事例紹介

Category  不動産

2018年07月03日 更新

家や土地を少しでも早く売りたい時に注意するポイント

家や土地を少しでも早く売るには売り出す際の価格設定や業者選び、契約方法などがポイントになります。特に購入希望者が投資目的の場合、価格が重要視される場合が多く、相場に見合った価格設定は重要になります。売買に協力的な業者選びを行うことも大切です。

場合によっては、担当者のやる気を引き出すために秘策を練ることも必要となるでしょう。

また、売買契約までこぎつけても、すぐに現金が手に入らない場合もありますので注意が必要です。一方で、早く売ることは必ずしも損をすることになるとは限りません。多少価格が安くても、後々かかるコストを考慮すると得になるケースも多いにあります。ここでは、家や土地を少しでも早く売る際に注意するポイントを考えていきましょう。

1. 適正価格で売り出す

土地や家には相場があり、その相場に見合った価格を適正価格と言います。家や土地を売る際、相場からあまりにかけ離れた価格を設定してしまうと売却が難しくなります。適正価格を設定して売却をスムーズに進めるために、相場を把握しておくことは非常に重要なことです。

不動産価格の相場は国土交通省の地価公示や都道府県の地価調査で知ることができます。これは、過去の不動産取引価格などを基準に決定されており、売りたい家や土地が必ず売れる価格まではわからないものの、価格設定の際にひとつの目安になります。

また、土相場を知っておくことで売却の交渉の際に、不当に安く売ってしまうことを防ぐこともできます。

1-1. 相場は変動する

需要と供給の関係が変わったり、周辺の環境に変化が起きたりすることによって、相場は常に変動するものです。例えば、新しく駅ができるなど交通の便が良くなったり、大規模商業施設ができるなど周辺環境の利便性が向上したりすると、その付近の人気が高まり需要は増えます。

一方、周辺地域の人気が上昇することで、人気が下がってしまい需要が減ることもあります。買いたい人が多くなると相場は上昇し、買いたい人が少なくなると相場は下降します。

1-2. 投資目的の人は価格にシビア

また、仮に適正価格で売り出しても、ほとんどの買主は値下げを求めて交渉をします。したがって、結果的に相場よりも安い値段で売ることにもなりかねません。早く売りたい場合は相場よりも安い価格設定をすることで、市場にアピールと良いかもしれません。

買主が投資目的で物件を探していたり、他にも候補を持っていたりする場合は、その物件そのものや立地などに強いこだわりがないので特に価格にシビアになります。

1-3. 値下げは必ずチェックされている

また、価格にシビアな購買層は、常に価格を確認しています。特にインターネットが普及したことで、誰でも簡単に情報収集することが可能になりました。ですので、値下げをして売り出した場合、必ず誰かにチェックされているものだと考えておいた方が良いでしょう。

1-4. 不動産取引が活発になる時期を選ぶ

一般的に不動産取引が活発になる時期は、転勤、進学、就職、などで人が最も異動する、1月~3月だと言われています。しかし、1年を通して物件を探している人も多く、今では平均的に不動産が売れるようになっており、時期や季節の影響は少なくなってきているようです。

2. 安く売り出す

安く売り出すことが決して損することになるとは限りません。例えば、土地を所有している間は、毎年固定資産税や都市計画税が発生します。つまり、なかなか売れずに所有している期間が長ければ長いほど、納める税金が高くなってしまうのです。

また、家は老朽化するものなので、築年数が経つにつれて資産価値が下がってしまいます。特に、新しい家ほど1年ごとの下げ幅は大きくなってしまうので、なかなか売れなかった場合、大幅に価格を下げる可能性も出てきます。そういったことから、先に安く売りに出してしまった方が得になることもあります。

3. 協力的な業者・担当者を見つける

不動産を売却する場合、自力で買主を探すやり方もありますが、個人で売買契約を結ぶことは簡単ではありません。そのため、不動産業者に依頼するのが一般的です。その際、売りたい物件を早く高く売るには、どの業者に依頼するかということが重要になります。業者選びにはいくつかのポイントがあります。少しでも有利に売却できるように、慎重に見極めていきましょう。

3-1. 市場にあった価格査定をする業者を選ぶ

まずは、相場を知るために、不動産業者に頼んで物件の査定をしてもらいます。 その際はなるべく複数の業者に依頼する必要があります。もちろん、すでに信頼できる業者がいる場合は、その限りではありませんが、単独の業者だけだと相場を読み違える場合があるからです。

