駐車場経営の収入と利回り

駐車場経営のメリットとデメリットについて理解し、経営を始めたい場合、具体的にかかる費用や見込まれる利益、実質利回りはどのように調べたら良いのでしょうか。資産運用で失敗しないためには、始める前にしっかりと調査を行い、無理のない計画を立てることが欠かせません。駐車場経営がリスクの低い土地活用だとしても、全くリスクが無いわけではないからです。

見切り発車で始めてしまうと、こんなはずじゃなかった、と後悔し、損した挙句に撤退を余儀なくされる羽目になりかねません。この記事では、実際に駐車場経営を始めるにあたって、各自のケースの税金、初期費用、ランニングコスト、収入モデル、実質利回りについて調べ、計算する方法を見ていきます。

1. 利回りは高くても収入の高さとはならない

利回りとは、1年間に得られる収入の額を、初期費用で割った数値になります。表面利回り=年間収入÷駐車場開設の初期費用×100%という式で計算します。一方、実質利回りの場合は管理費や固定資産税などの諸経費も計算に入れるので、実質利回り=(年間収入-諸経費)÷(駐車場開設の初期費用+開設時の諸経費)×100%となります。

2017年4月現在、銀行の普通預金の金利は0.001%という超低金利です。このような状況で、「表面利回り20%」などと聞くと、非常に儲かりそうな投資に感じてしまいます。しかし、駐車場開設の初期費用が200万円だとすると、年間収入は200万円×0.2=40万円となります。利回りは初期費用が低いほど高くなるので、初期費用が数十万円なら数百%になることもあります。イメージに惑わされずに、実際に計算して、年間収入の見込み額を知っておくとよいでしょう。

2. 基本的に土地を持っている人が行う賃貸経営

先ほど「利回りは初期費用が低いほど高くなる」とお話しました。駐車場経営は土地活用の中ではローリスクローリターンです。駐車場経営のために土地の取得から始めるとなると、初期費用の額が跳ね上がり、途端に割に合わない投資となってしまいます。コインパーキングの場合は、土地の賃貸費用よりも収益が上回れば、土地を借りて始めることも可能です。

 

2-1. 賃料の稼げる土地は土地の購入費が高い

一般的に、人が多く集まってくる駅や商業施設の周辺など、賃料の稼げる土地は地価が高く、購入費も高くなります。例えば、世界で最も乗降客数が多い新宿駅周辺の月極駐車場の平均賃料は31,095円(2017年4月)です。一方、新宿駅西口付近の地価公示地点の価格は620万円/㎡(2017年4月)となっています。

駐車場としては8台程度となる200㎡の土地を購入すると12億4千万円もかかってしまいます。ここまで極端ではなくても、賃料の稼げる土地は地価が高いため、新たに土地を購入して駐車場経営をするのは割に合わないでしょう。

※地価公示価格や固定資産税路線価等、相続税路線価等はこちらのサイトから調べることができます。
全国地価マップ

 

2-2. 固定資産税などの税金が高い

一つの土地には、公示価格、相続税路線価、固定資産税評価額、取引価格という、異なる4つの価格が存在しています。固定資産税は、基本的に固定資産税評価額に標準税率の1.4%をかけて計算されます。先ほどと同じ新宿駅西口付近の地点の固定資産税評価は、380万円/㎡になります(2017年4月)。

この土地を200㎡持っていると、年間380万円×200㎡×0.014=7億6000万円×0.014=1,064万円の固定資産税が課税されます。このように都心の一等地の場合、平面駐車場では固定資産税分の利益すら出ないので、高層ビルを建てて運営するケースが多くなります。主要な駅周辺に高層ビルが立ち並ぶのはこのためです。

 

 3. 月極駐車場経営

では、これから、具体的に駐車場経営にかかる費用や、見込み収入について考えていきます。まず、月極駐車場から見ていきます。

 

3-1. 賃料の相場を調べる

月極駐車場経営を始めるにあたって、まず最初に、賃料の相場を調べてみます。駐マップというサイトを見てみましょう。

※駐マップへはこちらから移動してください。
駐マップ

①直接住所を入力して検索することも可能ですが、今回は新宿区をクリックしてみます。

 

