事例紹介

Category  土地活用

2019年09月05日 更新

有効的な土地活用を考える時は全体像の把握から始める

 土地活用をしたいと思っても、具体的にどうしたら良いのかわからない…

 そんな悩みはありませんか?土地はひとつひとつ違っており、ひとつとして同じ条件の土地はありません。その上、地主さんによってそれぞれ事情が違うので、ある人にとっては最高の選択でも、別の人にとっては最低の選択だった…となる可能性があります。

 どんな目的で土地活用を考えるにしても、失敗だけはしたくないと考えるのが当たり前です。土地の活用となると、大きなお金が動くことが多いので尚更です。しかし、土地などの不動産の活用には、土地に関する法律や税制面の対応、資金繰りから収支計算まで等の多くの専門知識が必要となります。

 中途半端な知識で不動産の活用をして大損をしたという話は珍しいものではありません。インターネットで、「不動産,失敗」とか「土地活用,大損」などと検索すれば、何ページにもわたって失敗例を見ることができるほどです。

 でもなぜそんなに失敗をする人が多いのでしょうか?たくさんの失敗例を見てきてわかったことがあります。前述の中途半端な知識で運用をしたから…というのも理由のひとつですが、「そもそもちゃんと計画を立てていなかった」という多くの事例があったのです。

 つまり、一番の問題は土地の活用計画の立て方について知らないことが原因でした。ならば、活用計画の立て方を学べば問題は解決するはずです。サイトの中だけで完璧にお伝えすることは難しいと思いますが、初期段階のところくらいはわかるように説明をいたしますので、最後までお付き合いをいただけますと幸いです。

1. 土地活用計画の立て方

何か始める時に闇雲に行き当たりばったりで行うと失敗をするか、失敗はしないまでも、効率的ではないことが多くなります。土地の活用の際は、費用がかかるものが多いので、尚更、しっかりと計画を立てておきたいところです。

どのように計画をしていくと良いのかについてお知らせをいたしますので、ひとつずつ順番に見ていきましょう。

 

1-1. 活用の目的をハッキリさせる

 まず最初に考えるべきことは、どんな目的で活用をしたいと考えているのか?ということです。私がこれまで見てきた土地活用法を大別すると次の3つのカテゴリー集約することができます。

  • 社会貢献が目的
  • 節税が目的
  • 収益化して収入を得ることが目的

それぞれがどんな要望から生まれたものなのか。いくつか例を挙げて簡単に説明します。

 

1-1-1. 社会貢献

 実のところ最初から社会貢献を目的にされる方は非常に少ないです。当たり前ですが、最初は少しでも収入の足しにしたいと考えておられる方がほとんどです。しかし、調べてみたら、簡単に運用できる方法が無いことがわかり、しかも売ろうにも買い手が見つからず、このまま放置していると廃墟になってしまうことがわかり、しかも放置しておいても税金だけは掛かり続ける、、、という3重苦、4重苦から逃れるために寄付などを考える方が多いです。せめて税金の負担を少しでも軽くしたいという、すがるような気持ちで社会貢献を選択される方が多いです。もちろん、最初から社会貢献をメインに考えられる方もおられますので一概には言えないのですが、諦めから寄付などを考える方が増えてきているように感じます。どんな条件の物件が活用が難しいのかについては、別の機会にお話しすることにして、先に進ませて頂きます。

 

1-1-2. 節税

 節税をしたいという理由で土地活用を考える方はとても多いです。収益化を希望する人よりも多いかもしれません。収益化したいとは思うけれど、初期投資がかかる、土地の流動性がさがる、どうして良いかわからないという理由で収益化に消極的な方が少なからずおられます。しかし、土地を遊ばせておいても、固定資産税などの維持費がかかってしまうので、せめて維持費分だけでも収益を出したいという方がこの範疇に入ります。

 

