農地から宅地に転用する費用はいくら? 使っていない土地を有効活用しよう!

農地をうまく活用したいと思う方は多くいらっしゃるしょう。最近では、副業として不動産収益を得る方も増えています。実際に、農地を宅地に転用した場合、どのくらいの費用が必要になるのでしょうか。

ここでは、具体的な費用相場と、その後の土地活用に関するメリット・デメリットなどをお伝えします。

1.農地転用にかかる費用相場はいくら?【宅地編】

農地転用に関する費用は、決して安くありません。転用手続きに関する費用だけではなく、その後の工事費用なども必要になります。

1-1.手続き費用の相場は10~16万円ほど

農地転用の費用は、条件に応じて大きな差が出ます。

◆農地転用費用が上下する条件

・市街化区域か市街化調整区域かによって変わる・・・市街化区域の場合は「農地転用届け」になり、手続きが比較的簡単であるため安くなります。市街化調整区域の場合は「農地転用許可」となり、県知事の許可を受けることが必要となり、手続きが煩雑となるため高くなります。

・土地の面積によって金額が変わる・・・土地の面積に応じて、土地改良区域外決済金を支払う必要があります。広大な農地を転用する場合は、相場の金額よりも高額となるでしょう。

・手続きの代行を依頼する先によって報酬が異なる・・・大半の方が、農地転用の手続きを行政書士に依頼することになります。担当者によって報酬費用が異なるため、事前に見積もりをとりましょう。

2.農地転用にかかる費用

2-1.最も負担が大きいのは「土地改良区域外決済金」

◆土地改良区域除外決済金とは

・・・「土地改良区」という農家の組合のような組織で、農地全体の管理を行っています。周辺の農地に水路を造るなど、インフラ整備をする役割を担っており、農業を行う人は必ず入らなくてはならない組織です。そのため、農地を宅地に転用する際、その組織を脱退する代わりに、他の組合員に大きな負担がかからないようお金を支払うものです。それが土地改良区域除外決済金です。いわゆる、「手切れ金」としての意味合いが強いお金になります。農地転用して農業を廃業する人は、必ず支払う必要があります。

土地改良区域除外決済金は、1㎡あたりの金額が地域によって決まっており、1㎡当たり数十円から数百円です。土地が広い方ほど除外決済金の負担が大きく、転用費用が高くなります。

2-2.市外化区域の農地転用は割安

転用手続きを行政書士などに依頼する場合、報酬例は以下の通りです。

  • 市外化区域内・・・3~4万円
  • 市外化調整区域内・・・9~10万円

市外化調整区域の場合は、金額が倍以上高くなっています。これは、市外化調整区域の土地を農地転用する手続きが大変なので高額になります。原則として、市外化調整区域の土地は、農地転用してはいけない決まりになっています。そのため、都道府県の許可が必要となり、提出書類も多く、転用手続きが煩雑になるのです。

仮に、市外化調整区域で農地転用できたとしても、その後、その区域に建物を建てるときも建築許可が必要になります。市外化調整区域は、原則として、建物の建築も許されていないからです。市外化調整区域の土地の取扱いは、注意が必要になります。

2-3.農地転用費用の一覧(目安)

  • 法人の登記簿謄本(法人の場合のみ):600円
  • 土地の登記簿謄本:600円
  • 土地計画図・農業振興地域区域図(土地の位置を示す地図):450円
  • 申請に係る土地に設置しようとする施設の位置を明らかにした図面:3000円
  • 残高証明書:800円

・・・農地転用には資金力の証明が必要になります。宅地にするために造成費、建物を建てる場合は建築費、転用した土地を新たに購入する場合は土地購入費など、実際に転用した場合、計画通りに実行できるかを資金面で証明しなくてはいけません。

  • 融資証明書(必要な場合):7,000円

・・・上記で、資金力を証明するために残高証明書の提出が必要であるとお伝えしましたが、その資金を借入でまかなう場合は、融資証明書が必要になります。金融機関から借入する場合は、その金融機関の発行する融資証明書、親族などに借りる場合は、それを証明するものが必要です。

  • 土地改良区の意見書:2,000円

・・・これは、土地改良区域除外決済金を支払ったら発行されるものです。

  • 土地改良区域除外決済金(目安):39,600円
  • 土地改良手続き報酬(行政書士などへの報酬分・目安):10,000円
  • 転用手続き報酬(行政書士へなどへの報酬分、市外化区域の場合・目安):35,000円

⇒合計99,050円

※市外化調整区域の場合は、転用手続き報酬が10万円前後となります。

3.農地転用許可後の宅地工事にかかる費用

農地を宅地に転用して建物を建てる場合、宅地にするための工事(宅地造成工事や水道管引き込み工事)をする必要があります。農地転用の申請をする際、残高証明書や融資証明書を提出しますが、それは、これらの工事が確実に実施できるかを確認するものです。

