。

国土交通大臣免許の業者を管轄する行政の窓口

都道府県知事免許の業者を管轄する行政の窓口

処分の履歴を検索する場合は下記のサイトで確認をしてください。

国土交通大臣免許の業者:
国土交通省ネガティブ情報等検索システム<宅地建物取引業者>

都道府県知事免許の業者:
国土交通省ネガティブ情報等検索システム<都道府県知事が行った監督処分情報>

 

6-4. 業界の団体に加盟しているかどうか

不動産業者が加盟することができる団体がいくつかあります。団体に加盟するには、その団体の審査を受けたり、規約に沿った運営をしていることが必要となります。また、トラブルがあった際に加盟している団体に相談することができます。何もないよりも、安心できると思います。主な不動産業界の団体をまとめましたので、それぞれの団体の理念などを参考に、どのような団体に加盟している業者なのかも検討のひとつにしてみてはいかがでしょうか。

不動産協会一覧

 

6-5. 大手業者と中小業者のどちらが良いか

これは実に難しい問題です。大手のメリットは、何と言っても情報量の多さと信頼感だと思います。たくさんの見込み客を抱えていると思われるので、その中から購入希望者を見つけてくれるかもしれません。一方で、中小の方が地元密着で情報を把握しているケースもありますし、親身になってくれるイメージもあります。

情報に関しては、専任媒介契約か専属専任媒介契約の場合は、レインズという不動産取引情報サイトへ登録することが義務になっていますので、情報量に大きな違いは出にくいとも言えます。もっとも、レインズに登録しただけで、スムーズに売れるとは限らないので、担当者がどんな販売活動をしてくれるかということが大きな違いになります。会社の規模で選ぶよりも、担当者で選ぶ方がおすすめです。

 

6-6. 買い替えたい住まいが決まっている

もし、買い替えを考えていて、買いたい物件が決まっているなら、買いたい物件を販売している会社と契約しても良いと思います。あなたの物件を売れば、もう一方の物件も売れるので積極的になってくれる可能性が高いです。また、購入代金の支払いと売却代金の受け取りの時期などを調整してくれる可能性があります。支払いのためのつなぎ融資などで余計な出費を防ぐことができるかもしれません。

 

7. 家・土地の売却を成功させる【担当者選び】

何度か出てきていますが、売却を成功させるには担当者の良し悪しが重要な要素となります。でも、どんな点を見て判断すれば良いのか中々わからないと思います。そこで、いくつか確認すると良いポイントについてお話しようと思います。これだけで大丈夫というものではありませんが、目安のひとつにしていただければ幸いです。

 

7-1. 信頼できる担当者かどうかを判断するポイント

まず相談相手としてという目線で考えると、知識量、経験が多い人が良いと考えられます。また、一緒に不動産を売るパートナーとして考えると、人間性が重要だと思います。人間性では、特に誠実性と一生懸命やってくれるというひたむきさがあると嬉しいですね。

これらを加味してこんな人が良いというポイントを列挙してみました。全部が当てはまる人は難しいと思いますが、いくつかもしくはあなたが特に気になる点を特に意識してみてはいかがでしょうか。

  1. 媒介契約の種類や内容をきちんと説明してくれる。
  2. 物件の現況など物件に関する細かい情報までヒアリングしてくれる。
  3. ローンや税金など難しい内容を分かりやすく説明してくれる。
  4. 最新の法令もきちんと理解している。
  5. こちらのニーズに合ったプランを提案してくれる。
  6. 査定金額を説明する際にきちんと根拠を明示して説明をしてくれる
  7. 宅地建物取引主任士の資格を持っている
  8. 専門用語をできるだけ避けて、分かりやすく説明してくれる
  9. 確認事項や質問に対して丁寧に対応してくれる
  10. こちらの意見をきちんと聞いてくれる。担当者自身の意見を押し付けてこない
  11. メリットばかりではなく、デメリットもきちんと伝えてくれる
  12. 約束やマナーをきちんと守る
  13. 電話やメールのレスポンスが早く、またメールに脱字や誤字がない

 

8. 媒介契約を結ぶ時の注意点

信頼できる担当者が見つかったら、いよいよその業者と契約をします。仲介を依頼する契約のことを媒介契約といいます。媒介契約には、専属専任媒介契約、専任媒介契約、一般媒介契約の3つの種類があります。それぞれの違いについてまずは理解をしてください。

 

8-1. 専属専任媒介契約

専属専任媒介契約はひとつの不動産会社とのみ契約するやり方です。この契約を結んだ場合は、他の不動産会社と契約をすることはできません。また、自分で買主を見つけてきた場合も仲介手数料を払って業務を委託しなければなりません。自分で買い手を見つけられる可能性がなく、すべてお任せで売ってもらいたい時に行う契約です。

