事例紹介

Category  不動産

2019年01月18日

不動産を譲渡する際の贈与税の申告はどうやって行うの?書き方は?

父母や義父母などから財産などをもらう時に110万円というボーダーラインを超えてしまうと発生するのが贈与税です。そんな贈与税を納税する際には、税務署への申告が必要となります。申告することは義務付けられており、万が一申告をしなかった場合には罰則がかけられてしまうなんてこともあるようです。そんな贈与税はどのようにして申告するのが正しいのでしょうか?また贈与税申告の書類はどのようにして書くのかなど、贈与税の申告に関して必要な情報をこれから学んでいきましょう。

1.不動産の贈与税申告が必要な方と申告場所

贈与税というのは、父母や祖父母などの家系図において縦の関係のあるものから財産を贈与された際に発生する国税のことを指します。不動産の贈与税申告に必要な方ということで政府で正式に定められています。まずその条件というのか、1月1日から12月31日までの1年間の間に受けた財産の金額から、基礎控除額分である110万円を差し引きして超えた金額があるという方です。そのため1年間に贈与された対価が110万円以下であれば、そもそも贈与税が発生しませんので申告する必要も自然となくなります。

贈与税を申告する際には申告書を書くことになりますが、それを提出する際には、3つの方法があります。

  • 税務署の窓口に持参して申告する
  • 税務署の時間外収受箱へ投函する方法
  • 税務署に郵送する方法

これらの方法で贈与税を申告します。基本的には提出方法が微妙に異なるものの、最終的には税務署に提出するということになります。

中でも最も無難な方法は、お近くの税務署に直接行って提出するという方法です。間違いがあった際にはその場で指摘してもらい訂正することもできますし、申告書をちゃんと提出することができたという安心感にもつながるでしょう。とは言えども税務署がなかなか近くにないという方や、平日の夕方ごろまでしか空いていないため仕事で行けないという方がほとんどかもしれません。

そう言った都合で税務署に行くことができないという方は、残りの2つの方法で提出することになるでしょう。仕事でなかなか営業時間内には間に合わないという方であれば、時間外収受箱へ申告書を持っていって提出するという方法があります。あるいは税務署が遠いのでそれも難しいという方は、郵送で送るようにしましょう。提出用と控用の申告書を切手の貼った返信用封筒に入れて発送します。申告が完了すれば税務署から収受印が押された控用の申告書がご自宅に届きます。税務署に直接行くことに比べるとお日にちを頂戴するものの、時間がない人にとってはこの方法が最も便利でしょう。ちなみに郵送で送る場合は大切な書類ですので、普通郵便で送るのではなくレターパックや簡易書留などの郵送方法で発送するべきです。

2.不動産の贈与税の申告方法と時期・期限

不動産の贈与税をこれから申告していくにあたって、まずは書類の作成から始めていく必要があります。その場合に必要な書類や書き方に関しては後ほどご説明します。そして申告書の作成が完了すると、最終的に税務署に届くように申告書を提出します。税務署に直接取りに行くという方法であれば確実性もありますし最適です。万が一税務署へ行くことができないという方は、申告完了までにお時間がかかってしまうものの郵送で申告することも可能です。

ですが申告書を提出するのは、いつの時期でも良いというわけではありません。贈与税の申告期限というのはその年毎によっても微妙に異なってきます。ですが基本的には2月1日から3月15日までという期限がベターです。

そして贈与税を申告する場合の時効は5年とも定められています。贈与を行なった時から5年間が時効となっており、万が一それを過ぎてしまうと罰則をかけられてしまいます。5年間という時効を知らないうちに贈与しており、結果的に申告を忘れてしまった場合でもこれは関係しています。ですので贈与税を申告する際には期限をしっかりと国務省のホームページで確認して、5年間という猶予も忘れないようにしなくてはなりません。

3.不動産贈与税の申告をしないとどうなるの?

5年間が贈与税の申告の時効だということが判明しましたが、万が一不動産贈与税や申告をしなかった場合はどのようなことになるのでしょうか?

