太陽光発電に必要なランニングコスト・維持費とは

太陽光発電の寿命は20〜30年ありますが、安全かつ正常に長期稼働を実現するために必ずランニングコストが掛かります。具体的には、点検費・修理費・清掃費・保険料・税金など様々な維持費が必要になりますので、予め各項目の費用を確認しておくと良いでしょう。

具体的にそれぞれどれほど費用が掛かるのかみていきますので、維持費を見積もる際の参考にしてください。

1. 電気代

太陽光発電を稼働するために必要な周辺機器の一つである「パワーコンディショナー」には電気代がかかります。パワーコンディショナーとは、太陽光発電で発電した直流電力を電力会社と同じ交流電力に変換する機械のことです。

太陽光発電は夜間発電することができないので、夜間はパワーコンディショナーが電気を消費しています。しかし、待機電力程度のわずかな電気消費なので、1ヶ月に1台あたり500円程度ほど掛かると考えておけば良いでしょう。

1-1. 全量買取の場合は電気使用契約が必要

パワーコンディショナーの電気代について、住宅用太陽光発電は余剰買取方式なので他の電気代と合算されますが、全量買取方式の産業用太陽光発電については別途電気使用契約が必要となります。

電気使用契約は、電力会社が発電した電気をすべて買い取る代わりに、太陽光発電保有者が設置しているパワーコンディショナーの台数分だけ定額の電気代を支払うという内容です。これは電力会社との電気の売買をやり取りする契約の際、約款に記載されていることなので留意しておきましょう。

 

2. 定期点検

太陽光発電は基本的にメンテナンスフリーとなっています。しかし、太陽光発電が長期に渡って正常かつ安全に稼働を続けていくために、定期的に点検することを推奨されています。
太陽光発電の発電容量によって点検義務がある場合とない場合があるので、それぞれ見ていきましょう。

 

2-1. 住宅用は法的義務なし

住宅用太陽光発電には、基本的に定期点検の法的義務は発生しません。メンテナンスは自主点検レベルで問題ないですが、上記にもある通り、安全かつ正常に長期稼働するためには数年に一度は業者に頼んでメンテナンスをしておくと安心です。

この点検について、1回あたりの費用は概ね平均して2万円程度となっています。

 

2-2. 非住宅用の50kWは法定点検の義務がある

出力が50kW以上の太陽光発電には、年に2回以上(6ヶ月に1回以上)は点検の必要があり、これは法律で定められているので忘れずに点検するようにしてください。

 

2-3. 点検を2000kWまでは外部委託可能

産業用太陽光発電については、「電気主任技術者」と呼ばれる発電機器の工事・維持・運用を監督する人を選ぶ必要があります。出力が2000kW未満の太陽光発電については、これらの業務を外部に委託することが可能となっており、委託費用は平均年間50万~100万円程度といわれています。

しかし、出力2000kW以上の太陽光発電については、外部委託はできず、選任技術者が常駐する必要があるので留意しておきましょう。

 

3. 清掃費用

太陽光発電パネルについた埃や砂などは、自然に洗い流されるのでそれほど神経質になる必要はありません。しかし、鳥の糞などの酷い汚れは発電障害を引き起こす恐れがあるので、業者に頼んで清掃を行う必要があります。

自分で行うという手もありますが、非常に危険を伴う場合がありますので業者に頼むようにしましょう。

さて、気になる清掃費用ですが、パネルの枚数など太陽光発電の規模によって違ってきますので、それぞれみていきましょう。

 

3-1. 屋根設置の場合の目安

屋根に設置されている太陽光発電は、人が入り込めないほど太陽光発電パネルが敷き詰められていたりするので、洗浄用のロボットが使われることがあります。リモコン操作で洗浄が難しい屋根の端部まで隅々洗浄することができる優れものです。

屋根設置の太陽光発電の清掃費は、大体1kWあたり5000円~1万円程度と考えておいて良いでしょう。

 

3-2. 野立ての場合は規模によって大きく違う

野立てに設置されている太陽光発電は、傾斜が高く、段になってパネルが設置されているので伸縮可能な洗浄機器を利用して洗浄します。洗浄機器は伸縮自在なので足場を作って洗浄する必要がないので、効率的にお掃除することができます。