契約の有効期間は3ヶ月までと法律で決められており、契約を更新する場合も最大3ヶ月までとなります。仮に3ヶ月を超える契約をした場合でも、有効期間は3ヶ月までとなります。

専属専任媒介契約を締結した業者は契約日から5日以内にレインズと呼ばれる指定流通機構に登録をしなければなりません。これは、物件情報をより多くの不動産会社に提供することで、買主を探しやすくするためです。一方で、契約した不動産会社が自社の購入希望者を優先するような囲い込みを防ぐ目的もあります。

また、この契約をした業者には、仲介業務の実施状況を1週間に1回以上報告する義務もあります。これは、不動産業者に適切な業務遂行を促すとともに、依頼者が不動産業者の活動状況を把握しやすくするための措置となっています。

 

8-2. 専任媒介契約

専任媒介契約は専属専任媒介契約と同様に1社のみと契約するやり方です。このふたつの違いは、売主が自分で見つけてきた買主と契約する場合には、仲介業務依頼しなくても良いことです。自分でも買い手を探したい時には、この契約の方が向いています。

他にもレインズ(指定流通機構)への登録期限が契約締結から7日以内になることと、依頼者への報告が2週間に1回以上となる点が違っています。契約の有効期間は3ヶ月までと同じです。

 

8-3. 一般媒介契約

一般媒介契約は複数の不動産会社に同時に仲介を依頼することができる契約です。また、契約した不動産会社には、レインズ(指定流通機構)への登録義務はありません。依頼者に状況を報告する義務もありません。

一般媒介契約には明示型と非明示型があり、明示型の場合はどの不動産会社と契約をしているか通知をしなければなりません。非明示型の場合は特に契約を開示する必要はありません。

一見一般媒介契約の方が、多くの業者に依頼ができる分良いように見えるかもしれませんが、専任媒介契約の方が不動産会社の動きが良いというメリットがあります。一般媒介契約ですと、頑張って動いても他社が買主を見つけてしまえば、1円も入ってこないことになります。

当然、お金をかけて広告を出すことは難しくなります。早く買い手を見つけたい場合には、専属専任媒介契約か専任媒介契約を結んだ方が良いでしょう。

 

9. 両手取引とは

両手取引という言葉をご存知でしょうか。これは仲介業務の際に売主(貸主)と買主(借主)の両方を自社で扱う取引のことです。カッコの中は賃貸の場合です。

両手取引は違法という人がいますが、仲介業者が行うのは「媒介」であって「代理」ではないため、違法ではありません。違法という人は民法の利益が相反する契約の代理人となってはいけないという項目を根拠にしていると思われますが、前述のように代理ではないため違法には当たりません。

ただそうは言っても、なるべく安く買いたい人と高く売りたい人の間に入る訳ですから、どこまで自分の為に心身になって交渉をしてくれているのか疑問に感じることはあるかもしれません。メリットとしては、売主と買主の双方と接触できるため、交渉のスピードが速いという点があります。

一方で自社内でまとめようとするあまり、売主に値段を無理に下げさせようとしたり、本当は広く買主を募集すれば、もっと高く売れたかもしれないのにその機会を奪ってしまうという問題が起きることがあります。このような行為を囲い込みと言ってやってはいけないことになっています。

このような弊害を起こさせないように、専任媒介契約の場合は、レインズ(指定流通機構)への早期の登録を義務付けているのです。しかし、中には問い合わせがあっても、すでに申し込みが入っていると嘘をついて契約に進ませない業者もいると言われています。

また、レインズ(指定流通機構)への登録をしてもすぐに削除をしたり、必要以上に高い値段で登録して当て物件とする業者も存在しています。

このような業者に引っかからないように、業者選びは慎重に行ってください。

 

10. 物件(家)の内覧時の注意点

内覧に訪れるということは少なくとも書類上は気に入っているということになります。中には当て物件として他の物件を引き立たせるために使かわれる場合もありますが、購入前提で来ているものとして説明をします。

内覧についてくる不動産業者の人は、あなたが依頼した業者の人とは違ってお客様になる人です。当然、内覧に来てくださる方もお客様です。物件を売るときには、仲介手数料を払うためか、自分がお客様だと勘違いしている方がいるのですが、内覧にきてくださった方はあなたの家を買ってくれるかもしれないお客様です。この意識を忘れずに応対をするようにしてください。

引越しをして空き家にしてから売る場合と住んでいる状態で売る場合があると思いますが、今回はまだ住んでいる状態で内覧をする場合の注意点をお話します。

 