やはり国税ということで税金を支払わなければ国の法律を破ったことになりますので、罰則を受ける必要があるでしょう。この場合のペナルティーというのが、延滞税として14.6%が、そして加算税が15〜40%ほどかかってしまいます。もともと贈与税自体は課税率が高い方ですので、万が一延滞してペナルティーとなってしまうとさらに高くついてしまいます。また贈与税を非課税するというパターンもよくありますが、一度税務署から指摘されてしまうとそれも適用されなくなってしまいます。

そんな延滞税に関しては、実はただ申告を遅れていることだけでこのようなペナルティーがあるわけではありません。さらに2つのパターンが考えられます。まず1つ目は申告書を期限内に提出していても、不動産は複雑なものですので後で計算間違いなどで修正が必要となる場合があるなんてことも。その場合の修正申告書を、納税が遅れた分に限りますがその日から遅れてしまうことでペナルティーを受けなくてはなりません。

そして2つ目の事項としては、税務調査で指摘を受けてしまい追加での納税が必要となった場合です。相続税に関しては特に6ヶ月から2年後に税務調査を受けないといけないことがよくあります。そのためこの税務調査で引っかかってしまうと支払いが必要となるわけです。こういったパターンからペナルティーも発生してしまうので、贈与税がある場合には必ず申告は忘れないようにしましょう!

・不動産贈与税の申告は絶対に隠せない!

不動産贈与税の申告をしなければペナルティーがあることはわかっているものの、隠せるのではないか?と思ってしまう方が多いかもしれません。ですが結論から言うと不動産贈与税の申告を隠すことは絶対にできません!!

まず贈与税は税務署の方が一人一人個人のお金の動きをチェックしているわけではないため、すぐにバレてしまうことはありません。特に法人ではなく個人ですとなおさらわかりにくいというのが現実です。ところが、相続や不動産登記の段階で申告漏れがあるとバレてしまうことがあります。まず相続のタイミングでは相続税が発生してしまうため、税務署からの調査が入りやすくなってしまうわけです。お金や不動産などの相続した資産や相続した方の口座などを確認しながら不正がないかどうかを確認していきます。この際には過去10年ほどは遡って確認することが多いですので、申告漏れが時効とはなりません。

そして不動産登記の場合ですと、登記の手続きをすることで法務局から税務署に報告されてしまいます。この場合の不動産の購入者にお尋ねとして、住宅の購入時期や価格、購入された人の職業や年齢などの個人情報、購入資金をどのようにして手に入れたのかということが質問事項にあります。そのため内容に問題点があった際には隠すことはもちろんできませんので、申告漏れが判明してしまうというわけです。

このような点からも贈与税の申告を忘れたり、わざと納税したくないので申告を遅らせるということをしてしまっても結果的には必ずバレてしまうということを覚えておきましょう。

4.贈与税申告に必要な書類

贈与税を申告する際には様々な必要書類があります。ケースによっても異なってきますが、まずは必要書類に関してまとめていきます。

  • 第1表…贈与税の額の計算明細書
  • 第1表の2…住宅取得等資金の非課税の計算明細書
  • 第2表…相続時精算課税の計算明細書

基本的にはこの3つの書類が必要となりますが、その場合によっては全て必要というわけでもなく、また別の証明書などの書類が必要となることもあります。どのような場合にどの申告書が必要なのかを表にしてみます。

申告の内容:使用する申告書

暦年課税のみの場合:第1表

相続時精算課税のみの場合:第1表と第2表

暦年課税と相続時精算課税の両方を行うとき:第1表と第2表

「住宅所得など資金の非課税」と暦年課税を申告する場合:第1表と第1表の2

「住宅所得など資金の非課税」と相続時精算課税を申告する場合:第1表と第1表の2と第2表

この表にもあるように、暦年課税というのは1年ごとに年間の贈与税を計算する方式のことを指します。

そして相続時精算課税というのは、通年で2,500万円の控除が受けられる代わりに、相続が発生した時には相続財産を足し戻すことです。控除額を超える場合には一律で20%の贈与税の負担が必要になるものの、負担した税額も相続時に清算することになるのである意味先払いをしていると考えると良いでしょう。

住宅所得などの資金の非課税というのは、平成27年1月1日から平成33年の12月31日までの期間で父母や祖父母などの直系尊属から子供や孫に贈与された不動産を新築したり増改築などに使われる資金である住宅所得等資金から一定額を非課税とする方式のことを指しています。

このように、贈与税申告の際に必要な書類は異なってきますので、どのようなパターンに当てはまっているのかを表を参考に調べておきましょう。

5.贈与税申告の添付書類

贈与税申告の際に申告書以外にも添付書類が必要となるケースがあります。そこでそれぞれのパターンごとにどの書類が必要なのかを見ていきましょう。

5-1.特例贈与財産の贈与を受けた場合

贈与税の条件でもある20歳以上の人が家系図において縦の関係になる父母や祖父母から贈与された際の財産は、特例贈与財産とされます。特例贈与財産は基本的には一般税率に比べると税率が安いため、贈与税としてみてみても納税金額が安くなります。そんな特例贈与財産の適用を受ける際に2つの条件に当てはまると、贈与税の申告書の他にも戸籍謄本や戸籍抄本といった直系尊属が証明できる証明書の提出が必要です。

