駐車場経営・コインパーキング経営のメリットとデメリット

最近、空き地を駐車場やコインパーキングとして活用する人が増えてきました。建物を建てる必要がなく、初期費用が少なくて済み、立地や広さ、地形にとわれにくく、老朽化や災害、料金未払いのリスクも少なく、運営や撤退も容易で、初心者にも始めやすいためです。

相続などで突然土地を手に入れたものの、使っていないという方にとって、駐車場経営・コインパーキング経営は有力な選択肢となっています。なぜなら駐車場経営は、リスクが少なく始めやすく安定した収益が見込めるためです。多くの場合、固定資産税などの維持費ならプラスにできます。

しかし、一見簡単そうでいいことばかりに見える駐車場経営・コインパーキング経営にも、留意しておくべきデメリットがあるのです。この記事では、駐車場経営・コインパーキング経営のメリットとデメリットについて、具体的に考えていきます。

 

1. 駐車場経営・コインパーキング経営のメリット

駐車場経営のメリットは、なんといっても初心者にも始めやすい手軽さが挙げられます。これから、具体的に各メリットについて見ていきます。

1-1. 投資額が小さい

多くの場合、初期費用に大きな金額がかかることが、事業を始めるうえでの障害になります。しかし、駐車場経営では、建物を建てたり土地を整備したりすることなく、砂利地にロープを張るだけで月極駐車場にすることが可能です。駐車した時間分の料金を払う仕組みのコインパーキングの場合、駐車場機器を導入する必要があるので、一見、月極駐車場より初期費用がかかるように見えます。

しかし、業者に土地を貸すだけの土地賃貸方式なら、自分で駐車場機器を導入することなく初期費用0で始めることもできます。

初期費用が小さければ小さいほど、失敗した場合でも痛手が少なくて済み、やり直しがきくので、初心者にも始めやすい投資方法といえます。

1-2. 初期費用の回収が早い

初期費用が小さいということは、リスクが低いだけでなく、うまく事業が軌道に乗れば、すぐに費用が回収できるということでもあります。

駐車場を作るにあたり、車一台に必要なスペースは20~25㎡なので、200㎡の土地を持っている場合、約8台駐車可能です。この条件で月極駐車場を運営した場合の表面利回りを考えてみましょう。表面利回りは、

表面利回り=(駐車可能台数×月額賃料×12ヶ月)÷初期費用×100%

という式で計算することができます。例として、8台駐車可能、月額15,000円の駐車場を、150万円かけて作った場合の表面利回りは次のようになります。

表面利回り=(8台×15,000円×12ヶ月)÷150万円×100%

=144万円÷150万円×100%

=96%

稼働率さえ高ければ、投資を回収するのはさほど大変ではないことが分かります。工事費用は、未舗装ロープ区画は安く、アスファルト舗装やコンクリート舗装は高くなります。工事費用と見込み賃料をあらかじめ調べておき、利回りを計算して、無理のない計画を立てると良いでしょう。

※地域別の平均賃料は、こちらのサイトから調べることができます。
月極駐車場の賃貸契約・お申込みサイト 駐マップ

1-3. 安定した収益が見込める

月極駐車場の場合、近くに毎日通う駅や事務所があったり、自宅に駐車スペースが足りなかったりするときに借りるケースが多いでしょう。この場合、借り手が引っ越したり、通勤方法を変えたりとライフスタイルに大きな変化がない限り継続して借りてくれます。ひとたび借り手を見つければ、数か月、数年と長期で収入が得られ、安定した収益を見込むことができるのです。

コインパーキングの場合でも、付近に駅や大型ショッピングモールといった集客施設があるなど立地に恵まれていれば、継続的に高い稼働率が見込まれます。どちらの場合も、あらかじめ現地調査、市場調査をしっかり行い、価格や運営方法を決めることが重要です。