1-1-3. 収益化

 これは説明をするまでもないと思いますが、土地活用で利益を上げたいと考えている方になります。ただ、一口で利益を上げたいと言っても、利益の上げ方には様々な種類があり、収益に対する希望もそれこそ千差万別です。例えば短期間でガツンと儲けたいので、リスクが高くても儲かることをやりたいと考える方もおられますし、逆にリスクは最低限にしてその中で一番利益の多い方法を探したいという方もおられます。あるいは、3年間だけとか運用できる期間が決まっている方もおられます。逆に、使う予定が無いので、期間に関係なくとにかく儲かる運用方法がないかと探している方もおられます。どれが正解というものはなく、あなたに合う方法がどれかということになると思います。

こちらのサイトに来られる方は、ほぼ、収益化を考えておられる方ばかりだと思いますので、どのように収益化をはかっていくと良いのかについて掘り下げていきます。

 

1-2. 土地活用計画書の必要性

 土地活用を考えている方に最初にお話ししたいことは、土地の活用計画書を作ることです。土地活用計画書を作ることで、収益を得るまでの具体的な行動やどのようにして終わりにするかという出口プランまでを考えることができます。目的がハッキリしていないと、途中で迷ったりブレたりしてしまうので、最初にゴールをハッキリと決めることが重要です。

 土地活用計画書というのは簡単に言うと土地活用の地図を作るようなものです。地図があれば行ったことのない場所でも目的の所にたどり着くことができますよね。まずは、あなただけの土地活用計画書という地図を作ることを考えてください。

 ただ、一口に地図を作ると言っても、簡単ではありません。これから、お話するようなことをすべて考えた上で作ることになりますので、時間もかなりかかりますし、頭も使います。ですが、地図があれば途中で迷うことが無くなりますので、ゴールに向かい易くなります。

 実際に土地活用を始めると途中で色々な情報に出会ったりして、「このままで良いのだろうか?」と迷うことがでてくることが多いです。そんな時も計画を見直す判断がし易くなりますので、土地活用計画書は必ず作ることをお勧めしています。

 ただ、矛盾するようですが、状況は変わりますので、土地計画書を作ったからといって、すべてその通りにしなければならないと決めつけてはいけません。私がいつもお薦めをしているのは、『計画50%、発見50%で考える』ということです。これは、計画を進めていくと、状況の変化や、自分の知識が増えて問題に気が付いたりなどすることがあるため、最初に立てた計画が一番良いとはならず、計画を変更した方が良くなる場合がるということです。常に柔軟性を持つということを意識してみてください。

 計画50%と言うと、「じゃあ計画はそこそこ考えれば良いんだ。」と考える方がおられますが、そうではありません。計画自体は100%完璧なものを目指して作ります。その上で変化に対して柔軟に対処していくと良いということです。ここは勘違いをし易いところですので、注意をしてください。

 

2. 土地活用計画書の具体的な検討項目

土地活用計画書を作る目的がわかって頂けたと思います。それでは、計画の具体的な項目について説明をしていきます。

 

2-1. 投資額

 「あなたがいくらまで投資をできるか、あるいは、いくらまでなら投資しても良いと思うかを考えてみてください。」

と質問をすると、

 「たくさん儲かるならたくさん投資しても良いけど、儲からないなら投資はできないな。」とおっしゃる方が多いのですが、これは考え方としては不十分です。

 一般的な話で恐縮ですが、身の丈にあった金額でないと踏み出せないことが多いので、まずは自分がどのくらいの金額までなら踏み出せるのか考えて頂きたいのです。その上で、収益性のことを考えるとより現実的な数字が見えてくると思います。

 

 例えば、500万円の利益が欲しい人がいたとします。半年後に確実に1億円の収入が保証されているとしても、融資の金利を含めて9500万円の借入を起こせる人は極めて少ないです。もちろん、こんな条件の案件はほぼないですし、9500万の融資が受けられる人は少ないので、仮定の話に過ぎません。融資を受ける、つまり借金をするというのは、想像以上に勇気がいるものです。

