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Category  戸建賃貸経営

2019年09月05日 更新

家の売却で内覧時に買主が気にするポイントとは

家やマンションを売る際に避けては通れないのが、買主を迎えて行う内覧です。不動産会社に買い取りを依頼する場合は気にする必要がないことも、個人の買主が相手の場合はしっかりと対応した方が良いことがあります。

例えば、壁紙の汚れなどは、買い取りの場合はまったく気にする必要がありません。買主となる不動産会社にとっては張り替えしてしまうものなので、どんな状態かはそれほど気になりません。それよりも、間取りや築年数など転売する際にポイントとなる部分を気にします。

しかし、個人の買主の場合はそうではありません。中には短期間での住み替えを考えていて、早々に売ることを前提にして売りやすい物件であることを重視している場合もありますが、ほとんどの買主はそこにずっと住むことを前提にして家を探しています。そんな個人の買主が気にする点をまとめてみました。

というのも、条件は良い物件にも関わらず、中々売れない物件もありますが、そんなに条件が良くない物件でもとんとん拍子に売れてしまう物件があることに気が付いたからです。値引き交渉もなく、最初の提示額で売れた物件に共通することを考えてみると共通していることがあることに気が付きました。

その共通していることを実践すれば売れやすくなると思われます。簡単にですが、まとめてみましたので参考にしてください。

1. 買主が見るのは家ではない

マーケティングを勉強したことがある方なら良くご存知だと思いますが、人は買いたいと言っているものと欲しいと思っているものは違うものです。そう言われても何を言っているのかわからない方が多いと思いますので説明をします。

例えば、車が欲しい人の目的は、楽に移動することだったり、家族と出掛けることだったりします。家族と出掛けるというのも思い出を作るためだったり、一緒にいる時間を楽しむために、旅行することが目的だったりします。車を買って眺めることが目的の人は一部のコレクターを除いていないと思います。車を持つことが最終の目的ではないということを理解していないと売ることが難しいです。

優秀な営業マンは、その商品を手にすることでどんな未来が手に入るのかを描いてみせます。そうすることで、ますますその商品に対する思い入れが強くなり、欲しいという気持ちが固まります。家の場合も同じです。
家を持つことがゴールではなく、そこで家族と楽しく過ごしたり、やすらぎを感じることなどが目的だと思います。内覧に来た買主候補は、そこでの暮らしをイメージしたいと考えています。

つまり、買主のイメージしている暮らしが実現できると思えば欲しくなります。不思議なことに、自分が欲しいと思う気持ちが強くなるほど、他にも欲しいと思う人がいるに違いないと考えるようになります。

そのような気持ちにさせることが出来たら、もうこちらのものです。他にも内覧の希望者がいると聞いただけで勝手に焦り出します。こうなると売主の言い値であっても契約書にサインをしようとします。こちらが足元を見るのではなく、勝手に買主の方で安い買い物ができたと喜ぶのです。

売主は希望の金額で売れてハッピーですし、買主は理想の家が手に入って幸せです。ちなみに、不動産会社も値引きがない分、仲介手数料が増えるので良かったと思います。このように関わる人が全員ハッピーとなるような取引が理想だと思います。

では、どのようにすると買主候補が良いイメージを作ることができるのか、逆にどのようにすると気持ちが冷めてしまうのかについてお話をしていきます。

 

2. 買主の気持ちを冷めさせる行為

最初にやってしまうと買主候補の気持ちが下がってしまうことについてお話をします。基本的なことですが部屋が汚いことです。新居にしようと期待を持って見に行ったのに、うす汚れたところだったとしたら、そこで始める未来に対して明るい想像はしにくいと思います。

売主にとっては見慣れた状況でも、買主にとってはそうではありません。情報サイトの中には、どうせリフォームをするのだから掃除はそんなに重要ではないと書いているところがありますが、私はまったく逆だと思っています。買主がそこでの生活を考えるという視点で何が大事なのか考えるようにしてみると良いでしょう。

掃除は徹底して行うことが必要です。例えば、コンセントの上やエアコンの上の埃なども見られています。売主は気にしていなくても、買主は気にしていると考えましょう。ほんの些細なことが、夢を壊してしまうことになるかもしれません。たかが埃で値引きをすることになるのはもったいないです。

特に水回りの清掃は必須です。洗面台の周りや洗濯機の脇、バスタブの蓋など、普段気にしていないけど、目を向ければ見える部分はウィークポイントになりがちです。

同様に不要なものは徹底的に処分しましょう。良く言われることですが、2年間一度も使っていないものは、その後も使わない可能性が高いです。どうしても、捨てられないものは、倉庫を借りてでも移動すると良いでしょう。

スピリチュアルな置き物も片付けた方が無難です。あなたには幸運のお守りであっても、買主にとってどうかはわかりません。スピリチュアルなものに抵抗を感じる人は予想以上に多いと考えた方が良いです。逆にスピリチュアルなものに理解のある人の方が、そのようなものがあった家に住むのを嫌がるケースもあります。

海外のお土産の偶像やお札、パワーストーンなどは、見せない方が良いです。特に海外の先住民の工芸品などは、あらぬ疑いをかけられる可能性があるので注意が必要です。お気に入りのものでも、片付けておくようにしましょう。また、あなた自身もパワーストーンなどをされている場合は外しておいた方が良いと思います。

