不動産の家賃収入にかかる所得税は節税可能?家賃収入と所得税について

所得税は収入に対して課せられる税金ですが、所得が多くなるほど所得税の納税額も高くなってしまう悩ましい税金の一つです。不動産投資による家賃収入も例外なく所得税が課せられますが、少しでも支払う税金を少なくすることはできないのでしょうか。

今回はそんな悩ましい所得税について、家賃収入に対する所得税の計算方法から確定申告の方法、控除の受け方などをご紹介していきます。知らずにいる制度がある場合、もしかしたら今よりも納税額を抑えることができるかもしれませんよ。

1.所有している不動産の家賃収入にかかる所得税とは?

所得税は計算方法の違いから10種類に区分され、家賃収入はその中の不動産所得にあたります。不動産所得の中にはアパート、マンション、家などを賃貸することで得られる家賃収入だけでなく、土地の賃貸や地上権(他人が土地を使用できる権利)を貸し付けることにより発生する収入なども含まれています。

また家や土地だけでなく、船舶や航空機の貸付による収入も不動産所得に分類されています。また、これらの不動産所得でもある基準を超えると事業所得に分類されるほか、土地の売買によって得られる収入は譲渡所得と分類されるなど、同じ不動産に関わる収入でも所得税の分類が変わってくるので注意が必要です。

不動産の貸し付けが事業として行われていると判断されと事業所得に分類されるのですが、その判断には基準が設けられています。事業所得と判断される基準となる目安は、アパートなどの場合に貸与できる独立した居室の数が概ね10室以上あるか、もしくは独立した家屋の場合に貸し付けしている棟数が概ね5棟以上ある場合とされています。この基準により5棟10室に満たない不動産の家賃収入は不動産所得として分類されます。

更に不動産の保有者が個人か法人かにより課税される税金が異なります。個人の場合は所得税と住民税が課税され、また売上高が1,000万円を超える場合は超えた年の翌々年から消費税が課税されます。法人が所有している場合は法人税、法人住民税、こちらも個人所有と同様に課税売上高が1,000万円を超えると翌々年から消費税が課税されるようになっています。

2.不動産所得(家賃収入)に課せられる所得税の計算方法

では実際の家賃収入に対してどのくらいの所得税が課税されるのでしょうか。

所得税の計算方法は国税局のホームページでも紹介されており、自分でも計算することが可能です。計算式は次のように定められています。

不動産所得=総収入金額-必要経費

なお、総収入金額に含まれるものには以下の項目があります。

  • 家賃や地代による収入
  • 権利金
  • 更新料
  • 礼金
  • 共益費として受け取る電気代や水道代、掃除代など
  • 敷金、保証金のうち返還しない分(退室時に返還する場合は収入に含みません)

必要経費として認められるものは以下の項目があります。

  • 土地や建物に関わる固定資産税や都市計画税
  • 事業税
  • 消費税
  • 収支印紙代
  • 修繕費
  • 損害保険(その年の分のみ)
  • 不動産会社への管理手数料
  • 管理組合への管理料
  • 入居者を募集するための広告費
  • 税理士や弁護士などへの報酬で不動産賃貸に関係するもの
  • 減価償却費
  • 立退料
  • 共用部分の水道光熱費
  • 土地の購入・建物の建築時のローン金利
  • そのほか消耗品などの雑費

これらは必要経費として計上することが認められていますが、逆に経費として認められていないものもあります。例えばローンの元本返済部分、住民税、所得税や事業に関係しない自宅にかかる諸経費は必要経費として認められていないため経費として計上することはできないので項目をよく確認してから必要経費を計上するようにしましょう。

3.不動産所得がプラスであれば確定申告が必要

家賃収入でも年間の不動産所得が20万円を超す場合は確定申告する必要があります。

確定申告の方法には青色申告と白色申告の2種類に分かれており、青色申告は所得から一定の額をあらかじめ控除できる特別控除が適用されるため、節税効果が高いとされています。白色申告には税制上のメリットはないのですが、青色申告よりも残すべき帳簿の記録が簡易になっているため、あえて白色申告を選択する人もいます。