◆条件

1.特例贈与財産のみの贈与を受けた場合で、その財産から基礎控除額である110万円を差し引いた後の課税金額が、300万円を超える場合
2.一般贈与財産と特例贈与財産の両方の贈与を受けた場合に、その両方の財産の合計から基礎控除額の110万円を差し引いた額が300万円を超える場合

5-2.贈与税の配偶者控除の特例の適用を受ける場合

配偶者間での贈与の際には、配偶者控除が適用されて納税額の負担が低くなる傾向になります。そんな配偶者控除の場合も書類が少し異なります。

  • 受贈者の戸籍の謄本又は抄本
  • 受贈者の戸籍の附表の写し
  • 控除の対象となった居住用不動産に関する登記事項証明書
  • 受贈者の証明書の写し

これら4つの書類が申告書以外に必要となりますので注意しましょう。

5-3.相続時精算課税の適用を受ける場合

相続の際に精算課税の適用を受ける場合にも提出書類が少し異なります。

  • 相続時精算課税選択届出書
  • 受贈者や贈与者の戸籍の謄本又は抄本などの書類で、受贈者の氏名、生年月日と、受贈者が贈与者の法定相続人または孫であること、これらを証明できる書類
  • 受贈者の戸籍の謄本又は抄本の写しなどで、受贈者が20歳の時以降の住所または居住を証明する書類
  • 贈与者の住民票の写しなどで、贈与者の氏名、生年月日を証明する書類
  • 贈与者の戸籍の附表の写しなどの、贈与者が60歳に達した以降の住所を証明する書類

5-4.資金の非課税の適用を受ける場合

住宅所得などに必要な資金の非課税の適用を受ける場合にも書類が異なってきます。

  • 受贈者の氏名、生年月日
  • 贈与者が受贈者の直系尊属に該当すること

受贈者の戸籍の謄本などの証明書で、これらの項目を証明できる書類が必要です。

そして源泉徴収票などのその年分の所得税にかかる合計所得金額を証明できる書類

6.贈与税申告書の書き方

贈与税の申告をするためにも、申告書の書き方について学んでいきましょう!

6-1.申告書第一表の書き方

どんな場合の申告書でも大抵必要となるのが第一表です。書く必要のある項目を挙げていきます。

  • 税務署の所在地 ××税務署長
  • 提出した日付 平成××年×月×日
  • どの年の贈与税なのか 平成××年分
  • 自分の氏名及びフリガナ、住所、生年月日、続柄(申告する人から贈与する人との続柄)
  • 続柄(申告をする人から見た贈与する人の続柄→直系尊属であるかそうでないか)

◆贈与された不動産について

  • 所在場所など(各財産の所在地として住所や氏名及び名称を記入します。)
  • 数量
  • 単価(1平方メートルあたりの1株当たりなどのその財産の1単価あたりの価額)
  • 固定資産税評価額
  • 倍数(固定資産税評価額を基として評価する土地及び家屋について、固定資産税評価額にかかる一定の倍率)
  • 財産を所得した年月日、財産の価額

◆申告書第一表の二の書き方

申告表の第一表の二において必要な事項を挙げていきます。

  • 受贈者の氏名(申告する人)
  • 住宅取得等資金の非課税の適用を受けるか否か
  • 贈与者の住所、氏名及びフリガナ
  • 贈与者の生年月日
  • 贈与者の続柄(申告をする人から見た贈与者の続柄)
  • 住宅所得等資金を取得した年月日及び住宅所得等資金の金額
  • 新築・所得・増改築に係る契約年月日(住居用の家屋の新築あるいは取得、増改築に係る契約を締結した際の年月日を記入します)
  • 非課税限度額
  • 所得税および復興特別所得の確定申告書を申し出た年月日及び提出した税務署

◆申告書第二表の書き方

申告書第二表で必要な項目を挙げていきます。

  • どの年の贈与税なのか 平成××年分
  • 受贈者の氏名
  • 住宅所得等資金を受けた場合の相続時清算課税の特例適用を受けたか否か
  • 贈与者の住所、氏名及びフリガナ
  • 続柄(申告する人から見たら贈与者との続柄)
  • 贈与者の生年月日