不動産の価格の査定は簡単ではありません。査定結果について、納得できる理由をきちんと説明できる業者は信頼できますが、調子の良いことばかり言う業者には注意が必要です。

複数の業者に依頼する際、ネットの一括見積りサイトを利用すると一度にたくさん依頼することができ、大変便利です。

3-2. 契約方式でやる気が変わる

さまざまな不動産会社を参考にし、綿密なコミュニケーションを取った後は、いよいよ気に入った会社と契約を結ぶときです。いわゆる売却のサポートを任せる契約のことを、特に「媒介契約」と呼びます。

不動産会社が行ってくれるサポートやそれにかかる料金を決めるためのものでもあるので、内容をよく確認してから結ぶようにしましょう。

また、この媒介契約には三種類あり、自分の利用スタイルに合ったものを選択するべきです。きちんと媒介契約を結ぶことで、後になってから「そんな話は聞いていなかった」というトラブルを回避するために必要です。

あらかじめ契約を結んでおくことで、双方にもたらす約束を強化させることができます。実際に売り出してからは、この契約の通りに取引が進んでいくことになるので、とても重要となる契約です。

また、契約を結ぶことは法律で決められてもいるので、結ばずに済ませることはできません。

不動産業者への仲介依頼には3種類あります。

専属専任媒介契約

1つ目は「専属専任媒介契約」で、これは特定の不動産業者のサポートのみで、他の業者を利用することができない契約方式です。自分で買主を見つけてきた場合についても、依頼した不動産業者を通して取引することが義務づけられており、売却において全てを会社側に任せてしまいたい売主に向いています。そのぶんサポート力も高く、週に1回、不動産業者は業務報告を行う義務があります。

専任媒介契約

2つ目は「専任媒介契約」で、 これも他の業者を利用することはできませんが、専属専任媒介契約より売主に自由度がある契約方式となります。例えば、自分で買主を見つけてきた場合に業者を通さなくても良いというメリットがあります。業者は2週間に1回は業務報告の義務があります。専属専任媒介契約と比べると連絡の頻度は減ってしまいますが、それなりにサポート力を発揮します。

一般媒介契約

3つ目は「一般媒介契約」で、複数の不動産会社に同時に仲介を依頼することができる契約です。これは最も売主に自由度があるものですが、反面不動産業者のサポート力は落ちます。特定の会社を利用しなければならない義務はなく、全体的なリスクは低いと言えます。一方、業務報告の義務も発生しないため、綿密なサポートはありません。まだ本格的に話を進めたくないというときに役立つものですが、最終的にはどの業者を通して取引を進めるかを決めることとなります。

 

一般的に、不動産業者が営業に力を入れるのは、自社だけに依頼してくれる専属専任媒介契約や専任媒介契約だと言われています。不動産業者は売買が成立した場合のみ手数料が発生し、利益を得ることができます。複数の業者に依頼することができる一般媒介契約では、他の不動産業者に売られてしまう可能性があることで、営業コストが無駄になる可能性があります。

ただし、専属専任媒介契約や専任媒介契約になると、多くの担当者と接することができず、より協力的な担当者を探すには一般媒介契約が有利なのかもしれません。いずれにせよ、一旦契約を結ぶと、不動産業者と売主は法律上の関係にあるということは注意をしておく必要があります。

3-3. 物件に関する情報をきちんと伝える

業者と契約を結んだ場合、担当者に物件に関する情報をきちんと伝えることが重要になります。もし、設備などに不備があることを事前に把握していたにもかかわらず、伝えきれず、売却後に不備が発覚するとなると瑕疵担保責任で賠償などの問題に発展しかねません。

また、そもそもの売主の要望を不足なく伝えることも大切となります。不動産業者は売主の要望を最大限取り入れながら、サポート内容を作成していきます。条件や程度をより綿密に伝えることで、より売主の要望に見合った売却が可能となります。もちろん、一方的に要望を押し付けるのではなく、業者との細やかなコミュニケーションを通じて上手く連携していくことが重要です。

