太陽光発電用に土地を貸す際の注意点と賃料の相場

 

土地を所有しているのにもかかわらず、活用せずに放置したままの状態にしている方はいらっしゃいませんか?せっかく土地を持っているのに活用しないのは、とても勿体無いことです。

土地は何も利用していなくても固定資産税が掛かるので、放置しているのであれば固定資産税分の負債を抱えているのと同じです。もちろん、好きで放置しているのではないと思います。貸したくても借り手がいない、売りたくても買い手がいないなど、どうしようもない土地で困っている方が多いと思います。

そんな使い道のない田舎の土地の活用法の一つとしてオススメなのが、「太陽光発電用に土地を貸すこと」です。産業用太陽光発電であれば、20年間の電力買い取り保証制度があるため、20年間はほぼ間違いなく賃料が入ってきます。その上、貸している間は土地を管理する必要がないのも魅力的です。

しかし、太陽光発電用に土地を貸すことはメリットばかりではありません。

そこで今回は、太陽光発電用に土地を貸す際の注意点と賃料の相場についてお伝えしたいと思います。土地活用を考えている方は参考にして頂ければと思います。

 

1. 太陽光発電用に土地を貸すメリット

使い道がない上に借りる人もいないような土地を所有されている方は、太陽光発電用に土地を貸し出すことを検討されてはいかがでしょうか。太陽光発電用に土地を貸せば、長期間安定した収入を手に入れることができます。

太陽光発電用に土地を貸すメリットを一つ一つ詳しくみていきましょう。

1-1. 設備投資のコストなしで収入になる

土地を貸す場合には、設備投資コストの心配する必要はなく、設備資金は借りる人がすべて用意します。このように、太陽光発電用に土地を貸すメリットは、使い道に困っていた土地を金銭的リスクなしで収益化できることにあります。

設備投資ゼロで土地を貸すことができるので、金銭的リスクを負いたくないという方にはぴったりの土地活用法でしょう。

1-2. 20年先までの安定収入が見込める

産業用の太陽光発電は20年間の電力買い取り保証があります。これは20年間は固定的な収入が入るということを意味しています。実際には、設備の故障や天候による発電量の変動などのリスクが考えられますが、貸し出し先としてはとても安定していると言えます。

マンションやアパート用に土地を貸し出した場合、借り手が見つからずに運営している会社が倒産する可能性があります。このようなことになると地代が入らない上に残った建物をどうするかという難題を抱えることになります。

太陽光発電用に土地を貸すことは、リスクが低いと考えて間違いないでしょう。

1-3. 借り手を見つけやすい

比較的利回りが良いとされている太陽光発電は、投資として有力といわれています。条件にもよりますが、太陽光発電に向いている土地であれば、借りる人は比較的見つかりやすいと予想されます。

1-4. 土地の維持管理をしてもらえる

土地を持っている人は、定期的に雑草の処理やゴミの片付けなど、土地を維持するためにやらなくてはならないことがあります。また、遠方にあるなど、自分で管理するのが難しい場合には、業者に土地の管理を委託するとコストが掛かります。

土地の維持管理には、労力と資金が掛かるので苦労している方が多いです。

しかし、土地を貸せば、土地の維持管理はすべて借りる人が担うことになります。土地の管理をする必要がなくなるのは大きなメリットです。

1-5. 賃貸期間満了後の扱いを話し合いで決められる

太陽光発電用に貸した土地の賃貸期間が終了した後、設置された太陽光発電を撤去して更地にしてから返してもらうのか、そのまま譲り受けるのか話し合いで決めておくと良いでしょう。

安全なのは撤去して更地にして返してもらうことだと思いますが、20年以降は固定価格の買取制度は無くなるものの、発電が出来なくなる訳ではないので、引き続き貸すことも考えられます。

2. 太陽光発電用に土地を貸すデメリット

これまで太陽光発電用に土地を貸すことのメリットばかりに着目してきましたが、デメリットもあるので注意が必要です。

ご自身で太陽光発電を運用した方が収入が増えることや、また長期間土地を自由に使えないことなど、土地を貸すことによってデメリットについても考えておきましょう。

2-1. 自分で太陽光発電システムを設置した方が収益が増える

太陽光発電用に土地を貸すと安定的に収入を得ることができますが、自分で太陽光発電を運用した方がより多くの利益を見込めます。

2014年には、10kW以上の太陽光発電の売電価格が1kWあたり32円と高額取引されていたので、売電収入の方が地代収入よりも1000万以上は利益がでるといわれていました。

