事例紹介

Category  不動産

2018年11月04日

遺産相続でもらった不動産売却にかかる税金。その種類と節税対策は?

不動産は大きな金額が動きますので、その税金も多額になりがちです。せっかく近親者の方から譲り受けた遺産ですので有効に手元に残したいですね。その為にも税金の種類をおさえ、節税対策をしていきたいものです。悲しみの中でややこしい手続きをするのも辛いですが、専門家に相談しながら進めていきましょう。

  • 遺産相続で譲り受けた不動産の売却でかかる税金は、主に譲渡取得税と印紙税
  • 確定申告の方法は窓口、郵送、e-Taxのいずれでも良い。申告はお早めに
  • 条件によっては、3,000万円特別控除や取得費加算の特例が利用できることも

1.遺産相続した不動産を売却すると課せられる税金とは?

今の若い世代の方は前の世代の方と比べるとそこまでマイホーム志向はなく、ともすれば一生賃貸派な人もいます。ですが、その人たちより上の世代の人は家は買って当たり前の世代でした。土地を買えばその後は必ず資産になると言われていたからです。

この「土地を持ってさえいれば…。」という思考はどちらかと言うと地方の人で田舎の人であるほどに顕著です。特に田舎は比較的利便の良いところでなければ基本的に賃貸物件はなく、家は買って当たり前のものだからです。

もし不動産を購入しないとしたら、公営住宅などに住むしか選択肢がない状態でした。それは人口が多いことから、高齢者になると家を貸してもらえないということもあり、家は必ず買わないといけないものだったのです。

そして、その世代の方が年齢を重ねて、相続の関係が見えてくる年代になりました。ですので、その世代の親御さんが亡くなって、下の世代の人が相続で地方の不動産を受け継ぐことが増えてきました。ですが、最近の若い人は都心部に出る傾向にあります。やはり都心部の方が仕事が多くあるので、仕事を求めてそのような都心部に出る方が多くいます。さらに言えば、中に生まれ育った町はあまり好きではなく、帰る予定は全くない人がいます。このようなことから、地方の不動産を引き継いでも住む予定はなく管理が行き届かなくなることもあります。

そしてお子さんにも兄弟がいた場合は不動産として所有するよりかは、売って現金にして、それを2等分なり3等分なり兄弟姉妹の人数ごとに分けるのが1番平等にできるのでよく使われる方法です。ですので、地方の不動産を相続してから売却する人が非常に多いです。

また、いつか誰かが住むかもしれないと言って放置する事は基本的にできません。それは何故かと言うと住宅は傷みやすく、常に誰か住んでいるようにしたほうがいいからです。

ただ、地方で育って都心部にでて生活しているのであれば、その都度地方に帰って清掃や管理などをするのは容易ではありません。ですので、いつか誰かが住むかもと持っておく事は基本的にできません。どうしてもと言うことであれば賃貸として貸し出すという選択肢ぐらいしかありません。

とは言えど、そのような便利なところであれば苦労はしないのですが、地方でなおかつ田舎であれば賃貸でも人が入るかどうかすら疑わしいところがあります。ですので、どちらかと言うと売ってしまった方が良い結果になるケースが非常に多いです。その儲け分を等分するとシンプルに考えがちですが、当然所得を得る事ですので税金がかかります。

そして相続関係の事ですので相続税等相続に関する税金もかかることを覚えておきましょう。また、そのような税金だけではなく諸経費もかかります。

ただ、一つ確認して頂きたいのはその不動産を被相続人がどれくらいの値段で購入したかという事です。相続人は基本的にその不動産を手にするときにお金は支払っていません。ですので、不動産を所得した金額は0円だと思うでしょう。

ですが、被相続人が不動産取得をするときにお金をかけていた場合はそれをも引き継ぐ形になります。ですので、その被相続人の方がその不動産にかけたお金を、不動産を得る時に使った金額として計上することが認められています。

後に計算式の時に触れますが、この不動産取得にかかった金額が税金に大きく関係します。

1-1.どんな税金が課せられる?