②左上に新宿区の月極駐車場の平均賃料が表示されました。このページを下にスクロールすると、新宿区の駅を選択できるところがあります。

 

③新宿駅をクリックします。

 

④左上に新宿駅周辺の月極駐車場の平均賃料が表示されました。地図とその左横には、個別の駐車場の場所や賃料が表示されています。

 

次に、カーパーキングというサイトを見てみましょう。

※カーパーキングへはこちらから移動してください。
カーパーキングのホームページ

①こちらも右上に直接住所を入力して検索することも可能ですが、また新宿区をクリックしてみます。

 

②新宿区の月極駐車場の場所と詳細が表示されます。

 

③そのままページの下部までスクロールすると、新宿区の月極駐車場の賃料の平均、最高値、最低値、件数が、全体、平面式、機械式というタイプごとに表示されます。

このようにして、競合となる周辺の月極駐車場の場所、価格、相場を調べることができます。

 

3-2. 初期投資にかかる費用

次は、月極駐車場を始めるための初期投資にかかる費用を見ていきます。

 

3-2-1. 整地費用

月極駐車場の整地方法は、主に未舗装、アスファルト舗装、コンクリート舗装の3種類です。

未舗装は、整地に一番コストがかからない舗装タイプです。車体の重量は重いため、未舗装であってもそれに耐えうる地盤にするための整地費用がかかります。

アスファルト舗装の場合は、アスファルトの厚みを5cm程度にします。そのため、未舗装の場合よりも5cm分深く掘削することになり、掘り返した後に残る処分が必要な土の量も増えるので、掘削単価と残土処分費が高くなります。

コンクリート舗装の場合は、コンクリートの厚みを10cmにすることが多く、未舗装の場合よりもさらに10cm深く掘削します。この場合も、さらに掘削単価と残土処分費が高くなります。

整地には主に、掘削+残土処分作業、砕石敷き詰め作業、地盤を固める転圧作業の3つの作業工程があります。

正確な費用は、業者に見積もりを頼んで出してもらうと良いでしょう。複数の業者に見積もりを依頼すれば、より有利な業者を選ぶことができます。

 

3-2-1-1. 掘削+残土処分費

掘削にかかる費用は、未舗装で200円/㎡、アスファルト舗装で300円/㎡、コンクリート舗装で400円/㎡程度になります。残土処分にかかる費用は、未舗装で600円/㎡、アスファルト舗装で900円/㎡、コンクリート舗装で1,200円/㎡程度になります。

 

3-2-1-2. 砕石敷き詰め+転圧費

砕石実費は、舗装タイプに関わらず360円/㎡程度になります。この他に、砕石の敷き詰め作業費や転圧作業費が別途かかります。200㎡の土地の場合、重機の使用料・回送費が、ユンボ(バックホウ)とローラーで15,000円程度×2台、作業員2人の日当(雑作業も含む)で、合計6万円くらいと考えられます。土地が広くなって作業員が増える、残土処分に何度も処分場を往復する、1日で作業が終わらないなどといった場合、費用はさらに高くなります。

しかし、基本的に土地が狭いほど平米当たりの単価が高くなります。

 

3-2-1-3. 区画ロープ張り

未舗装のときは、駐車スペースを区画するために、トラロープと呼ばれる黒と黄の縞模様になったロープが使われます。トラロープは50円/m程度、ロープ固定用のペグは200円/本程度です。

自分でロープを張る場合は実費で済みますが、業者に頼む場合は、作業員2人、材料費込みで5万円程度かかります。

 

3-2-1-4. 舗装工事

アスファルト舗装とコンクリート舗装の場合は、舗装工事を行う必要があります。舗装工事の費用は、広ければ広いほど単価が下がります。

 

3-2-1-5. アスファルト

アスファルト舗装の施工費用は、概ね3,000円/㎡前後になります。整地と併せて4,000円/㎡~5,000円/㎡程度になります。

 

3-2-1-6. コンクリート

コンクリートは収縮でひび割れる性質を持っています。そのため、駐車場の広さになると、適度な間隔で収縮を吸収する目地(スリット)を作ったり、ワイヤーメッシュという金網状の補強材を入れたりする必要があります。アスファルトよりもさらに単価が高くなります。

