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Category  不動産

2018年11月24日

不動産取得税は還付が受けられる!軽減措置の適用の仕方などを解説!

土地や家を取得する際には数種類の税金が課されます。その中でも不動産取得税は不動産を取得した場合に課せられる税金で、通達される納付額が高額になりやすく、納税通知書を見て驚く人も多いとされています。忘れたころに送付されてくるため、2重に驚かされる人も多いのではないでしょうか。

そんな不動産取得税ですが、実は軽減措置を上手に利用することで納付額をゼロにすることが可能なケースもあるのです。今回は不動産にまつわる税金の中でも、特に還付を忘れてしまうと出費が痛い、不動産取得税の軽減措置について要件から手続きの仕方などまで詳しく解説していきます。ぜひ参考にしてみてください!

1.まだ間に合う!不動産取得税の還付を受ける方法

不動産取得税とは、固定資産税や都市計画税など継続して納付が必要な税金と違い、不動産取得時の1度のみ都道府県に納付する地方税です。不動産取得時に納付する税金と異なり、不動産を取得してから概ね半年~1年遅れて納税通知書が送付されてきます。

特に新築では家屋を調査し、評価額を決定するために時間を必要とする場合があり、納付通知書の到着が遅くなるケースもあります。不動産取得後から遅れてくる上に、高額な納付額に驚く人も多いですが、様々な軽減措置が用意されているので、手続きをすることで無駄なく還付を受け取りましょう。

1-1.不動産取得税の還付と軽減措置

相続などを除く不動産の取得に伴って課される不動産取得税ですが、個人が不動産を取得した土地および家屋に対して軽減措置が設けられています。基本的には還付を受ける際には申告が必要になりますが、特例措置に関しては申告をしなくても適用されます。特例措置には税率を軽減するものと、宅地等に関する特例措置があり、これらの特例は申請の手続きをせずとも、条件を満たしていると自動的に適用されます。

申請が必要な軽減措置については、建物に対する軽減措置と土地に対する軽減措置があります。また、新築住宅を所得した際、中古住宅を取得した際にもそれぞれ一定の要件が定められており、要件を満たした場合に軽減措置を受けられるようになっています。要件が細かいため、住宅を所有する際にかかる他の税金に比べて複雑ではありますが、その分軽減できる金額も大きくなります。特に新築や築年数が浅い住宅では控除額も大きくなりますので、必ず手続きを行うようにしましょう。

1-2. 不動産取得税の還付対象となる場合

不動産取得時の還付対象となるのは、個人で取得した不動産に限ります。

具体的な還付対象について解説していきます。

建物に関する還付対象は次のように定められています。

  • 戸建て住宅は課税床面積が実測計測で50㎡以上240㎡以下
  • 戸建てではない住宅は課税床面積が40㎡以上240㎡以下

土地に関する対象は次のようになります。

  • 土地を先に取得する場合は土地の取得から3年以内に、その土地の上に建物が新築されること
  • 新築の住宅を建築したあと、1年以内にその土地を取得している
  • 未使用の新築住宅とその土地の両方を建築後1年以内に同一人物が取得している

土地に関する対象については、上記のうちいずれかの条件を満たしていれば還付を受けることができます。

先ほども出ましたが、申告をしないと還付は受けられませんので、あらかじめ条件を確認し、適用の条件を満たしている場合は必ず申告しましょう。大幅な節税を受けることができるチャンスです。

1-3.不動産取得税の還付が受けられる期限

都道府県によって定める期限が変わりますが、不動産を取得した日から10~60日以内に不動産取得申告書と不動産取得税減額等申請書を提出します。不動産の登記をした日ではなく取得した日から起算されるため注意が必要です。期限を過ぎても受理してくれる都道府県もありますが、その場合にも正当な理由がなく期限を過ぎてしまうと条件を満たしていても還付を受けることができない場合もあります。

もし減額等申請を忘れて軽減措置を受けずに納税してしまった場合でも、還付金には時効があるので、起算日から5年以内であれば還付を受け取ることができます。いずれにしても手続きは必要となるので、忘れた場合もすみやかに申請を行うようにしましょう。

1-4.不動産取得税の還付金額はいくら?