やはり不動産の売却と言うと色々と税金がかかってきます。後に詳しく解説していきますが、所得税、住民税等など基本的な税金もかかっていますがその他諸々にかかっています。では、具体的にどのような税金がかかってくるのかを見ていきましょう。

ただ、こちらは不動産の売却について取り上げていますので、相続してから10か月以内で支払っている相続税は除きます。

<譲渡取得税>

相続した不動産を売却すると譲渡取得税がかかります。この譲渡取得税は、長期譲渡取得、短期譲渡取得に分けられます。

この、長期譲渡取得は相続をしたその日から5年を超える場合に適用されます。5年以下であれば短期譲渡取得の方に分類されます。なぜこのような違いが出てくるのかと言うと、税率に違いが出てくるからです。やはり、特に田舎の方であったり利便があまり良くないところだと不動産があまり売れないのはよくあることです。ともすれば5年もかかってしまっている事はよくあることでしょう。

そうではなくても、不動産を売るのはなかなか同じ相続人同士で話が合わないこともあり、それぐらい簡単に経過してしまうこともよくあることです。最近は県外に出ている人も多いですし、ともすれば海外にいる人もいます。ですので、なかなかそのような不動産を売る手続きや相続についてあまり話が進まないケースは良く見聞きすることです。

そして、たまに未定ではあるものの高速道路が通るなどで立ち退きがあるケースもあり、1代では済まないこともよくあります。そうなると5年超はあっという間です。

ただ長期になると、税率が少々安くなる傾向にあります。所得税に関しては、不動産を売った金額の15%かけた金額が所得税となります。

そして住民税と言うと一律10%のイメージがありますが、この不動産の譲渡所有所得課税に関しては、所得不動産が売れた金額に対し5%かけた金額が住民税です。

そして、比較的すんなりと売れたケースだと、短期譲渡所得税になる場合もあるでしょう。その場合は、売った金額の30%かけた金額が所得税となります。そして住民税に関しては、9%かけた金額がそうなるのです。

この、所得税と住民税を足したものが譲渡取得税となります。

ただ最近は色々と災害も多く、復興を必要としている地域も多いです。ですので、平成24年から平成49年まで、復興特別所得税なるものがかかります。この復興特別所得税は、基準所得税に2.1%を上乗せされた金額になります。

分かりやすく5年を超えて所有していた不動産が仮に1,000万円で売れたとしましょう。所得税は1,000(万円)×15%で、150万円が所得税になります。この所得税に対してさらに2.1%を課税します。150(万円)×2.1%で、3.15万円となります。確かになるべく税金を抑えたいところですが、日本全国色々と困っている地域が多いですので、致し方ないところもありますね。

国税庁の下記のサイトにも詳しい説明が載っています。

国税庁(No.3208 長期譲渡所得の税額の計算):https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3208.htm

国税庁:(No.3211 短期譲渡所得の税額の計算):https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3211.htm

<印紙税>

基本的に不動産の売買と言うと非常に大きなお金が動きます。そして、非常に大きな金額が動くと、その金額に対して印紙税がかかってきます。不動産売買の場合にある印紙の種類は売買契約書です。そして最近は不動産の売買による税金の軽減なども色々と打ち出されています。

平成26年4月1日から平成32年3月31日まででしたら、この印紙税の軽減処置があります。詳しい概要については国税庁のサイトを確認してみましょう。合わせて不動産売買にかかった金額による印紙の金額も表になっています。

国税庁(不動産売買契約書の印紙税の軽減措置):https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/08/10.htm

1-2.税金の支払い義務者は誰?