施工費用は、概ね5,000円~6,000円/㎡、整地込みで安くても5,000円/㎡から、立地等によっては10,000円/㎡になると考えられます。

 

3-2-1-7. 舗装種類は耐久年数も含めて検討する

基本的に、耐久性の高い舗装ほど、費用が高くなります。

未舗装だと時間、費用共に抑えられますが、経年劣化により、地面に凹凸ができて整地が必要になったり、砂利の敷きなおしが必要になったりします。乾燥時には砂埃が巻き上がったり、雨天時には地面がぬかるむなど、車への悪影響を懸念して避けるお客様もいます。

アスファルト舗装は、加熱アスファルト混合物を用いた一般的な舗装であり、比較的安価で施工期間も短く、舗装したその日の内に使用することが可能です。たわみ性(荷重に対する舗装の柔らかさ)に富んだしなやかな舗装で、雨水の処理は舗装面に勾配をつけて対応するので、地面がぬかるむこともありません。

コンクリート舗装は、耐久性に優れ、アスファルトと比べて長持ちし表面温度も低くなります。 ただし施工にはコンクリートの打設や施工後の養生時間など、使用するまでに時間がかかってしまいます。さらに、手作業で表面を仕上げるため非常に高い技術を必要とし、3つの中では一番高価になります。

 

3-2-1-8. ライン引き

アスファルト舗装やコンクリート舗装では、白い区画ラインを引かなくてはなりません。必要な場合は、同時に区画に番号を付けることもできます。ライン引きはm単価よりも、一定距離までを一式価格にしている業者が多いです。その基準は業者次第で、10台程度のライン引きで5万円程度と言われています。

 

3-2-1-9. 車止め

車止めについては、1個3,000円を2個付けるとして1台6,000円程度となっています。

 

3-2-2. フェンス外灯などの設置工事

駐車場に外灯を設置することは、法律で義務付けられているわけではありません。しかし、夜間に暗くなる場所では、安全や防犯の観点から、設置する方が好ましいでしょう。

簡単なものなら自分で取り付けることもできますが、業者に依頼すると、防犯灯本体価格、新規取付工事費、新規手続代行保管管理費などで数万円程度かかります。

 

3-2-3. 歩道切り下げ工事

道路と駐車場の間に歩道があり、歩道をまたがないと駐車場に車が入れない場合、歩道を切り下げて進入可能にする工事が必要です。歩道の切り下げ工事は高く、自治体への連絡も必要になり、業者に事務作業まですべてを任せると数十万円はかかります。

 

3-3. ランニングコスト

以上が駐車場経営を始めるまでに必要な費用になります。次に、開業した後のランニングコストについて、見ていきます。

 

3-3-1. 固定資産税、都市計画税

固定資産税・都市計画税は、毎年1月1日時点の所有者が納税義務者となります。課税庁である市区町村が税額を計算し、納税義務者に納税額を通知し、納税者はそれに基づき税額を納付します。固定資産税・都市計画税は、固定資産税評価額を課税標準として、それぞれの税率をかけて計算されます。

固定資産税の税率は一律1.4%、都市計画税の税率は最高限度0.3%以内の範囲になります。都市計画税は、原則として、市街化区域内にある土地と家屋に課税されます。

 

3-3-2. 事業税、所得税、住民税

個人事業主が法律で決まっている70種類の業種を行うと、一律年間290万円の「事業主控除」を超えた部分について、業種によって3~5%の個人事業税がかかります。駐車場業を行っている場合は、5%の個人事業税を課されます。駐車場業を行っているとみなされる基準は、概ね、建築物・機械式なら駐車可能台数を問わず、青空・ピロティー式なら駐車可能台数10台以上となります。税額の算出方法は、

(事業所得および不動産所得+所得税の事業専従者給与(控除)額-個人事業税の事業専従者給与(控除)額+青色申告特別控除額-各種控除額)×税率
=個人事業税額

となります。所得の額が、本来個人事業税では差し引かれないはずの「所得税の事業専従者給与(控除)額」と「青色申告特別控除額」が差し引かれている金額になっています。そのため、それぞれを足したうえで、個人事業税で控除される項目を差し引き、計算された額に対して税率を掛けて、個人事業税を算出することになります。