2017年では、1kWあたり21円と激減しています。これは発電量が多くなってきたことと、設備費用が大幅に下がったことが原因です。

このため、売上金額だけを見ると下がっていますが、利益額で考えるとそんなに大きな減収とはなっていません。もっとも利益率に関しては、設備費用と設備の性能、ローンを利用する場合の金利などによって大きく変わりますので、ご自身の状況に合わせて計算をしていただければと思います。

それでも、地代収入に比べて、売電収入の方が200万~400万以上の利益を出すことが可能なので、収入重視の方はご自身で太陽光発電設置を検討した方が良いかもしれません。

2-2. 20年間土地が使えなくなる

土地を貸すデメリットとして、20年間は自由に土地を使えなくなることを考えておかなくてはなりません。

途中、別の用途で土地を利用したくなったり、土地を売却したくなったとしても、契約上20年間は土地を自由にできないので注意しましょう。

3. 太陽光発電に向いている土地とは

太陽光発電用に土地を貸し出す前に、ご自身の持っている土地が、太陽光発電に適している土地なのかを確認してみましょう。

太陽光発電を効率的に運用できる条件が揃っている土地であれば問題ありませんが、土地によっては太陽光発電に適さない場合もあるので注意してください。

3-1. 周りに障害物がなく日当たりが良い

太陽光発電を設置する人が気にするのは、日当たりが良いかどうかです。日当たりが良いと日射量を多く見込めるので、売電収入を増やすことができます。

日当たりが良い土地であればあるほど需要があるので、日当たりの確認は絶対しておきましょう。

3-2. 日射量の多い地域

上述したとおり、売電収入を増やすために、日射量が多く望める土地であることが好ましいです。

ご自身の土地の日射量を調べるのであれば、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「NEDO」が開発した「日射量データベース閲覧システム」を使ってみてください。

ちなみに、こちらのシステムで調べたところ、日射量が多い都道府県は、1位が山梨県、2位が高知県となっています。

NEDO日射量データベース閲覧システム
※WEB版

NEDO日射量データベースの使い方

3-3. 平地もしくは南斜面の土地

太陽光発電を設置する土地は、造成費用があまり掛からない平坦な方が良いです。

また、太陽光発電には南斜面の土地がぴったりです。南斜面は、北から南に下がっている傾斜地のことを指し、日当たりがとても良い土地とされているので、多くの日射量を望めます。

3-4. 落ち葉や降雪が少ない

太陽光発電パネルに、落ち葉や雪がつもると発電量が少なくなってしまう恐れがあります。落ち葉や降雪があまりない土地であることが望ましいです。

落葉樹が周囲にどの程度あるか、雪が多く振る土地なのかは事前に確認しておいてください。また、雪については10センチ以上積もってしまうと、発電量がかなり下がってしまうといわれているので注意が必要です。

3-5. 電柱が近くにある

太陽光発電で発電した電気を買い取ってもらうためには、電力会社に電気を送るための電柱が必要になります。

近くに電柱がない場合は、電柱を立てるために電力会社に依頼しなくてはなりません。売電目的で電柱を建てる場合は、設置費用は個人負担をとなりますが、通常は借地人が費用を負担することになります。

電柱の設置工事費用の負担はなくても、電柱を建てる許可などの書類にサインをする必要があります。また、公道に設置する場合にも、地権者として何らかの書類の提出を求められる可能性があります。

その他の注意点として、土地の契約が切れた後の電柱の始末についても話し合いをしておく必要があります。先延ばしすると後々のトラブルの元になる可能性があります。

ちなみに、電柱は1本で約2万〜10万円、設置工事に30万円ほど掛かります。目安として、30mに一本電柱が必要になるので、電柱を多く立てなくてはならない土地の場合は、多額の費用が掛かる恐れあることを留意しておきましょう。

3-6. 地盤が安定している

太陽光発電設備を設置するために、地盤がある程度安定していることも大切です。もし、地盤が不安定であれば、太陽光発電の設備が沈下する恐れがあり、架台が倒れて太陽光パネルが損傷するなどの事態になりかねません。