控除される金額は、新築住宅か中古住宅かによって変わります。

新築住宅を取得した場合は、1,200万円の控除をうけることができます。そのため住宅の価格から1,200万円を差し引いた額に不動産取得税が課税されます。戸建て以外の住宅では独立した区画ごとに控除を受けることが可能です。

また長期優良住宅に認定された新築住宅の場合は1,300万円の控除を受けることができます。長期優良住宅に対する軽減措置は特例となっており、平成32年3月31日までに取得した新築の長期優良住宅が対象です。

中古住宅では取得した中古住宅が新築された日によって控除額が変わります。中古住宅でも比較的軽減の幅は広く、例えば昭和29年7月1日~昭和38年12月31日に建てられた古い中古住宅でも100万円の控除を受けることが可能です。それ以降も新築された年数ごとに金額が区分され、平成9年4月1日以降に新築された中古物件は新築住宅と同額の1,200万円の控除を受けることができます。

控除を受けることができる前提として新耐震基準に適合していることが必要になり、昭和56年より前に新築された中古住宅で、新耐震基準に適合していない物件は控除を受けることができません。

しかし、中古住宅を取得した際に、取得した住宅が耐震基準に適合していない場合でも、ある要件に該当する中古住宅においては家屋の税額から一定額が減額される措置を受けることが可能です。

  • 個人の取得
  • 床面積が50㎡以上240㎡以下
  • 取得後6か月以内に、取得した中古住宅に対し耐震改修工事を行うこと、工事後に診断を受けて耐震基準に適合していることを証明されていること、工事後に取得した人が居住することの3点を満たしている

新耐震基準の要件を満たしている中古住宅に限り軽減措置が適用されるよう定められているため、新耐震基準に適合していない住宅でも取得税が控除されることで浮いた資金を新耐震基準に適合するようリフォームをすると思えば、かなりお得なのではないでしょうか。耐震制度が不十分なことは生活をする上でも不安が残ります。いずれ耐震強度を上げることが必要になるならば、不動産取得税の還付が受けられる不動産取得時に工事を行う方が経済的です。

ここで注意したいことが、納税通知書が来るのは不動産取得から6か月以降になるため、納税通知書が来てから動くのでは間に合いません。そのため事前に軽減措置の要件については確認をしておき申請の条件をクリアできるよう準備をしましょう。また、申請時には新耐震基準に適合していることを証明する書類など、必要書類が増えるのでこちらも忘れないようにしましょう。

新耐震基準に適合した中古住宅においても、残念ながら昭和29年6月30日より前に新築された住宅を取得した場合は、床面積の要件や新耐震基準を満たしていることが証明されたとしても、控除を適用することはできないので注意をしてください。

1-5.不動産取得税の還付を受けるための手続き

不動産取得税は万が一申告を忘れてしまった場合でも納税通知が届きますが、還付に関しては忘れた場合でも還付の知らせが送付されることはありません。不動産取得税は高額な納付額となることが多いので、還付の手続きは忘れずに行うようにしてください。

軽減措置を受ける手続きは、都道府県によって定める期限が変わりますが、不動産の取得日から10~60日以内に各都道府県の税事務所などに申告するところから始まります。ほとんどの都道府県では不動産取得申告書と不動産取得税減額等申請書が同じ用紙にまとめられているため、不動産を取得した際に申告をすると同時に還付を受けるための手続きも終えることができます。そして申告に必要な書類を用意し申告を済ませると6か月~1年後に納税通知書が届きます。納税通知書に記載されている納税方法にて納税を済ませた後に、還付金を受け取ることができます。

2.これから不動産を取得する場合には軽減措置の申告を忘れずに!

都道府県の中には申告手続きをしなくても軽減措置を適用させてくれるところもありますが、ほとんどの都道府県が還付を受けるためには自己申告が必要になります。手続きの方法については各都道府県によって若干の違いがあるため不動産を取得した地域を管轄している税事務所などに確認するようにしましょう。

また前述したように、還付金には5年間時効が設けられています。万が一不動産取得申告はして納税をしたものの、減額等申請書をしていない場合は5年以内に手続きをして還付金を受け取りましょう。