 投資も慣れていけば、だんだんと大きな金額まで投資できるようになっていくと思いますが、最初は堅実な運用に重点において考えると良いと思います。

 もう一つ考えなければいけない点として、頭金として用意できる額があります。100%融資で賄うことができる場合もありますが、あなた資産家で尚且つ計画する案件がかなりの優良案件でないと難しいと考えた方が良いです。このあたりは融資を依頼する金融機関の考え方や普段の関係性にも影響されますので、個別に金融機関に相談をされると良いと思います。

 また、基本的に融資で賄える場合でも、諸費用関係は用意しなければならないケースもあります。

 

2-2. 収益性

 収益性を考える際のポイントは、毎月手元に残る額、投資額が回収できる期間、収益が上がり続ける期間などです。特に長期間の運用を考えた場合に意識をして欲しいポイントは、継続してかかる費用についてです。例えば、住居であれ店舗であれ、建物の賃貸をするのであれば、修繕費が必ず必要となってきます。

 必要な金額は建物の大きさや設備によって変わってきますが、収益に対してインパクトを与える要素となりますので、事前にしっかりと計画に組み込んでおく必要があります。

 土地活用は、単純にいくらつぎ込んだから、いくら返ってくるというものではありませんので、時間軸まで意識した運用益を考えてみてください。

 

2-3. 安定性

 安定性を考える場合には、資産の保全性、収益の安定性の二つの面について考える必要があります。資産の保全性については、後ほど説明をします。収益の安定性は、長期間にわたってお金が入り続けることを言います。他の投資と比較して、不動産投資は安定性が高いと言われています。賃貸住宅であれば、頻繁に住所を変える人は少ないと考えられますし、店舗やオフィスとして貸す場合は、改装費用などがかかることから短期間で契約解除となる可能性が低いと考えられるからです。

しかし、景気の悪化などによって家賃の低い場所に移動したり、事業から撤退するなどのリスクがない訳ではないので、計画段階で転用性なども考慮しておくことが重要です。

 

2-4. 流動性、転用性

 流動性とは、換金のしやすさ、運用の変更のしやすさのことを言います。一般的に不動産は売りたいと思ってもすぐに売ることは難しいため、流動性が低い(流動性リスクが高い)と言われます。新規に土地を買って運用しようと考える方には、その通りなのですが、既に土地を所有しておられる方にとっての流動性は別の見方があります。

 土地所有者の場合の流動性とは、運用の変更の容易さと考えるとわかりやすいです。

 例えば、平地の青空駐車場で、舗装なし、線引きはロープを張っただけという土地を想像してみてください。ほぼ、更地と同じ状態です。これならすぐに他のものに転用が可能です。しかし、建物が建っていたらどうでしょうか。

 もし、駐車場にしたいとかまったく別の建物を建てたい時には建物を解体しなければなりません。場合によっては、建物の使用者に出て行ってもらう必要があるかもしれません。特に賃貸住宅の場合には、居住権が発生しているので、いきなり「明日、出て行ってください。」と言うことはできません。

 この状態は流動性という点からみると最悪に近い部類に入ります。もし、短期間で別の運用をする可能性があるのなら、こうしたことも考えた上で何をするのが良いか考える必要があります。

 

2-5. 手軽さ

 手軽な不動産活用の方法といえば、駐車場経営を勧められることが多いと思います。手軽さと収入はある程度比例しますので、手軽なほど収入が少なくなると考えた方が良いです。ただ、何を持って手軽と考えるかは人それぞれです。例えば、マンション経営を考えた場合、投資額の大きさや将来を見据えた収支計画などが必要となり、とても手軽とは言い難いと思います。