逆に青色申告は帳簿の管理に手間がかかるものの、所得に応じて65万円もしくは10万円の特別控除を受けることができることから、節税効果を期待する多くの個人事業主や法人が選択する申告方法です。しかし、青色申告は個人で家賃収入があれば誰でも申告できるものではありません。個人の家賃収入で青色申告が可能なのは個人事業主か、もしくは法人として開業届を提出して、さらに青色申告承認申請書の提出をした場合に限ります。特に青色申告承認申請書は、青色申告を始めたい年の3月15日までに申請をしなければならないので提出を忘れないように注意が必要です。

また控除額についても基準が設けられています。10万円の控除か65万円の控除かを選択できるなら誰もが65万円の控除を選択することと思いますが、不動産所得で65万円の控除を受けことができるのは不動産の運営が事業的規模であると認められた場合に限ると定められているのです。事業的規模であると判断される基準は先ほども出てきた所得の分類と同様にアパートなどの賃貸することができる独立した居室が10室以上ある、もしくは独立した家屋の貸し付けが5棟以上あることが条件として提示されています。

所有する家賃収入のある不動産が5棟10室に満たない場合は青色申告をしても10万円の控除を選択するようになります。65万円の控除と比較すると少額ですが、白色申告では控除がないことを考慮すると10万円の控除は運用益をあげるためには、青色申告をする意義がある額ではないでしょうか。

青色申告をして65万円もしくは10万円の控除を受けた場合、家賃収入から必要経費を引いた不動産所得から更に65万円もしくは10万円を差し引いた金額にのみ所得税が課税される仕組みになっています。特別控除があることで課税対象となる所得金額が抑えられるため、納税金額も抑えることができる点が魅力的です。

実は青色申告をすることによるメリットは特別控除だけではありません。

青色申告を選択して確定申告をする場合、「純損失の繰り越し」をすることが許されているのです。聞きなれていない人もいるかもしれませんが、純損失とは損失通算をしても控除しきれない金額のことをさします。ますます分かりにくいという人もいるかもしれませんね。

簡単に言うと総収入額から経費などの費用を引いた額がマイナスになった場合の金額を純損失といい、損失通算をしても控除しきれない金額とは不動産所得だけでなく他の分野の事業も含めて計算をした際にもマイナスになってしまう場合を説明しています。この純損失の繰り越しとは、所得がマイナスになる、いわゆる赤字になってしまった場合に、その翌年から最長3年間にわたり赤字を翌年に繰り越して控除することができるのです。

赤字の翌年に黒字が出た場合に昨年のマイナスの金額分を繰り越し控除として収益から引いた額に所得税が課税される仕組みです。2年連続で純損失が発生した場合は古い年の純損失から控除されるため、赤字が出ても3年以内に黒字に転換できれば繰り越し控除により節税するこが可能になるのです。

このようにメリットだけをみると特典の多い青色申告の方が節税効果も高く魅力的なのですが、実際に青色申告を選択するにあたり、とても手間がかかるというデメリットがあるのです。

白色申告では税制上のメリットはないものの、単式簿記という取引の際に記録する項目を収支のみに絞ったシンプルな記録を残すのみで良いとされています。そのため帳簿をつける際に複式簿記について知らなくても申告書を作成できます。

しかし青色申告では複式簿記で取引を記録する必要があるため、帳簿に関する知識や経験が必要になります。青色申告では複数の項目から経理を管理するため帳簿の管理も複雑となることから、専門家でない限り自分で管理をするには限界があります。