3.不動産取得税とは

そもそも不動産取得税とは、どのような税金なのか紹介していきます。

3-1.納付する人

住宅や店舗、工場などの家屋や土地を所得した人が納付をします。そのため土地や家屋を購入した場合はその購入者、贈与を受けた場合は受贈者に納付義務が生じます。

基本的に課税されるのは購入者や受贈者になりますが、新築住宅で建築後6カ月(2020年度までの新築は1年)を過ぎた時点まで売れ残った物件は、分譲主に対して不動産取得税が課されるようになります。

3-2.納付額

実際に不動産取得税として納める金額は「不動産の価格×税率」という計算式により算出します。この計算式における不動産の価格とは当該不動産の取得にかかった購入費用などではなく、固定資産税評価額を基準に算出します。新築などでは固定資産税課税台帳への登録がされていないため、評価額が分かりません。そのため新築を所得した際に課される不動産所得税は、全国で統一された基準をもとに各都道府県の知事が評価額を決定した上で算出します。

不動産の贈与や交換により取得した場合も固定資産台帳に登録された価格で納付額を算出します。

不動産取得税は4%の税率ですが、平成32年3月31日まで3%の税率に軽減する税率が施行されています。そのため特例により土地と住宅では税率3%、住宅以外の店舗や工場、倉庫などの家屋では税率4%が課税されることになっています。この特例は2006年から続いており、10年以上も土地と住宅に関しては税率が軽減される状態が続いています。

また平成8年1月1日~平成30年3月31日までに取得した宅地に関しては、宅地等に関する特例措置が適用されます。この宅地等に関する特例措置とは取得した不動産の価格=課税標準額を2分の1にして課税される不動産取得税の納税額を算出するものです。

そのため納税額を算出するにあたり、各種特例を適用させると次のような計算式になります。

不動産取得税=不動産価格(課税標準額)×2分の1×税率(3%もしくは4%)

これら税率や宅地等に関する特例措置においては申告をしなくても適用されるので安心して下さい。自分であらかじめ納付額を把握するために計算しておく場合は、これらの特例も加味して計算しましょう。

3-3.不動産取得税の申告と納付方法

不動産を所得したら、まずは不動産取得税申告書を10~60日以内に提出します。各都道府県により申告方法や申告の期限に若干の違いがありますので、所得する不動産がある都道府県のホームページなどで確認をするようにしましょう。申告の期間が比較的短いため早めに行動することをおすすめします。

不動産取得税申告書は所得した不動産のある地域を管轄している都道府県税事務所に提出をすると、半年~1年後に都道府県税事務所から納税通知書が送付されます。

もしも不動産所得税の申告を忘れてしまった場合はどうなるのでしょうか?

実際に不動産取得時には様々な手続きに追われ、自己申告が必要な不動産取得税は忘れてしまう人は多くいます。実は不動産取得税は自己申告をするようになっているものの、申告を忘れてしまった場合にも罰則はなく、自己申告がなかった場合は、不動産の登記記録の情報をもとに納税通知書が届くようになっています。

不動産所得税を免れるために登記をせずにいようと考える人もいるかもしれませんが、それはとても危険なのでやめましょう。登記をしないということは、所有している土地が自分の土地であることが公的に証明されていない状態になります。知らない間に違う人が登記をして所有権を奪われてしまう可能性もあるため、不動産を新たに所得した場合は必ず登記をするようにしましょう。

必ず登記をしなければならない以上、不動産取得税は必ず徴収されるようになっているので、きちんと軽減措置の手続きもして支払う額を抑えられるようにしましょう。

支払いについては、都道府県税事務所・税支庁・都道府県支庁、金融機関や郵便局の窓口、指定のコンビニエンスストアでの納付が可能です。最近はパソコンや携帯電話などからクレジットカードにて納付することもできるようになっている都道府県もあります。また、口座振替は行っていない都道府県があるなど、地域によって若干の違いがあるので、該当する都道府県がどのような支払方法になっているか確認の上、納付を行いましょう。基本的には納税通知書にも記載されていますので、書類の確認をしてください。