やはり、不動産の売買では、売買契約書に印紙を張り付ける必要があります。印紙は買主と売主のうち、どちらが負担するのかについてはさまざまなケースがあります。

例えば、売買契約書を2通作成し、売主と買主それぞれが原本を保有するケースでは売主買主双方が印紙税を負担するのが一般的ですが、一方で売買契約書を1通作成し、1通は写しを作成する場合は原本を保有するほうが印紙税を負担します。

なお、この時原本を保有するのがどちらかについても、特に決まりがありません。ですが、どちらか一方が原本を持ち、どちらか一方がコピーを持っているのであれば、原本を持っている人は売買契約書の印紙税を支払うことになります。

そして譲渡取得税ですが、こちらはその不動産を売った人が負担します。ただ、中には共有名義で不動産を引き継いでいる人もいるでしょう。その場合は、共有している人全ての納得が必要です。誰かが反対してるにもかかわらず独断で不動産を売ることができません。

もしどうしても売りたいのであれば、共有している人の部分を買い取ることで単独名義にする必要もあります、皆が地方ではなく都心部に出て行き、不動産にそこまで執着のない人ばかりであればあっさりと了解が得られることがあります。

もし、共有した状態のまま売却した場合、持分の売れた金額に対して税金がかかってきます。基本的にまとめて確定申告をすることが難しく、それぞれに確定申告の必要性があります。

1-3.確定申告の方法と期限は?

日本は税金に対して非常に厳しいところがあります。固定資産税についての支払いは免れる事ができず、不動産を所有していたら固定資産税を払い続ける必要があります。ですので、多くの人はこの固定資産税の支払いがずっと続くことに困り果てて、不動産を投げ売りする人も多いです。

ともすれば無償譲渡をしてでもどうにかして手放したい人もいる位です。ですので、固定資産税はもちろんのこと所得税や住民税に関しても同様に厳しいのは言うまでもありません。

皆さんも一度は国税庁のGメンについて見たことがあるのではないのでしょうか?

例えば現金を隠し持っていても、過去のノウハウから立ち入り調査をすれば壁裏に隠していても見破ってしまいます。所得税や住民税に関しても納付期限を過ぎると、遅延金が課されることになります。昔に比べると利率は下がりましたが、1ヵ月経過するまでの遅延金で年2.8%、1ヵ月以上経過すると、9.1%と非常に高額です。そして再三の連絡を無視するなどで悪質な滞納者と認められたら、財産差し押さえとなります。

不動産はもちろんですが、現金預金などあらゆる資産が対象になります。そして、税金の滞納については自己破産しても支払い義務がなくなるわけではありません。だからこそ、税金の支払いは大切なのです。

ですので、気を引き締めて確定申告の方法と期限を見ていきましょう。

<納付期限>

まず、確定申告の意思があっても期限を守れていないと遅延金がかかります。

ただ、うっかりというだけでしたら1,000円以下の遅延金であれば切り捨てで0円とされますので気が付いたら早急に確定申告をするようにしましょう。このような救済処置はあるもののやはり期限に間に合ったほうが良いのは言うまでもありません。

2019年度に関しては2019年2月18日(月)から3月15日(金)です。2019年度と言われるので誤解されがちですが、この時に2018年1月1日から2018年12月31日分の確定申告を行います。

毎年の恒例としてはだいたい2月16日から3月15日です。ただ、土日等が重なることがあると微妙に変わることはあります。毎年きちんと確認をしましょう。

<確定申告の方法>

確定申告の方法は様々ありますが、それぞれにメリットやデメリットがあります。では、一つ一つ見ていきましょう。

◆直接税務署(税務課)に行く

大原則としていく前に事前に問い合わせをしておいた方が良いでしょう。それは、あまりにも大きな金額であったり複雑である場合は、職員の方も手に負えず税理士などの専門家に相談するように言われるケースもあるからです。

一口に税務署(税務課)の職員といっても色々な方がいるので、A税務局では窓口でアドバイスをもらえたとしてもB税務局では税理士への依頼をするように言われる可能性もあります。もし、実際に行くことを問い合わせてOKをもらえたとしたら、もし分からないことがあれば聞きながら記入していく事もできます。

郵送やe-taxも便利なところはあるものの、やはり不備があると連絡がありやり直しが必要になることもあります。ですが、実際に出向くとなれば直接職員の方と相談しながら書くことができます。ただ、確定申告の提出期間である2月15日から3月15日くらいまでは窓口が非常に込み合う傾向にあります。ですので、それ以前に直接行く方が良いでしょう。