3-2. 囲い込みをされると早く売れない

囲い込みとは、仲介を依頼した不動産会社が自社で抱え込み、他社には紹介せず、自社で買主を見つけるまで情報提供を拒否する行為のことです。

依頼をうけた不動産業者は、物件を自社だけで販売せず、不動産業界全体で情報を共有し、多くの業者で販売しなくてはならず、故意に情報を隠すことや独占することは法律で禁じられています。囲い込みを防止するために、媒介契約を受けた場合は決められた期間内に物件情報を指定流通機構(レインズ)へ登録することが義務付けられています。

取引状況は売主からも確認できるので、現在の状況をリアルタイムで把握できます。レインズは不動産業者同士で共有しているデータベースのようなものでここに登録された情報は、他の不動産会社にも行き渡ってたくさんの購入希望者に紹介されます。

3-3. 営業マンにインセンティブを用意する

不動産の売買では、営業マンのモチベーションが大きく影響します。モチベーションを上げるために、様々な交渉の方法があります。その1つに、売主の希望価格(仕切り価格)を設定することで、それに上乗せして買主に売ることに成功した場合、上乗せ分が営業マンに支払われるという方法があります。なかなか物件が売れない場合でも単純な値引きをするより、仕切り価格を設定することで売主も営業マンもプラスになる可能性があります。

他にも、業界用語で、『担当者ボーナス』という言葉があり、通常の仲介手数料の他に現金や品物を売主が営業マンにあげることを言います。こういった交渉をすることで、仮に条件の悪い物件を売る際には売主から、物件が売れたら手数料のほかに現金や品物といったおまけをあげることを条件にすることで営業マンのやる気を引き出し、無理にお客様を紹介してくれたりします。

4. 内覧の準備

内覧とは、買主が気になる物件があった場合に、実際に行って、細かくチェックする作業のことを指します。買主にとってその物件を購入するか否かを判断する重要な作業であり、売主にとっても売るためにはきちんと対応することが求められます。

物件を売り出すことが決まったら、いつから内覧を受け付けるのか、スケジュールをオープンにして購入希望者が見学しやすくする必要があります。また、物件の売出しが開始されると、数日以内に内覧の希望が入ることもありますので、それまでに内覧に向けての準備を済ませておかなくてはなりません。

4-1. 物件のメンテをして綺麗にする

購入希望者は、販売図面ではわかりにくい箇所とその部屋が大切に使われているかどうかについて確認をしにくるということを理解しておくことが大切です。間取がいくら良くても、室内の掃除がされていなかったり、片付けがきちんとされていない部屋では購入意欲が薄れてしまう可能性があります。内覧者が見るであろう場所は必ず不要な荷物を片づけ、念入りに掃除をしておくなど、良い印象を持ってもらえるように早めの準備を心掛ける必要があります。

その他、必要に応じて家具やグリーンをレンタルして見栄えをよくするのも良いかもしれません。水まわりは一番重要視されるポイントなので、トイレ・キッチン・お風呂などの水まわりは、プロの業者に掃除を依頼してでも綺麗にしても損はないかもしれません。

古いタイプのキッチンだからといって新品に交換する必要はありませんが、故障や破損している箇所があれば、修理をしておきましょう。トイレ・お風呂は臭いがこもりやすい場所ですので、換気はもちろんですが、芳香剤などを必ず設置しておくようにしてください。また、汚れが1番目立つ場所でもあるので、丁寧に清掃し、場合によってはプロの清掃業者に依頼することも検討してください。

また、部屋にものが多いと狭く見えます。内覧の時だけでも広いことをアピールするために、リサイクルショップなどを利用して余計な荷物や家具は処分し、床面を見せましょう。普段部屋に置いているもので押入れなどに収納できるものはしまっておくと良いかもしれません。片付けられた部屋は広く感じられ、好印象を与えることができます。

収納スペースも内覧時に見られる可能性があるのでキレイにしておくと良いかもしれません。ついつい物を詰め込んでしまう場所ですが、物を整理整頓して減らしながら、収納スペースも部屋のようにキレイにすることで印象が良くなるようにしてみてください。

内覧時にはエアコンなどをつけて居心地の良い快適な室温になるように調整することも重要です。空気を入れ替え嫌な空気がたまっていないか、湿気がたまっていないかも合わせて確認してください。工夫をして良い印象を与えましょう。空気清浄機をつけておくのもおすすめです。長く住んでいるとそのお部屋の匂いが分からないかもしれませんが、はじめてやってくる内覧者には嫌なニオイに感じてしまう場合もあります。