所得税は一定の所得(もうけ)に対して課される税金です。個人事業主の場合、所得金額が黒字となり、税額が発生する場合には、原則として所得税の確定申告を行う義務が生じます。所得税の計算は、その年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得について計算します。所得税の確定申告は、その年の翌年の概ね2月16日から3月15日までの間に行う必要があります。税額の算出方法は、

(総収入金額-必要経費-青色申告特別控除額-所得控除額)×所得税速算表の税率-所得税速算表の控除額
=所得税額

となります。青色申告特別控除額の65万円または10万円と、所得控除額の基礎控除38万円は、すべての納税者に認められます。所得税速算表の税率は国税庁のページで確認することができます。

国税庁 所得税の税率のページ

住民税は、市県民税などとも呼ばれます。都道府県民税と市区町村民税の合計額を、各市区町村に納付します。税額の算出方法は、

総所得金額−所得控除=課税所得

課税所得×税率-税額控除+均等割=住民税

となります。すべての納税者に基礎控除額として一律33万円が認められています。さらに、年金などの社会保険料の全額も控除として認められます。税率は、課税所得金額に対し一律10%課税されます。均等割は収入に関係なく課税され、市町村民税は各自治体によって異なっています。詳細は各都道府県・自治体のホームページで調べることができます。

参考:東京都主税局 個人住民税のページ

 

3-3-3. 管理委託料

賃料の回収や簡易な清掃、定期巡回、クレーム対応などを専門業者や不動産会社に委託することができます。管理委託料の相場は、賃料の5%程度になります。

 

3-3-4. 補修費用

長期での運用になると、未舗装なら砂利の追加・ロープの張り替え、アスファルト舗装では摩耗、コンクリート舗装ではひび割れに、補修費用が必要になります。少なくとも、新規の工事費よりも高くなることはないと考えられます。

 

3-4. 収入モデルケース

では、具体的なイメージをつかむために、モデルケースを考えてみましょう。200㎡の土地を200万円かけて8台分の月極駐車場にし、13,500円で貸しているとします。8台すべてが埋まっている場合、収入=13,500円×8台×12ヵ月=1,296,000円となります。

 

3-5. 利回りの計算方法

次に、利回りを計算してみましょう。上記の収入を初期費用で割り、100%をかければよいので、1,296,000円÷200万円×100%=64.8%となります。この数値は、税金などのランニングコストを考えていない値なので、表面利回りとなります。実質利回りよりも計算が簡単なうえに、大きな値になるので、不動産業者が商品を紹介するときによく使われます。

 

3-6.実質利回り=(賃料収入×稼働率-ランニングコスト)÷初期費用×100%

次に、ランニングコストも計算に入れて、より実態に近い値である実質利回りを計算してみましょう。土地の固定資産税評価額が96,600円/㎡、固定資産税の税率が1.4%、都市計画税の税率が0.3%として計算します。固定資産税=96,600円×200㎡×0.014=270,480円、都市計画税=96,600円×200㎡×0.003=57,960円となり、合計328,440円になります。

収入がこの駐車場の1,296,000円だけだとすると、個人事業税はかかりません。必要経費と青色申告特別控除額(65万円)と所得控除額(基礎控除38万円)の合計が収入を超えた場合、所得税はかかりません。この場合、必要経費が266,000円以上あれば良いので、初期費用が200万円かかっている初年度は課税されないと考えられます。

住民税は基礎控除33万円、国民年金年額197,880円(2017年)を除いた部分について10%課税されるとすると、(1,296,000円-527,880円)×0.1=76,812円となります。均等割りは所得の多さに関わらず、一律で5,000円程度課税されます(都道府県・市町村によって異なります)。