 しかし、一括ですべてを引き受けてくれる会社もありますので、そういったところに任せることで、手間を大幅に省くことができます。この場合、手軽ではあっても、駐車場経営よりは収入が見込めるでしょう。ですが、手軽な分、自分で計画してマンション経営を行う場合に比べたら格段に収入は少なくなります。

 つまり、あなたが何を重視するかで、手軽さは変わってくるということです。ただ、一括借上げにはリスクもありますので、一括借上げが必ずしも一番良いと考えている訳ではありません。一括借上げの問題点については、別のところでお話をしますので、そちらをご覧いただければと思います。

 

2-6. 節税対策

 節税対策として土地活用を考える方は多いです。通常、更地の状態が一番土地の評価額が高くなるので、固定資産税や都市計画税が一番高くなりますし、固定資産税や都市計画税の減免措置を受けることもできません。建物を建てて土地を活用することで、税金を下げることができます。

相続税対策として考える場合は、どうすれば相続税が一番低くなるのかという視点で考えることが必要です。例えば、建物の評価額は建築費の50%~70%となります。賃貸住宅にすると、評価額から借家権割合として更に30%が引かれます。50%の30%が引かれたとすると、建築費の35%まで評価が下がることになります。

 多額の現金がある人には手っ取り早い相続税対策のひとつだと思います。新築の状態でこの額ですので、建物が古くなれば更に評価額は下がります。現金がない場合にも、その分を借入金として資産から引くことができるので、有効な相続税対策となります。

 このように相続税対策として、現金を不動産に変えることを考えるケースが多いのですが、相続人が多い場合や相続人同士の関係性が良くない場合などは、現金の方が楽な場合があります。

 

2-8. 資産保全性

 資産の保全性とは、資産を失うリスクのことを言います。金融資産の運用などでいう元本割れなどの状態を、資産の保全性が低いと言います。不動産の場合は担保として接収されなかぎり、手元に残るので資産保全性は高いと考えられています。

 

2-9. 社会貢献性

 前述のように最初から社会貢献を考える方は少ないのですが、自分の慣れ親しんだ地域への愛着から無償でも良いので使って欲しいとお考えになる方がおられます。たとえ無償ではなくても、その地域に必要な施設を用意することは社会貢献に繋がります。例えば、駐車スペースがなく、路上駐車が問題になっているような地域で駐車場経営をするとか、サービス付き高齢者向け住宅を作るといった場合です。

 せっかく、土地活用を考えるなら、自分の利益だけでなく社会貢献になるものを考えてみるのも良いかもしれません。

 

2-10. 出口戦略

 現在利益が出ている(見込める)案件だとしても、いつまでも利益が出続ける保証はありません。その為に出口戦略を考えておくことが重要になります。一般的に賃貸物件の出口戦略を実行に移すタイミングは次の3つが考えられます。

1)大規模修繕が必要になる直前

 ①外壁塗装や屋上の防水、エレベーターの修理など大きな費用が掛かる時に、
  修繕をした後の収益と現在の売却価格を比較して決めます。

 ②特に修繕をしても賃料の低下に歯止めがかからないような時には売却を考えた方が良いでしょう。

2)次の入居までの期間が長くなってきた時

 空室が多くなったり、空室の期間が長くなってきた時は、市場競争力が無くなってきたか、市場の状況が変わってきている可能性が高いです。周囲の環境を確認して、家賃が下落傾向にあるなら、収支が赤字になる前に速やかに売却をされた方が安全です。

3)物件の周辺の人口が減ってきた時

 工場や大学の移転など大きな人口の減少が見込れる場合には、その後も賃貸の需要があるのか調査をして見込みが悪いと判断したら、家賃が下がって収支が合わなくなる前に売却してしまいましょう。

 賃貸ではなく、太陽光発電のような設備を導入した場合も出口戦略を考えておく必要があります。太陽光発電の場合は売却というのは、選択肢になりにくいと思いますので、古くなった設備の撤去費用や再利用の方法があるかどうかを考えておくことになります。先々に発生する費用を考えておくことで、将来への備えにもなります。

