事例紹介
Category 不動産
2018年07月03日 更新
地盤改良工事を依頼する業者の失敗しない選び方
家を建てる際の地盤の良し悪しはとても気になるところです。震災で液状化がおこったことにより、改めて地盤の状況に目を向ける方が多くなっています。どんなにしっかりとした構造の建物を建てたとしても、その下の地盤が軟弱では家が傾いてしまう恐れがあります。
わずか数センチの傾きでも、壁にひびが入ったり、屋根材に隙間ができてしまう可能性があります。そして、その隙間から雨水が入れば、短期間で家の構造がもろくなり短期間で建て替えをしなくてはならなくなるかもしれません。万が一、地震の際に倒壊するようなことがあれば、命に関わる問題となります。
このように重要な地盤改良工事ですが、いい加減な業者に依頼してしまうと必要な強度を得ることができないことがあります。そこで、信頼できる業者を選ぶために必要なポイントについて説明をします。これらのポイントについて確認することで、地盤改良工事の業者選びで失敗する可能性が低くなります。
この記事でわかること
1. 地盤改良工事業者の実績で選ぶ
地盤改良工事業者を選ぶときには、実績を必ず確認してください。地盤改良を行うには高度な技術が必要で、施工を担当する技術者にも高い能力・豊富な経験が必要です。質の低い工事を行う業者に依頼してしまうと、後で地盤沈下や不同沈下などが起きる原因となりやすいです。
業者の技術力を判断するために役立つのが、実績です。さまざまな地盤改良工事を請け負っている業者は必ず、どのような地盤改良工事を行ったかの実績や、施行中の写真をホームページに掲載しています。より信頼できる業者は、施工を行った地盤の所在地や施工の完了日まで公開しています。また、工事の内容について、分かりやすく解説してあることも多いです。
実績が乏しい業者の場合、こうした情報があまり掲載されていなかったり、曖昧で分かりにくかったりすることが多いです。さらにホームページ自体も内容があまり充実していなかったり、古さが感じられたりすることが多いです。公式サイトを確認すれば実績豊富な業者かどうかは、すぐに判断がつくはずです。
2. 地盤改良工事業者の見積り内容で選ぶ
地盤改良工事を業者に依頼する際には、必ず見積もりを取ると思います。このとき、費用と合わせて工事内容について確認してください。
良い業者の場合、見積書に書かれている各項目について、きちんと説明をしてくれます。担当者が「この項目は、このような工事をするための費用です」と答えてくれる業者は、信頼できる可能性が高いです。
逆に各項目について「見積書にあるこの工事の内容を教えてください」と質問しても返答がない場合、その業者に工事を依頼するべきではありません。
また、工事を行いたい地盤の現地調査を行わない業者も、信頼するべきではありません。適切な地盤改良を行うためには、現地に出向いて実際に土壌や周辺の様子を確認することが必要不可欠です。現地へ赴かずに概算だけで見積もりを出す業者には、依頼を控えましょう。
3. 地盤改良工事業者の地盤保証で選ぶ
地盤保証を提供してくれるかどうかも、地盤改良業者を選ぶ際のポイントです。
地盤改良工事では場合によって、改良後の地盤に建てた建物が不同沈下を起こしたり、損壊したりしてしまうことがあります。地盤保証はこのときに修復工事を行ってくれたり、損害賠償として保険金を支払ってくれたりする制度です。
地盤保証は保証の内容が種類によって異なり、保証期間10年(施工後10年以内に起こる地盤トラブルについて保証してくれる)、保証限度額3,000万円(トラブルが起きた場合、3,000万円まで保証金を支払ってくれる)」のようなものがあります。
地盤保証として「もし地盤トラブルが起きた場合には、傾いた建物を水平に戻す、地盤へのモルタル下地追加による沈下防止などの修復工事を行う」のように約束してくれる業者は、信頼できるといえます。