3-4.不動産取得税が非課税もしくは免税になる場合

不動産取得税には非課税になるケースがいくつかあります。

  • 取得した不動産の価格が一定の基準に満たない場合

土地の取得が10万円未満、建築した住宅が1戸につき23万円未満、建築以外で取得した建物が一戸につき12万円未満の場合は免税されます。

  • 相続

相続によって被相続人が所有していた土地や家屋を取得した場合は非課税となります。これは相続人が取得する意思を持って取得したものではなく、法的規定のもと所有権が相続人へ移動したという扱いになるため取得税は非課税となるのです。この場合、被相続人が健在で、生前贈与や遺言をもとにした相続を行う場合は贈与にあたり、課税の対象となります。

  • 法人の合併または一定の分割による不動産の取得

法人の合併や分割に伴う所有権の変更となるため非課税になります。

  • 学校法人、宗教法人などが本来の事業に用いる不動産の取得

公益を目的とするため、非課税となります。

  • 土地改良事業、土地区画整理事業の施行に伴う換地の取得

本人の意思ではなく、都道府県や市区町村の計画のために所得する不動産が変わるため、新たに所得する不動産に対しての課税は免除されます。

  • 公共の用に供する道路などの用地の取得

公共の様に供する道路や保安林、墓地、水路など公共の用に供する場合に非課税になります。

4.不動産取得税の軽減措置

不動産取得税の軽減措置は新築住宅を取得した場合と中古住宅を取得した場合とで条件が異なります。

4-1.新築住宅の軽減措置

新築住宅では「特例適用住宅」の要件を満たした住宅に、固定資産評価額から一定額を控除することができます。

新築住宅の中には、家屋の増築や改築においても、要件を満たしていれば軽減措置が適用されるようになっていますので、既存の住宅での増改築工事も新築住宅の軽減措置が適用される場合もあります。

軽減措置が適用となる特例適用住宅の要件は次のようになります。

  • 戸建てや区分所有マンションの場合は住宅の延べ床面積が50㎡以上、240㎡以下であること。この延べ床面積には物置や車庫の他、マンションにおける共用部分も含まれています。
  • 戸建て以外の貸家は40㎡以上、240㎡以下であること。

以上の条件を満たした場合において、新築住宅の軽減措置の適用となります。

4-2.中古住宅の軽減措置

中古住宅における軽減措置は次の要件に該当していることが定められています。

  • 購入者が自身の居住用もしくはセカンドハウスとして建物を取得
  • 50㎡以上240㎡以下
  • 昭和57年以降に建設されているもしくは、昭和57年より前に建設された住宅で新耐震基準に適合している住宅

昭和57年に建築基準法が改訂される前に建築された建物は、現在の耐震基準を満たしていませんが、現在の基準を満たしていることが分かれば大丈夫です。前述したように、新建築基準法に適合していることが証明される場合や、入居前に新耐震基準への適合をクリアするためにリフォームを施行した建物では軽減措置の対象となります。

5.不動産取得税の軽減措置を受ける方法

不動産取得税の軽減措置が適用される要件を満たしていることが確認できたら、ただちに必要書類を集めて、税事務所に申告をします。

5-1.必要書類

必要な書類は提出する都道府県により若干の違いはありますが、基本的なものは次のものになります。

  • 印鑑
  • 納税証明書
  • 住宅の謄本など
  • 不動産を取得した人の新しい住民票
  • 新耐震基準に適合する住宅であることを証明するための書類
  • 併用住宅やアパートなどを取得した場合は各階の平面図の写し
  • 長期優良住宅を新築した場合は長期優良住宅認定通知書の写し

5-2.申告方法

必要書類を用意し、取得した不動産の所在がある市区町村の税事務所もしくは税支庁など行き申請します。

6.まとめ

不動産取得税における軽減措置は要件が細かく設定されているため、難しいと感じた人も多いのではないでしょうか。それでも軽減措置を適用させた場合に得られる節税効果は高いため、しっかりと要件を満たしているか確認をして、手続きを忘れずにしましょう。

また不動産取得前から、取得後に発生する税金についてもリサーチしておくことで、物件の選び方も変わってくる可能性があります。例えば100万円程度の差額で長期優良住宅が選べる場合は、長期優良住宅における控除額が100万円多いため、税金を含めた不動産取得に必要な資金を考慮すると大して変わらなくなる可能性もあります。可能な限り不動産取得税を含めた不動産にまつわる税金についての知識をつけてから物件選びや建築依頼をすることをおススメします。

上手に軽減措置を利用して、不動産取得税を抑えられるようにしましょう!