 

3. 土地活用をした場合のリスクの分析

 リスクと言うと損をすることと考えがちですが、別の運用をした場合にもっと収益が上がっていたとしたら、それもリスクのひとつと捉えることができます。リスクの捉え方もそれぞれの立場で変わると思います。ある人にはリスクでも、ある人にはメリットになる場合があるということです。

 予めどのようなリスクを抑えたいのかを考えておくことが重要です。どんなものにも裏と表があるように、リスクにも両面があります。リスクの反対語を選ぶのは難しいので、簡単にメリットとデメリットと考えるとわかりやすいと思います。駐車場経営の場合と賃貸住宅経営の場合のメリットとデメリットを例として挙げますので参考にしてください。

駐車場経営のメリットとデメリット

メリット

  •  初期投資が少ない
  •  比較的始めやすい
  •  市場調査が比較的簡単
  •  別の活用をしたくなった時に転用しやすいなど、、、

 

デメリット

  •  比較的収益性が低い
  •  固定資産税、都市計画税の負担が軽減されない
  •  相続税評価の時は更地と同じなど、、、

 

賃貸住宅経営のメリットとデメリット

メリット

  •  長期的な収入になる
  •  やり方によっては生命保険の代わりになる
  •  景気の変動に比較的強い
  •  節税対策になる
  •  融資などを上手に使うと自己資金ゼロでも始められる

 

デメリット

  •  空室のリスクがある
  •  建物が老朽化する
  •  金利が上昇して収益が悪化する可能性がある
  •  売りたいと思ってもすぐに売ることは難しいなど、、、

 

 何度もお話をしていますが、ひとつとして同じ土地はありませんし、土地の所有者の状況も違います。ですので、どれが正解というのは、一概に決めることはできません。それぞれの方法のメリットとデメリットを良く把握した上で、ご自身の一番望む結果にマッチする方法を選ぶようにしてください。

 

4. 土地活用を収益性から考える

 ここまで色々な状況についてお話をしてきましたが、一番多くの人が興味を持っているのは収益を上げることだと思います。世の中、お金があって困る人はまずいませんので、収益を上げるための土地活用についてお話をして終わりにしたいと思います。

 

4-1. 初期投資

 土地活用を考える場合は、融資を前提にして計画を考える場合がほとんどだと思います。融資を受けることで、相続税対策として有効だという面もありますし、規模が大きくなるとそれだけの金額を用意するのが難しくなるためです。今回は自己資金か融資を利用するかは別にして初期投資に必要な金額を考えてみたいと思います。

 

4-1-1.  駐車場経営

 駐車場の経営に必要な金額はそれほど多くはありません。ただ、融資を受けないで行うためにはある程度のまとまった資金が必要となります。具体的な項目を上げて説明をしますので参考にしてください。但し、土地の現況や地域によって、必要な費用は変わりますので、あくまでも目安としてお考えください。

 また、詳しい内訳などについては、別のページで説明しておりますので、こちらではトータルの金額のみご説明いたします。

詳しいページはこちらから
駐車場経営の収入と利回り

未舗装の場合

 とにかく費用をかけないで始めるなら土地の舗装工事をしない未舗装とするのが一番安く済みます。とはいえ、車は重いので何もしないで良いという訳にはいかない場合が多いです。最低限、砕石敷きくらいはしておくべきでしょう。土のままですと、車の重さで地面がくぼんだり、雨が降るとぐちゃぐちゃになってしまい車に泥が跳ねたり、靴が汚れる、車内が汚れるなどのクレームとなる可能性があります。

