不動産を相続した時かかる登録免許税って何??一体いくらかかるの?

不動産の相続をした場合、その不動産の価値に応じてさまざまな税金がかかってくることになります。相続税などの比較的メジャーな税金のほかに、一般の方にはあまり馴染みのない「登録免許税」というものもかかってきます。

今回はあまり聞きなれない「登録免許税」とは一体どんなものなのか、そして税額の計算の仕方はどのようになっているのか、「登録免許税」に関して注意すべきポイントは何かといったことについて解説します。

1. 不動産を相続したときの登録免許税はいくらか

不動産を相続した際は、相続税とは別に「登録免許税」という税が課税されます。

不動産を取得した際、その不動産の所有権が自分にあることを公的に証明するため、「登記」を行います。

この不動産登記を行っておくことにより、もし仮に第三者が「ここは自分の土地・建物だ!」と主張してきても、本来の所有者は公的な手続きを踏んで公に所有権があることを証明していますから、こういった主張を跳ね返すことができます。このように、不動産への登記により第三者に自らの所有権を主張できる力を「対抗力」と呼びます。

そして、登記をして不動産に対抗力を持つ事は法的に立派な利益とみなされますので、(もちろん手続きの手数料の意味合いも含まれるでしょうが)ここには流通税の一種である「登録免許税」が課税されることとなり、登記の際に一緒に納付しなければなりません。

登記は義務ではありませんが、やはり前述したようなトラブルを避けるためにも行っておくのが通例となっています。

そして、この「登記」にはいくつか種類があり、また不動産登記のシチュエーションにより微妙に課税額が変わってきます。

不動産にかかわる登記には、主に以下の4つが挙げられます。

①所有権保存登記…新築など、まだ登記のなされた事のない不動産への登記

②所有権移転登記…以前の持ち主から新しい持ち主へ所有権が入れ替わる時に行う登記で、中古住宅の売買や競売による取得、相続・贈与、収用などがこれにあたる

③抵当権設定登記…住宅ローンなどを組む際に不動産を担保として、もし借主が返済不可能になったとき不動産を競売にかけ、その利益から優先的に徴収される「抵当権」を、不動産に付与する登記

④抵当権抹消登記…住宅ローンなどを払い終え不動産がその担保でなくなった時、③で設定した抵当権を外して、新しいローン組みや所有者の入れ替わりなどその後の手続きをスムーズにするため行う

不動産相続の際に行う登記は、以上4つの中の②にあたります。いわゆる「相続登記」とは、正しくは相続にともなう所有権の移転登記のことを言います。

もちろんこの相続登記も義務ではありませんが、早めに行っておかないと不動産売買などの際に親の名義になったままなどで手続きがスムーズにいかないので素直に登記しておきましょう。

登記の手続きは、法務局へ申請書類を提出するか、オンラインでも行うことができます。

それでは一体、相続の際の所有権移転登記にはどれくらいの登録免許税がかかるのでしょうか?

その税率から実際の課税額の計算方法までを見ていきましょう。ご自身の不動産登記にかかる金額をここで確め、手続きをよりスムーズに進められるよう心がけてくださいね。

2. 登録免許税の税率

この項では登録免許税の税率について紹介します。

前項でお話した4種の登記とその状況ごとに、まず基本となる税率をリストアップします。

①所有権保存登記…0.4%

②所有権移転登記

移転登記の場合は、不動産所有にいたる経緯によって税率が変動します。

売買・競売の場合…2.0%

相続・法人合併の場合…0.4%

その他贈与・交換・収用などの場合…2.0%

③抵当権設定登記…0.4%

④抵当権抹消登記

抵当権抹消の際のみ、対象価額に税率をかけるのではなく、不動産一個あたり1,000円で固定されて設定されています。

④の抵当権抹消登記を除き、最大で2%の税率を掛けて計算されます。

ここに相続の場合や、不動産の条件により軽減税率が適用されると税率が下がっていきます。

今回のお話のメインである不動産の相続時にかかる登記の登録免許税は、②所有権移転登記の「相続・合併法人の場合」に該当しますので、0.4%ということになります。

(注:役所など公的には「1000分の○」という千分率での表記がなされます。ただしここでは便宜上、小数点を使った百分率で表記しています。)