ネットで各地域の地盤の硬さを調べることができますので、参考までに調べてみると良いと思います。ただし、盛り土をしている場合など、個別の状況が反映される訳ではありませんので、目安程度にしかなりません。

また、地盤改良が必要になった場合は、土地の契約満了時の取り扱いを決めておく必要があります。地盤改良を含めて撤去してもらうのか、地盤改良はそのままにしておくのか決めておくと良いでしょう。

4. 地目別の注意点

太陽光発電は基本的にどこにでも設置できますが、登記上の地目または土地の状態によっては、太陽光発電を運用するために土地を整備する必要がある可能性があります。また、場合によっては、設備設置不可なこともありますので、ご自身の土地の地目を今一度確認してみてください。

4-1. 宅地

貸付予定の土地の地目が「宅地」であれば、法的制限も少ない上に、近くに電柱もあると思われますので、太陽光発電は問題なく設置できるでしょう。

4-2. 雑種地

雑種地とは、「宅地」「田」「畑」「山林」「公園」など、いずれのどの地目にも当てはまらない「その他の土地」という意味です。具体的には、宅地に隣接していない駐車場や資材置き場などが該当します。

雑種地に太陽光発電パネルを固定するために架台を設置するようであれば、地盤が硬いことが好ましいです。地盤に問題があるようであれば、改良する必要があります。

4-3. 農地

登記上の地目が「農地」になっている場合は、原則として太陽光発電を設置することができないので注意が必要です。

登記上「農地」になっている土地を農地以外にすることを「転用」といいますが、転用するためには都道府県知事等の許可が必要になります。しかし、農地転用の許可基準は非常に複雑になっており、許可が降りない場合もあります。

ソーラーシェアリングという手法を使うと、農地転用せずに太陽光発電を運用することができます。ソーラーシェアリングは、農地に支柱を立て、その上に太陽光発電システムを設置し、農業と太陽光発電を同時に行うことを指します。この方法であれば、農地転用をする必要はなく、「一時転用」と呼ばれるかんたんな手続きだけで済みますので、農地で太陽光発電をしたいという場合は検討してみると良いでしょう。

4-4. 山林

太陽光発電を設置する際、木々が邪魔であれば伐採する必要があります。樹木の伐採には届出が必要なので、忘れずに申請しましょう。

また、1ha以上の規模で土地を造成するのであれば、開発許可も必要になりますので注意してください。

4-5. 原野

原野とは、長年人が手を加えず、雑草や低木が生えたまま放置されていた土地のことを指します。原野は都市部から離れているところにあるので、障害物が比較的少なく、発電環境としては最高の土地といえるでしょう。

ただ、太陽光発電を設置するために地盤を改良する必要があるかもしれません。

5. 地代収入の考え方

土地の賃料、つまり「地代」を決める方法は、「固定資産税を基本として地代を決める方法」、「年間売電額の一定の割合を地代とする方法」の2通りあります。

地代の決め方について、一般的には貸す人と借りる人が話し合いをし、お互いの合意の上で賃料を決定することができます。

5-1. 固定資産税や地価から算出する

地代の決め方の一つに、固定資産税や地価をベースとして算出する方法があります。

後述する「年間売電額の一定の割合を地代とする方法」では、土地の賃料が年間の固定資産税を下回る場合があります。このケースの場合は、固定資産税ベースで地代決定した方が良いので、借りる人に交渉しましょう。

5-1-1. 固定資産税+都市計画税の3~5倍程度

固定資産税をベースに地代を決定する場合、固定資産税や都市計画税も含めた納税額の3倍~5倍にするのが相場といわれています。

例えば、年間の納税額が30万円だとすると、年間の地代は90~150万となります。

5-2. 年間売電額の一定割合

もう一つの地代の決め方に、太陽光発電の年間売電額の一定の割合を地代として設定する方法があります。目安として、年間売電額の3~10%を地代にすると適切といわれています。

5-2-1. 小規模~中規模の場合の世間相場は150円~500円/㎡

経済産業省の調達価格等算定委員会の資料によると、小規模~中規模の太陽光発電を設置する場合の年間の地代相場は150円〜500円/㎡となっています。地代を決める際、金額が果たして妥当なのかを調べるに、以下の計算をしてみましょう。