 10台くらい駐車できるサイズとして200㎡の土地をモデルにして、砕石敷きの工事をすべて業者に依頼したとして考えます。

 整地費用(残土処分、砕石代、転圧代、ロープ張り含む)1式で35万円~50万円くらいが目安となります。

舗装工事を行う場合

 こちらも同じ200㎡の土地をモデルにします。アスファルト舗装にかかる費用は、1式込々で、100万円~130万円程度、コンクリート舗装の場合は、180万円~210万円くらいが目安です。

 これ以外にも歩道の切り下げ工事(歩道と道路の段差をなくす工事)が必要な場合があります。こちらは、概ね30万円~50万円くらいが目安です。

 安く始められるイメージの強い駐車場経営ですが、10台分くらいのスペースのある土地で始める場合には最低でも30万円以上は必要になると考えた方が良さそうです。

 

4-1-2. 賃貸住宅経営

 土地活用といえば賃貸住宅経営を一番最初に思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。そのくらい一般的になっています。ですが、漠然としたイメージだけで費用のイメージができている人は非常に少ないです。ここでは、アパート、マンションの2つに絞って初期投資に必要な費用についてお知らせします。細かく知りたいという方は、別のページで詳しい内訳をお話していますので、そちらをご覧ください。

アパート経営

 まず、考えるポイントは間取りと構造です。この2つをどう考えるかで大きく変わってきます。間取りですが、アパートの場合は1K、1DK、2DKくらいまでが需要が多いようです。3DKあるいは2LDKくらいのサイズになってくると、それなりの家賃となることから、それならマンションの方が良いとなってくるためです。

 建物の構造もプレハブ(軽鉄)、軸組の木造、プレハブの木造と種類があります。土地の状況によって向き不向きがありますので、どれが一番良いとは一概に言えません。ここでは、平均的な金額をお知らせします。

 1Kの1室あたりの建築費は、250万円~300万円くらいが目安です。全部で8戸のアパートであれば、1棟2000万円~2400万円必要となります。

 1DKの場合は、1室あたり360万円~450万円くらいが目安です。全部で8戸のアパートだとすると、2880万円~3600万円となります。

同様に2DKの場合は、480万円~600万円が目安となります。8戸のアパートだとすると、3840万円~4800万円が必要です。

これ以外に屋外給排水設備工事や外構工事、登記費用、火災保険料が必要です。それらを全部合わせると400万円~600万円くらいになります。

まとめると、8戸のアパートを建てる場合に必要な費用は、

  • 1Kの場合、2400万円~3000万円
  • 1DKの場合、3300万円~4200万円
  • 2DKの場合、4300万円~5400万円

となります。

 

マンション経営

 マンションのメリットは階数を増やせることです。木造やプレハブでは基本的に3階建てまでとなりますが、重量鉄骨造や鉄筋コンクリート造では高層マンションも作ることができます。ただ、あまりに大きなものは資金やリスクなどの観点から個人で行うことは少ないと思いますので、4階建てのエレベーターの設置義務のないこじんまりしたものの費用を考えたいと思います。

 マンションの建築費はアパートのざっと2倍~3倍くらいと考えてください。ひとつの階に4戸で4階建てとすると1棟あたり16戸となります。これを先ほどのアパートと同様に考えると、

  • 1Kの場合、1億~1億2000万円
  • 1DKの場合、1億4000万円~1億7000万円
  • 2DKの場合、1億7000万円~2億2000万円
  • 2LDKの場合、2億1000万円~2億7000万円

となります。

 費用を掛けた分以上に、毎月の家賃は高く設定できますので、市場のニーズを良く考えた上で、投資のリスクも考えて選ぶようにしてください。

 賃貸住宅にはアパートやマンションだけでなく、戸建賃貸や賃貸併用住宅、最近ではサービス付き高齢者向け住宅という選択肢もあります。それぞれの費用やメリット・デメリットについては、別のページで詳しく説明をしていますので、そちらを参考にしてください。

 

