アパート・マンションの建築コストを削減する4つのポイント

土地活用の方法の一つに、アパートやマンションの経営があります。その際、まずは建物を建設することになりますが、そこで気になるのは費用です。一戸建てとは違い、規模の大きな建物を建設することになるため、大きな額が必要になります。

しかしながら、建築費の中にはきちんと確認すれば省くことのできるコストがいくつも存在します。設計や実際の建築、それらの総合的な管理など様々な面における費用のどの部分を省けるのかは理解するのに難しくありません。

また、建築にかかる費用をできるだけ抑えようとする取り組みをサポートするサービスも徐々に浸透しています。

今回は、建築に関わる統合的な費用の面や細かな設備の面など、見直すことのできるポイントをこの記事で紹介していきます。

1. 一括発注方式と分離発注方式

アパートやマンションの建築を行う際に、工事の発注のしかたとして主に一括発注方式分離発注方式の二種類が存在します。

1-1. 一括発注方式とは

一括発注方式とは、工事の全工程を総合建設会社や工務店にまとめて委ねる方法を指します。

・メリット

一括発注方式のメリットは、経験の豊かな総合建設会社や工務店に建築の統合的な管理を委ねることができるという点があります。アパートやマンションの建築に関して特に知識が無い場合などは、一括発注方式をとれば大きなミスを防ぐことができます。

また、予算の見積もりを個別に行わずに済むという点で予算が分かりやすいということも挙げられます。

・デメリット

一方、一括発注方式のデメリットとしては客観的に工事の評価ができないという点があります。これは、一括発注方式をとると総合建設会社の下請け業者が工事を行う場合が多く、他社と比較してコストや仕上がりの面で良い方を選ぶことが難しいためです。また、総合建設会社と一対一で関係を結ぶためコスト面で疑問を感じてもなかなか口を出しにくいといった状況も考えられます。

1-2. 分離発注方式とは

分離発注方式とは、電気や水道、大工や左官などをそれぞれ自分で選んだ業者に発注するという方法を指します。

・メリット

分離発注方式のメリットは、統合的な管理を行う総合建設会社や工務店にかかる中間コストを削減できるということです。また、工事の各工程にかかる金額を詳細に知ることができるという点も挙げられます。

・デメリット

分離発注方式のデメリットは、工事のスケジュールや管理を自ら行う必要があるため、手間や工事に関する知識が必要になるということです。

現在の日本では一般的に一括発注方式が取られることが多いです。しかし、後述するコンストラクション・マネジメントによって分離発注方式の煩雑さが解消されやすくなっています。また、一括発注方式の場合も第三者の視点から介入するサービスも存在します。

2. 工事項目を細分化して項目毎に見積をとる

建物の建設工事には、複数の工程が存在します。そのため、無駄なく予算を見積もりたいと考えるのであれば工事の項目ごとに見積もりを立ててみることが効果的です。工事にどのような項目があるのかについて紹介します。

まずは基礎工事で、鉄筋を組み、コンクリートを入れて建物の基礎となる部分を作っていく作業を行います。次に、鉄筋コンクリートや鉄骨を使用して建物の骨組みを作ります。それから床を張り、壁や屋根などを取り付けていきます。

建物の大枠が出来上がると、外壁工事や断熱工事が行われます。外壁の塗装やサッシの取り付けなどが行われていきます。並行してキッチンや風呂、トイレなどの設備を取り付ける工事も行われていきます。

マンションやアパートなどの高さのある建物を建築する際には、足場も大掛かりなものになります。足場を組む工事なども考慮しなければなりませんし、建築の前段階としての地盤検査や改良工事のことも考えなければなりません。これらもすべて含むと、工事項目は15から20項目ほどに細分化できます。

これらの項目ごとに予算の見積もりを行うと、項目ごとに平均額との比較ができます。するとどの項目で余計な費用が掛かっているのか、どのコストを削減できそうかが自然と見えてきます。工事全体の見積もりではどこに無駄があるのかわかりづらいですが、細かく見積りを取るとわかりやすくなります。

3. メーカー指定をしない

アパートやマンションの建築を行う際、設備工事でのコストを抑える方法として、メーカー指定をしないということが挙げられます。アパートやマンションの住人が、設備のメーカーに関してこだわりを持っているということはそれほど多くありません。家賃にも影響が無いため、設備の質がある程度保障されているメーカーであれば大丈夫です。

3-1. アパート・マンションの設備

・エレベーター

設備ごとに見ていくと、まずはエレベーターです。主に5階建てのアパートやマンションに設置するエレベーターですが、5社ほどが市場を寡占しているため価格が下がりにくいのが特徴です。エレベーター本体よりも、設置工事にかかるコストを見直すのが良い策だと言えます。

