太陽光発電の発電量と売電・収益の計算方法

太陽光発電の発電量は環境によって大きく左右されるものなので、本当に採算をとれるのか非常に気になるところだと思います。

そこで、今回は国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「NEDO」が開発した日射量データベースを用いて、推定年間発電量を計算する方法をご紹介します。また、その年間発電量の数値を用いて、太陽光発電で採算がとれるか確認できる収益計算法についても最後に解説しますので、ぜひ参考にしてください。

1. 太陽光発電の年間の発電量を計算する方法

太陽光発電で多くの売電収入を期待するには、その分、多くの発電量が必要となります。太陽光発電を設置する土地や環境によって得られる発電量が異なるため、太陽光発電パネルメーカーでは発電量の目安は発表しておりません。しかし、目安程度なら発電量を計算で出すことは可能なのでぜひ参考にしてください。

1-1. 太陽光発電の年間発電量の計算式

年間で得られる推定発電量の計算式は以下になります。

日射量については、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「NEDO」の日射量データベースを用いて該当地域の日射量を算出するようにしてください。

 

1-2. システム損失係数

メーカーが提示している太陽光パネルの目安出力ですが、必ずしも提示された通りに発電できるわけではなく、パネルの汚れや温度上昇などの要因によって一定量の発電量損失が出てしまいます。この損失を「システム損失係数」と呼びます。

発電量を計算する際は、損失分を考慮する必要がありますので、日本だと大体0.7~0.85の数値が使われます。

13. 損失の割合

1年間の発電量の損失の割合は、平均して2割程度といわれています。この損失の内訳を詳しく見ていきましょう。

1-3-1. パワーコンディショナーによる損失

パワーコンディショナーの役割は、太陽光発電で発電した電気を電力会社と同じ種類の電力に変換することですが、この電力を変換する際に発電量の約5%を損失してしまいます。

1-3-2. 熱による損失

太陽光発電パネルの温度が上昇することで5%ほど発電量を損失しますが、季節によって損失率に差が出ます。夏場はとくにパフォーマンスが悪くなり、損失もその分多くなります。

1-3-3. 送電などによる損失

大規模な太陽光発電の場合、送電する際に電線が長くなることから損失ロスがでることを覚えておきましょう。また、住宅用太陽光発電については送電による損失ロスはさほど出ないので気にしなくても大丈夫です。

1-3-4. パネルの汚れなどによる損失

少しの埃や汚れは自然と洗い流されますが、鳥の糞などについては簡単に取れないため、発電量が下がってしまいます。大体5%ほどの損失が出ると言われていますので、清掃は定期的に行いましょう。

2. 年間平均日射量から1kWあたりの発電量を計算する

NEDOから得られた年間平均日射量の数値を使い、1kWあたりの発電量を計算することができます。以下の式を参考に計算してみてください。

※年間日射量=NEDOデータベースで得た年間平均日射量×365日
※損失係数=0.7~0.85の数値を使います

3. 自分の土地に何kW設置できるのか確認する

土地の広さから設置可能なシステム容量を計算することは難しいとされていますが、土地全体の年間発電量なら求めることができます。

システム容量1kWを設置するのに、大体10㎡~15㎡の土地が必要とされているので、この数値を使って土地全体の年間発電量を求めてみましょう。

4. 太陽光発電に関する費用と補助金

太陽光発電で得られる収入を計算する際、国から得られる補助金や運用維持に必要な費用をあらかじめ考慮しておく必要があります。太陽光発電を導入する前に、知っておくべき補助金と各費用についてそれぞれみていきましょう。

4-1. 補助金・助成金

住宅用太陽光発電については、2014年度に国からの補助金は打ち切られ、現在は都道府県・市町村の2箇所から補助金をもらえるようになっています。地域によっては、補助金がない場合もあるので各自治体ホームページで確認してください。

補助金の交付の仕方は、自治体によって異なり、kW数に応じた金額を補助する場合などがあります。補助金が出る場合は、初期費用を安く済ませることができるので助かりますね。

一部の例ですが、日射量が一番多いとされる山梨県甲府市では、住宅用太陽光発電のシステム容量1kWあたり1万円(上限35000円)を補助してもらえるそうです。

参考:平成29年度地球温暖化対策導入促進助成金制度|甲府市

4-2. ランニングコスト(修理代)

太陽光発電を長期稼働させる上で必要になるのがランニングコストです。太陽光発電パネルや周辺機器の修理代・交換代は、あらかじめどの程度かかるか知っておくと良いでしょう。メーカー保証内であれば良いのですが、保証が切れてしまった場合は自腹で支払う必要があります。

