事例紹介
Category 不動産
2018年10月15日 更新
忘れてはならないアパート経営の税金とその対策
昨今は少子高齢化等も叫ばれ、日本でアパート経営をするには不向きだと言われる時代になりました。
その一方で、最近は賃貸派も増え、昔ほど持ち家志向ではない人も増えてきています。
これは異常気象による災害で家を失い、災害が起きた時に土地が売れないこともあるからです。幸い災害にあわなくても、のどかなところだと処分したくても買い手がつかず、処分に困ってしまう可能性もあります。
そうなると、不動産は資産ではなく負債となってしまいます。
こうしたリスクもあることと、少子高齢化の影響で30代40代の人が高齢者となる頃には高齢者の割り買いが増え人口が減って、高齢者を排除すると不動産業が回っていかないという予測もあり、一生賃貸派の考え方が浸透しつつあるのです。
のどかなところだと難しいかもしれませんが、利便性のあるところだとまだまだアパート経営も可能性がないわけではありません。
アパート経営において、家賃収入にばかり目が行きがちですが、もちろん経費もかかります。
修繕費等はもちろんですが、税金も外せません。
ではアパート経営にかかる税金について見ていきましょう。
この記事でわかること
1.アパート経営に必要な税金一覧
所得税
家賃収入も収入を得るという観点から所得税がかかります。普通に会社員されている方も、毎月給与が支払われるたびに所得税が差し引かれています。
会社員や自営業の方で収入を得ている方なら馴染み深くご存知の方も多いかと思われますが、こちらは収入が上がるごとに税率が上がってきます。
所得が1,950,000円以下であれば税率は5%ですが、もし40,000,000円を超えると45%になります。
住民税
こちらも何かにつけ収入を得ている方であればなじみ深いものですが、所得税に加えて住民税もかかっています。この住民税は基本的に家賃収入や給与などの10%課税されます。
ですので、仮に家賃収入で3,000,000円あったとすると、300,000円が住民税となるのです。
固定資産税
そして一軒家やマンションなど持ち家をお持ちの方であればよくご存知だと思われますが、固定資産税もかかります。土地ごとに固定資産税の評価額なるものがあり、その評価額の1.4%が固定資産税の税額です。
この評価額は一概には言えませんが、大抵都心部などの便利なところであるほどに税金が高く、のどかなところほど評価額が安い傾向にあります。
さらには、建物の評価額もプラスされますので、分かりやすくするために、土地の固定資産税評価額を1,000万円、建物の評価額を1,000万円として計算しましょう。
この2つを足すと2,000万円になりますね。
2,000万円×1.4(%)=28万円
となり28万円が固定資産税となります。
消費税(店舗や事業所のある物件の場合)
時折賃貸物件でも店舗が下にあったり、事業所があったりする物件があります。そのような場合は、お店が入っていれば消費税を支払う必要があるケースもあります。
例外として前年度と前前年度の収入が1,000万円以下と収入が多くない場合、消費税は課税されません。
不動産譲渡所得税(不動産売却時)
時折オーナーチェンジの物件が売りに出ていることがあります。このように、不動産を手放すときその不動産を手放したときに得た金額に対し課税される税金があります。
ただこちらは売却したことによって利益が出た場合のみですので、もし売却したことにより損失が出た場合はこの税金は課税されません。
不動産取得税(不動産所得時)
こちらは文字通り、不動産を得た時にかかる税金です。ご自身の居住用に購入したときにはこの取得税がかからないケースであっても賃貸経営をしていくのであれば税金がかかることがあります。
居住用のアパートであれば固定資産税評価額の3%を課税される形になります。床面積が50㎡~240㎡であればアパートの1室につき建物評価額より1,200万円が控除されます。
様々な物件があるので一概には言えませんが、2LDK、3DK以上のアパートであれば、この広さはクリアできるのではないでしょうか。
計算方法は様々なケースがありますので、まずはネット上のシミュレーションなどで計算してみるのもいいでしょう。
不動産登録免許税(不動産取得時)
こちらは土地がある状態で一から新築のアパートを建てたのか、中古のアパートを譲り受けたのかで課税される税金の種類が違ってきます。
新築でアパートを建築したのであれば所有権保存登記がかかります。所有権保存登記の税率は0.4%です。中古のアパートを譲り受けたのであれば所有権移転登記がかかります。この税率は1%です。
そして忘れてはならないのが、新築にせよ中古にせよ土地の上に建っていますので当然土地に関する税金もかかります。土地の所有者が変わった時の登録の税率は1%です。
2.アパート経営者なら知っておくべき税金対策