3-1.宅地造成工事費の目安

3-1-1.宅地造成工事とは

土地を宅地として利用するには、土地の高さを道路と同じにする必要があります。農地から転用した土地は、道路より低い位置になっていることが多く、その部分に盛り土(盛土)する必要があります。また、道路よりも高く盛土をした場合、「盛土のための土留」も必要になります。コンクリートの擁壁で側面を固めることを土留と言います。

【その他宅地造成とされる種別】

  • 整地・・・デコボコのある土地や盛土した後の地面を地ならしする工事のことです。
  • 伐採、抜根・・・樹木や根などを伐採し、除去するための工事です。
  • 地盤改良・・・田などの軟弱な表土で覆われた土地の地盤を安定させる工事のことです。

3-1-2.工事費用の目安

一般的に、土地面積480㎡で60万円前後費用がかかると言われますが、土地の状態や各市町村の基準によって異なるため、参考例として、東京都と福岡県の例をご紹介します。

(例:東京都の場合)

  • 整地:2,300円/坪
  • 伐採/抜根:2,000円/坪
  • 地盤改良:5,000円/坪
  • 盛土:15,900円/坪
  • 土留:187,400円/坪

(例:福岡県の場合)

  • 整地:2,000円/坪
  • 伐採/抜根:2,000円/坪
  • 地盤改良:4,600円/坪
  • 盛土:14,500円/坪
  • 土留:154,400円/坪

なお、具体的な金額を見積もるに当たり、事前に自治体の都市計画課や土木事務所などに相談した上で、信頼できる土木会社へ連絡してみましょう。また、農地転用後に新築を建てる予定の方は、新築を依頼するハウスメーカーに相談することも一つの方法です。

3-1-3.駐車場にするときも造成工事が必要?

駐車場にする場合は、通常の造成工事を行ったあと、駐車場にするための追加工事が必要となります。宅地造成後、そのままの土の状態だと雨が降ったあとに泥となり、泥で道路が汚れて近隣地域に迷惑となります。そのため、砂利やアスファルト、コンクリートでの舗装が必要です。

【駐車場工事の費用(目安)】

砂利・・車1台分で4万円。砂利が道路に流出しやすい。

アスファルト・・車1台分で15万円。古くなるとはがれやすい。

コンクリート・・・車1台分で20万円。高額だが、耐久性に優れている。

舗装費用は決して安いものではありません。この塗装費用の負担を軽減させる方法として、駐車場運営会社に更地の状態で貸し出す方法があります。これを「土地貸し」と言います。しかし、よほど立地条件が良くなければ難しいかもしれません。元々が農地として使っていた土地なので、駐車場として大きな収益が見込めなければ、駐車場運営会社も積極的には借りてくれないでしょう。

駐車場にする場合は、事前に地元の不動産業者へ相談し、その土地の潜在的ニーズを把握した上で土地活用をすることが重要です。

3-2.水道引き込み工事の費用

一般的に、新しく水道管を引き込む費用の相場は、約30~50万円と言われています。ただし、実際に工事をしてみて、水道管接続までの距離が長かった場合や掘るのが大変な場合は、当初の見積もり金額よりも高くなる傾向にあります。

新しく水道管を引き込む工事は、前面道路にある水道本管から、該当の土地内に20㎡の配管を接続するのが通常のケースです。では、どういった場合に工事費用が高くなるのでしょうか。

◆水道管の引き込み工事が高くなる土地の特徴

  • 全面道路が県道や幹線道路沿い・・・県道や幹線道路沿いは、トラックなど重量の大きい車が通ることを想定されているため、一般道路よりもアスファルトを頑丈にしています。水道管を通す工事は、アスファルトを掘る必要があるため、分厚いアスファルトだとコストが高くなります。また、アスファルト処分費用も余計にかかるため、工事費用が通用の1.5倍高くなることが想定されます。
  • 前面道路に埋設する水道管が遠い場合・・・該当土地の手前に水道の本管があれば良いのですが、対面側にある場合は、引き込み費用が高くなります。
  • 奥まった場所にある土地・・・いわゆる「旗竿地」で、接道道路から距離のある土地のことです。こちらも、本管からの距離が長くなるため、引き込み費用が高くなります。

4.宅地転用後にかかる費用

4-1.登記費用

農地転用後は、造成工事と水道引き込み工事で終わりという訳ではありません。これまでお伝えしたことが全て完了したら、最後に登記手続きが必要です。法務局に申請を行うことで、登記簿上の土地の地目を農地から宅地へ変更する必要があります。

地目変更の登記は、自分で申請手続きをすれば、数百円程度の費用で済みます。しかし、司法書士などの専門家に手続きを依頼すると、4万円前後の代行費用が必要になります。

ただし、農地転用後に新築を予定している方は、新築時も登記手続きが必要になります。多くの方が司法書士に依頼するため、登記費用をすべて含めた金額を請求されることになります。決して安くない金額ですので、複数の登記を一人の司法書士に依頼すれば、若干の割引が期待できるかもしれません。