また帳簿以外にも賃借対照表や損益計算書の作成も必要となるため、会計ソフトなどを使用して自分で作成するか、専門家に依頼をして帳簿の管理を依頼しなければならなくなる可能性が高いのです。そのため、青色申告では特別控除を利用することが可能なものの、手間がかかるため、帳簿管理や申告書の作成を外注するための別途費用がかかってしまうことが予想されます。白色申告か青色申告かどちらで確定申告を行うかは業務の規模や経営状態による部分が大きいと思いますが、慎重に検討して判断するようにしましょう。節税効果を高めるためには、なるべくお金をかけずに青色申告を行うことがベストですが、時間や労力を考慮した場合に自分で行うことと、依頼することどちらが有益かの判断が必要になります。

例としては、しっかりと安定して家賃収入を得ることができるようになっている場合は青色申告を作成するメリットも大きくなるため帳簿の手間がかかっても青色申告を選択するメリットが大きいですが、まだ収入が不安定な場合や大きな家賃収入を得ることができていない段階では負担を軽減できる白色申告を選択する方が、効率的かもしれません。

そして青色申告をする際には注意すべき点として、「個人事業の開業届」と「青色申告承認申請書の提出」が必要なことを挙げましたが、特に後者は青色申告の適用を受けたい年の3月15日までに申請をしなければならないので提出を忘れないように注意してください。

3-1.家賃収入のあるサラリーマンも確定申告が必要

サラリーマンの場合、勤務先の企業が年末調整を行い控除の手続きなどを代行してくれるため、ほとんどのサラリーマンは確定申告をしなくても問題がありません。

しかし、不動産投資により賃貸不動産を所有して収入を得ているサラリーマンの場合は企業が年末調整をしていても、個人で確定申告しなければならないことがあります。

会社から受け取る給与以外の所得が年間20万円超の場合は確定申告が必要となり、個人で確定申告書を作成し所得や控除の手続きをすることが義務付けられているのです。

確定申告の仕方は先ほど説明したように青色もしくは白色申告のどちらかを選択して行います。ちなみに青色申告が選択できる所得は不動産所得、事業所得、山林所得のいずれかに限られているため、副業が事業規模までいかず雑所得の範囲を出ない場合は白色申告となります。また控除額も先ほど説明したように収入を得ている不動産の数により65万円か10万円の控除のどちらが適用されるかが決まります。

納税額を算出するにあたり、サラリーマンの場合は勤務する企業から支払われる給料と不動産所得とを合わせた金額が総収入額になります。収入が合算されることで総収入額が高額になり、課税対象となる総所得金額が高額になるため、結果として納税額が上がる可能性があります。逆に不動産所得が赤字となった場合は総所得額が減るため、給料から天引きされていた税金が還付されることもあるのです。例えば不動産投資として中古物件を購入した場合や不動産に関わる税金や管理費用、ローンの金利など必要経費を漏らさず計上することで、課税される対象額を少なくすることができます。家賃収入と給与を合算した総収入から経費を差し引くため、不動産の運営でかかる費用を計上することで課税対象となる総所得が減るので、所得税や住民税を抑えることができるのです。

サラリーマンが家賃収入を得て確定申告をする場合、メインの仕事をしながら帳簿を作成しなければならない点も考慮しなければなりません。白色申告であれば比較的簡単な帳簿なため自身で作成することも可能ですが、青色申告に必要な複式簿記は作成が難しいため、会計ソフトを利用することや税理士に依頼する必要が出てくる可能性が高くなります。その場合、それぞれ費用がかかることも計算しておかなければなりませんので注意してください。またしっかりと経費を計上することも節税につながりますので、こまめに経費を把握しておくことをおすすめします。

また事業的規模の場合は配偶者や15歳以上の子供などの生計を同一にしている家族に対して専従者給与を支給することで経費として計上することが可能です。青色専業専従者は青色申告者の仕事に従事していることが条件ですので、ほかの仕事をしている人や学校へ通っている人に給与を支払うことはできないので注意しましょう。