1-4. 土地さえあれば低予算で始められる

アパート・マンション経営を行いたい場合は数千万円から数億円単位の初期費用が必要になる場合が多く、初心者にはなかなか始めにくいところがあります。しかし、駐車場経営であれば、土地さえあれば、後は土地の舗装やフェンスの設置、管理費用などの比較的小さい投資で済むため、数十万円から数百万円の予算で始めることが出来ます。

1-5. 建物を建てる必要がないので短期間で準備ができる

建物を建てるとなると、実際に運営を開始するまでに少なくとも数か月は必要です。それに対して、10台の駐車台数の敷地の場合で、コインパーキングを運営管理会社へ一括借上げしてもらうケースを考えてみます。敷地の整地とアスファルト舗装、機器の設置でおおよそ2~3日間程度、電気関連の引込み工事でおおよそ2~3日かかります。さらに引込み工事の申請が工事実施の前に必要になり、その期間が1~2週間と考えると、おおよそ3週間もあればオープンすることが可能なので、短期間で準備ができます。

月極駐車場の場合、地面の整地と舗装を行うかどうかは土地オーナー自身が判断することになりますが、場合によっては照明機器の設置も必要になります。舗装だけなら1週間程度、照明機器の設置を行う場合でも2週間もあればオープン可能です。

1-6. 立地が問われにくい

付近に駅や商業施設などがある場合はコインパーキングが向いています。一方、住宅街など、周囲の環境等の理由から頻繁に車が出入りして欲しくない場合や、周りに集客施設がなく、時間貸し需要の少ない場合は月極駐車場が適しています。このように、立地に適した運用をすることができます。

1-7. 狭小地や変形地でも問題ない

コインパーキングは狭い敷地でも運営が可能であり、利用者の多い場所では、数台もしくはたった1台分の設備でも十分な収益を見込めることがあります。狭小地や変形地といった建物を建てにくい土地でも、有効活用することが出来ます。

1-8. 経営が簡単、運営の労力が少ない

駐車場経営には大きく分けて「月極駐車場」と「コインパーキング」という2種類の活用形態があります。月極駐車場は駐車場を一台ずつ月単位で利用者に貸す形式の駐車場です。募集及び管理のみを不動産業者に委託する「管理委託方式」と、大手不動産業者等がオーナーに代わり駐車場の空きリスクを肩代わりして駐車場経営を行う「一括借上方式」があります。

一方、コインパーキングは時間単位で賃貸しする形式で、さらに2つに大別されます。1つめは、オーナーは単に土地を不動産業者に貸すだけで、駐車設備等の設置や集客・管理・運営といった駐車場経営自体は全て不動産業者が行う「土地賃貸方式」です。2つめは、より収益の高い、駐車設備の設置や駐車場の整備は自分で行い、集客・管理・運営をコインパーキング業者へ委託する「自己経営方式」です。

どの方式でも募集や管理などの大変な部分を業者に任せることができます。中でも、土地賃貸方式なら、土地オーナーは業者に土地を貸すだけで賃料収入を得られるので、初期費用も労力もほとんどかからず、非常に簡単です。

1-9. 転用や更地への復帰が簡単

使っていない土地をとりあえず駐車場として活用することにしたものの、後から家を建てたくなったり売却したくなったりすることもあります。建物もなく簡単な設備のみの駐車場経営であれば、転用や更地への復帰も比較的容易に行うことができます。

例えば、賃貸住宅の経営と比較してみると転用の容易さが良くわかります。賃貸住宅の場合は、借主に居住権が発生するため、物件の明け渡し要求は簡単にはできません。明け渡しの完了までに1年以上かかることも珍しくありません。しかし、駐車場の場合はそこまでこじれることは少ないです。

もっとも、契約期間が長く残っている場合や、近隣の相場より安く貸出していた場合などごねられるケースもあります。そうならないようにするためには、予め契約書面に解除の申し入れなどの条件を記載しておくことが必要です。

1-10. 老朽化の影響が少ない

建物が老朽化した場合、リノベーションや耐震強度の補強にはかなりの費用がかかります。建物のない平面駐車場なら、未舗装ロープ区画であればロープを張り替えて砂利を敷く程度、アスファルト舗装やコンクリート舗装でも舗装のし直しをする程度で済みます。コインパーキングなら駐車場機器のメンテナンスも必要です。

