放置された空き家が急増し、社会問題化しています。空き家が増えるのは、税制の影響が大きいと考えられており、平成27年に施行された空き家法により、今後は空き家の放置が難しくなるでしょう。更地にした場合、固定資産税がいくらになるのか計算方法を解説した上で、更地の活用案などをご紹介します。

失敗しないために!土地活用相談のセカンドオピニオン

土地活用で成功するには、「プロにお任せ」「業者にお任せ」は良くありません。なぜなら、土地活用には税務、法務、建築といった経営ノウハウなど様々な要因が複雑に絡み合っているので、「土地活用の全てにおける専門家」はそう多くないからです。

あなたに提案されたプランは本当に妥当なプランなのか?セカンドオピニオンとして専門家の意見をお伝えいたします。

 

1.更地の土地にかかる固定資産税はいくら?わかりやすい計算方法を解説

土地や建物といった不動産には、必ず固定資産税がかかります。仮に、その不動産を利用せず、ただ保有している状態であっても、固定資産税は納めなくはいけません。また、固定資産税は、その土地の種類(地目)が何なのか、土地の上に建物があるかどうかで税額が変わります。

1-1.そもそも固定資産税はどうやって決まるの?

1-1-1.固定資産税の計算式

固定資産税=固定資産税評価額(課税標準)×1.4%(標準税率)

(例)更地の土地評価額:560万円の場合

560万円×1.4%=78,400円

上記の計算でいうと、78,400円が固定資産税額となります。

1-1-2.固定資産税評価額とは?

「固定資産税評価額」とは、「固定資産税課税台帳」に書かれている土地・建物それぞれの評価額のことです。この評価額は、国が定めた基準をもとに市町村が決定しており、3年ごとに見直しが行われます。この見直しのことを「評価替え」といいます。

目安として、宅地の評価額は、「公示価格」の70%で設定されています。この「公示価格」というのは、国が公表している土地の価格で、その年の1月1日時点における価格を指しています。国土交通省が、毎年3月に公表しているのを新聞などで見たことがある方も多いでしょう。

1-1-3.どうやって固定資産税評価額を確認すればいい?

先ほど「固定資産税評価額」は「固定資産税課税台帳」に記載されているとお伝えしましたが、実際に自分の土地・建物の評価額がいくらになっているのかを簡単に確認する方法があります。それは、「固定資産税課税台帳」の閲覧申請を行うことです。該当する固定資産の納税義務者と相続人、借地人、借家人は閲覧することができます。

また、より簡単な確認方法としては、毎年4月に送付される固定資産税の納税通知書と一緒に添付されている「課税明細書」の価格欄を見る方法、役場で「固定資産公課証明書」もしくは「固定資産評価証明書」を発行する方法があります。

これから、不動産を購入する方は、事前に固定資産税がいくらかかるのかを確認しておきましょう。ちなみに、この「固定資産税評価額」は、固定資産税だけではなく、都市計画税、不動産取得税、登録免許税の基準にもなっています。

1-1-4.固定資産税評価額に不服の申立てをすることができる

保有する不動産の評価額を確認して、その評価額に不服があるときは、申立てを申請することができます。これを「審査の申出」と言います。ただし、評価額は、3年に1回の見直しが行われており、この年だけ不服申立てが許されています。

・不服申立ての方法

・・・納税通知書の交付を受けた日の翌日から起算して、3ヶ月以内に文書をもって固定資産評価委員会に審査の申し出をする。

また、不服申立て申請の前に、専門の不動産鑑定士に相談するのも一つの方法です。不動産鑑定士の中には、評価額見直しのサポートを得意とする方もいらっしゃいます。

1-2.更地にも基準がある

更地とは、建物などが何もない「宅地」のことを言います。そのため、田畑である農地や林地、原野などは宅地に該当せず、更地とは言えません。また、建物がない宅地というと、駐車場や資材置き場といった土地も更地と呼ばれます。

さらに、借地権などの使用収益を制約する権利が付与されているような土地は、更地とはいえません。必ずしも建物が建っているかどうかだけで判断できないため、土地の登記情報にも目を通すようにしましょう。

1-3.固定資産税の税率が高い自治体もある

先ほど、固定資産税の税率は1.4%であることをお伝えしました。これは、標準税率とよばれるもので、大半の自治体が税率を1.4%としています。しかし、条例によって税率を1.4%以上に変えることができるのです。

ただし、税率1.7%超に変更しようとする場合は、市町村の議会で納税者の意見を聞くことが義務付けられているため、最高でも1,7%と考えましょう。保有する土地の自治体が何パーセントの税率にしているのかを確認しておくことをオススメします。

2.古家付きと更地では固定資産税がいくら違う?