10-1. 予定を合わせる

まず、内覧の希望が入ったらできる限り買主の希望に沿うようにしましょう。予定が合わなければ見てもらうことができず、見てもらえなければ買ってもらうことはできません。スゴイ人気物件でもない限り、そんなに内覧の予定は入らないと思いますので、ひとつひとつを大事にしてください。いつでも連絡のとれる電話番号やメールアドレスを担当者に伝えておくようにしましょう。

 

10-2. できる限り綺麗にしておく

印象を良くするためには、まず綺麗にすることです。特に、キッチン、トイレ、お風呂、洗面所など水回りは絶対に綺麗にしておくべきです。ここが汚れていると家全体の印象が悪くなります。また、ニオイと明るさにも気を使ってください。

カーテンを開けて、換気を充分にするだけでグッと印象が良くなります。部屋の中も整理整頓をして笑顔でお客様を迎えるようにしてください。一緒に来た不動産業者さんが気に入ってくれれば、例えその人は決まらなかったとしても次のお客様を連れてきてくれるかもしれません。

また、連れて来る前に「良い物件ですよ」と持ち上げてから連れてきてくれる可能性もあります。

 

10-3. 想定される質問リストを用意する

買主が気になっているであろうことを想定して回答を用意しておきます。答え方次第では、デメリットも問題ないように感じてもらうことができる場合があります。買主の年齢とか家族構成によって質問は変わってきますが、大体次の4つは気になっていると思いますので回答を用意しておくと良いでしょう。

  1. 売却理由
    なぜ売るのか気になっていると考えてください。買主が心配になるのは、家に不具合があるんじゃないかとか近隣とのトラブルや近隣の環境が悪いのでは?ということが多いようです。ですので、子供ができて手狭になったとか、転勤になったなど、致し方ない理由があると安心してもらえます。嘘をついてはいけませんが、買主さんが受け入れやすい理由を提示すると良いでしょう。
  2. 近くにスーパーなどはあるか
    買い物についてはとても気になるところですので、よく聞かれる質問です。近くにスーパーがない場合など、困るかもしれませんが、正直に自転車で〇分のところにあるスーパーに買い物に行っています。とか、仕事が忙しいので、週末に○○のショッピングモールに行ってまとめ買いをしています。というようにありのまま答えるようにしてください。すると、それが買主にとっても役に立つ情報になります。
  3. 近隣の環境
    治安など近隣の環境はとても気になるところです。近所に交番があるとか、事件が起こったことがないなどさりげなくアピールしたいところです。
  4. 幼稚園、保育園、学校について
    近くに学校があるか、またその学校の評判を聞かれることが多いです。知らなければ、ある程度調べておくと良いでしょう。

最後に自分がこの家をとても気に入っていることを伝えると良いでしょう。大切に使われてきた物件だとわかれば、買主さんも安心してくれます。

 

11. 家・土地売却の条件交渉

買主から不動産業者を通して買付証明書(購入申込書と呼ばれる場合もあります)が届いたら内容を良く確認してください。買付証明書には、購入希望価格、支払い条件、引き渡し希望日など、購入希望者の基本的な希望条件が書いてあります。

これを見て、具体的な商談に入るかどうかを決めます。この後の交渉は、基本的に双方の不動産業者同士で行うのが一般的です。

不動産業者は双方の意見を調整していきますが、単に相手の意見を受け入れたり、不動産業者のアドバイスを受け入れるのではなく、ご自身が納得いく条件かどうかをしっかりと考えて判断してください。
一番気になるのが価格だと思いますが、単純に価格だけを見るのではなく、他の条件と併せて検討するようにすると良いでしょう。

例えば、建物のリフォームをしないで引き渡すことにして、リフォームに相当する金額分価格を下げるという方法もあります。また、決済日を早くしてもらうことで、現在のローン返済が早くできれば、その分金利の負担を減らすことができます。このように総合的に判断して条件を決めるようにすると良いでしょう。

条件交渉の項目に良く上がるものをいくつか紹介します。

 

11-1. 売買価格

先ほど、お話したように物件の価格だけでなく、その他条件も併せて検討するようにしましょう。例えば、先ほどの例に出したリフォームであれば、こちらで勝手にやるよりも、買主が自分の好みのリフォームをした方が喜ばれる可能性が高いです。わざわざ、お金をかけて喜ばれるかどうかわからない工事をするよりも理に適っていると言えます。

 

