事例紹介

Category  不動産

2018年10月22日

不動産の所得には消費税がかかる?かからない?

不動産はそもそも金額も大きいですが、その大きな金額に消費税が加算されたらびっくりするくらいの金額が加算されてしまいます。

できれば消費税はかからないほうが購入者側としては嬉しいところです。不動産所得に対しては、消費税がかかる時とかからない時があるのはなぜでしょうか?

1.不動産所得には消費税がかかる?

土地や不動産の購入することになると、数千万円以上の金額になってしまうことも多いです。すると2018年10月現在は消費税が8 %、数千万円の8%はかなりの大金になってしまい、見過ごすことはできません。

そんな中、不動産取引をする時に消費税が課税されない「非課税取引」もあります。不動産売買に関する課税取引と非課税取引はどのような違いがあるのかを、わかりやすく解説します。

1-1.消費税がかかる場合(課税取引)

不動産売買をした時に、消費税がかかってしまう「課税取引」にあたるのは、以下のような時です。これらの場合は、非課税取引や免税取引、不課税取引には該当しない取引です。

これら4つの条件に当てはまっているでしょうか?

1. 日本国内のみでの取引である(海外の土地の売買の場合は除外)
2. 事業者が継続的な事業として行う取引である
3. 取引によって対価を得る場合(金額が発生する)
4. 資産の譲渡、貸付および役務の提供となる取引

住宅を新築する、建築から関わる注文住宅にする、建売や既存の建物を購入する、などのほか、オフィスや店舗などの賃料、不動産仲介手数料、住宅ローン手数料なども課税対象になります。

1-2.消費税がかからない場合(非課税取引)

基本的に、消費税は「消費」に対して課税される税金です。土地は「資本の移転」であり消費の対象ではありません。ですから、土地の売買取引に消費税がかからないのです。

海外不動産の売買や、仲介業者を通すことなく個人オーナーから直接購入するような場合も非課税です。一部の土地を借りている借地や大掛かりに借りている借地も非課税です。オフィス賃料には課税されますが、住宅用家賃も基本的に非課税です。

(1か月に満たない一時貸しの場合は除く)

2.不動産所得の消費税の納税義務者

不動産を所有している所有者の方が、個人が所有する賃貸用として使用していた建物を譲渡する場合に、自分では気がつかないうちに消費税の納税義務者となっていることがあります。

個人の確定申告で不動産の所得の申告をしていた場合、その所有している賃貸用建物を譲渡した場合に消費税がかかるケースがあるのです。

そもそも個人が不動産所得として申告している建物を譲渡したケースでは、譲渡した建物代金自体に消費税が含まれているものとして考えて行きます。

<例>売却代金が2,000万円を超える建物を譲渡した場合

売却代金が2,000万円を超える建物と、1,000万円の駐車場収入(消費税込)以外に消費税の対象となる収入がない場合、建物の売却代金も消費税の対象となる収入になります。

ですから、譲渡した年に不動産売買に対する所得に対して、消費税の課税対象金額が3,000万円を超えることとなってしまいます。

不動産売買に対する所得が3,000万円を超えてしまう場合、その翌々年に預かった消費税から、支払った消費税の差額を納税することになります。

すると不動産売買をした翌々年には、消費税の申告をしなければなりません。

消費税の対象となる収入が3,000万円以下であった場合は、消費税を納付する必要がなかったのですが、3,000万円を超えてしまうような場合は消費税を納税しなければならないのです。

3.不動産所得の消費税の計算方法

不動産所得に対する消費税の税額計算の方法は以下の通りです。

3-1.不動産所得の金額

不動産所得金額=総収入金額—必要経費

総収入金額の中には、賃料収入の他に必要経費としての出費である名義書換料、承諾料、更新料、敷金、礼金、保証金、共益費、光熱費、メンテナンス代などが含まれます。

必要経費として計上できるのは、不動産収入を得るため直接必要な費用のうち、家事上の経費とは明らかに区分できるものだけとなっています。例えば、固定資産税、減価償却費、修繕費、損害保険料などがこれに該当します。

