事例紹介
Category 不動産
2018年10月01日
不動産の贈与税が免除になる!その制度について解説
贈与税ってなんだか高い税金を取られそうなイメージがありませんか?
相続税とどう違うのかも区別がつかない方もいらっしゃるかと思います。
しかし贈与税はいろいろな制度を使うことによって免除になる場合があります。
今回は贈与税が免除になる制度について贈与税とは何かというところから詳しく解説していきます。
是非最後までお読みください。
1. 不動産の贈与税は免除できる可能性がある
贈与税には免除できる可能性がある制度がいくつかあります。
理由としては、贈与税は相続税を補完する意味合いを持つ税金であるため贈与税で税金をとれなくても相続税でとろうという国の考え方が根底にあるからです。
1-1. そもそも贈与税とは
ではそもそも贈与税とは何でしょうか?
法令上次のように定義されています。
「贈与税は、個人から財産をもらったときにかかる税金です。」
引用
国税庁HP https://www.nta.go.jp/taxanswer/zoyo/4402.htm
上記から、個人から不動産などの財産をもらったときにかかる税金だとわかりました。
それではどのように課税されるのでしょうか?
法令上次のように定義されています。
「贈与税がかかる場合及び相続時精算課税を適用する場合には、財産をもらった人が申告と納税をする必要があります。申告と納税は、財産をもらった年の翌年2月1日から3月15日の間に行ってください。」
引用
国税庁HP https://www.nta.go.jp/taxanswer/zoyo/4402.htm
相続時精算課税につきましては後ほど解説しますが、上記から不動産などの財産をもらった人が申告と納税を、不動産などの財産をもらった年の翌年2月1日から3月15日までの間に行う形となります。
1-2. 基本的な贈与税の計算方法
贈与税の計算と税率(暦年課税)贈与税の計算は、まず、その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与によりもらった財産の価額を合計します。 続いて、その合計額から基礎控除額110万円を差し引きます。 最後にその残りの金額に税率を乗じて税額を計算します。
式で表すと下記の形になります。
(贈与により受け取った財産の価額の合計額)-110万円×税率=贈与税額
1-3. 免除の制度があるのは贈与税が相続税の一部だから
先述したとおり、贈与税は相続税の一部です。
なぜそういえるのかというと人が亡くなった時にかけられる税金が相続税ですが、贈与税がなければ人が亡くなる前に贈与によって財産を移し続けることによって相続税を回避することが可能となってしまいます。
このような回避行為を防ぐ意味合いもあり贈与税は作られました。
一方で先述したとおり、贈与税で税金をかけられなくても相続税で補うことができればいいと国が考えているため、様々な免除の制度がつくられたというわけです。
2. 不動産の贈与税を免除できる4つの制度
不動産の贈与税を免除できる制度が4つあります。
ここではその4つの制度の適用条件、適用までの流れ、注意点についてそれぞれ解説していきます。
2-1. 住宅取得資金等の特例
要件として父母や祖父母から住宅取得資金の贈与を受けた場合は、一定額が非課税となります。
受贈者が20歳以上で所得が2,000万円以下であることなどの要件があります。
また購入する住宅にも延床面積や築年数の要件などもあります。
特例を使って税額が0となっても、贈与税の申告は必要です。
2-1-1. 適用条件
平成33年12月31日までに父母や祖父母など直系尊属から住宅取得資金の贈与を受けた場合、一定の金額までの贈与税が非課税となります。
非課税限度額は住宅取得契約締結日によって次のように異なります。
消費税の税率が10%以外の場合
平成28年1月1日~平成32年3月31日(省エネ等住宅 1,200万円)(その他の住宅 700万円)
平成32年4月1日~平成33年3月31日(省エネ等住宅 1,000万円)(その他の住宅 500万円)
平成33年4月1日~平成33年3月31日(省エネ等住宅 800万円)(その他の住宅 300万円)
消費税の税率が10%である場合
平成31年4月1日~平成32年 3月31日(省エネ等住宅 3,000万円)(その他の住宅2,500万円)
平成32年4月1日~平成33年 3月31日(省エネ等住宅 1,500万円)(その他の住宅1,000万円)
平成33年4月1日~平成33年12月31日(省エネ等住宅 1,200万円)(その他の住宅 700万円)
2-1-2. 適用までの流れ
この非課税の特例を適用するための主な要件は下記のとおりです。下記の要件をすべて満たさなければ適用できません。