野立ての場合は、規模によって清掃価格が大きく異なり、小規模なら1kWあたり2000円~5000円、大規模なメガソーラーであれば1kWあたり1000円程度になります。

 

4. 交換や修理費用

太陽光発電は基本的にはメンテナンスフリーといわれていますが、やはり機械なので必ず寿命が来てしまいます。太陽光発電パネルは20年以上稼働可能とされていますが、その他の周辺機器はパネルよりも長持ちしないので、途中必ず交換・修理が必要になります。

太陽光発電の各機器の修理・交換費用も予め見積もっておく必要があるので、チェックしておきましょう。

 

4-1. パネルの補修費用

20〜30年稼働可能なので太陽光発電パネルの補修費用を考慮しない方は意外と多いようですが、実際には故障や不具合の可能性もあることを認識しておく必要があります。太陽光発電パネルの性能は、売電収入にも関わってくるので、不具合がないか定期的に確認しましょう。

万が一、パネルが故障してしまった場合、故障具合・規模にもよりますが、100万円単位の費用が必要になる場合もあるので注意が必要です。

 

4-2. パワーコンディショナー

太陽光発電の稼働に必要な周辺機器の一つである「パワーコンディショナー」は、10〜15年で寿命がくるので、いずれ交換が必要になる時がやってきます。メーカー保証を考慮しても、パワーコンディショナーにかかる費用は稼働期間20~30年の間で合計10〜20万円程度と考えておくと良いです。

 

4-3. 売電メーター

売電メーターは、法律により10年に1度の交換が義務付けられています。売電メーターの価格は約1〜2万円ほどです。交換時は、太陽光発電の販売店もしくは電力会社に問い合わせればすぐに購入することができます。

売電メーターの所有権については電力会社によって扱いが変わり、それによって費用の負担者も変わります。一覧表にしましたので、こちらをご覧ください。

電力会社毎の売電メーター所有者区別一覧表

※東京電力については、売電メーターの所有権は東京電力にありますが、初期設置費用については使用者の負担となります。

 

5. 保証制度

太陽光発電メーカーで手厚い保証をつけてくれているところは多いですが、メーカー保証ではカバーできない「太陽光発電のもしも」に備えて保険加入が推奨されています。天候、災害、盗難、故障などの損害費用を補償してくれる保険がいくつかありますので、それぞれがどれくらいの保険料となるのか一つ一つみていきましょう。

 

5-1. 保険料

太陽光発電には、様々な故障リスクに備えて保険をかけておくことが推奨されています。特に日本は災害が多い国なので、保険はかけておいたほうが安心です。太陽光発電の年間保険料の相場は、初期費用の0.3%〜3%くらいといわれています。

 

5-2. 火災保険料

火災・落雷・台風などの被害により太陽光発電が故障した場合に補償してくれるのが火災保険です。また、電気的・機械的事故の補償があるのも火災保険の特徴です。年間の保険料は、保険金額に対して1.5%~2.5%とされています。

例えば、保険金額600万円かけたとすると、年間保険料は9万円くらいとなります。災害に備えて火災保険には必ず入っておくのをお勧めいたします。

 

5-3. 動産保険料

火災保険と被るところはありますが、「不測・突発的な事故」に対するリスクを幅広くカバーしてくれるのが動産保険の特徴です。ガス・電気漏電による爆発、その他にも盗難・破損・組み立て・運送中の事故についても補償してくれます。

年間保険料は、保険金額に対して2.5%~3.5%とされています。具体的に、保険金額600万円かけると、年間保険料は最低15万円くらいと考えて良いでしょう。

 

5-4. 売電収入補償

売電収入が事業計画書にある売電収入見込みを下回った場合、保険料の一部を戻してくれるのが売電収入補償です。火災保険とセットで加入できますが、単独加入も可能となっています。売電収入補償の保険料は、太陽光発電を導入する際に提出する「事業計画書」に記入する「売電収入見込み」に基づいて算出されます。

万が一、太陽光発電が故障して売電できない期間ができたら困るという方は、加入しておいたほうが良いでしょう。

 