せっかくアパート経営をするなら節税対策は押さえておきたいものです。これを抑えることで手元に残るお金を増やすことができます。まずは面倒くさがらず節税対策をしていきましょう。
その為にはこれは経費になるかもしれないと思われるものはとりあえず領収書を取り、それを補完する習慣をつけましょう。私たちが一般的に経費として認められると思われるものはもちろんですが、意外なものも経費として認められるケースがあります。
多岐にわたる経費で節税ができますので、それを抑えておきましょう。
所得税・住民税
経費として真っ先に思い浮かぶのは修繕費、損害保険料、管理会社の費用なのではないでしょうか。これらはアパート経営には外せませんね。
その一方で、これ以外にも様々な経費が認められています。
多くの場合はアパート購入時にローンを組んでいるケースが多いです。むしろ一括で購入される人のほうが珍しいでしょう。このローンには借りた金額に加えて利子があります。この利子も経費として認められています。そして、どんなに新しいアパートでも当然年月が経つごとに古くなってきます。だからこそ減価償却費も経費として認められているのです。
そして、不動産経営をしようと思って希望に胸を膨らませている時は見落としがちですが、不動産経営は常に順風満帆ではありません。中には立ち退いてほしいと思っているけれど、思ったように交渉が進まないこともあるでしょう。善良な人ばかりだといいのですが、中には難しい方もいます。現在の日本では入居者が守られている傾向にあります。もし入居者の方との交渉がこじれた場合はお金で解決する必要性も出てきます。
そこで立ち退き料を支払う必要が出てくる可能性が出てくるのですが、これは必ず支払う必要があるもので、特に相場もないと言われています。そのような性質があるので、経費に挙げられないのではないかと思われがちですが、意外にも経費として認められています。
そしてどうにも建物が傷んでいる場合は取り壊しも視野に入れなくてはいけません。もしそのような事態になったとしてもこの取り壊し費用も経費の一部であることは覚えておきましょう。
不動産譲渡所得税
不動産を売るためにかかった費用について、領収書が取れるものは必ずすべてとっておきましょう。
まず、真っ先に思いつくのは仲介手数料や印紙代、広告料ですね。また、所有権移転登記費用も認められています。土地を売るのに際し、境界線を見極めるために測量をすることがありますが、この測量費も経費として認められます。
余りにも建物が傷んでいると古家付きのような状態で売るか、購入が決まった時点で取り壊すこともあるでしょう。この取り壊し費用も経費として計上できます。
3.サラリーマンで家賃収入がある場合は確定申告が必要
サラリーマンの方は確定申告についてはあまりよく分からない方もいらっしゃるかもしれません。それは、皆さんのお勤めしている企業の総務の方が皆さんに成り代わって税金関係の書類を提出しているからです。ただ、例外的に給与が2,000万円を超える方は確定申告が必要など例外もあります。
そんなサラリーマンの方でも確定申告が必要な状態は会社で得ている給与とはまた別の収入がある場合です。アパート経営をしている方もこれにあたります。毎年申告期間は2月16日~3月15日となっています。忘れずに申告しましょう。
その時白色申告にするか、青色申告にするかといった話を聞くこともあるのではないでしょうか。
白色申告はいわば非常に手軽な方法ですので、本当に収入が一時的である場合に適しています。が、不動産経営の場合はそうとも限りません。よく白色申告をする方はFXや株で大きな収入を得た方に多いです。
青色申告のほうは、確定申告の時期が近くなって「よし!青色申告にしよう!」と手軽に思えるような気軽なことはできません。まず、事前に税務署に申請をする必要があります。そして、神聖方法も複式簿記といって普通の企業のように申請をする必要があり、少し煩わしいところがあります。(最近は会計ソフトでそれも解消しつつあります。)
手続きが煩わしいにもかかわらず、青色申告にどんなメリットがあるのかというと、それは控除額の違いにあります。白色のほうが10万円の控除なのに対し、青色のほうは65万円の控除があります。不動産投資でたくさん稼ぐ方にとってはありがたいものになっているのです。
4.アパート経営に関する税金の知識まとめ
アパート経営についていかがでしたでしょうか。
アパート経営と聞くと家賃収入にのみ目が行きがちですが、様々な経費がかかります。そしてアパートという物件を所有することから税金もかかってきます。
ですが、経費として認められるものが増えれば増えるほどに税額が減り、手元にお金が残りやすくなります。その為には「もしかしたら経費として認められる可能性があるかもしれない」と思われる経費の支払いについては領収書を取っておきましょう。
つい見落としがちな税金ですがかかる経費のことをしっかりと押さえたうえでアパート経営をしていきましょう。