1-11. 災害リスクが少ない

同様に、地震などの災害が発生した場合でも、舗装のひび割れや駐車場機器の損壊程度で済むので、倒壊した建物の撤去や、新しい建物の立て直しなどに莫大な費用がかかることもありません。

1-12. 撤退しやすい

多額の借入金を必要とするアパート・マンション経営では、経営がうまくいかなかったときに建物の処分から考えなくてはなりません。多くの設備を必要としない駐車場経営なら大きな費用がかかっていないので、撤退しやすくなります。契約者(賃借人)がいる場合に、契約解除が可能かどうかについては、土地賃貸借契約書の中途解約に関する条項で異なります。

通常、1ヶ月から数ヶ月前の事前通知を行い、契約者が次の駐車場を探すための猶予を与えた上で、中途解約を可能にする条項を定めるケースが多いようです。

1-13. 先払いのため料金の未払いが起こりにくい

コインパーキングの場合は料金を支払わないと車を出すことができないようにする駐車場機器を設置するのが一般的です。月極駐車場の場合も料金は先払いのため、未払いのリスクは低いといえます。運営を委託している場合には、料金の徴収も業者が行ってくれるので安心です。

1-14. いつでも土地の売却が可能

更地に戻したり、撤退することが容易なので、土地を売らなければいけなくなった時に、いつでも売却することができます。

1-14-1. 相続時に現金化しやすい

兄弟が多い場合など、1つの土地を複数の相続人で分割相続するのは現実的ではありません。駐車場なら土地を売って現金化しやすいので、相続人間で公平に遺産を分割することができ、無駄な争いを回避することができます。

2. 駐車場経営・コインパーキング経営のデメリット

このように、初心者にとってメリットの多い駐車場経営ですが、留意すべきデメリットもあります。駐車場経営の主なデメリットは、土地活用の視点では最大限の運用ができず、ローリターンであることや、節税のしにくさです。これから、いくつかのデメリットについて、具体的に見ていきます。

2-1. 土地の運用効率が低い

土地の広さは決まっているので、平面としての活用では限界があります。最大限の運用効率を得るためには、アパート・マンション経営のように、上方向に収益物を設置するのが基本です。

タワー型の大規模な立体式駐車場は別として、平面の駐車場や小規模な立体式駐車場では、面積あたりの収益率が低くなってしまいます。

2-2. 節税効果が薄い

アパート・マンション経営の場合は、住宅用地として固定資産税の軽減、小規模宅地として相続税評価額の減額といった節税メリットがあります。一方、駐車場経営は、住宅がないので固定資産税は安くならず、相続税評価額については、舗装をすることで小規模宅地の評価減を受けられる可能性があるにとどまります。同様に都市計画税の減額も見込めません。

2-2-1. 固定資産税は更地評価

固定資産税の税率は一部の例外を除き、全国どこでも一律、課税標準額に対して1.4%です。住宅用地については、小規模住宅(面積200平方メートル以下)の場合には6分の1、一般住宅(面積200平方メートルをこえるもの)の場合には3分の1に軽減される特例があります。しかし、駐車場経営では建物が建っていないため、更地評価となり、固定資産税が減額されません。

2-2-2. 相続税も更地評価

アパートやマンションによる賃貸の場合には、相続の際に小規模宅地等の評価減の特例を活用することで評価を下げることができます。この特例は、アパートや賃貸マンション等の建っている土地の200㎡までの部分について、相続税の課税評価を50%減額することができます。

さらに、賃貸用のアパートを建てて満室だと仮定すると、貸家建付地という評価になります。貸家建付地は、自用地とした場合の評価額-(自用地とした場合の評価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合)という式で計算できます。評価額5,000万円、借地権割合が50%、借家権割合を30%とすると、相続税の課税評価は5,000万円-(5,000万円×50%×30%×1) =4,250万円となります。