6. 税金

太陽光発電を保有していると固定資産税・所得税が掛かるケースがあり、場合によっては確定申告が必要になることがあります。利益を出せば所得税がかかると考えられると思いますが、太陽光発電に関する税金は非常に安く抑えられています。

税金の負担は少ないですが、ご自身の太陽光発電が課税対象か否かを確認しておきましょう。もし自己判断が難しいのであれば、税理士や販売施工会社に確認を取るようにしてください。

 

6-1. 固定資産税

基本的に産業用太陽光発電には固定資産税がかかります。また、住宅用太陽光発電については、基本的に固定資産税はかからないのですが、太陽光発電パネルが屋根材一体となっているタイプの場合は課税対象となるので注意が必要です。

固定資産税は、目安として1平米あたり200円程度とされています。住宅用の設置容量4kWの太陽光発電であれば、大体25平米になるので年間の固定資産税は約5000円程度になります。

また、固定資産税は以下の公式で求めるので、実際の金額を確認したい方は計算してみると良いでしょう。

太陽光発電 固定資産税の計算式

太陽光発電の固定資産税は17年間払い続ける必要があります。この年数は国が定めた太陽光発電の耐久年数なので、17年間は固定資産税を払い続けなくてはなりません。しかし、産業用太陽光発電の特例措置として、導入した年から3年間は固定資産税が3分の2に減額されます。

 

6-2. 所得税

太陽光発電から得られる売電収入は「雑所得」とみなされるので、場合によっては所得税の課税対象となります。しかし、すべての太陽光発電システムに所得税がかかるわけではなく、課税される「条件」があります。全量買取方式・余剰買取方式、それぞれのケースに分けて所得税が掛かるのか否かみていきましょう。

 

6-2-1. 全量買取の場合

全量買取制度は設置用量が10kW以上の規模が大きい太陽光発電に適用され、住宅用に比べると高い売電収入が期待できます。所得税は、所得が年間20万円を超えると課税の対象となるので、全量買取方式が適用されている太陽光発電は所得税がかかる場合が多いです。

また、売電収入が20万円を超える場合は確定申告が必要になるので忘れないようにしておきましょう。

 

6-2-2. 余剰買取の場合

太陽光発電の「所得」とは、売電収入から太陽光発電の初期費用を控除として引いたものです。4〜5kWほどの住宅用太陽光発電の場合、所得が年間20万円を越えることは中々難しいので、ほとんどの場合は所得税を支払う必要はないでしょう。

 

7. 太陽光パネルなどの廃棄費用

太陽光発電システムを撤去する際、廃棄費用が発生します。太陽光発電は寿命があるので、いつか必ず撤去する時がきますので、廃棄費用を予め考慮しておく必要があります。また、寿命でなくとも、災害や故障によって止むを得ず撤去を選ぶケースもあるので留意しておいてください。

太陽光発電システムの廃棄費用は、現時点では撤去費用(主に人件費)10万円にプラスして、廃棄費用5万円と合計15万円ほどで見積もっておけば問題ないとされています。廃棄費用に関しては、自治体によって扱いが変わることと、今後、リサイクルがどこまで進むかによっても大きく変わる可能性があります。

太陽光発電の廃棄品が爆発的に増えると予想される2030年以降にどのような状況となっているかは予測が難しいと言わざるを得ません。

 

8. まとめ

太陽光発電を長期稼働していく為に、点検や清掃費用などのランニングコストは欠かすことができません。ランニングコストは年間でみるとさほど大きい額ではないと思われますが、20年〜30年スパンでみると結構な金額になるでしょう。ご自身の太陽光発電にどのくらいランニングコストがかかるのか、予め把握して見積もっておくことをおすすめいたします。

監修general editor

藤岡聖大

平成4年のバブル末期に大手住宅メーカーに就職し宅建の資格を取得する。そこで不動産の基礎を学ぶ。入社半年でバブルが崩壊し、ローンの返済にあえぐお客様、相続税対策でアパートを建てて失敗し、家や土地を失ってしまった人など、大変な思いをしている人に遭遇し、一般の方であっても最低限の不動産の知識が必要であることを痛感する。 それら経験を元に、ユーザー視点の不動産の情報を提供する当サイトを運営。