5. 買取を利用する

買取とは、不動産買取を専門とした企業や不動産会社に直接売却するという方法です。この場合、買主は不動産会社になります。一方、不動産会社が買主を探し、間に入る方法を仲介といいます。

土地や家の売却の際は一般に仲介を利用することが多いですが、売却にかかる期間は平均期間は3ヶ月ほどだと言われています。しかし、買取の場合、最短1週間ほどで現金化することができ、価格が安くても早く売りたい場合は買取を利用することも視野に入れるべきでしょう。買取を利用して、できるだけ早く売る、もしくは最悪いつまでに売れるという状況を作っておくことも大切です。

また、買取のメリットとして不動産会社に仲介手数料を支払う必要がなくなること、不動産業者のHPや新聞折込チラシなどに紹介されることがなく、周囲に気づかれることなく秘密裏の売却が可能であること、自分の都合良いタイミングで売却できることなどが挙げられます。

5-1. 買取はなぜ仲介よりも安いのか

買取価格はたいていの場合仲介の70%~80%程度です。買取をした業者は、物件をリノベーションやリフォームをして付加価値をつけてから、再販することが多く、その費用を差し引いて買取価格を決めているからです。また、業者にとっては買い取った物件が売れないリスクもあるためです。

5-2. 瑕疵担保責任が免除される

通常、不動産を売買する場合に売主は瑕疵担保責任という責任を負う必要があります。瑕疵担保責任とは、物件を売却してから一定期間内に欠陥が見つかった場合、売主がその欠陥を保証しなければならないというものです。買取にすることで、この責任を業者に移すことができ、あとあとの面倒なトラブルに巻き込まれる心配がありません。

5-3. 買取保証を利用する

買取には、「即時買取」と「買取保証」の2種類あります。「即時買取」は不動産会社が即時で買い取ることを言うのに対して、「買取保証」は数ヶ月~1年程度、仲介で売り出して買主が見つからなかった際に、あらかじめ決定された価格で買取会社が買い取ることを言います。

買取保証の場合、当初の売り出し価格を高めに設定し、売れなければ徐々に下げていくのですが、買取保証額よりも下がることはありません。ですので、即時買取より買取保証の方が少し高くに売れる可能性があります。一方、買取にすることがあらかじめ決まっているので、それまでの期間の販売活動が仲介に比べておろそかになってしまう傾向にあります。

6. 買主のローン契約

買主が購入する際にローンを使用する場合は、価格交渉が仮に終わっていたとしても決済が数ヶ月先になります。というのも、ローンの審査には、仮審査と本審査があり、本審査に通過しないとお金を借りることができません。

しかし、買主が売主と売買契約を結び、その売買契約書を提出できる状態にならなければ、本審査に進むことができません。ローンの審査は通常1ヶ月はかかってしまう上に、本審査を通過しても、買主と金融機関の契約や日程調整などで時間が取られてしまうため、現金が売主の手に入るのは、おおよそ2ヶ月先になってしまうのです。

また、買主が絶対にローンの審査を通過するとは限りません。そのため、金融機関から承認を得られなかった場合に、契約を無条件での白紙撤回や解除をできるローン特約と呼ばれる特約を付けて、売買契約を結ぶのが一般的です。売主にとっては、せっかく売買契約までこぎつけたと思っても、後から解消されてしまう可能性があったり審査が通過しても支払いが数ヶ月先になったりと、安心することはできないのです。

この点、買取の場合は、買主が不動産会社なので現金決済されますから、ローン審査がありません。早く確実に売りたいのであれば、買取が最も有利です。

7. まとめ

家や土地を少しでも早く売るためにはある程度価格を下げて売り出すことを覚悟しておく必要があります。それでも、ずっと手元に残って固定資産税や都市計画税を払い続けなければならないことや売りたい物件の資産価値が下がっていくことを考慮すれば決して損ではありません。

また、買取の選択をした場合、瑕疵担保責任や売却の際にローン審査も関係なくなるので、余計な心配をすることもありません。むしろ、早めに現金を手に入れることで、次のライフプランを立てやすくなります。

一方、不動産業者や購入希望者との良好な関係を築くことも重要なポイントになります。相場を知ることと、思いのある担当者と一緒にプランを立てていくこと、購入希望者がより買いたくなるような物件の整備を行うことで、より条件の良い売買契約を成立させることができます。