近年、使われていない空家の放置が問題となっています。古い家が廃墟と化している状態では、土地の活用が進みませんし、近隣地域にとっても治安の悪化や落下物の心配、害虫の繁殖など、空き家が増えることで良いことは何もありません。

2-1.固定資産税額の比較

空き家が増えている原因として、空き家を解体して更地にすると、固定資産税が上がってしまうからです。では、実際に、古家付の宅地と更地の固定資産税はいくら違うのか比較してみましょう。建物の評価額が高いか低いかによって、土地・建物合計の固定資産税額が変わりますので、ここでは2つのパターンで計算していきます。

2-1-1.住宅の評価額が280万円の場合

(例)土地の評価額:600万円、住宅の評価額:280万円、土地の面積:200㎡

・古家付きの場合

土地の固定資産税:600万円×1/6×1.4%=14,000円・・・①

住宅の固定資産税:280万円×1.4%=39,200円・・・②

①+②=53,200円←A

・更地の場合

600万円×1.4%=84,000円←B

この場合の税額は、A<Bとなっており、更地の方が高い税額となっています。

2-1-2.住宅の評価額が540万円の場合

(例)土地の評価額:600万円、住宅の評価額:540万円、土地の面積:200㎡、

・古家付きの場合

土地の固定資産税:600万円×1/6×1.4%=14,000円・・・①

住宅の固定資産税:540万円×1.4%=75,600円・・・②

①+②=89,600円←C

・更地の場合

600万円×1.4%=84,000円←D

この場合の税額は、C>Dとなっており、古家付きの方が高い税額となっています。

2-1-3.評価額の低い古家付を更地にすると固定資産税が高くなる

先ほどの計算では、土地だけでみると、どちらの例も更地の税額が高くなっています。しかし、建物の評価額が高い場合は、古家付の土地の方が高い税額となります。つまり、建物の固定資産税が土地の固定資産税の3.2倍以上あれば、更地にしても固定資産税は上がらず、むしろ、負担は軽くなります。

ただし、空き家問題となっているのは、更地にするか迷うほどの古い家であるため、高い評価額の建物であることは考えにくいでしょう。大半のケースが、更地にすることで税額が下がるパターンと考えてよさそうです。

2-2.住宅用地の特例措置とは?

「住宅用地の特例措置」とは、小規模住宅やアパートなど建物が建つ宅地の面積に応じて、税金が軽減されていることです。住宅を建てた人への税負担を軽くするためのものです。

◆小規模住宅用地(住宅やアパ―トなどの敷地で200㎡以下の部分)の場合

・・・固定資産税の評価額×1/6となる。

◆一般住宅用地(住宅やアパートなどの敷地で200㎡を超える部分)の場合

・・・固定資産税の評価額×1/3となる。

(計算例)土地の評価額:600万円、建物の評価額:280万円、土地の面積:250㎡の場合

・土地200㎡まで:600万円×200㎡/250㎡×1/6×1.4%=11,200円・・・①

・土地200㎡超: 600万円×50㎡/250㎡×1/3×1.4%=5,600円・・・②

・建物の固定資産税:280万円×1.4%=39,200円・・・③

①+②+③=56,000円

このように、200㎡までの税額と、200㎡超の税額を別々に計算した上で合算します。

3.空き家対策特別措置法(空き家法)には要注意!

3-1.空き家対策特別措置法とは?

平成27年2月に施行された空き家法は、全国各地で放置されている空き家問題を解決するために、空き家の実態調査や管理指導、特定空家に対する罰金や行政代執行などを行うものです。

この法律で空家を放置し、管理しない所有者に対して、自治体が助言、指導、勧告といった行政措置ができるようになりました。所有者へ勧告しても状況が改善されない場合は、自治体が命令し、行政代執行することになります。この命令に違反すると、最大50万円以下の罰金を科されてしまいます。

◆空き家法の目的

  • 地域住民の生命、身体又は財産を保護する。
  • 地域住民の生活環境の保全を図る。
  • 空家等の活用を促進する。
  • 空家等に関する施策を総合的かつ計画的に推進する。
  • 公共の福祉の増進と地域の振興に寄与する。

3-2.対象となる特定空家とは

特定空家に指定されると、先ほどお伝えした「住宅用地の特例措置」が適用されなくなります。そのため、固定資産税が上がってしまい、土地の所有者にとっては負担が増すことになります。

◆特定空家の定義

  • そのまま放置すれば、倒壊など著しく保全上危険となるおそれがある状態
  • そのまま放置すれば、著しく衛生上有害となるおそれのある状態
  • 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なている状態
  • その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

◆特定空家に指定される流れ

空家の調査(市町村に設置された協議会による調査)→特定空家に指定される→行政からの助言・指導→勧告(住宅用地特例対象からの除外)→命令→行政代執行

この行政代執行で、空家を強制的に撤去される可能性もあります。また、勧告に従わない場合は、罰金の支払い義務もあるため、自治体からの助言・指導があった段階で、適切な処置をしておく必要があります。

最近では、銀行や信用金庫で、空家解体費用を借入する場合に金利を優遇するサービスが増えています。また、自治体によっては、解体費用を一部補助してもらえる制度もあるため、使っていない古い空家を持っている方は、自治体に相談し、早めに対処しておいた方が良いでしょう。

4.更地の有効な活用方法とは?

