住宅の解体工事の見積りを比較する際のポイント

解体工事の費用は、坪単価を基に計算しても、あやふやな計算しかできません。実際に、坪単価で計算した費用と最終的にかかった費用とを比べてみると、かなり差があることも多いです。

これは、実際の費用には、坪単価以外にも、工事に関わる様々な条件が考慮されるからです。どれくらいの費用がかかるのかを正確に知るためには、複数の業者に見積りを依頼し、それを比較する必要があります。

ここでは、解体工事の見積りを比較する際のポイントを確認していきます。

 1. 見積り依頼前に確認しておくこと

まずは、複数の業者に見積りを依頼するところから始まりますが、その前に依頼する業者について、確認しておくべき項目があります。

解体業者の中には、詐欺や粗悪工事を行い、顧客からお金をだまし取る悪徳業者も存在します。正確な費用を把握したり、信頼できる業者を選んだりすることはもちろん、悪徳業者を選択肢から排除するという意味でも、見積りの比較は重要なステップです。

できれば、なるべく早い段階で、悪徳業者と関わる可能性を排除するのが1番です。そこでポイントとなるのが、見積りを依頼する前に業者の許可について確認をしておくということです。

 

1-1. 許可証の有無

解体工事を行うためには、建設業許可(土木工事業、建築工事業、とび・土工工事業のどれか)または解体工事業登録が必要です。見積りを依頼する前に、どちらかの許可が下りている業者かどうかを確認しましょう。

解体工事業登録の許可が下りている業者は、500万円未満の工事しか請け負うことができません。建設業の許可が下りている業者であれば、金額に関わらず、どんな工事でも請け負うことができます。

建設業の許可がなくても良い工事をしてくれる業者もありますが、安心して依頼できる良い業者を選ぶためには、建設業の許可証を持っている業者を探す方が良いでしょう。

また、例外もあり、80㎡以下の解体工事であれば届け出は不要です。つまり、どんな業者でも施工することが可能ということです。

悪徳業者は、この例外の仕組みを利用して事業を展開していることも多いので、許可が下りているかどうかを確認することで、悪徳業者を選んでしまう可能性を減らすことができます。

建設業許可の有無は、解体業者のホームページなどで確認することができます。業者に直接許可証を見せてもらい、許可番号や登録番号を確認するという方法もあります。

どうしても不安であれば、自治体のホームページや窓口への問い合わせといった方法でも確認することは可能です。

 

2. どこに見積依頼をするのが良いか

解体工事の見積りの依頼先は、ハウスメーカー・工務店、解体工事の専門会社、一括見積サイトなどが挙げられます。

一括見積サイトを利用せずに、複数の業者に見積りを依頼する場合は、全ての業者に対して、事前に、他の業者にも見積りの依頼をしていること、断る可能性があることを伝えておきましょう。

他の業者の見積書を提示しながらの値下げ交渉は、依頼者としての信頼を失う恐れがあるので絶対にしてはいけません。

 

2-1. ハウスメーカー・工務店

住宅を解体した後、新しい住宅を建てる予定の方は、ハウスメーカーや工務店を利用して解体工事を行うことも多いです。

基本的には解体業者を探す必要もなく、業者とのやり取りや工事の管理、解体作業後の現場のチェックなど、あらゆることをプロに任せることができ、安心で手間もかからないところがメリットです。

一社に任せることで、解体工事後の新築工事もスムーズに移行することができます。万が一事故やトラブルがあった場合も、ハウスメーカーや工務店の担当者が対応してくれるので安心です。

デメリットとしては、費用が高くなるということです。解体工事を引き受けているものの、下請け業者に依頼をしているというハウスメーカーや工務店が多いです。

下請け業者を利用するとなると、その業者の分の利益も必要になるので、費用はどうしても高くなってしまいます。

他にも、全てを任せている分、工事内容や工程、仕上がりなどについて細かく確認したり口を出したりするのが難しいというデメリットもあります。

 

2-2. 解体工事の専門会社

解体工事を専門にしている業者であれば、直接依頼をしている分、費用を安く抑えることができます。専門的な知識も豊富なので、注意することやアドバイスを教えてもらうことができるのもメリットです。

見積りに対する疑問や不安に対しても、専門業者ならではの知識や経験を基にした回答が得られます。

一方、いくつかデメリットもあります。解体専門の業者は、ハウスメーカーや工務店と比べると、大手と言われるところであっても、あまり目にしたり耳にしたりする機会がないので、業者を探すことに苦労してしまいます。