おすすめはあらかじめ自宅などで書類をまとめておいて、それを持って出向き確認をしていく形です。直接職員の方に見てもらって不備があればそこを指摘してもらうことができます。ただ、注意点としては、持っていくものを忘れると二度手間になります。ですので、持っていくものについても事前に必ず確認しましょう。

まず、不動産売買で得た所得に関する申告について、持っていくものは下記のとおりです。

<売買した時の書類>

不動産を売買すると色々な書類があります。例えば、印紙の時に触れた相続した不動産を売った時の売買契約書がそうですね。ただ、こちらはコピーでも問題ありません。その他にも固定資産税精算書、仲介手数料などの領収書、売買代金受領書なども必要ですが、このいずれもコピーで問題ありません。不動産を売却したときに書類をもらったら必ずコピーをしておきましょう。

<売却した不動産を取得した時の書類>

その不動産を取得したときの書類も必要になります。

上記であげた売買契約書や固定資産税精算書、仲介手数料の領収書、売買代金受領書(写し)なども購入時にもらっているはずですので、確定申告の時は準備をしましょう。

税額の計算の時には購入した時にかけた金額も関係してきます。もし増改築をしていれば増改築時の請負契約書や領収書もあるかと思われます。こちらもコピーでも構いませんので持っていきましょう。

ただ、もう購入してから数十年前だから等の理由で、そのような書類が全くないケースも珍しくありません。その時はその不動産を売却した時の金額の5%相当を取得時の金額として挙げることが認められています。

ただ、この方法で計算をすると支払う税金は高くなる傾向にあります。節税をしたい人にとっては何とかしたい問題でしょう。ですが、そのような書類が見つからなくてもあきらめる必要はありません。「客観的に」その不動産にかけた金額を証明できるものがあれば良いのです。

具体例を挙げると銀行口座の通帳は不動産にかけているお金であるという根拠を示せるものの一つです。多くの方は住宅ローンなどを銀行引き落としにしているのではないでしょうか?また、チラシを見て購入を決められたのであれば、仮にそのチラシが残っていてそこに金額が載っていたら認められることもあります。

それらの客観的データとなりうるものを複数個集めましょう。ただ、こちらも事前に税務署(税務課)などに相談するのが確実です。

  • 譲渡所得の内訳書

こちらは遺産相続をした不動産を売却した後に税務局から届く書類です。届いたら大切に持っておきましょう。確定申告の時にこちらの書類を添付します。

気になる中身ですが、売却金額やその不動産を売るにあたってかかった費用などが記入されています。

  • 売却不動産の全部事項証明書

売却した不動産の登記に関する書類は法務局で取得することができます。こちらは控除を受ける時に必要な書類ですので、控除の対象外になるなどの場合は必要ありません。

その控除は、居住用財産を売却した時に、一定の要件を満たすことで適用を受けられる「3,000万円控除」や、相続した財産を譲渡した際に一定の要件を満たすことで適用を受けられる「相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例」です。

  • 戸籍の附票

こちらも「3,000万円控除」などの控除を受ける際に必要な書類です。

もし親御さんと同居をしていて親御さんが亡くなられたのであれば、基本的に被相続人の住所と売る不動産の住所は一致します。その時は必要ありません。

ですが、相続で譲り受けた不動産に関してはそのように住んでいた家ではなく、親御さんが住んでいた家でお子さんは別居をしていたケースの方が多いでしょう。その場合は必要です。

以上が不動産売却に関する必要書類ですが、節税のためにも下記のようなものがあったら税務局に確認した上でOKが出たら持っていきましょう。

  • 給与所得の源泉徴収票

遺産で譲り受けた不動産を売買する人は会社勤めをしている方も多いでしょう。そうすると給与所得がある状態になります。ですので、給与所得の源泉徴収票を持っていく必要があります。

  • 医療費控除(病院の領収書)

大病をしたりで医療費が多く出ている方は医療費控除の対象に入る可能性もあります。大病などは関係のない若い世代であっても出産をすると多額の医療費がかかります。出産費用も医療費控除を受ける事ができます。