また、地目変更の登記は、そこまで難しいものではありません。法務局の中でも、登記方法の相談会などを実施しているため、時間がある方は、相談会などを利用して、自分で地目変更の登記をされるのが最も安上がりな方法です。

4-2.固定資産税は高くなる

農地転用後、直ぐに必要となる費用ではありませんが、農地から宅地へ変更したことで、土地にかかる固定資産税が高くなります。元々、農地は宅地よりも収益性が乏しいため、農地の課税額は、非常に低い金額となっています。

また、宅地に転用した後、建物を建てた状態と更地の状態では、更地の方が、固定資産税が高くなります。農地転用するときは、その後の土地活用による固定資産税への影響を考慮しましょう。

5.農地転用で宅地にするメリット

農地を放置したままで、将来的に農業をする予定のない方は、農地転用することのメリットは大きいです。

5-1.土地活用で不労所得が期待できる

農地を使っていなかった方は、農地転用することで、それまでより土地を有効に活用することができます。最も多い例として、アパートや駐車場経営により不労所得が得られることです。当然ですが、アパートの建設費用などの初期費用は必要になります。

しかし、会社員の方などは、定年退職後も収入が得られるため、長期的にみるとメリットは大きいです。また、最近では、アパートや駐車場経営に限らず、太陽光発電による売電、コインランドリーやコンテナハウスなどで土地活用している方も増えています。

5-2.宅地にすることで、売却できる可能性が高まる

農地を売りに出したいと思っても、買い手が限られてしまうため、売却が難しくなります。よほど立地が良くない限り、買い手側が農地転用することは少ないです。農地転用し、宅地造成した後の整った状態で売りに出すことで、買い手が見つかる可能性が高くなります。農地転用の費用も売却金額に上乗せした金額で売り手が見つかれば、実質的な自己負担は少なく済みます。

6.農地転用で宅地にするデメリット

6-1.固定資産税が高くなる

農地の固定資産税は非常に少ないです。一般的に、農地10アールあたりの固定資産税は、数百円~1,000円程度ですが、宅地の場合は10アールあたり1~10万円になり、固定資産税の負担額は大幅に上がります。農地転用後に、その宅地から収益を生み出せる土地活用をするか、売却益を得るかで固定資産税をカバーするような工夫が必要です。

6-2.土地活用が成功する保証はない

農地のままであれば、低い固定資産税で済み、自分で耕して農作物を作ることもできます。一方、農地転用するには、多額の費用が必要です。その上、土地活用する場合は、さらなるコストが必要になります。

また、その宅地を売却しようとしても、売り手がみつからない可能性もあります。費やしたコストに見合うだけの収益が得られるかどうか、立地状況やコスト面などを専門家に相談しながら農地転用することをオススメします。

7.農地を宅地に転用して活用するためのポイントと注意点

7-1.事前に不動産屋に相談するのがポイント!

農地転用したあとの土地活用が成功するかどうか、その土地の立地条件や需要状況が鍵となるでしょう。その地域でアパートや駐車場が少なく、賃料の下がりが緩やかな場合は、アパート経営などをした方が収益を得られるでしょう。また、田畑ばかりの地域では、太陽光発電や資材置き場としてのニーズが高いかもしれません。

該当する土地に何が求められてるのかを知る最善の方法は、地元の不動産屋にヒアリングすることです。実際に農地転用すると決断した場合も、不動産屋との繋がりがあれば、土木会社や土地家屋調査士、司法書士などを紹介してくれるなど、メリットは多いです。

7-2.農地転用の注意点

7-2-1.農地転用には時間がかかる

農地転用の手続きを初めてから許可が下りるまで、約6週間必要になります。しかし、複雑な案件の場合は、1年以上もかかったという場合もあります。農地転用手続きは、数か月ごとに受付日が決められているため、いつでも届出できる訳ではありません。農地転用すると決めたら、まずは行政書士などに相談し、計画的に進めていきましょう。

7-2-2.必ずしも成功するとは限らない

これまで、農地転用後の土地活用案をいくつかお伝えしましたが、必ずしも成功する確約はありません。その確約がないからこそ、どのような活用案がベストなのかを事前にしっかりと調査することが重要です。最近では、「土地活用セミナー」などでアパート経営を勧める会社もありますが、最終的に土地活用するかどうか自分で判断しましょう。万が一、上手くいかなかった場合は自己責任となります。

8.農地転用のまとめ

農地転用のコストを把握し、自己責任で土地活用しましょう。農地転用は、ある程度の費用と時間が必要になります。さらに、土地活用する場合、追加費用と覚悟がいります。

最近では、土地活用としてアパート経営に限らず、太陽光発動やコインランドリーなど選択肢が広がっています。土地を最大限に活用するために、事前調査やヒアリングは必須です。コストとデメリットもよく理解した上で、最終的には自己責任で土地活用することが重要です。

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