【修理代のめやす】

太陽光発電パネル:10~100万(規模による)
パワーコンディショナー:5~10万円(一部交換)20万円(全交換)

4-3. 土地の造成費用

産業用太陽光発電が効率的に発電をするためには、発電に適した土地作りが必須になります。設置する予定の場所が山林だったり、土地がでこぼこしていたりする場合は、太陽光発電を設置するために土地を整備する必要があります。土地の造成費用も掛かる場合があることを留意しておきましょう。

【土地の造成費用のめやす】

山林:20000~30000円/㎡
土砂採石場跡地:5000円/㎡
緩やかな丘陵地:10000円/㎡

4-4. 送電線の敷設費用

近くに電柱がない地域に太陽光発電を設置する場合は、送電線をひく必要があり、電柱1本あたり2万~10万円掛かります。地形などによって変化することもありますが、大体の目安として30mに一本電柱が必要になることを覚えておきましょう。

また、送電線の電圧は3種類に分かれており、システム容量50kW未満は「低圧」、50kW~2MW未満「高圧」、2MW以上「特別高圧」と呼ばれています。高圧、特別高圧を電力会社の電気配給設備に接続するには、「キュービクル式高圧受電設備」と呼ばれる設備が必要になり、工事費含め数億円かかる場合もあるので注意しましょう。

4-5. 行政への申請費用

太陽光発電について、行政に申請を出さなくてはならない事項は2つあります。

1つは、設備認定の申請です。太陽光発電を売電するための申請であり、行政への手続きが必ず必要になります。設備認定は基本的に施工業者もしくは販売店が行うので、ご自身で手続きをする必要はありません。設備認定手続き費用の具体的な内訳は、書類を送付する郵送費や人件費などです。これらの費用は、初期費用見積りに含まれているケースがあります。また、業者に頼まず、ご自身で手続きすることも可能です。

2つめは、補助金申請です。各自治体から補助金をもらうためには、手続きする必要がありますが、うまく申請できるか不安という方は、行政書士による代理代行をおすすめいたします。補助金手続きの申し込みから完了まで、38,000円ほどかかることが多いようです。

4-6. 盗難用フェンス

産業用太陽光発電は誰でも入れる場所に設置されているものも多いかと思います。誰でも入れるということは、必然的に盗難やイタズラされるリスクが高いことを念頭に置いておきましょう。太陽光発電は高価ですので、人為的に壊されることは避けたいことでしょう。盗難・イタズラを防ぐには、太陽光発電の周囲に盗難用フェンスを設置するのが有効です。

フェンス自体の価格は、1mあたり4,000~7,000円くらいです。また、フェンスを設置する際には、独立基礎工事が必要になり、フェンス2mあたり基礎を1個つけることになっています。独立基礎は1つあたり3000~5000円ほどになっています。全体で掛かる費用については、設置するフェンスの種類や太陽光発電の規模によって価格帯に幅がありますが、大体50~300万円前後と考えておくと良いでしょう。

参考例を挙げると、50kW規模の太陽光発電の周囲に、高さ800mmのフェンスを囲むとすると大体56万円掛かることになります。

4-7. 設備管理委託費など

出力2000kW未満の太陽光発電所については、設備の保安管理をする電気主任技術者を外部委託することができます。また、出力が2000kW以上のものについては、常に電気主任技術者が勤務している必要があるので、コストがかかります。

このような大規模太陽光発電所を安全に運用していく上で、電気主任技術者は欠かせません。委託費用は月に数十万と見積もっておくと良いでしょう。

5. 発電量から採算を計算する

今後10年で太陽光発電の売電収入はどれほどになるのか気になりますよね。本当に太陽光発電で採算がとれるか確かめるためにも、発電量から利益があがるのか収支計算をして確かめてみましょう。

シミュレーションをより具体的にするために、太陽光発電の設置件数が一番多い「愛知県」に設備を設置すると仮定して収支計算を行います。

5-1. 売電収入額

太陽光発電で得られる「収入」についてみていきます。収入は2種類あり、一つは電気を売って得られる売電収入、もう一つは各自治体から受け取れる補助金です。住宅用と産業用、それぞれの売電収入額をシミュレーションしましょう。