また、専門業者との直接のやり取りが必要になるので、依頼する側にもある程度の知識が求められます。解体工事後に新築工事を行う予定があれば、スケジュールの管理や業者への連絡などの手間もかかります。

 

2-3. 一括見積サイト

必要な情報を入力するだけで、複数の業者の見積りが一括でできるので、業者選びの時間や手間がかなり短縮される点が最大のメリットです。無料で見積りができるところも多く、どれくらい費用がかかりそうか、早く確認したいという場合には、とても便利なサービスです。

また、サイトによっては、見積り対象となる業者の基準を、独自で設定しているところもあり、一定の水準以上の業者から選ぶことも可能になります。業者選びについての相談にのってくれるサービスを行っているサイトもあります。

デメリットとしては、サイトによって質に大きな差があるということです。条件をクリアした業者だけを対象にしているサイトもあれば、業者をしっかりと調べないまま掲載しているサイトもあります。解体工事に関する質問や見積り相談などのサービスも、全てのサイトで利用できる訳ではありません。

また、そのサイトを利用している業者の中からしか探すことができず、選べる業者が限られることになります。対象の業者数が少なければ、選択できる業者も限られてきます。

さらに、費用が高くなるというデメリットもあります。このようなサイトを利用している解体業者は、サイト運営会社に対して紹介料や掲載料などを支払っています。依頼者の見積り金額にも、その費用分が上乗せされていることが考えられます。

 

3. 見積書の内容で確認する点

実際に見積書が手元に届いたら、ひとつずつ項目を確認していきましょう。

中には、詳細な内容を記載せず、一式とまとめられた見積書を作成する業者もいます。このような見積書では、せっかく見積りをもらっても、きちんと比較ができません。

改めて作成し直してもらうか、事前に詳細な見積りの作成を依頼しておくようにしましょう。

 

3-1. 工事範囲

まずは、依頼した通りの工事範囲や内容になっているかを確認しましょう。複数の見積り書を比較するためには、工事範囲や内容が一致していることが大前提です。面積や内容に間違いがあれば料金が変わってくるので、丁寧に確認しましょう。

外構にある物を撤去する場合は、見積書に記載されている範囲をしっかりと確認します。庭木や庭石、ブロック塀などの撤去にかかる費用は、業者によって計算の方法が異なるので、比較をする場合は気を付けて確認をしましょう。

解体に追加して、土のすき取りや入れ替えなどを依頼した場合は、見積書にきちんと反映されているかを確認してください。残土処分にかかる費用にも影響してくるので、工事範囲の確認は慎重に行いましょう。

一部の住宅では、解体工事を行う前に、水道や電気、ガスなどの配管・配線を移設する切り回し工事が必要になることもあります。

追加の作業に関する費用は、見積書の作成にあたり忘れられてしまったり、業者側の判断で追加されたりする可能性もあるので、不足している項目・過剰な項目がないかを確認することは、とても重要です。

 

3-2. 明細項目

工事範囲に問題がなければ、次はそれぞれの項目を細かく確認していきます。

解体工事などの見積書には、人工という単位が使用されていることがあります。これは作業量を表した単語で、1日の1人あたりの作業量をもとに、工事が完了するまでの作業に要する延べ人数を計算したものです。例えば2人工であれば、1日で終わらせるためには2人必要ということです。

作業に関わる項目は、㎡や㎥などの単位計算では材料代以下になってしまうことがあるので、人工という単位が使われることがあります。1人工あたりの費用は作業内容や地域によっても差があるので、見積書を比較しながら相場を確認するようにしましょう。

見積書の細かい項目の書き方は、業者の特徴が良く現れる部分です。工事内容を細かく記載し、内容に沿って重機費用、日数、交通費、養生費、処分費用などを丁寧に記載してくれている業者は、とても好感が持てます。特に解体工事では、不法投棄を防ぐために、処分費用が含まれているかの確認が必要です。それぞれの費用が妥当かどうかもきちんと確認しましょう。

このような明細項目が丁寧に書かれた見積りは、一見他の見積りと比較すると、合計金額が高くなっていることも多いです。これは、原価が高いからなどの理由も考えられますが、他の見積りでは見落としている費用まで計算してくれている可能性もあります。