基本的に10万円以上医療費がかかっているのであれば医療費控除を受けることができる可能性が高くなります。が、年収311万6,000円未満の方でしたら10万円以下の医療費でも対象になることがあります。いろいろとケースバイケースで違ってきますので、ご心配であれば税務課の職員か専門家に確認をしましょう。

  • 保険料控除(保険会社の書類)

多くの方が加入しているであろう保険も控除が効くケースが多いですので、11月くらいに届く保険会社からの書類も持っていきましょう。上記のような控除がありますが、それ以外にも配偶者控除、扶養控除など様々な控除があります。

こちらは書類をダウンロードしたり専用の書類をもらって記入する形になります。各控除は非常に多岐にわたるので、詳しくは国税庁のホームページを参考にしましょう。

国税庁:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki2017/b/04/4_01.htm

◆郵送で送る

中には税務署や税務課が近くにない方も多いでしょう。直接出向くのが大変であれば郵送で送ることも可能です。郵送の場合に気になるのは期限に関することですが、決して3月15日「必着」である必要性はありません。消印で3月15日付けでも大丈夫です。

ただ、気を付けるべき点はポストに入れた時です。ポストに投函した時間によっては翌日の回収である可能性もあります。そして、仮に当日回収されたとしても当日の消印になるかも定かではありません。

出来ればギリギリではなく事前に出しておいた方が良いのは言うまでもありませんが、どうしても難しいのであればゆうゆう窓口も検討しましょう。このゆうゆう窓口は時間外の郵便でも受け入れてもらうことができます。ですが全ての郵便局で対応しているわけではありませんので、お住まいの地域の郵便局で対応しているかどうかは必ず確認しましょう。

ただ、見る限りでは主要の郵便局1件だけという例が多いです。東京においても23区の一つである中央区を例に挙げても1件のみで決して多くはありません。

では、逆に早く出したらどうなるかですが、それは問題ありません。2月15日より前に出しても受付をしてもらえます。ですので、極力余裕をもって取り組むようにしましょう。

遺産を売ったことにより生じる確定申告では一次的な収入となりますので、多くの方が白色申告を使います。こちらは複式簿記である必要性はないですので、比較的容易に確定申告ができます。郵送方法も信書で送るというルールがありますので気を付けましょう。

少し難しく感じられるのであれば普通郵便で送ったら間違いがないと覚えて頂いてもかまいません。大きさは基本的に「角形2号」と呼ばれるA4サイズを選ぶ形になります。

◆e-Tax

青色申告の方であればおなじみかもしれませんが、相続で譲り受けた不動産を売る方にとってはあまりなじみがなく、良く分からない方も多いでしょう。こちらは専用のソフトを使って国税の申告などができるという趣旨のものです。ただ、使う際には電子証明書が必要などで色々な手続きを踏む必要があります。

この手続きについて、国税庁は下記のように定めています。

電子証明書の取得

e-Taxで申告手続等を行う場合には、本人確認を行う必要があるため、マイナンバーカードや住民基本台帳カードに組み込まれている「公的個人認証サービスに基づく電子証明書」などの電子証明書を取得していただく必要があります(特定納税専用手続利用者又は所得税徴収高計算書、納付情報登録依頼及び納税証明書の交付請求(署名省略分)のみの利用者を除きます。)。

なお、電子証明書を発行する認証機関によっては、電子証明書がICカードに組み込まれている場合がありますので、この場合は、別途ICカードリーダライタ(ICカードリーダライタは、家電量販店等で3,000円程度で購入することができます。)及びそれを使用するための専用ソフト(詳しくは、ご利用の電子証明書の発行元に確認してください。)が必要になります。(e-Taxで利用可能な電子証明書の発行機関については、こちらを御覧ください。)

電子申告・納税等開始(変更等)届出書の提出

e-Taxを利用しようとする方は、電子申告・納税等開始(変更等)届出書(以下「開始届出書」といいます。)を、事前に納税地を所轄する税務署に提出する必要があります。

