土地活用で介護施設を運営する4つのメリットと5つのデメリット

高齢化社会の問題について色々なところで目にしたり耳にします。ひと昔前には、団塊の世代が抜ける労働現場の問題が取りざたされていましたが、今度はその団塊の世代が70代に差し掛かり急激な高齢化社会になりました。

このため、高齢者を対象とした事業に注目が集まっています。高齢者向けの施設として、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などがありますが、そのような施設を作るには高額の資金が必要となります。

そこまで規模が大きくない介護施設のひとつにデイサービスセンターがあります。土地活用でデイサービスを行う際にどのようなメリットとデメリットがあるのかについて考えてみたいと思います。

1. 土地活用で注目される介護施設「デイサービス」とは?

自宅で介護を受けている人は高齢者全体の約8割にもなると言われています。要支援・要介護認定を受けている高齢者が、日帰りで介護サービスを受ける時に利用する施設がデイサービスです。

高齢者の8割が対象となることから、非常にニーズの高いサービスと言えるでしょう。しかし、急激にデイサービスの事業所の数が増えたことからサービスの質への懸念がされている面もあります。特に小規模のデイサービス業者が問題視されています。

厚生労働省は、定員が18名以下の小規模デイサービス業者の数を抑制する方向で検討を進めています。現状では、2018年から総量規制の対象となる見込みとなっています。

総量規制が掛かると新規の参入が難しくなりますが、逆に言うとライバルが増え過ぎないともいえます。規制の内容は各自治体によって異なっているので、担当窓口で確認すると良いでしょう。自分が建てられるのであれば、総量規制があることはメリットとなります。

2. 土地活用でデイサービスをするメリット

土地活用でデイサービスを行うメリットについて考えてみます。メリットはいくつもあります。

・小さな土地から大きな土地まで利用範囲が大きいこと
・交通の便に左右されないこと
・補助金・助成金の利用ができること
・地域への社会貢献となること
などがあげられます。これらについて詳しく見ていきます。

2-1. デイサービスは色々な土地のサイズで利用できる

介護系の土地活用の中でも、デイサービスは小さな土地でも運営できるのがメリットです。デイサービスの中には通常の個人住宅を改装して運営しているところもあるように、やり方次第で数十坪の狭い土地でも活用が可能です。

もちろん、土地が広くても問題ありません。まとまった広さの田舎の土地などで、駐車場やマンションなどの賃貸住宅のニーズがないような場所でも運営が可能です。特に賃貸住宅の場合は、広すぎる土地では運営が難しい場合があります。

たくさんの部屋を作ってもそんなにたくさんのニーズがない場合があるからです。しかし、デイサービスなどの介護施設では、土地があれば、駐車場にしたり、憩いの場を作るなど、付加価値を付けるために利用することができます。

2-2.  デイサービスは交通の便に左右されない

デイサービスの次のメリットは、地理的な影響が少ないです。マンションやアパートなどの賃貸住宅の場合は、駅から近いとか、公園が近い、コンビニ、スーパーなどが近くにあるなど、生活の基盤となるものが近くにないと借り手が付きにくいという問題があります。

しかし、デイサービスの場合は、基本的に車で送り迎えしますので、駅から遠い場所でもハンデになりません。というよりも、街から少し離れた自然の豊かな環境の方が好まれることもあります。

他の土地活用ではデメリットとなることをメリットに変えられるので、優れた活用方法のひとつだと言えます。

2-3. デイサービスは補助金・助成金の利用ができる

デイサービスは利用者にとって利用料に補助がある他、健康保険の適用も受けることができます。これは利用者にとってのメリットですが、利用者にメリットがあれば、利用者が増えることにつながりますので、経営が安定することにつながります。

自治体によっては、建物に補助金が出るケースもありますし、ローンの金利の負担軽減措置を設けているところもあります。その他、建物以外にも介護用の設備について補助金や助成金を用意している自治体もあります。

高齢化は社会の問題でもあるので、このような補助が色々とあります。適用される条件は各自治体によって異なりますので、各市町村の窓口で確認をするようにしてください。

2-4. デイサービスは地域への社会貢献となる

テレビなどで孤独死などの暗い話を目にすることが増えてきました。異臭が発生するまで気付かれないこともあるそうです。実際には単に転んで起きられなくなったとか、脳卒中など発見が早ければ助かった命も多いと聞きます。

そのような高齢者がデイサービスを利用していたら、死に至る前に発見することができたかもしれません。そこまで深刻な問題でなくても、単に人とつながることで、生きがいになったという話を聞くこともあります。

特に単身の高齢者にとって無くてはならないありがたいサービスですが、自治体がすべてをまかなうことはできないため、多くの人から感謝をされることになるでしょう。

3. 土地活用でデイサービスをするデメリット

デイサービスのメリットについてお話をしてきましたが、これだけ聞くと素晴らしいのですぐに始めたいと思われるかもしれません。しかし、メリットがある反面デメリットも存在しています。デイサービスのデメリットには以下のようなものがあります。