 

3. 買主に良い印象を与えるには

最初にお知らせをしたように、買主はその家での生活をイメージしたいと考えています。それを念頭において行動してください。

まず、一番最初に買主をお迎えするのが玄関です。最初が肝心と言いますが、最初の印象がここで決まってしまいます。悪いイメージが植え付けられてしまわないように徹底的に準備をしましょう。

すべての部屋に言えることですが、基本は『明るく』『広く』です。できる限り物を無くして広く見せましょう。玄関の電球も新しいものに取り換えて、光を遮らないように電灯の笠も綺麗にしておきます。また、換気を良くして臭いがない状態にしておきます。

下駄箱の中を見たいと言われる可能性もあるので、下駄箱の中もちゃんと整理をしておきましょう。もちろん、下駄箱をあけたら靴が臭っているのはNGです。見えない(見せない)ところまで、気を使って準備をしてください。

玄関からリビングに案内することが多いと思いますが、リビングももちろん、家具を片付けるなどして少しでも広く見える演出をしてください。物がない方が広く見えると紹介しているサイトがありますが、これは状況次第で変わりますので注意が必要です。

リビングだけでなく子供部屋などにも共通することですが、広い部屋ではない場合は、物がない状態だと狭く感じることがあります。

こんなに狭くてソファーがおけるかな?とか、大型のテレビは無理かも、この子供部屋に机とベッドが置けるのかな?と不安になるかもしれません。ですので、部屋がそんなに広くない場合は、ある程度の家具があった方が良いということになります。上手に錯覚させることも重要です。

ひとつ実例をご紹介します。部屋ではなく土地の話なのですが、本質は同じなので参考にして頂けると思います。これは実際にあったことで、お客様を案内して更地を見て頂いた時のことです。

20坪強の広さの土地でした。地方の方からは想像ができないかもしれませんが、都内ではごく標準的なサイズの土地です。広くはないですが、狭過ぎるというほどでもありません。

その当時、その土地は5,000万円で売りに出ていました。環境も良いところだったので、簡単に売れる物件でしたので、もしかしたら、このお客様が決めてしまうかなと思っていました。しかし、その土地を見たお客様は、「ここは狭すぎるから、さっき見た建売の方が良い。」とおっしゃったのです。

これにはとても驚きました。先に見せた建売り住宅は、引き立て役として選んだもので、土地の面積は17坪ほどしかない小さな物件だったのです。慌てて、さっき見た建売住宅よりも土地が広いことを説明しましたが、とても納得できない様子でした。最終的に間取りを提案して、建売住宅よりも広い家が作れると納得して購入して頂きました。

何もないところでは、イメージができないので狭く感じることがあるということを学んだ瞬間でした。この経験から、部屋狭い場合は最低限必要なものは置くようにアドバイスをしています。特に子供部屋などが狭い場合は、わざと机とベッドを置くことで、この部屋でちゃんと生活できるというイメージを作るようにしています。

それと、ドアの軋みなどにも気をつけてください。蝶番の軋みくらいなら、少しの油で解消できるかもしれません。たったそれだけのことで、悪い印象がなくなったケースがあります。

 

4. 家以外の部分でも印象を良くする

近隣のお店や設備などの情報をまとめておきましょう。学校、スーパー、コンビニ、役所など、生活を始めたら必要となるものについてまとめた簡単なマップを作っておくと良いでしょう。

スーパーについては、どんなスーパーがどのくらいの距離のところにあって、○○スーパーは火曜日が特売とか、○○スーパーは野菜が新鮮、お惣菜は○○スーパーがオススメなど住んでいないとわからない情報があると更に良いです。

コンビニも近くにあるという程度の情報ではなく、店名もキチンと話すようにすると良いでしょう。もしかするとあなたもそうかもしれませんが、お弁当はこのコンビニとか、スイーツはこちらのコンビニなど好みがある場合もあります。最近はそれぞれのコンビニが有名店とタイアップしたオリジナル商品を出しているので、以前よりもこだわりが強くなっているように思います。

これらのスーパーやコンビニの話は現実の生活と密着しているので、よりリアルにそこでの生活をイメージさせます。また、週末の外食に備えて、ファーストフード、ファミレス、焼肉、中華料理などの情報もあると良いです。

買主が贔屓にしているチェーン店があれば、話している最中にもうそこに行くつもりになっているかもしれません。そこまでリアルにその家での生活を想像させることができたら、買いたい気持ちがとても高くなっていることでしょう。

その他にも区役所の出張所が近くにあるとか、郵便局、銀行など、生活に関わるような施設の情報も集めておくと良いでしょう。

 

5. まとめ

内覧時は初めて買主候補に会う時です。それっきりになるかどうかは、些細なことで決まることが多いです。売れなかった時に、買主に選ばなかった理由を聞いてみると、「えっその程度のことで…」と驚いたことが何度もありました。

それを防ぐにはここでお知らせをしたようなことを実践されると良いと思います。特別なことはお知らせしていませんが、誰でもできることほど、おろそかにされたり、見過ごしてしまいがちです。ちゃんと出来ているか考えてみて頂けると良いと思います。

些細なことで値引きを求められるのはもったいないので、値引きの話にならないように対策をしておくことが資産を守ることにつながります。