NEDOの日射量データベースで算出したところ、愛知県東海市では以下の結果が出ました。

月間の平均日射量:4.21kWh/㎡
年間日射量=4.21(kWh/㎡)×365(日)=1,536kWh/㎡
年間発電量=1536(kWh/㎡)×0.86=1,320kWh
年間売電量を求められたところで、以下の計算手順でそれぞれ売電収入額を計算します。

また、10または20年間の総売電収入については、自治体から受け取れる補助金もプラスして考えます。

住宅用太陽光発電の場合

住宅用太陽光発電について、発電量の約3割は自家消費されると想定されているので、売電量は残り7割として計算します。

<システム容量5kWの太陽光発電の場合>

年間売電量:5kW×1,320kWh×70%=4,620kWh
年間売電収入:4620kWh×28円=129,360円
10年間の総売電収入: 129,360円×10年=1,293,600円
補助金:40,000円
10年間の収入総額:1,333,600円

産業用太陽光発電の場合

産業用太陽光発電は、全量買取制度なので発電した電気は全て売ることができます。以下のような計算となります。

<システム容量25kWの太陽光発電の場合>

年間売電量:25kW×1,320kWh=33,000kWh
年間売電収入:33,000kWh×21円=693,000円
20年間の総売電収入:693,000円×20年=13,860,000円
補助金の金額については、産業用の補助金情報がありませんでしたので割愛しています。
20年間の収入総額:13,860,000円

5-2. 設備投資額

太陽光発電の設備投資に必要となる項目は、初期購入費用、工事費用、メンテナンス費です。工事費については初期費用に含まれていることが多いでしょう。設備投資額は太陽光発電パネルの種類などによって様々でしょうが、平均の数値を利用して費用総額を計算していきます。

住宅用太陽光発電の場合

工事費用込みでシステム容量1kWあたり平均41万円となっています。

  • ・初期購入価格:5kW×41万円=2,050,000円
  • ・年間メンテナンス費:20,000円 20000円×10年間=200,000円

10年間の設備費用総額:2,250,000円

産業用太陽光発電の場合

工事費用込みで1kWあたり平均35万円となっています。

産業用太陽光発電を20年間なるべくパフォーマンスを落とさず稼働させるためには、初期費用の2~3%をメンテナンス費と考える必要があります。

  • ・初期購入価格:25(kW)×35(万円)=8,750,000円
  • ・年間メンテナンス費:8,750,000円×2%=175,000円 175,000円×20年間=3,500,000円

20年間の設備費用総額:12,250,000円

5-3. 収支計算

売電期間の売電収入と設備投資額の値が出たところで、いよいよ収支計算を行っていきます。売電収入額(収入)から、設備投資額(支出)を引いて、合計がプラスの値になれば採算は取れているといえるでしょう。純利益が発生するのは、設置から何年掛かるのかを見ていきます。

住宅用太陽光発電の場合

10年目:-916,400円
15年目:-369,600円
19年目:67,840円

家庭用太陽光発電を、愛知県東海市に設置した場合、採算が取れるのは19年目からということが分かりました。傾斜角など設置条件が変わることで得られる発電量は変わりますので、あくまでこの結果は参考程度に考えてください。

産業用太陽光発電の場合

16年目:-462,000円
17年目:56,000円
20年目:1,610,000円

産業用の場合は、やはり売電量が多いだけに、17年目から採算が取れることがわかりました。

6. 太陽光発電の発電量と売電・収益の計算方法 まとめ

太陽光発電の収益を計算するためには、多くの要素を考慮した上で計算を行わなくてはなりません。特にランニングコストなどの支出については、よく確認した上で費用を見積るようにしておきましょう。年間単位だとさほど掛からないと思うかもしれませんが、10~20年単位となると大きな額になります。支出の見積もりが甘いと、後々純利益が中々でないと痛い目にあうことになるかもしれません。

数字や計算が苦手な方には少々面倒なことかと思いますが、太陽光発電を投資として運用するのであれば、利益がどれほど望めるかは知っておきたいところです。収益計算の結果を考慮した上で、本当に太陽光発電を導入するかを検討すると良いかもしれません。

監修general editor

藤岡聖大

平成4年のバブル末期に大手住宅メーカーに就職し宅建の資格を取得する。そこで不動産の基礎を学ぶ。入社半年でバブルが崩壊し、ローンの返済にあえぐお客様、相続税対策でアパートを建てて失敗し、家や土地を失ってしまった人など、大変な思いをしている人に遭遇し、一般の方であっても最低限の不動産の知識が必要であることを痛感する。 それら経験を元に、ユーザー視点の不動産の情報を提供する当サイトを運営。