保険金を支払ってくれる業者も良いですが、トラブルが起きたときにも対応してくれるほうが、より安心できる業者といえます。保険金の支払いだけで済まされると、修復工事を別業者に依頼する必要があり、手間も時間もかかるためです。地盤保証を提供してくれない業者は論外で、工事を依頼すべきではありません。
見積もりを依頼する際や業者から説明を受ける際に、「地盤保証はついていますか?」「保証はどのような内容ですか?」と確認することが大切です。
4. 地盤改良工事業者を施工記録の提出で選ぶ
地盤改良業者の工事が本当に信頼できるものかどうかを確認するためには、施工記録を提出してもらうと良いです。施工記録は、地盤を改良する際に行う工事内容の記録です。施工記録を確認すれば、どのような工事を行ったのかを知ることができます。
ただ、記録の見方を把握していないと、記録を見ても本当に適切な工事なのかを判断することができません。そのため地盤改良業者に施工記録の提出が可能かどうかを尋ねることに加えて、「施工後、施工記録を元に工事の説明をしてほしい」と聞いてみると良いです。
このように伝えると、良心的な業者の場合は快く応じてくれます。これに対して悪質業者の場合、施工記録の提出をためらったり、工事内容の説明に応じてくれなかったりすることがあります。
また、「施工記録が職人によって改ざんされるのでは?」と心配になることもあるかもしれません。しかし最近は工事に利用する重機にコンピューター(施工監理装置)が内蔵されており、施工記録が自動で取得される仕組みになっていることが多いです。
つまり職人がデータを改ざんすることはできず、実際に行った工事内容が記録されるようになっています。逆にこのようなシステムを導入していない業者が提出する施工記録は、信頼できるかどうかが疑わしいです。必ず質問して、正しい記録を提出してくれるのか確認する必要があります。
5. 地盤改良工事後の安全性で選ぶ
地盤改良工事後の有害物質の発生が問題となっています。近年、セメントの化学反応で発生する六価クロムが取りざたされています。六価クロムはヒ素と並ぶ有害物質とも言われています。そのような有害物質が発生している場所では、安心して住むことができません。
また、その土地を売る場合には、有害物質を除去しなければなりません。土壌汚染については、国土交通省が2003年の2月に土壌汚染対策法を施行して監視の目を厳しくしています。
現在では、六価クロムが発生しないようにした、六価クロム対策セメントが開発されています。あるいは、セメント自体を使わない地盤改良工事の方法も確立されています。こちらからお願いしなくても、このような安全性の高い方法を奨めてくれる業者は良い業者だと言えます。
逆にこちらから有害物質についての説明を求めても、ちゃんとした返事が返ってこないような業者は選ぶべきではありません。他にも現場の整理整頓がされていない業者も選ばない方が良いでしょう。
現場が片付いていないと思わぬ事故につながることがあるからです。これから、新しく家を建てて住もうと考えているのに、その工事で怪我人が出てしまうのは気分の悪いものです。新居に気持ち良く住むためにも安全作業の業者を選ぶことが大切です。
6. 地盤改良工事業者を担当者で選ぶ
基本的なポイントですが、盤改良業者の営業担当者の印象を確認することも大切です。清潔感があり好印象か、不審な点が見られないか、親身に対応してくれていると感じられるかどうかを確認してください。対応に違和感を覚える担当者の場合、その業者には依頼しないほうが良いでしょう。
7. 地盤改良工事業者の選び方まとめ
地盤改良工事を依頼する際には、地盤調査と地盤改良工事の方法、それから地盤改良工事を施工する業者の選定の3つがとても重要です。特に最後の業者選びで失敗をしてしまうと元も子もなくなってしまいます。
ここで紹介させて頂いたポイントを踏まえて業者を比較すれば、安心して任せることができる業者が見つかると思います。しっかりとした地盤改良工事の業者を選んでください。
地盤調査と地盤改良工事の方法については別のページでお話をしていますので、併せてそちらも読んで頂けますと幸いです。