11-2. 手付金の額

以前は、売却代金の1割というのが相場でしたが、最近は売却代金にかかわらず、100万円とか200万円というキリの良い数字とすることも多いようです。契約の条件として、買主の都合でキャンセルとなった場合は、買主は手付金を放棄して、売主の都合で契約を破棄する場合は、売主は手付金の倍額を買主に支払うというのが一般的ですが、手付金の額が少ないと、それだけ双方に契約破棄した場合の傷みが少なくなります。

この為、手付金の額が少ない契約はそれだけ不安定となります。手付金が少なすぎる場合は、一定額を入れてもらうように交渉をすると良いでしょう。

 

11-3. ローン特約

買主が金融機関から借り入れをする場合は、ローン特約を付けるのが一般的です。ローン特約というのは、契約後にローンの審査が通らなかった場合は、契約を解除できるというものです。この場合は、契約自体が白紙撤回となる為、手付金を無条件で返さなければなりません。売主にとってはリスクしかない条項です。

売買契約後しかローンの審査が受けられないという仕方がない面はあるのですが、買主の収入や資金計画を確認することでリスクを減らすことができます。購入代金に対して、収入が低く、借り入れが多い場合は、審査に通りにくいと判断できます。

また、自動車ローンやキャッシングなど別の借り入れがあるかどうかも聞いておきたいところです。教えてもらえるかどうかわかりませんが、一応確認してみると良いと思います。心配な場合は、事前審査を要請しても良いと思います。

本審査は通常2週間~3週間かかりますが、事前審査の場合は2~3日で結果がでます。買主さんにとっても安心材料となることですので、遠慮せずにお願いするようにすると良いでしょう。

 

11-4. 引渡日

引き渡し日が決済日となります。この日までは手付金を放棄すれば、買主は契約を破棄できるということでもあるので、なるべく早い日にちにすると安心できると思います。通常、売買契約日から1~3ヶ月以内というのが一般的ですが、長い日にちを要望される場合は注意が必要です。

期間があくと気持ちが変わりやすいからです。どうしても、先にしたいと言われた場合には、手付金の額を多くしてもらうなどの対策を講じると良いと思います。

 

11-5. 瑕疵担保責任の期限

引き渡し後の一定期間内(通常3ヶ月程度が多い)に買主が知り得なかった瑕疵(不具合)が見つかった時に売主が無条件に修理をするというものが瑕疵担保責任です。この期間を長くして欲しいという要望がでることがあります。

ちなみに、宅建業法で、新築物件の瑕疵担保責任は10年間、不動産業者が販売する中古建物の場合は2年間と定められています。個人が販売する場合については特に定めがないので民法を適用することになりますが、民法上は期限の定めがないため、必ず期限を定めるようにしてください。

 

11-6. 更地渡し

古家などがある場合に、売主の負担で解体をして更地にして欲しいと依頼されることがあります。費用については、土地代金から引くなど買主と調整をすれば良いのですが、更地にするタイミングについて注意をしてください。

更地にした後に契約が破棄されてしまうと単に建物を壊しただけとなってしまいます。買主のローンの審査が終わった後に取り壊すとか、解体費用の分、手付金を多くしてもらうなどを検討されると良いでしょう。

 

11-7. 公租公課の精算

固定資産税や都市計画税の精算方法や金額について相談をされることがあります。通常は引き渡し日を基準に日割り計算をするというのが一般的ですが、法律で決まっている訳ではないので売主と買主の話し合いで決める必要があります。

法律上の納税義務者は、1月1日の所有者とされているだけです。ですので、途中で手放したとしても、還付はありません。また、買主には納税義務はありません。ですので、買主が税金分も含めての売買代金だと主張してくるかもしれません。

売買代金と分けて考えるか、税金まで含めて考えるかはどちらでも良いと思います。双方が納得いくような案を見つけてください。

 

11-8. 土地の実測を行うかどうか

登記上の面積と実際に測定した面積が違っていることがあります。また、敷地境界を示す杭の場所が違っていたり、杭自体が無くなっている場合もあります。売買の前に測量を行う場合がほとんどだと思いますが、地積測量図などがしっかりとしてる場合は後回しにすることもあります。

そういう場合に契約の締結後に、改めて測量を行うかどうか、行う場合はどちらが費用を負担するのか、登記上の面積と違っていた場合に売買代金の調整を行うかどうかを決めておくと良いでしょう。

 

12. まとめ

書いてみてたくさんの注意点があることに驚きました。これだけ知っていれば安心とは言えませんが、それでも知らないととんでもない失敗をしてしまうかもしれません。一生に一度あるかないかという方が多いと思いますし、これだけ大きなお金が動くことを経験する機会は少ないと思います。失敗しないようにというのは消極的ですが、失敗しなければ成功と言って良いと思います。

あなたの不動産売却の成功に少しでもお役に立てれば幸いです。