不動産売買による印紙税は「軽減措置」で抑えよう|軽減方法まとめ

不動産売買を行った人ならご存知かもしれませんが、不動産売買を行う際には印紙税という税金がかかります。この印紙税は売買による金額によって非常に幅があるもので、売買金額が50万円以下だと400円、売買金額が50億円超ともなると60万円もの印紙税がかかってしまいます。

この差は無視出来ない金額であり、いくら他に必要になる費用の方が高いといっても出来る限り軽減したいという人も多くいるのではないでしょうか。ですが、覚えておきたいのは印紙税に軽減措置があるということです。この軽減措置を適用することにより、印紙税が安く抑えられる可能性があります。

そこで、印紙税とは何か、印紙税を軽減する措置とは何かを詳しくご説明しましょう。

1. 不動産売買契約書の印紙税には軽減措置がある

不動産売買をする上で忘れてはならないのが、不動産売買契約書における軽減措置があることです。これは不動産売買の契約書を交わす際に適用されるもので、本来の税率を軽減する措置です。

これは租税特別措置法によって不動産の譲渡が発生すると、軽減措置が適用されて税率が引き下げられる仕組みになっています。軽減措置が適用されるかどうかは対象となる書類がなければならず、租税特別措置法第91条によって詳しく取り決められています。

気になる人は以下の項目でご説明するので、チェックしましょう。

1-1. 租税特別措置法第91条の概要

租税特別措置法第91条とは租税特別措置法第六章第四節の印紙税法の特例です。

平成二十六年四月一日から平成三十年三月三十一日までの間に作成される不動産譲渡契約書のうち、当該不動産譲渡契約書に記載された契約金額が十万円を超えるものに係る印紙税の税率は、印紙税法別表第一第一号の規定にかかわらず、次の各号に掲げる契約金額の区分に応じ、一通につき、当該各号に定める金額とする。

一 十万円を超え五十万円以下のもの 二百円
二 五十万円を超え百万円以下のもの 五百円
三 百万円を超え五百万円以下のもの 千円
四 五百万円を超え千万円以下のもの 五千円
五 千万円を超え五千万円以下のもの 一万円
六 五千万円を超え一億円以下のもの 三万円
七 一億円を超え五億円以下のもの 六万円
八 五億円を超え十億円以下のもの 十六万円
九 十億円を超え五十億円以下のもの 三十二万円
十 五十億円を超えるもの 四十八万円

引用元:租税特別措置法 第九十一条

1-2. 印紙税の軽減措置の対象となる書類

印紙税の軽減措置の対象になる書類は、不動産売買契約書の中で記載金額が10万円を超えているもの、そして平成26年4月1日から平成30年3月31日までの間に作成された書類に限ります。

また、上記の条件を満たしているのであれば、最初に作成された土地や建物の契約書や売買金額が変更になる際に作成される変更契約書、補てん契約書なども軽減措置の対象になります。税率を軽減したいなら、これらの対象になっているか確認する必要性があるでしょう。

1-3. 軽減後の税率一覧

契約金額 本則税率 軽減税率
10万円を超え 50万円以下のもの 400円 200円
50万円を超え 100万円以下のもの 1千円 500円
100万円を超え 500万円以下のもの 2千円 1千円
500万円を超え1千万円以下のもの 1万円 5千円
1千万円を超え5千万円以下のもの 2万円 1万円
5千万円を超え 1億円以下のもの 6万円 3万円
1億円を超え 5億円以下のもの 10万円 6万円
5億円を超え 10億円以下のもの 20万円 16万円
10億円を超え 50億円以下のもの 40万円 32万円
50億円を超えるもの 60万円 48万円

引用元:国税庁の不動産売買契約書の印紙税の軽減措置における軽減後の税率

2. 印紙税とは

そもそも印紙税とはどんなものなのかイマイチ理解出来ていない人もいるかもしれません。いくら無視出来ない税金とはいえ、印紙税が課税される仕組みを知っていなければどうして課税されるのか疑問に思うばかりでしょう。

印紙税とは契約書や通帳などを作成する際に課税されるものです。これは印紙税法によって約20種類が課税文書の対象となっており、今回の場合は不動産売買契約書が課税文書にあたります。

不動産売買契約書の他にも様々な書類を作成することになるかと思いますが、不動産媒介契約書や建物賃貸借契約書は課税文書の対象ではなく、間違えやすいので注意が必要です。他にも分かりにくいのが、印紙税は誰が納めるのかについてです。