4-2. 投資金回収期間

 掛かる費用がわかったら、次はどのくらいで投資金額が回収できるのかを考えます。考える要素はふたつあり、ひとつは実質的な投資金額の回収期間です。これは、かけた経費の総額<収益となる状態です。もうひとつは、毎月の収支がどうなるかという点です。

 一般的にローンを抱えていた方が税制面で有利なことから、できる限り長いローンを組む方が多いです。できる限りというのは、建物の耐用年数程度という意味です。

 マンションを例にすると平均的な建て替えまでの期間は33年というデータがあります。現在はより長寿命のコンクリートなどの開発もされているので、寿命は長くなる傾向にありますが、住む人のニーズが変わるなどの可能性もありますので、30年程度と考えておいた方が安全かもしれません。

 30年というのは構造体自体の耐用年数ですので、30年間手付かずで利用できるわけではなく、途中で補修や修繕などが必要となります。例えば給湯器の場合は、メーカーの推奨更新期間は10年くらいです。実際には15年以上使えるケースが多いですが、10年くらいで修理または交換が必要になると考えておいた方が安全です。

 予め積立をしておくなど必要な資金を用意することを忘れないようにしてください。

 毎月の収支は、家賃収入からローンの返済、維持管理費、修繕費(積立)、固定資産税などの税金を引いたものとなります。この金額をどのくらいに設定するかで、どんな建物を建てて運用をするかが変わります。

 また、長期のローンを組むとしても、ローンの残額と同じくらいの金額の貯金を持っていると安心することができますので、そこを目指しても良いかもしれません。

 

4-2. 資金の融資先

 建物の規模が大きくなるほど、必要となる融資ですが、一般的にどこから借りるかで、金利などの条件が変わります。基準となる金利は国が政策的に決めていますが、金融機関から受ける融資は物件の状況や借主の状況によって変わります。

 金融機関は定期的な収入があって、自己資金の比率が高い人を好みますが、そうでなくても物件の計画がしっかりとしたものであれば、良い条件で融資を受けることも可能です。

 都市銀行、地方銀行、信用金庫などの民間企業以外にも、住宅金融公庫や日本政策金融公庫などの公的な融資も利用できるかもしれません。公的融資を受けるには、建物の広さや構造などの質が高いことが条件になっていますので、公庫の融資を受けた建物と宣伝に使うことで、借り主の印象を良くすることができます。

 賃料のアップにつながるかどうかは定かではありませんが、他の物件と競合した際のアピールポイントになると思います。

 複数の金融機関に対して計画書を携えて相談に行くようにすると良いでしょう。

 

4-3. 収支計画書

 最後になりましたが、一番のキモとなる収支計画書についてお話をしたいと思います。収支計画書は、毎月の収入と支出の割合などがわかるツールです。住宅メーカーや不動産会社が用意してくれることが多いのですが、さじ加減ひとつでプラスにもマイナスにもできるものですので、慎重に精査をしておかないと後で痛い目に会う心配があります。

 もし、相談した先の営業マンが作ったものを使うなら、それぞれの数字の根拠を納得がいくまで確認するようにしてください。特に、回転率や賃料の上昇、下降の根拠は必ず確認して追求するようにしてください。

 これらの数字が適当に当てはめたものだった場合は、計画とまったくかけ離れたものとなってしまうかもしれません。痛い目を見るのは、他ならぬあなたご自身です。営業マンの口車に乗せられて後悔しないように、くれぐれも慎重に進めるようにしてください。

 

5. まとめ

 いかがでしょうか?土地活用って面倒だと思われましたでしょうか。それとも、やり方次第で安定した収益になりそうなので、是非、やってみたい!と感じられたでしょうか?

 面倒だからと何もしないとただ税金だけを払うことになってしまいます。また、社会にとってもせっかくの土地が活用されないで放置されているのは損失となります。あなたの為、社会の為に効果的な活用を考えてみて頂きたいと思います。

 ただ、どんなやり方を選択したとしてもリスクがゼロではないので、慎重に考えていただければと思います。