受贈者は贈与者の直系の子・孫で、贈与を受けた年の1月1日時点で20歳以上であること。
贈与を受けた年の受贈者の所得が2,000万円以下であること。
受贈者は過去に住宅取得資金について贈与税の非課税措置を受けていないこと。
住宅の売主、建築工事の発注先が配偶者や親族でないこと。
贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅を取得してそこに住むこと。または住むことが確実であること。
また取得する住宅についても、下記のように要件があります。
床面積が50㎡以上240㎡以下で、その半分以上を居住用にすること。
新築または築20年(耐火建築物は築25年)以内または一定の耐震基準を満たしていること。
2-1-3. 注意点
この非課税の特例を適用してなお残額がある場合、暦年贈与の年間110万円の非課税枠もしくは相続時精算課税制度の2,500万円の非課税枠のどちらかを使うことができます。
こちらの非課税の特例を適用するためには贈与税の申告が必要です。
特例を適用して贈与税が0になっても、申告をしなければ非課税にはならないため注意が必要です。
2-2. 相続時精算課税
相続時精算課税制度は2,500万円までが非課税となります。
暦年贈与の非課税枠110万円との選択適用となりますので、相続時精算課税制度を使うと同じ贈与者からの贈与で年間110万円の非課税枠は使えないことになります。
また原則は60歳以上の父母・祖父母と20歳以上の子・孫の間の贈与により適用できます。
こちらの特例の使用によって税額が0になっても申告は必要です。
2-2-1. 適用条件
相続時精算課税制度は、贈与者が亡くなるまでに贈与した財産には2,500万円まで贈与税をかけませんが、その代わりに相続時に精算するイメージの制度なので相続時に課税する制度です。
2-2-2. 適用までの流れ
相続時精算課税制度を適用した場合はと2,500万円までの贈与に関しては、贈与税が非課税となります。なお同じ贈与者からの贈与は複数年にわたって通算していくため、1年目に1,000万円を贈与された場合、2年目以降の非課税限度の枠は1,500万円という形になります。
2,500万円を超える金額には贈与税が課税されますが、この贈与税は、贈与した方が亡くなって、相続税による申告の際に計算した相続税の金額から差し引くことができます。
2-2-3. 注意点
相続時精算課税制度を適用するためには、贈与税の申告が必要です。2,500万円の非課税枠を使って贈与税の税額が0になっても、申告をしないと非課税にはならない点が注意点です。
また相続時精算課税制度は、一度適用すると撤回することはできません。同じ贈与者からの贈与について、贈与した方が亡くなるまで相続時精算課税制度を適用していきます。
そのため、暦年贈与の年間110万円の非課税枠が使えなくなるというデメリットもあります。
2-3. おしどり贈与(夫婦間贈与)
夫婦間で居住用の不動産を贈与する場合は2,000万円までが非課税となります。
要件として、婚姻期間が20年以上ある夫婦間であれば適用できます。
なおこの特例を使って税額が0になる場合は贈与税の申告が必要です。
以下では要件等を解説していきます。
2-3-1. 適用条件
夫婦間で居住用の不動産(もしくは不動産の購入資金)を贈与する場合は、2,000万円までが非課税です。
暦年贈与の非課税枠(110万円)と併用できますので、実質2,110万円までが非課税となります。
なお同じ配偶者からの贈与で1回のみ適用可能です。
2-3-2. 適用までの流れ
贈与については、夫から妻、妻から夫のどちらからでも構いません。
婚姻期間の要件は20年以上であることが必要です。
また、贈与を受けた人が翌年3月15日までに、贈与を受けた不動産(もしくは贈与を受けた資金で購入した不動産)に居住することが要件です。
2-3-3. 注意点
この非課税の特例を適用には贈与税の申告が必要です。
特例を適用して税額が0になっても、申告をしなければ非課税にはなりません。
2-4. 暦年贈与
暦年ごとの贈与の場合は、1人あたり年間110万円までは非課税です。
sのため年間110万円以下の贈与であれば申告は必要ありません。
以下に適用条件などを記載します。
2-4-1. 適用条件
暦年(1月1日~12月31日)ごとの贈与を暦年贈与といいます。
この暦年贈与では、贈与された人は1人あたり年間110万円まで贈与税が非課税です。
2-4-2. 適用までの流れ
例として、1年間に300万円を贈与された場合は、110万円を引いた190万円に贈与税が課税されます。一方、1年間に105万円を贈与された場合は、贈与税は非課税となり、申告も必要もありません。
暦年贈与を使った贈与税の対策として、年間110万円を複数年にわたって贈与する方法が一般的です。