大変ではありますが、合計金額だけで比較はせず、項目をひとつずつ確認することが大切です。

 

3-3. 工事外明細項目

工事に直接関わらない部分でも、支払が必要になることがあります。

例えば、官公庁への届け出に必要な書類の作成費、周辺の道路の交通整理をするガードマンの費用、周辺にトイレがない場所であれば仮設トイレの設置費用などがあります。

一式見積りの業者や、詳細が少ない見積りの業者は、こういった費用が含まれていない可能性もあります。確認しないまま進めてしまうと、後から追加で請求されてしまい、結果的に予算をオーバーしてしまうことも考えられるので、工事外の項目についてもきちんと確認をしましょう。

 

3-4. 見積外追加費用

どんなに丁寧に見積りを確認し、疑問や不安を解消してから工事に入ったとしても、追加工事が必要になる場合があります。

例えば、地中に岩や廃棄物など撤去しなければならない物が埋まっていたケースでは、事前に地面の中を確認ができないので、工事を始めてからではないと分からないことが多いです。

他にも、住宅の基礎の下に昔の住宅の基礎が埋まっていたり、湧き水が出て来たりすることもあり、このようなケースは、どれだけ良い業者でも、解体してみなければ分かりません。

それでも、追加請求というのは悪徳業者が良く使う手段でもあるので、どうしても不安を感じてしまいます。そういう場合は、工事を始めてから発覚する追加費用について、業者に事前に確認をしておくことで、トラブルになる可能性を少なくすることができます。

業者は、たくさんの解体工事を経験してきているので、追加工事が必要になるケースやその可能性についても理解しています。どんなことが考えられるか、その場合はどれくらいの費用がかかるのかは、事前に説明してもらうようにしましょう。

良い業者であれば、丁寧に説明をしてくれるので、トラブルになることも少ないです。

追加工事の費用についての説明は、見積書に含まれているケースと含まれてないケースとがあります。見積書に含まれていない場合は、どれくらいの費用がかかるのか、書面に残しておくことで、追加工事が必要になった時も安心できます。

 

3-5. 見積金額で差が出るポイント

業者によって見積りの合計金額に差が出るポイントとしては、単純に人件費や燃料費、重機の利用料など原価の違いや、割引などのサービスの違いが挙げられます。

熟練の職人を利用する業者は人件費が高くなりますし、遠くの業者に依頼してしまうと燃料費などが高くついてしまいます。

また、下請け業者に任せている業者は、自社施工の業者に比べると利益が上乗せされるので、費用に差が出てしまいます。

 

処分費用の違い

見積金額の違いには、処分費用の違いの影響もあります。解体工事の費用では、処分にかかる費用が占める割合も大きいので、処分費用の違いが見積金額にも大きく影響してきます。

処分費用に違いが出る理由としては、お金を支払って処分しているか、素材として売却しているかの違いが考えられます。庭木や家電、金属、木製の家具などは、きれいにしたり分解したりして再利用できるものも多いです。

このような素材を売っている業者であれば、解体工事の際、処分費用を安くしてくれるところも多いです。

処理場などにお金を払って処分している業者は、再利用して販売している業者に比べると、お金を払っている分、処分費用も高くなります。

しかし、中には安く処分できる処理場を知っていたり、契約を結んでいて安く処分してもらえたりする業者もあり、処分業者との関係性も処分費用に差が出る理由となっています。

 

4. まとめ

解体工事の見積り比較は、合計金額だけで判断してはいけません。

業者によって見積りの出し方が異なるので、比較するのは大変ですが、丁寧に確認をすることで、悪徳業者による被害や追加工事によるトラブルを防ぎ、良い業者を見極めることができるようになります。

また、見積書の比較を通して、信頼できる業者かどうか判断することも大切です。

壊してしまう解体工事であっても、まとまったお金を支払う訳ですから、その費用をかけて依頼するだけの価値のある、信頼できる業者を選びましょう。

監修general editor

藤岡聖大

平成4年のバブル末期に大手住宅メーカーに就職し宅建の資格を取得する。そこで不動産の基礎を学ぶ。入社半年でバブルが崩壊し、ローンの返済にあえぐお客様、相続税対策でアパートを建てて失敗し、家や土地を失ってしまった人など、大変な思いをしている人に遭遇し、一般の方であっても最低限の不動産の知識が必要であることを痛感する。 それら経験を元に、ユーザー視点の不動産の情報を提供する当サイトを運営。