◆贈与された不動産について

  • 所在場所、種類、利用区分・銘柄など、数量、単価、固定資産税評価額、倍数
  • 贈与を受けた年月日、財産の価額
  • 過去の年分の申告において控除した特別控除額の合計
  • 受贈者の氏名と住所

申告書を書く際には以上にあげたような事柄を記入する必要があります。もちろんその年によっても微妙な変更点があるということも考えられますので、まずは国税庁のホームページで用紙をダウンロードしてみましょう。

7.不動産の相続税申告時の注意点

何らかの財産を贈与された際には、贈与税の申告が必要だということがここまでもわかっています。そんな贈与税を申告する際にはどのような注意点があるのでしょうか。そこで、贈与税を申告した後に実際納税する方法にはどのようなことがあるのか、そして贈与税を申告する前に注意しておきたいことを最後にご紹介しておきます!

7-1.贈与税の4つの納税方法

まず贈与税には4つの納税方法があります。

  • クレジットカードでの納付
  • 金融機関での納付書納付
  • 電子納付
  • コンビニ納付

このように身近でできるお支払い方法で、贈与税を納付することができます。定番の方法は税務署で納付書をもらって、金融機関の窓口で支払うということでした。忙しい人であってもこれらの方法であれば、誰でも気軽に利用することが可能です。

そんな中でも特に忙しい方はクレジットカード納付がお勧めでしょう。インターネットで簡単に決済を済ませることができます。その分決済手数料として、納税額によって82円〜410円まで発生してきます。手数料はお支払いの際に、ホームページから確認することができます。手数料が発生しても、税務署が自宅の近くにないという方にとっては交通費を考えればどちらも変わりはありません。手続きを進めていく中では、自分の住所や電話番号などの個人情報と贈与税の額などを記入して決済をすれば完了です!

そして税務署で納付書をもらって金融期間で納付するという方法は、手数料などもないためコストを抑えたいという方には最適です。最近では金融機関に贈与税の納付書が配布されていることもありますので、税務署まで行かなくてももらえる場合もありオススメの方法です。

そして電子納付とはインターネットバンキングなどでインターネットを経由して支払う方法です。こちらは設定が少し複雑ですので、今後贈与税を何度も申告する機会があるのであれば一度設定しておいても良いかなという印象です。最後にコンビニ納付は、一見楽そうに見えて一度税務署に行って納付書を発行してもらわなければいけないため少し不便に感じてしまうかもしれません。コンビニでスキャンできるバーコード付きの納付書を発行してもらってからのお支払いとなりますので、それならば金融機関での納付の方が便利ではあるでしょう。

今回紹介した4つの方法の中から、自分にとって支払いやすい方法で納付するのが1番です。

7-2.贈与を受けており、申告する前に注意しておきたいこと

初めの章でも少し出てきたように、贈与税の申告が遅れてしまうとペナルティーが発生しています。期限に遅れてしまわないためにも、贈与されて申告する前には注意しておくことがいくつかあります。

贈与税がかかるかどうか確認
まず贈与を受けた場合には、贈与税がかかってくるのかをチェックする必要があります。年間110万円を超えた場合に贈与税はかかってくるのですが、まずはそこから確認しましょう。

未使用分は返却して、非課税対策を
贈与されてしまったものは正しく税金を払う必要がありますが、未使用のものがあれば贈与した人に1度返却して正しいルールに従ってもう一度贈与することで贈与税の非課税対策となります。贈与税は1年間の総額によって変わって来るものですので、非課税するためには1年あけて贈与することで対策することが可能です。

使用した分は早く申告する
贈与されて、使用した分は早いうちに申告するようにしましょう。5年の猶予があると最初で述べたものの、遅れてしまってからでは取り返しがつきません。申告が遅れてしまうと延滞税として14.6%、加算税は15%〜40%のペナルティーが発生します。万が一遅れてしまってもすぐに申告することでペナルティーも軽くなりますので、早めの申告を目指しましょう。

8.まとめ

今回は贈与税を申告する際に必要な様々な事項をご紹介していきました。

中でも最も重要な事項としては、贈与税の申告には5年程度の期限があるので必ず遅れないようにだけは気をつけましょう。税務署に行くのはなかなかお仕事をされている方であれば難しいことかもしれませんが、郵送や時間外申告もありますので今回紹介した方法を参考に早めの申告を目指してください。

また条件によっては添付する書類や申告書も異なってきますので、そちらも気をつけるようにしましょう!