税率について確認したところで、いよいよ実際の課税額の計算方法を紹介します。

税率の軽減措置についても後ほどお話しますね。

3. 不動産を相続したときの登録免許税の計算方法

不動産相続の際の登録免許税額の計算は、以下の計算式が基本となります。

不動産の価額×税率0.4%=登録免許税額

それでは、残す「不動産の価額」とは具体的にいったい何を指すのでしょうか?

登録免許税の課税において基準となる不動産の価額とは、「固定資産税評価額」、つまり固定資産税評価証明書上の評価額を指します。

「固定資産税評価額」は毎年5月ごろに市町村役場から送られてくる固定資産税納付通知書に添付されている課税明細書に記載があります。この場合だとこちらから何かアクションを起こす必要はなく、勝手に送られてくる上、無料なので大変便利ですね。

しかしこの課税証明書が手元に無い状態ですと、登録免許税の計算には「固定資産税評価証明書」を請求しなければなりません。

固定資産税評価証明書発行の方法は以下の通りです。

①市役所の市税課、東京都や大阪府などの大都市の場合は市税事務所にて請求する。

②必要なもの

  • 発行手数料…不動産1つにつき300円前後
  • 戸籍※1…被相続人の戸籍(「死亡」の記載があるもの)、被相続人との続柄がわかる請求者自身の戸籍

※1 戸籍については相続登記の手続き自体に必要となりますので、いずれにせよ準備しなければなりません。

以上の方法で最新※2 の課税明細書もしくは固定資産税評価証明書を手に入れたら、次に書類をチェックします。

市区町村により微妙なフォーマットの違いはありますが、「評価額」もしくは「価格」と記載があればその欄が固定資産税評価額となります。

※2 固定資産税評価額は毎年変動しますので、該当する年度の評価額を確認しなければなりません。毎年1月1日時点の固定資産税評価がその年の4月1日に交付されますので、相続登記を行う日が4月1日を越えているかどうかがポイントとなります。

例えば平成31年2月に登記を行う場合は、平成30年4月~平成31年3月の期間に該当しますので、「平成30年度」の固定資産税評価額が計算の基準となります。

続いて登録免許税額の計算ですが、基本的には前述の式にて計算をすることとなります。

不動産価額の合計の1,000円未満の端数は切り捨てて課税標準とし計算を行います。

また、算出された金額の100円未満を切り捨てた額が登録免許税となります。

例)固定資産税評価額2,505,678円の場合

2,505,678円→2,505,000[課税標準(1,000円未満切り捨て)]

課税標準2,505,000円×税率0.4%=10,020円

10,020円→10,000円(100円未満切り捨て)となり、登録免許税額は10,000円となります。

続いて、例外として相続登記する不動産の種類ごとの計算のポイントを紹介します。

⑴持分

被相続人が不動産全体ではなくその一部を所有している場合は、不動産価額の合計に不動産全体に対する被相続人の持分の割合を掛けて計算を行います。

例)不動産全体の固定資産税評価額が2,505,786円の場合

  • 被相続人の持分は不動産全体の3分の1

不動産価額2,505,786円×持分1/3=835,262円→835,000円[課税標準(1,000円未満切り捨て)]

課税標準835,000円×税率0.4%=3,340円

3,340円→3,300円[登録免許税額(100円未満切り捨て)]

⑵マンションなど区分所有不動産の場合

マンションなどの区分所有物件の場合、不動産価額に敷地権の割合を掛けてから計算を行います。

敷地権割合は、その不動産の登記事項証明書に記載されています。

例)不動産全体の評価額が2,505,786円、敷地権割合が6分の1の場合

不動産全体の評価額2,505,786円×敷地権割合1/6=417,631円→417,000円[課税標準(1,000円未満切り捨て)]