・サッシ

次にサッシです。サッシを扱うメーカーは有名なメーカーも併せて多数存在します。メーカーの選定によっては建築費を大きく左右することになるためしっかりと比較や検討を行う必要があります。

・キッチン

キッチンは、メーカーごとに価格が変わりやすいため十分な比較が必要です。また、設置するにあたっての割引が行われることが多いという点があります。割引のことも考慮しつつ選定することがポイントです。

・ユニットバス

ユニットバスは、ほぼ同じ価格帯におさまっているものの、メーカーによって機能は様々です。価格は近いものが多いため、施工者が設置しやすいものを中心に選定すると余計なコストがかからずに済みます。

・洗面化粧台

洗面化粧台は、メーカーによって価格が変わりやすいです。しかしながら、基本的機能はあまり変わらないため有名なメーカーでなくとも十分使用できます。便器に関しても同様ですが、有名メーカーでも低価格なものが多いです。

・フローリング材

フローリング材は、複数のメーカーが存在していますので、よく比較を行いながら検討をすることが重要です。同様にして、インターホンや各種金物などもメーカー同士の比較を行いながら、有名メーカーにとらわれずに選定を行うことが重要です。

3-2. どのメーカーでも使えるような設計にしておく

建築を行う際には、各種設備を設置することも考えて設計を行います。その際に重要なのは、どのメーカーの設備でも設置可能な設計をしておくことです。特定のメーカーの設備のみが使用可能という設計をしてしまうと、他のメーカーに変えることができません。

そうなると特定のメーカーの設備を導入するほかなく、コスト面で比較して安い方にしたくてもできない状況が発生します。また、後で設備の取り換えや補修を行う際も、コストを抑えることができそうなメーカーに変更することができなくなってしまいます。特に、ユニットバスやキッチン、洗面化粧台などのメーカーによっては形状が特殊であるものは注意が必要です。

あらかじめ設備の確認を行い、大体のメーカーはどのようなサイズや形状であるのかを把握します。その上で設備の設置場所は、よほど特殊な形状やサイズでなければ大丈夫であるというような設計をしておくことが重要です。

3-3. 設計段階でメーカーの品番は不要にする

建物の設計を行う際に、設備のメーカーの品番まで詳細に決定することがあります。しかし、メーカーの品番を指定するということは特定のメーカーの特定の設備を設置すると決定してしまうことです。つまり、早い段階で設備に関する変更が効かなくなってしまいます。

建築において、設備の選定や設置はコスト削減の大きなポイントです。早いうちに一つに決定してしまうと、コストを削減したい場合に融通が利きづらくなります。また、品番まで指定すると、特殊な製品だった場合に品番に合わせた備品を使用する必要が生じて余計なコストがかかる原因にもなります。

3-4. 実際に工事を行う設備業者が使いやすいメーカーのものにする

設備自体のメーカーと、それを設置する業者はほとんどの場合異なります。なんの設備にしても、形状や設置方法が独特であれば設置業者の手間を増やすことになります。設置業者の手間が増えると、その分工事日数や作業時間が延びてしまいます。

工事日数が長引くと、そのぶんコストはかさみますし、他の工事や作業のスケジュールに影響が出てしまいかねません。いくら設備自体の費用が安いとはいっても、設備業者が扱いなれたものでないと結局コストを削減できない事態になることもあります。設備自体の費用と、設置にかかる費用のバランスを考えつつメーカーを選定することが大切です。

具体例でいうと、まずトイレが挙げられます。トイレには、排水形式が二種類存在します。マンションやアパートで採用されるのは横排水と呼ばれるほぼ一種類のため、それに対応したメーカーのものを選ぶ必要があります。戸建てで一般的な床排水形式のものを採用してしまうと、設置工事はスムーズに行きにくくなってしまいます。

また、キッチンの場合はアパートやマンションの多くでI型のキッチンが設置されます。横並びの形状のキッチンであるI型であれば、設置は簡単で手間がかかりません。そのため、I型のキッチンを提供するメーカーを選ぶことがコスト削減につながります。

このように、特にマンションやアパートでは設備の形状や仕組みは大体限定されてしまいます。同じ設備を大量に設置するアパートやマンション建築にとって、設置に余計な手間やコストがかかるのは大きなマイナスです。建築費を安く抑えようとするのであれば、シンプルで設置のしやすいメーカーのものを選定するのが重要です。