3-2.個人事業者の消費税についての注意事項

個人事業主の消費税に関する納付税額は、原則としてその年1月1日から12月31日までの課税期間中の課税売上に対する消費税額から、課税仕入などにかかる消費税額を控除して計算されます。

この計算により求めた金額が、プラスの場合は消費税の納付、マイナスの場合は還付されることになるのです。

※消費税の還付を受けられるのは、課税事業者又は所定の手続により課税事業者である免税事業者のみになります。

課税事業者の選択手続をしていない場合は、消費税の還付は受けられません。

3-3.仕入控除税額の計算方法

課税売上に係る消費税額から控除することが出来る、課税仕入に係る消費税額を「仕入控除税額」といいます。

事業に係る資産の購入、借受けや役務の提供を受けることを総称して課税仕入れ等と呼びます。(非課税取引や給与支払いは含まれません)

仕入控除税額の計算方法は、課税期間中の総売上高のうち課税売上割合が95%以上あるか否かで変わってきます。

  • 課税売上割合が95%以上

課税期間中の課税売上に係る消費税額から、課税期間中の課税仕入等に係る消費税額の全額が控除されます。

  • 課税売上割合が95%未満

課税仕入等に係る消費税額の中の、課税売上に対応する部分のみが控除されることになります。

4.不動産所得の消費税申告と納税方法

「個人事業主に消費税の申告義務がある課税事業者に該当するかどうか」という判定は、原則として前々年の課税売上高が1,000万円を超えるかどうかに基づいて判断されます。

前々年の課税売上高の金額が税抜で1,000万円以下の場合、免税事業者とされ消費税の納税義務が発生しません。

前々年ということは、個人が新規開業した年とその翌年は基準となる期間がないため、原則として納税義務が免除になります。

課税事業者と判定された場合は、課税期間ごとに計算をすることになります。課税期間が終了した翌日から2か月以内に、税務署長に消費税の確定申告書を提出して納税します。

※個人事業者の12月31日の属する課税期間の消費税の確定申告と納税の期限は2月末日ではなく3月31日までに延長されます。

賃貸経営をしている大家さんの不動産所得が「事業的規模」、すなわち事業レベルの規模であると認められる場合は、所得税の取り扱いが変わってきます。

アパートやマンションなどの賃貸業をしている場合は、以下のような基準に当てはまると、事業として行われているという形で扱われると思っておいて良いでしょう。

◆不動産の事業的規模の基準になる「5棟10室基準」

  • 独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること
  • 貸間、アパートなどについては、貸与することのできる独立した室数がおおむね10室以上であること

賃貸業を営んでいる場合、この「5棟10室基準」を満たしているかどうかによって受けられる特典も違ってきます。

<例>事業的規模でないと判断された場合
事業的規模でなければ、青色申告特別控除の10万円控除を受けることが可能です。

ただし65万円控除が受けられません。

青色事業専従者給与の特典も、事業的規模と判断された場合は認可されます。

5.不動産所得の消費税に関する注意点

2013年の「消費税転嫁対策特別措置法」が施行されてから2017年3月31日までは消費税を含まない「税抜き価格」での価格表示が認められていました。
しかし不動産取引の場合は別で、不動産取引の場合、「不動産の表示に関する公正競争規約施行規則第10条」により、消費税および地方消費税が課される取引の場合は、消費税額を含んで表示するようになっています。

5-1.不動産仲介手数料を支払う場合

不動産仲介手数料を支払う場合が、不動産の総額表示に気をつけなければなりません。
土地と建物を購入する場合は、土地に対しては消費税がかからないため建物を対象に消費税が発生します。

不動産仲介手数料は消費税を含まない税抜き価格で表示されますので、建物のみの税抜き価格をしっかり確認しておきましょう。
このことをよく知らず、物件価格をもとに仲介手数料を提示金額のまま払ってしまうと、払い過ぎになる可能性がありますので気をつけましょう。

6.まとめ

不動産売買における所得には消費税がかかるのかどうかということを説明しました。住宅を売買した時の税金は大きなものになるので、自分一人では補助金や優遇措置について見落としてしまうことが多いです。

出来るだけ早く専門家に相談するほうが、うんと安上がりに住む場合も多いので、まずは不動産売買に詳しい専門家を探してみることをお勧めします。