課税標準417,000円×税率0.4%=1,668円→1,600円[登録免許税額(100円未満切り捨て)]

⑶公衆用道路の場合

固定資産税評価証明書の地目が「公衆用道路」と設定されている不動産については固定資産税が非課税のため、前述の課税明細書や固定資産税評価証明書を見ても0円となっているはずです。しかし、それでは登録免許税もタダなのかと言えば実はそうではありません。たとえ固定資産税が非課税でも登録免許税はまったく別枠なので、しっかり課税されます。

公衆用道路の不動産を相続し所有権移転登記を行う場合は、隣接地の評価額の30%を課税標準とします。

例えば公衆用道路の隣の自宅用敷地を相続する場合は、その自宅用敷地の1平方メートルあたりの単価を公衆用道路の面積に掛け、出た数値の30%が課税標準となるわけです。

例)地目が公衆用道路に設定された不動産を30平方メートル相続する。隣接する本体土地が15平方メートルで価格が1,500,000円の場合

本体土地の価格1,500,000円÷本体土地の面積15平方メートル=本体土地の1平方メートルあたりの単価100,000円

100,000円×公衆用道路の面積30平方メートル=3,000,000円

3,000,000円×30%=900,000円[課税標準]

課税標準額900,000円×税率0.4%=3,600円[登録免許税額]

⑷登録免許税額が1,000円を切る場合

田舎の不動産を相続した場合に登録免許税額を計算したところ、まれに1,000円未満になる時があります。

この場合は、登録免許税額は1,000円となります。

4. 相続時の登録免許税の軽減措置はあるか

残念ながら、現在のところ相続による所有権移転登記の軽減措置は基本的にありません。

そもそも贈与など他のシチュエーションでの所有権移転登記登録免許税率が0.4%とかなり低い税率になっているので、これ以上下がりようが無いという事で目を閉じましょう。

しかし例外として以下の2点どちらかの条件に該当する場合は、登録免許税が免除となる可能性がありますので念のため紹介します。

①相続により土地の所有権を取得した個人が、その相続によるその土地の所有権の移転登記を受ける前に死亡して、平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間にその死亡した個人をその土地の所有権の登記名義人とするために受ける登記

この場合登録免許税を支払う義務があるのは死亡したその個人であるため、必然的に登記に際しての登録免許税は免除となります。

②個人が、「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」の施行の日から平成33年3月31日までの間に、土地について相続による所有権の移転登記を受ける場合において、その土地が相続登記の促進を特に図る必要がある一定の土地であり、かつ、その土地の登録免許税の課税標準となる不動産の価額が10万円以下であるとき

こちらは非常に条件が多く少しややこしいのですが、要は、誰が持っているのかもわからない安い不動産を引き取ってくれる時、登録免許税は要りませんよ、という意味で解釈していただければと思います。

近年、所有者が不明の不動産の増加が社会問題となっており、国やその不動産に関わる家庭裁判所・相続財産管理人などが必死でその引き取り手を探しているような状況です。

使い道の限られた安い土地・建物でも、ちゃんと相続してくれる人が名乗り出て(法定相続人ではなく、故人と縁のある特別縁故人が相続する場合もあります)相続登記してくれれば登録免許税は要らないとすることで、少しでも引き取り手が早く現れてくれるよう施行されているのでしょう。

5. 相続時における登録免許税の注意点

以上に紹介した計算方法はあくまで概算の算出方法です。

実際の登録免許税額算出がこの通りにいかない場合も散見されますので、正確な税額が知りたいという方は、税理士などのプロの専門家に依頼した方が良いでしょう。

6. まとめ

いかがでしたでしょうか?

相続で不動産を得た場合の登記にかかる登録免許税について、その概要と税率・計算方法を中心に紹介しました。

計算の流れとしては、

①課税明細書もしくは固定資産税評価証明書を用意する

②所有不動産の種類に合わせて不動産価額をチェックし、(例外を除き)税率0.4%で計算する

というものでしたね。特に相続登記する不動産が「公衆道路上」にある方は、重ねますが注意してくださいね!

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