・収益性が下がってきている
・高齢化のピークは2040年
・投資規模が大きい
・事業者が見つかりにくい
・転用性が低い

メリットとデメリットを両方比べてあなたにとってメリットがあるのかどうかを判断してください。

3-1. デイサービスは収益性が下がってきている

実はデイサービスの事業所の数は2015年から2016年の間でわずかですが減少しています。厚生労働省発表の2017年8月の資料によると、小規模事業者を含めたデイサービスの事業所の数は、43,440件から43,399件と初の減少となりました。

減少したのは主に小規模事業所で、2017年の23,763件から20,182件と2,951件も減少しています。総数で減っているのは41件ですので、小規模以外の事業所が2,910件増えていることになります。

廃業や事業撤退の理由として、介護保険の報酬が10%削減されたことが考えられます。これまでデイサービスの利益率は10%前後と利益率の良い事業だったのですが、そこにメスが入った感じです。

この影響は小規模事業者にとってより強く現れたようです。逆に小規模以外の事業所が増加していることから、大きな規模を持つ事業者にはまだまだメリットがあると考えられます。

新規に参入するのであれば、事業規模をどのくらいに設定するのかが重要なポイントとなると思います。

3-2. 高齢化のピークは2040年

現在はうなぎ上りに増えている高齢者の数ですが、2040年をピークに減少に転じると予想されています。それまでにどのくらいの介護施設が出来ているか分かりませんが、2040年以降は減少していく高齢者の取り合いになる可能性があります。

少なくなっていくパイを奪い合うことになる可能性も予め考えておく必要があります。後ほど、お話しますが、建物の転用性が低いことも先々の問題となりそうです。

3-3. デイサービスは投資規模が大きい

デイサービスに限ったことではありませんが、介護施設関係は設備にお金がかかります。介護系の中では投資額が少ないデイサービスでも、入浴やリハビリなどのすべてを人力で行うことは難しいためです。しかも、導入する設備のほとんどが他の利用に転用することが難しいものばかりです。

このため、失敗した時に他の用途で使うことを考えるとか設備を売って少しでも回収するということが難しいです。

また、投資規模が大きいということは、費用の回収にもそれだけ時間が掛かるということです。先ほどお話しましたように、2040年以降は高齢者の数が減っていくと予測されています。このため、長期間の融資を受けるにはリスクが伴います。計画の際は高齢者の絶対数が減ったとしても大丈夫なように差別化ができることがポイントになると思います。

このようなリスクがあることを考えておいてください。

3-4. 事業者が見つかりにくい

デイサービスをご自身で運営するのはおそらくハードルが高いと思います。通常は介護施設を運営する会社と協力して事業を行うことになります。個人で建物のプランニングから、ケアマネジャーなどの人員管理まで行うことは現実的ではありません。

そのような知識を持っている方はほとんどおられないためです。しかし、そのような知識を持っている業者は、土地を入手して自分で運営をした方が儲かるため、素人とジョイントすることに二の足を踏むことが多いです。

単に土地を貸すだけなら、引き受けてくれる業者を見つけることは難しくないかもしれませんが、土地を貸す以上の利益を得たい場合には協力してくれる事業者を見つけるのは難しいかもしれません。

3-5. デイサービスの施設は転用性が低い

デイサービスの施設は特殊な介護設備があり、残念ながらそれらの設備の転用性は低いというのが実情です。このため、廃業することになった場合、施設そのものの転用が難しいという問題があります。

デイサービスとして失敗した原因にもよりますが、簡単に買い手が見つからない可能性があります。それらの問題についてもリスクとして考えておく必要があります。

ただ、最近ではデイサービスの食堂などを利用してカルチャー教室を行うところも出てきています。デイサービスの名前の通り、昼間しか使われていないため、夜間の利用をすることで少しでも収益を上げようという取り組みが出てきています。

カルチャー教室以外にも、地域の人が集まる集会所として利用しているケースもあるそうです。ただ、施設の一部しか利用できないため、利益が減った補填に使うことはできたとしても、施設全体の転用という意味では効果はあまりないといえそうです。

4. 土地活用で注目の介護施設「デイサービス」のメリット・デメリットまとめ

デイサービスのメリットとデメリットについて見てきました。高齢化が急速に進む一方で、高齢化の終焉も見えてきているだけに転用化を考えておいたり、他の事業者にはない独自のメリットが出せるかどうかがポイントとなりそうです。

ただ、現在は他の事業者にはないメリットだとしても、簡単にマネができるようなものでは差別化にはなりにくいです。

また、高齢者の数が増えるに従って自治体の負担も増えることになります。このため、補助金などが減らされる可能性も高いです。そのような社会の情勢も含めた検討をしておくことが必要となると思います。

無料ebook|土地活用が気になり出したら最初に読む本

土地活用は相続対策に適していると言われていますが、実はそれ以上に「黒字経営」させることが重要です。

収益性を考えた時に重要になる、

・投資分析の視点
・市場分析の視点
・ファイナンスの視点
・財産継承の視点
・タックスプランニングの視点

という5つの視点の解説など、ブログでは公開できない土地活用のコツをお伝えいたします。