事例紹介
Category 不動産
2018年10月22日
借地料の時効は5年もしくは10年|トラブル解決の方法とは?
借地料に時効があることをご存知でしょうか。
借地料のような、家賃・地代に分類される請求権は5年が時効とされています。一方、どこかで借地料の時効は10年と聞いたことのある方もいらっしゃるかもしれません。
借地料を取り扱うにあたり、時効は5年なの?10年なの?また、どんな時に時効が成立するの?などについてよく知っておくことが大切です。
1.借地料の時効はいつまで?
借地料の時効は5年です。家賃や借地料などの賃料請求権は、5年で消滅してしまいます。
2.借地料請求の消滅事項とは?
ここでいう、「消滅時効」とはどういったものなのでしょうか。
これは、ある権利を一定の期間行使せずにいた場合,その権利ごと消滅させてしまう制度のことを指します。もともとは、権利を行使しない状態が長期間続いたことにより、その権利が今後行使されることはないと信じた相手を守るための制度でした。
債権とは、土地を貸している人が借りている人に対し、借地料を支払うよう請求する権利といったもののことです。そのためこの権利も、長いこと行使されなかった場合には他の債権と同様、消滅時効によって消滅することがあるということになりますね。
ただし賃料請求権は,通常の債権と消滅時期が異なり5年です。ちなみにこのことを、定期給付債権の短期消滅時効といいます。
ここで家賃や地代などの賃料請求権は、5年で時効により消滅するということになると、つまり5年が経過すれば、たとえ滞納されていたとしても滞納賃料を請求できなくなります。
ただし、請求権がすべて消滅するのではなく、消滅時効が適用された債権だけが消滅します。
そして条件として、その権利を行使できる状態になった時から一定の期間が経過していることが必要になります。この期間は,権利の内容によって異なりますが、債権は原則として10年です。
ちなみに消滅時効は,法律で定められた一定の期間が経てばすぐに発揮されるというわけで消滅時効を援用する必要があります。援用とは、権利が消滅した結果、利益を得る人が不利益を被る人に対し、消滅時効を前もって主張しておくことです。
ちなみに、消滅時効の援用のやり方としては特別な方法はありません。口頭で相手側に援用を伝えてもいいのですが、よく使われる手段としては、消滅時効を援用するということを記載した書面を,配達証明付きの内容証明郵便で郵送するという方法ですね。
3.借地料請求の消滅時効の中断とは?
賃料請求権は、時効により5年で消滅してしまうことがわかりました。5年間滞納している賃料をそのままにしておくということはなかなか現実的ではありませんが、一応注意しておくとよいですね。
しかしもしもの場合、賃料の滞納が5年を経過してしまいそうになった場合は、時効を止めておきましょう。これが「消滅時効の中断」になります。
時効を中断するためにとる措置としては、請求が良いでしょう。それでも効果が出なかった場合は、差し押さえ、仮差し押さえ、仮処分、承認、などの措置をとることです。
ここでいう請求とは、裁判を起こすことで、単に請求書を送付するというだけではなく、賃料請求訴訟を起こすことを指します。
また、承認とは、消滅時効や取得時効の成立前に、権利がないことや権利があることを認めることで、承認が行われると期間はリセットされます。
ちなみに「催告」というものもあります。これは裁判上の請求でない請求にも適応できます。これは仮の時効中断のようなものであり、催告してから半年間は時効になりません。
つまり、滞納からもうすぐ5年たってしまうという状況で、訴訟の準備もなにもできていないなどという場合には、いったん催告をしておき、半年たって時効が成立してしまうまえに訴訟の準備をし、中断措置をとればよいでしょう。
また時効の中断は「時効期間の進行を中断させる」制度のため、時効中断をした時点でそれまでの時効期間はリセットされます。
わかりやすく説明すると、例えば消滅時効期間が5年であり、4年半滞納していた人がいたとします。ここで貸している側が時効の中断を行うと、これまで滞納していた4年半はいったんリセットされてしまうのです。
ちなみに催告の方法についてですが、配達証明付きの内容証明郵便で請求書を郵送するという方法で行うのが一般的でしょう。
4.借地料をめぐるトラブルにあった場合の対処法は?
それでは実際に、借地料をめぐるトラブルにあった場合の対処法はどのようにしたらよいのでしょうか。
よくある実例としては、「賃借人が家賃(地代)を支払ってくれない」「滞納家賃(地代)がかなりの金額になってしまったので回収したい」「契約を解除して、退去してもらいたい」といったものになります。
地主さんによっては、「家賃を払ってくれないなんて本当にあるの?」と思うかもしれませんが、実は意外とよくあるケースなのです。
そのほかとしては、「建物が老朽化したから立ち退きしてほしい」「土地の不法占拠者に対して明け渡しをしてほしい」などのケースもありますね。
対策としては、弁護士に相談をするのが最も手っ取り早いでしょう。
たとえば3~4ヶ月の家賃滞納があった場合、家賃の請求をするとともに契約解除・明渡請求までを弁護士が行ってくれます。
以下、実際に起きた事件の流れになります。
①家賃滞納者に通知を行う
まずは内容証明郵便により、滞納家賃の支払い及び建物の明渡を請求します。そこで保証人への請求を行うようになります。
➁示談交渉
郵送後、家賃滞納者より連絡があれば、滞納家賃の支払と明け渡しについて示談交渉を行うようになります。もし話し合いで解決がいくようであれば、オーナー様にも一定の譲歩を求めることができます。もしも早期の退去ができて、すぐに新たな入居者を募集することができるため、結果としてオーナー様に利益があるようになっています。
③建物明渡請求訴訟(裁判)
話し合いでの解決が得られなかった場合は、裁判をするようになります。
④強制執行
もしも判決が出たにもかかわらず滞納者が退去しなかった場合は、滞納者の意思にかかわらず強制的に建物から退去させます。
ただしいきなり強制執行に入るのではなく、それまでの間に任意に退去するよう交渉も継続します。
またこのようなことが起きてしまった際に、相談できる弁護士としておすすめなのが、「一宮総合法律事務所」です。
一宮総合法律事務所
電話番号:0586-43-3800
営業時間:平日9:30~17:30
休日にも問い合わせできる場合がありますので、聞いてみましょう。
5.まとめ
以上が、借地料の時効についての解説でした。
家賃をずっと滞納していた場合時効になってしまうというのは、実は意外と知らなかったという人も多いのではないでしょうか。
実際に時効になってしまった場合には、当然遡及して請求をすることは出来なくなってしまいます。手遅れになってしまわないうちに、対策を講じておくことが重要です。