4. コンストラクション・マネジメントを導入する

4-1.  コンストラクション・マネジメントとは

コンストラクション・マネジメントとは、建築主に代わって工事のスケジュール管理や予算の見積もりの作成などを行うサービスです。総合建設会社や工務店に一括発注方式で統合的な管理を依頼することとの違いは、建築主の補助を行うことを主としている点です。建築にかかるコストを下げるために様々な施工業者との比較・選択が可能であり、専門知識は無いがコストを抑えて建築を行いたい場合に有効です。

4-2. コンストラクション・マネジメントのメリット

コンストラクション・マネジメントを利用すると、専門知識が必要であるという分離発注方式のデメリットをカバーすることができます。また、一括発注方式をとる場合でも、コストを抑えるという観点から総合建設会社や工務店の選定に関する情報提供を行っています。基本的には建築に関わるほぼすべての段階に関わり、品質や工程、コストの管理を第三者の視点から行います。

コンストラクション・マネジメントは、日本ではまだそれほどポピュラーではありません。しかし、近年日本の建築スタイルに合わせてコンストラクション・マネジメントを行う企業なども出現してきています。建築主と建設会社の閉鎖的な関係になりがちな所に、第三者としての意見を挟むことができるのです。

4-3. コンストラクション・マネジメントのデメリット

一括発注方式の紹介の際にも述べたように、建築主は一括発注方式を採る場合に客観的な工事の評価をし難いという点があります。すると、工事に関わるコストの見直しや検討が難しくなります。コンストラクション・マネジメントを採用すれば、コスト削減につながる情報を得ることができます。

一方、日本におけるコンストラクション・マネジメントはまだ完成されたものとは言えません。基本的にコンストラクション・マネジメントは一つの工事に一人のマネージャーが付きます。建築にかかわるほぼすべての工程を管理していくことになるため、マネージャーの負担は大きく、最初から最後まで完璧であるかどうかはその人の力量にかかります。

また、責任体系がきちんと定まっていないという点や、アフターサービスが丁寧でない場合があるといった問題点も存在します。一見すると建築コストを下げる非常に便利なサービスであるように見えますが、これらの問題点も考慮しなければなりません。

まとめ:アパート・マンションの建築コストを削減する4つのポイント

ここまで紹介してきた、アパートやマンションの建築費を抑える方法についてまとめていきます。まず、アパートやマンションの建築工事の発注方法には二通りがありました。一括発注方式と分離発注方式です。

一括発注方式は総合建設会社や工務店などに、建築工事の統合的な管理を依頼する方法です。一方、分離発注方式とは工事の項目ごとに自ら業者を選定し、それぞれ発注することを指します。一括発注方式のメリットとしては建築に関わる知識や経験の豊富な総合建設会社が責任をもって建築を管理するという点です。

分離発注方式は、業者に自ら工事を発注することになるため仲介費などがかからずコスト削減はできるものの、専門的な知識がなければ難しいという点があります。また、分離発注方式を採る場合は工事に関わるスケジュール管理などを自分で行うことになるという点も考えるべきポイントです。

次に、工事の項目ごとに細分化して見積もりをとることが重要です。基礎工事や建物の枠組みを作る工事、外装工事や内装工事など、建築工事は細かい工事項目に分けることができます。そのそれぞれに、どれくらいコストがかかっているのかを確認してみるのです。

そして、工事項目ごとの費用の相場と比較してみることで、コストがかかりすぎている項目を発見することができます。細かく分けることで、全体の費用からは見えてこなかった小さな無駄を削減することができる場合もあります。

また、内装の設備工事の際には設備のメーカー指定をしないということが挙げられます。アパートやマンションの住人は、よほど質が悪くなければ設備のメーカーにそれほどこだわりません。有名メーカーだけを視野に入れるのではなく、同じ質を持っていても低価格で販売されている設備も多くあります。

そのため、建物の枠組みを作る段階で、どのメーカーの設備でも設置・使用できるような設計をしておけば選択肢が広がります。また、実際に設置工事を行う業者が工事を行いやすいメーカーのものを選べば、余計な手間やコストがかかりません。設備のメーカーに関しては柔軟な考えで検討していくことがコスト削減のポイントです。

最後に、コンストラクション・マネジメントの導入についてです。コンストラクション・マネジメントとは、建築を行う上でコスト削減に役立つようなサポートを行うサービスのことです。建築主が総合建設会社や工務店を選ぶ際の情報提供などを行います。

また、分離発注方式の難点であるスケジュール管理や専門的な知識の提供を行うため、建築のコスト削減の大きな一助となることが見込めます。

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