今後も、空家は全国的に増加することが見込まれていることから、空家の解体も増えることが予想されます。空家を解体し、更地にした場合、どのような活用方法があるのでしょうか。

4-1.青空駐車場として活用する

立地によりますが、近隣に駐車場が少ない場合は、所費費用がほとんど必要ない青空駐車場として収益を生み出す方法があります。コインパーキングだと費用が高くつくため、青空駐車場で一定の収益が得られるよう、月極駐車場として貸し出すのが理想です。毎月の収入があれば、更地にしたことによる固定資産税の値上がり分をカバーすることができるでしょう。

4-2.資材置き場として貸し出す

建設・土木会社などに資材置き場として貸し出す方法もあります。初期費用ゼロで始めることができるため、近くに該当する会社がある場合は、ニーズがないか探ってみましょう。この場合、直接その企業に問い合わせるよりも、地元の不動産屋に相談するのが良いでしょう。

4-3.アパート経営はリスクとメリットのバランスを考えよう

土地活用の代表例として、アパート経営を上げる方は多いですが、アパート経営にはリスクがつきものです。新築するアパートの建設費用は、決して安いものではありません。さらに、退去リスクや空室リスクも付きものです。立地が良く、近隣にアパートが少ない場合で、確実な収益が見込めるのであれば良いですが、デメリットもよく理解した上で投資することが必要です。

4-4.宅地から農地へ転用する

宅地から農地に転用することで、固定資産税が安くなります。農地というと、農地法の制限が気になりますが、宅地から農地の場合は、農地法に関係なく転用することができます。ただし、農業委員会による農地証明が必要になりますので、事前に市役所等へ相談しましょう。また、土地を耕して「見るからに農地」にする必要があります。その上で、課税科目と登記地目を変更します。転用手続きは、司法書士に相談すると良いでしょう。

4-5.自治体に貸出す

自治体に貸出すことで、固定資産税の納付を免除されます。ただし、自治体は無条件に土地を借りてくれる訳ではありません。自治体側が必要とする土地であれば貸し借りが成立しますが、そうではない場合、申し出たとしても断られるでしょう。仮に、駅前の土地で市営駐輪場に最適な立地であるなど、よほど条件が良い場所であれば、自治体側も喜んで借りてくれるでしょう。

4-6.土地を手放す

固定資産税の納付を負担に感じ、相続する子供や孫がいらないという場合は、土地を売りに出すのが一番の方法です。空家が建っている状態で、「売りに出したいけど、解体費用が高い。」と言う方もいらっしゃいますが、土地の値段に解体費用分も上乗せして売ることもできます。

土地を売りに出しても、直ぐに買い手がつくのは難しいです。そのため、数年間は更地の状態で、高い固定資産税を支払うことになるかもしれませんが、本当に使わない土地なのであれば、子供や孫の代まで固定資産税を払い続けるより、早い段階で手放す判断をした方が賢明かもしれません。

5.更地の固定資産税額と有効活用する方法 まとめ

住宅用地の特例措置によって、更地の固定資産税は古家付きの土地より高くなることが分かりました。今後は、空き家法が施行されたことにより、税金対策として荒れた空家を放置することが罪になってしまう可能性もあります。使わない空家を所有している方は、行政から指導される前に、補助金などを使って空家を解体した方がトラブルに巻き込まれずに済むでしょう。

空家を解体し、更地にすることで、固定資産税は上がりますが、固定資産税を上回るほどの収益を生み出す方法や地目を変更して税額を下げる方法など、更地とうまく付き合っていく方法は数多くあります。最終的には、土地を手放すことも視野に入れながら、あらゆる可能性を検討してみましょう。

失敗しないために!土地活用相談のセカンドオピニオン

土地活用で成功するには、「プロにお任せ」「業者にお任せ」は良くありません。なぜなら、土地活用には税務、法務、建築といった経営ノウハウなど様々な要因が複雑に絡み合っているので、「土地活用の全てにおける専門家」はそう多くないからです。

あなたに提案されたプランは本当に妥当なプランなのか?セカンドオピニオンとして専門家の意見をお伝えいたします。
 

 

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