以上から、管理委託せずに運営した場合のランニングコストを合計328,440円+76,812円+5,000円=410,252円として、実質利回りを計算してみます。実質利回り=(1,296,000円-410,252円)÷200万円×100%=44.3%となります。こちらは稼働率が100%の場合です。410,252円÷(13,500円×12ヵ月)=2.53、2.53÷8×100%=31.6%なので、大体契約車数が3台未満、稼働率が30%を切ると、赤字になることが分かります。

 

4. コインパーキング経営

今までは月極駐車場経営について詳しく見てきました。次に、コインパーキング経営について、月極駐車場経営と異なる点を中心に、見ていきます。

 

4-1. 賃料の相場を調べる

コインパーキングの場合、料金が分かりやすく看板に書かれていることが多いです。従って、賃料の相場を調べるには、実際に競合となりそうなコインパーキングに行って、料金を見て回るのが一番早くて確実です。

 

4-1-1. 現地調査で賃料と稼働率をチェック

コインパーキングに適した時間貸し需要の多い場所は、付近に駅や商業施設などがある交通量の多いところです。近くにより条件の良い競合があれば、お客様はそちらに流れてしまいます。利用料金と稼働率をチェックして、適正な価格を考えます。

コインパーキングが交通量の多い、車線数の多い道路に面している場合、想像以上に入りにくいことがあります。実際に車を運転して、利用者目線で現地調査をしてみましょう。

 

4-1-2. コインパーキング有無を調べるには

コインパーキングの有無は、NAVITIMEというサイトで調べることができます。

NAVITIMEトップページ
①画面上部の「自動車」をクリックし、「駐車場検索」をクリックします。

 

②住所、駅名などで検索することができます。今回は「名古屋駅」というキーワードで検索してみましょう。下にスクロールすると、都道府県別や人気スポット別などの項目があります。

 

③「名古屋」を選択してみます。

 

④名古屋駅周辺の駐車場の場所が表示されました。

 

⑤下にスクロールすると、各駐車場の営業時間、収容台数、車両制限、料金などの情報を見ることができます。

 

4-2. 初期投資にかかる費用

 以下の項目は、4-2-3まで月極駐車場の場合と同様になります。ただし、コインパーキングの場合は精算機やロックプレートの設置が必要なので、未舗装にすることはあまりないでしょう。

  • 4-2-1. 整地費用
  • 4-2-1-1. 掘削+残土処分費
  • 4-2-1-2. 砕石敷き詰め+転圧費
  • 4-2-1-3. 区画ロープ張り
  • 4-2-1-4. 舗装工事
  • 4-2-1-5. アスファルト
  • 4-2-1-6. コンクリート
  • 4-2-1-7. 舗装種類は耐久年数も含めて検討する
  • 4-2-1-8. ライン引き
  • 4-2-1-9. 車止め
  • 4-2-2. フェンス外灯などの設置工事
  • 4-2-3. 歩道切り下げ工事

 

4-2-4. コインパーキング設備

コインパーキングの場合、上記以外にも、精算機1台、ロックプレート駐車台数分、LED満空付 突き出しサイン1台、パーキング利用案内サイン1台などが必要になります。精算機は安いものでも30万円以上、上位機種なら65万円以上かかるでしょう。ロックプレートは1台あたり10万円前後かかります。価格を公表していない業者も多いので、複数の業者に見積もりを取って比べてみると良いでしょう。

 

4-3. ランニングコスト

初期費用の次は、ランニングコストです。コインパーキング経営にかかるランニングコストを、月極駐車場の場合と異なる部分を中心に見ていきます。

 

4-3-1. コインパーキングに適した土地は税金が高い

冒頭の新宿駅の例で示したように、時間貸し需要の多い場所は人通りの多い人気の場所であるため、地価が高く、税金も高くなります。以下の税金の項目は、月極駐車場の場合と同様になります。

 

  • 4-3-2. 固定資産税、都市計画税
  • 4-3-3. 事業税、所得税、住民税

 

4-3-4. 管理委託料

管理委託料は、業者によって違いがありますが、おおよそ賃料の約5~10%程度と考えられます。

 

4-3-5. 補修費用

コインパーキングの場合、さらにコインパーキング設備の補修費用も必要です。この場合も、少なくとも、新規の工事費よりも高くなることはないと考えられます。

 

