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Category 不動産
2018年11月04日 更新
不動産の賃貸料は消費税がかかる?賃貸物件の消費税についてご紹介!
近年アパート経営など不動産投資の人気が高まっており、不動産投資を検討している人や、すでに物件を購入して家賃収入を得ている人も多くなっているのではないでしょうか。
不動産投資をするにあたり、知っておくべきことは多々ありますが、その中でも特に重要なことが税金に関することです。重要な事項にも関わらず、その特性上複雑な仕組みになっているため頭を悩ませている人も多いのではないでしょうか。
家賃収入にかかる税金は所得税と住民税と場合によっては消費税が課税されることがあります。消費税は私たちに最も身近な税金といってもいいほどに生活に密着しています。そのため家賃収入においても一律に消費税が課税されていると思っている人も多いのではないでしょうか。しかし、賃貸不動産は所有する目的によって消費税が課されない場合があるうえに、条件によっては消費税を納める義務がなくなる免税事業者になる可能性もあるのです。知らないところで損をしないためにも、賃貸不動産と消費税にまつわる制度について改めて知識を深めていきましょう。
この記事でわかること
1.不動産の賃貸料には消費税がかかる?
不動産関係で消費税が課される対象となるのは、住宅の建物の購入代金(土地代は非課税)、土地の造成や整地にかかる費用、建物の建築工事やリフォーム工事にかかる費用、不動産会社に支払う仲介手数料、住宅ローンの事務手数料、司法書士への報酬、事務所や店舗、倉庫、工場などの家賃、駐車場の賃料とされています。
しかし、不動産に関係する取引には消費税の対象になるものと、消費税の対象にならないものとがあり、細かく設定されています。
具体的な違いについて詳しく紹介していきますので、参考にしてみてください。
1-1.居住用の場合は非課税
一般的に、アパートや賃貸マンションなどの住宅の貸付や、土地の譲渡や貸付、居住用物件の礼金、住宅ローンの返済利息や保証料、火災保険、などの取引にかかる費用では消費税は課されないようになっています。
まず、賃貸住宅に関しては、非課税の対象となる「住宅の貸付」に該当するため消費税が課されず、住居を貸すことで入る賃貸料の他、共益費、礼金など家賃に付随する費用は非課税扱いになるよう定められています。アパートやマンションの貸与とともに駐車場の賃貸も同時に契約する場合がありますが、基本的に駐車場に関しては消費税が課される対象に分類されています。
しかし、契約形態によっては非課税の対象になるため注意が必要です。もしも駐車場代が住居費用と別に契約が交わされていた場合は駐車場代に消費税が課されます。一方、駐車場代が住居費用の中に含まれているケースでは「住宅の貸付」に含まれるため駐車場を利用していても消費税は課されないという仕組みになっています。
不動産投資を始めるにあたり住宅ローンを組んで不動産を購入する人も多いかと思います。住宅ローンを組む際にかかる事務手数料にも消費税がかかるのですが、住宅ローンに関わる経費の中には非課税の対象となっている費用もあります。同じ住宅ローンにかかる費用でも消費税が課される費用と課されない費用とが細かく分かれるため、経費の計算はとても難しくなってきます。
また、中古物件を購入して家賃収入を得ている人もいるかと思いますが、中古物件を購入する際に不動産を通さず個人で中古住宅の売買をした場合は消費税が課されないようになっています。個人ではなく法人から中古物件を購入する場合、土地代は非課税ですが物件の価格に対しては消費税が課されるようになっており、仲介手数料も課税されるなど、不動産にまつわる消費税は課税対象と非課税対象が混在しているため、経費を計上するにあたり労力を使うことになります。
1-2.事業用(店舗や駐車場など)の場合は課税
居室の賃料については居住用であれば非課税でしたが、貸店舗や貸ビル、貸倉庫、貸工場など事業用の建物の賃貸料や駐車場料金は消費税が課されるようになっています。
不動産の賃貸料に消費税がかかるかどうかは、その不動産が居住用なのか事業用なのかによって変わります。
もともと賃貸料は居住用でも事業用でも同率で課税されていました。しかし、住まいに消費税が課されることは社会問題になりかねないとの判断から、特別に居住に関しては賃貸料に対する消費税が非課税になった歴史があります。そのため課税の有無を決めるのは借主が個人か法人かではなく、使用目的が居住用か事業用かということがポイントになります。
例えば、法人がマンションなどの物件を借り上げて従業員に社宅や寮として貸し、賃貸料を徴収する場合では、借りているのは法人ですが使用目的が居住になるため消費税は非課税になるのです。
2.課税事業者と免税事業者
消費税はすべての人に平等に課せられていますが、事業者に関しては例外もあることを知っていますか?