そのため、年間の贈与額が110万円以下であれば、複数年にわたって贈与しても贈与税がかからない形です。
2-4-3. 注意点
贈与契約によっては、贈与金額の合計額を一括で贈与したとみなされてしまい、贈与税が課税されるケースがあるので注意が必要です。
以上のいずれも特例を使って税額が0になるからといって申告しないでいいと思い込む方が多くいらっしゃるため申告については必要不可欠だと覚えておいていただければと思います。
3. 不動産を贈与する3つのタイミングと使える制度
不動産を贈与する3つのタイミングによって、それぞれ不動産の評価額は異なってきます。ここでは、それぞれのタイミングに対応する制度と不動産の評価額について解説していきます。
3-1. すでにある不動産を贈与
ご両親などの、すでに土地をお持ちの方から贈与をうける場合が1つめのタイミングです。
その土地の財産評価を「路線価方式」や「倍率方式」を使って行うことができます。
土地の利用単位となっている1区画ごとに評価をおこなっていくため、自分の土地でも一部を自宅、残りを誰かに貸していたりすると別々に評価する形になります。土地の評価としては主に「路線価方式」でおこないます。
また価値の少ない郊外、農村部などの路線価がついていない土地では「倍率方式」を使っておこなっていきます。
基本的には「路線価」を基準に決めますが、売買価格とは異なる評価価格です。2つの道路に面している土地や、形が特殊な土地である場合は、評価方法が異なってきます。
路線価が表示されていない土地を対象とするのが、倍率方式です。
倍率方式は、固定資産税評価額に国税庁が定めた倍数をかけて算出しする方式です。
路線価と固定資産税評価額のどちらも実際に土地を売買する際の価格よりも少ない額で評価することができるため節税の効果大でメリットがあるといえるでしょう。
3-2. 新しく購入した不動産の贈与
贈与を受ける方が財産として土地を所有していない場合で、ご両親が土地を購入して贈与を受ける場合が2つめのタイミングです。
購入してから贈与を受ける場合には、購入金額ではなく路線価方式や倍率方式を使って土地の評価をした額を贈与額とすることができるため、節税の効果が大となります。ただし、登録免許税と不動産取得税についてはご両親が土地を購入したときと贈与を受けたときの両方で発生してしまう点が注意点になります。
3-3. 不動産の購入費用を贈与
ご自身が土地などの不動産を所有していなくて、ご両親から土地などの不動産の取得費用の贈与を受けてから、土地などの不動産を購入する場合は、要件を満たせば住宅取得資金等特別控除を受けることができます。この場合は先述した非課税枠を活用して、贈与税の支払い押さえることが可能です。
ご自身で住むために不動産(土地のみも含む)を国内で購入もしくはリフォームする場合に、贈与税を0にできる制度です。
住宅取得資金等特別控除は、省エネ物件や耐震性バリアフリーの高い住宅を取得すると、1人当たり最大1,200万円までを非課税とすることができます。夫婦がそれぞれのご両親や祖父母から1,200万円ずつ贈与された場合は、最大で2,400万円までを非課税とすることができます。
決められた期日までに住宅を建てるために先行して土地を購入する場合でも利用できます。必ずしも住宅と同一のタイミングで土地を購入できるとは限らないため、この点はご安心ください。
なお注意点として、購入資金に対する非課税枠であるため、必ず現金を贈与してもらい、ご自身で土地の購入をしなければなりません。
また、土地の先行取得で利用する場合には、取得後に必ず翌年の3月15日までに取得した土地の上に住宅用家屋を新築または、新築に準ずる状態として、屋根またはその骨組みが完成している必要があります。
あくまで住宅取得資金ということで優遇されている制度なのでこの点はご注意ください。
4. まとめ
ここまで贈与税のあらましから様々な免除制度まで解説してきましたがいかがでしょうか?
上記から次の内容がわかりました。
不動産の免除制度の概要
贈与税のあらまし
基本的な贈与税の計算方法
贈与税は相続税の一部であるため免除制度がある
不動産の贈与税を免除できる制度として下記の制度がある
住宅取得資金等の特例
相続時精算課税
おしどり贈与(夫婦間贈与)
暦年贈与
不動産を贈与する3つのタイミングと使える制度として下記のものがある
すでにある不動産を贈与する場合
新しく購入した不動産の贈与
不動産の購入費用を贈与(住宅取得資金等の特例)
このように税金には知らないと損をしますが、国が教えてくれない制度が多くあります。
上記の記事を参考にしていただいて、みなさまの財産形成の際、少しでもお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。