4-4. 自分で整地~機器の設置まで行う

コインパーキング経営を自己経営方式で行う場合、専用の設備を買い揃える必要があります。コインパーキング用機械のメーカーでは、看板や機械本体、またその設置費用も含めた見積もりを取得することが出来ます。しかし、個人での購入の場合、どうしても少数単位での注文となり、一つ一つの機械の仕入れ値は高くなります。

さらに、ランニングコストとして、電気代、レシート代、メンテナンス代などが月に5千~2万円程度かかるようです。集客・管理・運営をコインパーキング業者へ委託すると、その費用もかかります。

 

4-5. コインパーキング会社に土地を貸して運営を委託

コインパーキング専門業者に委託契約し、土地賃貸方式で行う場合、土地のサブリース(一括借り上げ)契約となりますので、機械本体とその設置費用はかかりません。ただ土地を貸すのみになります。初期費用が低く楽ですが、収益も低めになります。

 

4-5-1. 収入モデルケース

通常料金が30分あたり100円、一日最大800円、駐車台数8台分のコインパーキングを運営するとします。賃料見込み額の算出式は、

(24時間の上限料金×30日×1.5)-1.5万円 =1台当たり月間賃料の目安

となるので、(800円×30日×1.5)-1.5万円 =21,000となります。これが8台分で、年間21,000円×8台×12ヵ月=2,016,000円となります。

4-5-2. 利回りの計算

自己経営方式で、初期費用に300万円かかったとします。上記の収入を初期費用で割り、100%をかければよいので、2,016,000円÷300万円×100%=67.2%が、表面利回りとなります。

 

4-5-3. 実質利回り=(賃料収入×稼働率-ランニングコスト)÷初期費用×100%

次に、ランニングコストも計算に入れて、より実態に近い値である実質利回りを計算してみましょう。月極駐車場のケースと同様に、土地の固定資産税評価額が96,600円/㎡、駐車場の広さが200㎡だとすると、固定資産税と都市計画税の合計は、328,440円になります。

収入が2,016,000円なので、月極駐車場のケースと同様に、個人事業税と所得税がかからないとします。

住民税は基礎控除33万円、国民年金年額197,880円(2017年)を除いた部分について10%課税されるとすると、(2,016,000円-527,880円)×0.1=148,812円となります。さらに、均等割り5,000円が課税されるとします。

上記に加えてコインパーキングの場合、電気代やレシート代などが年間10万円かかるとします。

以上から、管理委託せずに運営した場合のランニングコストを合計328,440円+148,812円+5,000円+100,000円=582,252円として、実質利回りを計算してみます。実質利回り=(2,016,000円-582,252円)÷300万円×100%=47.8%となります。

コインパーキングの場合、夜間は割安料金になることが多いですが、通常料金が30分あたり100円で一日最大800円の場合、日中に4時間以上駐車していれば上限になります。従って、見た目の駐車率よりも稼働率は高くなります。

 

5. まとめ

この記事では、駐車場の開設にかかる初期費用、税金などのランニングコストを調べ、計算する方法を、出来るだけ具体的に見てきました。コインパーキングの方が、精算機やロックプレートなどの設備が必要になる分、月極駐車場に比べて初期費用が多くなりますが、立地が良ければ収入も多くなります。

モデルケースでは、主に業者に頼らずに出来るだけ自分で運営する場合について考えました。業者に委託する場合は、複数の業者に見積もりを取って、有利な条件の業者を選ぶと良いでしょう。土地賃貸方式ではサブリース契約となるので、最初よりもどんどん賃料を下げられる場合があります。定期的な運営の見直しを行うようにすると良いでしょう。

監修general editor

藤岡聖大

平成4年のバブル末期に大手住宅メーカーに就職し宅建の資格を取得する。そこで不動産の基礎を学ぶ。入社半年でバブルが崩壊し、ローンの返済にあえぐお客様、相続税対策でアパートを建てて失敗し、家や土地を失ってしまった人など、大変な思いをしている人に遭遇し、一般の方であっても最低限の不動産の知識が必要であることを痛感する。 それら経験を元に、ユーザー視点の不動産の情報を提供する当サイトを運営。