「e-Taxの開始(変更等)届出書作成・提出コーナー」を利用すると、オンラインで開始届出書を提出(送信)し、利用者識別番号等についてもオンラインで取得することができます。開始届出書の詳細及びオンラインによる提出については、「e-Taxの開始(変更等)届出について」をご覧ください。

※ 特定納税専用手続をご利用される場合は、開始届出書をオンラインで提出することができません(書面のみでの提出となります。)。
利用者識別番号等の取得

開始届出書をオンラインで提出した場合は、利用者識別番号等がオンラインで発行(通知)されます。

なお、開始届出書を書面で提出した場合は、後日、税務署から利用者識別番号等を書面で通知されます。」

(引用:国税庁http://www.e-tax.nta.go.jp/gaiyo/gaiyo1.htm

このe-Taxのメリットは項目に沿って入力していくだけで確定申告の書類を仕上げることができることです。計算ミスを防いだり、源泉徴収票や医療費控除の領収書などに関しては書類添付を省略することも可能です。そして何より還付がスムーズであるところも良い点です。

ですが、その一方で導入までに時間がかかったり、より機能性の良いパソコンに買い替える必要性が出てくる可能性があります。

青色申告者で何かにつけ確定申告が必要な人でしたらまだしも、相続で不動産を譲り受けただけでそう何度と確定申告をしない方にとっては導入してまでe-Taxを使う必要性も感じられないかもしれませんね。

2.譲渡所得税の計算方法

譲渡取得税の計算方法は下記のとおりです。

課税譲渡所得=売却価格 -(売却した不動産を取得した時の取得費+売却した不動産を売却するのに要した譲渡費用)

課税譲渡所得×(20.315%(若しくは39.63%))=税額

※5年を超える保有で20.315%、5年以下の保有で39.63%です。

3.遺産相続した不動産を売却する際の税金対策

不動産を売却すると、利便の悪い土地を二束三文で売らない限りは多くのケースでは大きなお金が動きます。ですので大きなお金になるケースも多いです。

だからこそ何とかして節税したいですね。控除などを使うことができれば、納付額を少なくすることもできますし、ともすれば全く負担なしにすることさえ可能です。

では、節税対策にできそうな控除などを見ていきましょう。

3-1.3,000万円特別控除

この制度は相続をしてからずっと空き家であった不動産を売却することで3,000万円の特別控除を受けることができます。ですが、一戸建てであることや2013年1月2日以降に相続した不動産であることなど様々な条件があり、適用範囲が狭い制度でもあります。

非常に多岐にわたるので、詳しくは下記の国税庁のホームページを参考にしましょう。

国税庁:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm

3-2.取得費加算の特例

相続してから3年以内に相続した不動産を売却することによって受けることができる制度です。正確な期限としては相続をした翌日から3年としています。

上記の計算式で見て頂くと短期で売却したときの税額が多くなっているのにと思われるでしょう。ですが、こちらは取得費に加算することで納税額を節税することができる方法です。

詳しい説明や計算式は国税庁ホームページを参考にしましょう。

国税庁;https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3267.htm

4.遺産相続した不動産の売却や税金の相談先

やはり遺産相続で不動産を相続するときは非常に大きな金額が動きます。やはりプロに相談することは必須です。主な相談先としては、弁護士、司法書士、税理士、行政書士となっています。

それぞれにできる事とできない事があります。代理人としての交渉や解決調停・審判の弁護といったことは弁護士しかできず、相続不動産の所有権移転登記や遺言書の検認などは司法書士しかできないなどそれぞれに権限があります。

詳しくは法テラスに出向くなり、評判の良い専門家に相談することを視野に入れましょう。

5.まとめ

遺産相続で譲り受けた不動産の売却に関しては様々な手続きが必要です。

不動産の売却は二束三文で売らない限りは大きな金額になりがちです。ですが、その金額に対する税金がかかることを忘れないようにしましょう。

ネットで様々な情報がありますが、それは参考程度にとどめて弁護士や司法書士などの専門家の方と相談しながら確実に手続きを進めていく事が大切です。