青色専業給与を支払う場合、給与が高額になると扶養控除から外れてしまうため、給与が38万円に満たない額の場合のみ扶養控除を選択する方が節税になります。年間100万円を超えると住民税、年間103万円を超えると所得税が課税されるため、それらを考慮して青色専従者の制度を利用するか検討するようにしましょう。

3-2.確定申告をしない(していない)場合のペナルティ

確定申告は1年間の所得を記入した確定申告書と必要な添付書類を2月中旬から3月中旬の提出期間内に税務署へ提出しなければなりません。

正当な理由もなく確定申告を期限内に提出しない場合はペナルティとして無申告加算税が課されます。

無申告加算税のペナルティは以下のようになっています。

  • 納付税額50万円までは15%の割合を乗じた金額を加算
  • 納付税額50万円を超える部分は20%の割合を乗じた金額を加算
  • 経過期間に応じて年7.3~14.6%の延滞税の加算

なお2年連続で確定申告を期限内に提出しなかった場合は青色申告が取り消しとなるため、以降の控除や純損失の繰り越しなどができなくなってしまいますので、必ず申告を行うようにしましょう。

また不正な手段で納税を免れようとした場合は更に重い罰則がありますので、くれぐれも正しく申告するようにしてください。

制度を知らないがために、故意でなくとも期限を守れなければペナルティが課せられてしまいます。不動産投資をする場合は制度をしっかり理解して、税金で損をしないように確定申告について知識を深めておきましょう。

3-3.確定申告が不要な場合

確定申告が必要になるのは、給料以外の収入の合計が年間20万円を超えてからになるため、家賃収入が20万円以下の場合は確定申告が不要となります。20万円とは、家賃収入として受け取った総額ではなく、経費を差し引いて不動産所得として計上する額が20万円を超えた場合をさします。例えば1,000万円の家賃収入があったとしても990万円の経費がかかったとすれば差し引きして所得として残る額は10万円になるため、扱う金額は高額でも確定申告は不要になるのです。ちなみに所得が20万円以下で所得税の確定申告が不要な場合でも住民税の申告は必要なこともあるので注意してください。

4.家賃収入があるなら知っておきたい税金対策

家賃収入がある場合、いかに税金で徴収される額を低く抑えるかが不動産を運用していくうえで重要です。税金対策をしっかりとすることで無駄なく収益を得ることが可能になります。

実際にどのようなことをすればいいのでしょうか。

不動産投資における税金対策で最も重要なことは必要経費の計上の仕方にあります。所得税は家賃収入から必要経費を差し引いた所得に課税されます。そのため家賃収入が多くあり必要経費が少ない状態では所得税が課税される対象額が高くなるため、その分多くの所得税が徴収されてしまいます。

それを防ぐためには必要経費として計上できる項目を漏らさず計上することが大切です。自宅を事務所として使用している場合は電気代や水道代などが計上できる場合もありますし、商談で使用した喫茶店なども経費として計上することが可能です。不動産の運営や事業に関わらないものまで経費として計上することは禁じられていますので、節度を持って経費の計上をするようにしましょう。

5.まとめ

確定申告をはじめ、税金にまつわる制度はとても複雑で分かりにくいものが多くあります。しかし制度をうまく利用することで納税額を抑えることも可能です。必要経費の計上の仕方や確定申告の仕方だけでも数万円もしくはそれ以上の節税ができる可能性があります。煩雑な分、知識を増やすことに抵抗がある人も多いかと思いますが、知っておくことで今後、貸与する不動産を増やす場合においても5棟10室まで行うのかなど、資金計画の選択がより効率的に行えるようになるかもしれません。

不動産投資を始めたばかりの人は特に、収入にばかり目がいってしまうことが多いかもしれませんが、税金に関してもしっかりと知識をつけて対策をしていくことで無駄なく運用することができるのではないでしょうか。

また税金に関しては還付されるお金があっても税務署から連絡をくれることはありません。しっかりと自分で管理をして税金を多く払ってしまうことがないようにしたいですね。

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