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Category  不動産

2019年09月05日 更新

更地の相続税は高い!今からできる相続税対策の始め方まとめ

平成27年度に改正された税制で相続税は実質的な増税となりました。それを機に土地や建物を所有している人の相続への関心が高まり、相続税対策についても関心が高まっています。

特に土地は状態によって相続税が大きく異なるため、相続させる前に対策をしておかないと思わぬ高額な相続税がかかることがあります。所有している土地が空き家や更地の状態の場合は特に注意が必要です。

ここでは更地の相続税を中心に、評価額の求め方や税金対策の説明をしています。そろそろ相続を考えなければいけないと思っている方はぜひ参考にしてみてください。

1.更地の相続税は高い!評価額はいくらになる?

更地とは土地に建物や木立などが一切なく、整地もされていない空き地状態の土地のことを言います。小さくても建物があったり、農耕地になっている場合は更地ではありません。所有する土地が更地か整地か、その他の区分になっているのかは事前に確認しておいてください。

もしも所有している土地が更地であった場合、その土地の評価額が高くなります。評価額が高いというのは良いイメージがあるかもしれませんが、実は土地の評価額によって相続税が変化します。何も対策せずに更地のまま相続させてしまうと、高い評価額で相続税が算出さて相続した人に大きな負担がかかります。

更地の評価額は以下の計算式で求められます。

路線価×奥行き補正率×面積

※路線価と奥行き補正率は国税庁のホームページ上で公開されているので誰でも確認が出来ます。

路線価が30万円、奥行き18m、面積180平方メートルの普通住宅地区にある更地と仮定して実際に計算をしてみましょう。

30万円×1.0×180=5,400万円

5,400万円が原則的な評価額という計算になり、5,400万円を元に相続税が計算されます。

しかし、以下に該当する条件が悪いと判断される土地の場合は一定の割合で減額することが出来ます。

  • 間口が狭い
  • 奥行きが長すぎてバランスが悪い
  • 不整形地である
  • がけ地である

これらに該当する場合は評価額が下がり、自然と相続税も下がりますがやはり更地のままだと税金は高くなります。

少しでも相続税を下げるには更地をどのように活用するのがいいのでしょうか?次の項目では更地の具体的な相続税対策について解説をします。

2.更地の相続税対策とは?

更地に対して高い相続税がかかることを知ると、それなら売却してしまったほうがいいのでは?と思うかも知れません。しかし、土地を売却しても資産が土地から現金に変わるだけなので、現金に対しての相続税がかかってしまいます。

現金に対しての相続税や贈与税はかなり高いので、土地を売ってしまうと逆に損をするかもしれません。ですので更地の相続税対策として一般的にとられる方法は、評価額を下げるということです。

そのためにオススメなのが賃貸マンションやアパートを建設し、賃貸経営を行うということです。建物を建ててて賃貸経営を行うと、家賃の不払いや退去時のトラブル、抵当権の設定など様々な問題や義務が発生します。そのため簡単に土地を手放す事ができなくなり、市場性が下がって簡単に売買ができなくなるということに繋がります。イコール換金性が下がるという評価がされて相続税評価額も下がり、伴って相続税も下がっていくという流れになります。

市街地であまり利用されていない・利用されそうにない場所に月極の駐車場が作られているのを見たことがありませんか?何気なく通り過ぎてしまっているかもしれませんが、実はそうした駐車場も税金対策として作られている事があります。知らないだけでよく見る景色の中にも税金対策の光景が紛れ込んでいるわけですね。土地の税金対策は知識のある人ならば誰でも行っていることです。

次の項目では相続税対策を行った場合にどれくらいの減額が見込めるのかを考えてみましょう。

3.更地の相続税対策の効果は?

ここでは更地にマンションやアパートを建てて、賃貸経営をした場合に土地の評価額がどれほど下がるのかを解説していきます。

前述した5,400万円の評価額の土地にアパートを建てたと仮定して計算してみました。

3-1.更地をアパートの賃貸経営に利用した場合

アパートやマンションを建てて、他人に貸せる状態にした土地は更地ではなく「貸家建付地」というものになります。貸家建付地となった土地の評価額を求める際の計算式は更地とは異なります。

貸家建付地の評価額の求め方は以下の通りです。

更地の土地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)

※借地権割合は国税庁ホームページで公開されている路線価図で確認出来ます。
※借家権割合は物件を借りる側が持つ権利で30%として計算します。
※賃貸割合は物件の入居率のことで、満室になっていれば100%になります。

少し複雑に感じる計算式ですね。

借地権割合を70%、借家権割合を30%、賃貸割合100%として実際に計算してみましょう。

5,400万円×(1-70%×30%×100%)=4,266万円

更地の状態よりも2割ほど、1,200万円弱もの評価額の減額が出来るという計算になります。そして更に賃貸経営をしている場合は「小規模宅地等の特例」というものが適用されるので、ここから評価額が50%引き下げられます。

3-2.小規模宅地等の特例とは

賃貸経営などの事業を行っていた宅地の所有者が死亡した場合、一定の条件を満たすと評価額を下げるという制度です。相続する時はほとんどが所有者が亡くなったときなので、この特例が適用されることが多いです。

小規模宅地等の特例は200平方メートルという上限がありますが、適用された場合は4,266万円の評価額が2,133万円にまで下がります。

更地の評価額と比べると6割程も引き下げることが出来るという計算になります。驚くほどの評価額の減額=相続税の減額ができるというわけですね。

4.今からできる!更地の相続税対策の始め方

さて、ここまで読んできた方ならわかると思いますが、所有している土地の相続税対策はすぐにでも始めたほうが良いものです。特に更地を複数所有しているような場合は早めに対策をしておかないと相続した人が相続税を支払えないという事になりかねません。

相続税は基本的に現金の一括納付か物納なので、支払えなくて相続放棄ということも多いのです。そんな状況にしないために、今から出来る相続税対策を始めましょう。

もっとも着手しやすいのはやはり更地にアパートやマンションを建設して、賃貸経営を始めるということです。賃貸経営は固定資産税対策にもなるので、相続が発生する前でも税金対策になります。

賃貸経営を始めるには建物が必要なので、不動産会社等と相談して地域のニーズに合ったアパートやマンションを建設する準備を始めましょう。もちろん建設費用がかかるのでその費用の準備やローン組みにも時間がかなりかかります。そして建物の建設にも時間がかかるので、今すぐに始めても早すぎるということはありません。

まずは相続予定の人や家族との話し合いを行い、更地をどのように活用するかを決めることから始めてみてください。アパートやマンションの建設が難しい場合は、駐車場に作り変えてコストを抑えて活用するという方法もあります。

5.まとめ

不動産や土地の知識は普通の生活の中ではなかなか得られないもので、調べて初めて知る言葉や制度が多いです。何もない空き地である更地が評価額が高いというのも調べてみないとわからないことですよね。お持ちの土地が更地のまま放置されている場合は、まずはその土地の活用方法を検討してみてください。

ここでは賃貸物件としての活用をメインに解説しましたが、太陽光発電用地にしたり畑にするという方法などもあります。環境や土地の区分によってベストな活用方法は異なりますので、知識のある人を交えて協議するといいでしょう。

いずれにせよ相続が発生する前に更地を違う形で活用するに越したことはありません。ぜひこのページを参考に遊ばせている土地を活用し、子供や孫にかかる相続税を軽減してください。