<計算例>

土地:990㎡
設置容量:100kW
年間発電量:114,000kWh
年間売電総額:2,585,520円(売電価格21円+税)
年間売電金額を1㎡あたりの金額にすると、2,609円になります。
(計算法:2,585,520円÷990㎡)

1㎡あたりの売電価格=2609円、これに対して1㎡あたり150円の地代が妥当なのか否かを調べるために、150円が売電価格の何%にあたるかを計算します。

150円÷2609円=0.057=5.7%

このパーセンテージが、3~10%であれば適切といえる金額なので、地代の適正を調べる際は、上記の計算をしてみてください。

5-3. 太陽光発電の利回りは通常10%程度

太陽光発電の表面利回りは、平均して10%程度といわれています。

利回りとは、「投資した金額に対して、どれくらい利益がでるのか」が分かる数値で、投資をするか判断する際に用いられる考え方です。

比較的利回りが良いとされる太陽光発電ですが、地代収入で得られるのは利回り分の1%程度の金額といわれています。しかし、その地代に納得がいかないようであれば、交渉はできますので、よく話し合った上で賃料を決めてください。

5-4. 49kWの発電に必要な土地は750㎡

多くの発電量を得るためには、太陽光パネルをたくさん設置できる広い土地が必要になります。例として、設置容量49kWの小規模産業用太陽光発電を設置したい場合、必要な土地は750㎡になります。

この条件で、「土地を貸した場合」と、「自分で太陽光発電システムを設置する場合」の収益を計算し、どれだけ差額が生じるのかみてみましょう。

【土地を貸した場合】

賃料:1㎡=150円/年
1年間の地代収入=750㎡×150円=112,500円
20年間の地代収入=2,250,000円

【自分で太陽光発電を運用した場合】

<売電収入>

年間発電量:49,000kWh(ざっくりではありますが、1kWあたり年間1,000kWh発電可能とされています)

2017年度の売電価格:21円+税金

1年間の売電収入=49000kWh×21円=1,029,000円
1,029,000円×8%(税金)=1,111,320円
20年間の売電収入=1,111,320円×20年間=22,226,400円

<費用>

設備費用:49kW×250,000円=12,250,000円
※産業用太陽光発電の設備費用は、1kWあたり20万円~30万円ほど掛かるとされています。
ランニングコスト:6,000円/年×49kW×20年間=5,880,000円
費用=12,250,000円+5,880,000円=18,130,000円

<利益>

太陽光発電を20年間運用して得られる利益=22,226,400円(売電収入)-18,130,000円(設備費用)=4,096,400円

【地代収入と売電収入の差額】

4,096,400円(売電収入)-2,250,000円(地代収入)=1,846,400円

以上の条件で計算した結果、20年間地代収入を得る場合と、太陽光発電を自分で運用する場合で、収益の差額が約180万以上となることがわかりました。やはり自分で太陽光発電を運用した方が儲かるので、儲け重視の方は太陽光発電設置を検討してみてはいかがでしょうか。

6. まとめ

土地の活用法の一つとして、太陽光発電用に土地を貸すのはおすすめです。条件が揃っていればすぐに借りる人も見つかるでしょうし、少なくとも20年間は安定した収入が見込めます。

初期投資ゼロで貸せる上に、20年間は土地を管理しなくて済むので、土地の維持管理費用の心配をする必要はありません。

しかし、土地の活用で多くの利益を出したい場合は、ご自身で太陽光発電を設置した方が良いかもしれません。年々、20年間固定される買取価格が下がっていますので、より多くの利益を望むのであれば、早めに太陽光発電導入の検討をすることをオススメします。

監修general editor

藤岡聖大

平成4年のバブル末期に大手住宅メーカーに就職し宅建の資格を取得する。そこで不動産の基礎を学ぶ。入社半年でバブルが崩壊し、ローンの返済にあえぐお客様、相続税対策でアパートを建てて失敗し、家や土地を失ってしまった人など、大変な思いをしている人に遭遇し、一般の方であっても最低限の不動産の知識が必要であることを痛感する。 それら経験を元に、ユーザー視点の不動産の情報を提供する当サイトを運営。