事業者は一定の条件を満たしている場合に限り免税事業者となることができるのです。一般的に消費税を納める義務が発生する事業者を課税事業者と呼びます。課税事業者はその年に消費税が発生する取引や売上において受け取った消費税額と、事業者が経費などの支払いにかかった消費税額との差額分を納税する、もしくは還付を受け取ることができるようになっています。
課税事業者となる条件には以下のようなものがあります。
- 前々年(法人であれば事業年度)の売上高が1,000万円を超えているか
- 「個人事業主であれば前年の元日から6月30日」、「法人であれば事業年度の開始6か月」における売上高や給与等の支払い額が1,000万円を超えているか
- 設立から2年以内で資本金の額もしくは出資の金額が1,000万円以上ある場合で消費税課税事業者選択届出書を提出しているかどうか
なお、免税事業者は消費税の支払いをしていないため、課税事業者と同じように還付を受けることはできません。
免税事業者は消費税を納めなくてもいいので、売上高にかかった消費税分の収入はそのまま所得とすることができます。一見免税事業者が過度に優遇されているようにも感じますが、これは免税事業者であっても、経費には消費税がかかっていることや消費税の還付を受けることができないことに対する配慮とされています。また課税売上高が1,000万円以下の小規模事業者にとって消費税を含めた会計事務は煩雑なため負担が大きくなることも配慮されて消費税を納める義務が免除されているのです。
しかし実際には免税事業者の方が、納税する金額が多くなってしまうケースがあります。
例えば、売上高にかかる消費税=預かっている消費税よりも仕入れなど経費で支払った消費税の方が多い場合、課税事業者は税務署から差額分の還付を受けられますが、免税事業者は受けられません。そのため設備投資など初期費用が掛かってしまう開業当初は、消費税を受け取る課税売上よりも、初期投資など経費に対して支払う消費税の方が高くなる可能性が高い場合は課税事業者の方が節税できると言えます。
このように課税事業者を選択した方が節税になることもありますが、課税事業者を選択した場合、2年間は免税事業者に変更することができないよう定められています。そのため2年間の総合的な売り上げや必要経費など支出も含めた計画を立てて、課税事業者と免税事業者のどちらを選択するか判断をするようにしましょう。
3.消費税増税と不動産賃貸料への影響
消費税が今後10%に増税される見通しですが、増税した場合不動産賃料にはどのような影響があるのでしょうか?
前述したように不動産の居住用賃貸であれば非課税になるため賃料に影響はありませんが、事業用の賃貸物件の場合は課税されるため税込みの家賃が2%値上げされます。この場合、賃貸料に影響を受けない居住用物件の方が有利なようにも見えますが、実は事業用の賃貸物件の方が消費税増税の影響が少ないという考え方もあるのです。
具体的には、居住用の物件にも維持費や管理費用がかかります。修繕や清掃など継続的に必要な作業を依頼した場合、それらの費用にかかる消費税は10%に増税されています。つまり、支払う経費は増税されるものの、入ってくる家賃収入はそのまま変わらないため、消費税増税による負担が増すことが予想されるのです。消費税増税に伴い家賃を据え置く場合は、増税の負担を肩代わりすることになるため、非課税である居住用の住宅でも増税による影響を受けてしまうのです。
4.不動産賃貸と消費税の注意点
不動産賃貸には契約により消費税の有無が変わることは紹介しましたが、同じ駐車場でも消費税が課される場合と課されない場合とが非常に細かい違いで発生します。駐車場の場合は同一の敷地でなければ駐車場代が家賃に含まれていても非課税にすることはできません。また土地の賃貸は非課税のため補整されていない土地を駐車場として貸与する場合は非課税とされていますが、たとえば1台の車の範囲が分かるようにロープを張るなど駐車場として整備してしまうと消費税が課される対象となります。
また、賃貸物件を売却する場合、個人で所有している不動産の売却は消費税が課されませんが、収入を得ている賃貸用物件を売却する場合は消費税が課されるようになっています。
このように駐車場の賃貸や土地の売買といっても消費税の納税が必要なケースと納税の必要がないケースが微妙な線引きで定義されています。気が付かないうちに損をしている場合もあるので、しっかりと消費税についても課税対象や非課税対象になっている不動産を把握して管理するようにしましょう。
5.まとめ
不動産は生活の基盤となる住居にまつわる分野のため、消費税に関しても消費者の負担を調整するために、非常に複雑な基準が設けられています。賃貸不動産を所有する上では、これらの制度をしっかり理解し、課税事業者となって還付を受けた方が有利なのか、免税事業者となり納税の免除を受けた方が有利なのかなど、あらゆる選択において総合的に考慮する必要があります。
自身の所有している不動産にかかっている消費税や経費にかかる消費税を見直して、今年だけでなく来年再来年の運用も含めて、計画的に税金対策を行っていけるといいのではないでしょうか。