ロープや砂利敷きといった簡単な線引きによる駐車場の場合、更地として評価されるので、このような評価額の減額の恩恵を受けることができません。

2-2-3. 所得税負担が大きい

駐車場経営は経営のために投資する費用が少なく済む分、設備として減価償却できる内容が乏しく、運営においても経費がほとんど発生しません。経費が少ないと収入がそのまま所得となって課税されるため、所得税の負担が減らしにくくなります。

2-3. 事故やトラブルの処理

駐車場経営での事故やトラブルには、主に、車上あらし、駐車場スペースをめぐるトラブル、車両事故があります。

管理者が一日中いない駐車場はトラブルが起こりやすい場所でもあり、その一つが車上あらしです。人通りが少ない駐車場では車上あらしに狙われやすくなり、多発する場合はお客様が減るなど経営にも支障をきたします。監視カメラなどを利用して未然に防ぐことが大切です。

それに対して、利用者間でのトラブルも起こりえます。代表的なものが、駐車するスペースをめぐってのトラブルです。いつも駐車しているスペースに誰かが停めているなど、第三者が介入しないと解決できないケースが多いです。

そして、最も大きなトラブルに発展する可能性が高いのが車両事故です。駐車していた車両同士の事故や車両と人の人身事故、駐車場機器などの設備を破損させてしまう事故など、様々なパターンが考えられます。事故の対応は基本的に警察か自動車保険会社が行いますが、地面に穴が開いていたなどの駐車場管理の不備による事故は、土地の所有者の立ち会いが必要になります。

2-4. 立体式駐車場は建築基準法の適用を受ける

駐車場を作るには、駐車場法や建築基準法、条例など色々な法的制限があります。立体式駐車場には主に自走式駐車場と機械式駐車場があり、機械式駐車場はさらにタワー式、多段方式に大別されます。

自走式立体駐車場は土地に定着し、屋根と柱をもっているため、建築基準法に定められている「建築物」となり、建築基準法が適用されます。タワー式は「建築物」として扱われ、多段方式は「工作物」として扱われます。工作物とみなされた立体式駐車場には建築基準法は適用されません。

2-4-1. 転用や更地復帰にコストがかかる

立体式駐車場は、上方向に収益物を設置するため、面積当たりの収益率が良いというメリットがあります。しかし、建築基準法などの制約を受けるだけでなく、建物や設備の撤去に時間や費用がかかるので、転用や更地復帰は平面駐車場ほど簡単ではありません。

2-5. 車離れや景気の悪化で需要が減る可能性がある

全国的には自動車の保有台数が増えており、2015年の自動車検査登録情報協会公表値では、乗用車は6千万台を超えています。しかし、少子高齢化と人口減少で車を運転する人の絶対数が減る反面、空き地が増えるので、駐車場の需要は相対的に減っていくと考えられます。

さらに、収入が上がりにくくなってきており、車が生活上必須ではない都市部では、カーシェアリングなどで車を持たず、無駄な費用を削減する人が増えています。

3. まとめ

この記事では、駐車場経営について詳しく見てきました。メリットとして、初期投資やリスクが低く初心者でも始めやすいこと、デメリットとして、土地の運用効率の低さ、節税効果の乏しさ、事故やトラブルの処理などが挙げられました。

駐車場経営を始める場合は、これらのメリット・デメリットを知ったうえで、周辺調査、価格調査をしっかり行い、必要コストやリスクを理解し、無理のない運営を行うとよいでしょう。

監修general editor

藤岡聖大

平成4年のバブル末期に大手住宅メーカーに就職し宅建の資格を取得する。そこで不動産の基礎を学ぶ。入社半年でバブルが崩壊し、ローンの返済にあえぐお客様、相続税対策でアパートを建てて失敗し、家や土地を失ってしまった人など、大変な思いをしている人に遭遇し、一般の方であっても最低限の不動産の知識が必要であることを痛感する。 それら経験を元に、ユーザー視点の不動産の情報を提供する当サイトを運営。