不動産売買を行うにあたり、買主が印紙税を納めるのか、売主が納めるのか分からないケースが後を絶ちません。しかし、法律では印紙税の納税義務者は不動産売買契約書を作成した人と明確に決められています。

この場合の不動産売買契約書を作成した人とは、署名と捺印を行った買主と売主の二人です。この二人は契約書を通して不動産売買を行った契約の当事者なので、二人は印紙税の納税義務が課せられます。もし二人共、もしくは買主か売主のどちらかが印紙税を納めなかった場合、連帯責任として二人とも罰則を受けることになります。

この印紙税の納税に関しては、どちらが納税するかを決めることが可能です。買主か売主のどちらかに印紙税を負担させることが出来ますが、一方的に負担させることは出来ないので話し合いによって取り決める必要性があります。もちろん、どちらが納税するか決まっても、後で取り決めに従わずに納税されなかった場合は連帯責任になるので注意しましょう。

2-1. 印紙税の納付方法

印紙税を納付する為には、印紙とも呼ばれる収入印紙を課税対象となる書類に貼りつけ、貼りつけた収入印紙に消印を押すことで納付されるようになっています。今回の場合は不動産売買契約書が課税対象となるので、契約書に収入印紙を貼りつけて消印を押す必要性があります。

この収入印紙は契約の当事者の人数分だけ用意しなければならず、今回の不動産売買契約書については買主と売主の二人の当事者がいる為、二枚分の収入印紙を用意しなければなりません。二枚分用意する場合は二人が署名と捺印を押す必要性があり、費用の負担も二倍になります。

つまり、不動産の売買価格が50万円以下だと双方が200円ずつ負担することになります。ですが、コピーされた契約書の場合は印紙を貼りつける必要性がないので、一人分の印紙代を用意するだけで納税が成立します。ただし、コピーした契約書に当事者が署名と捺印をしてしまうと、収入印紙を貼りつけなければならないので注意しましょう。

たとえコピーされた契約書であっても原本と同じ契約の効力を発揮するものですが、もし当事者通しで争い、裁判にまで発展した場合はコピーした契約書の効力が弱くなります。さほど重要ではない書類ならコピーでも構わないかもしれませんが、不動産売買契約書などの重要な書類ともなればコピーで済ませるのはおすすめ出来ないかもしれません。

不動産売買契約ともなると買主の方が用意するものが多く、コピーで済ませることは出来ません。しかし、売主は最終的に買主との接点がなくなるのでコピーで済ませるケースが多くあります。コピーの契約書なら収入印紙を貼りつける必要性がないことから、節税としての見方も出来ます。

一番注意しておきたいのは、収入印紙を貼りつけただけでは納税扱いにならないことです。収入印紙を貼りつけて完了だと思っている人も少なからずおり、きちんと収入印紙に消印を押さなければ納税の対象になりません。

収入印紙を貼りつけたら、必ず消印を押しましょう。

2-2. 印紙を貼り忘れた場合に発生する「過怠税」

もし様々な契約書に納税義務者となる当事者が貼りつけるべき収入印紙を貼り忘れてしまった場合、納税するべき金額の3倍もの過怠税を支払うように命じられます。たとえば納税額が最高額の48万円だった場合、その3倍の144万円を支払わなければなりません。

また、納税するべき金額が不足していた場合も不足していた金額の3倍が課せられてしまいます。もちろん収入印紙に消印を押さなかった場合は納税として認められないので、約二倍の過怠税の対象になります。

しかし、納税するべき金額が不足していたことを自主的に申告していた場合は、通常3倍のところを1.1倍に引き下げてくれます。もし後で納税額が不足していたことが発覚したら、速やかに国税庁の窓口で印紙税不納付事実申出手続を行うのが得策です。

また、この過怠税は納税額が不足していた場合は脱税扱いにならず、あくまで過失扱いということになるので早急に不足分の金額を支払えば問題ありません。しかし、わざと不足分の金額を支払わない、またはごまかそうとした場合は脱税になるので注意しましょう。

2-3. 間違えて印紙を貼ってしまった場合

収入印紙を貼る際に間違えやすいのが、課税文書以外の書類に貼ってしまった、そして本来の納税額よりも高い金額の収入印紙を貼ってしまうことです。この場合、間違えて貼ってしまった場合はどうすればいいのでしょうか。

印紙税を間違えて貼りつけてしまった場合は、印紙税の過誤納請求を行うことで過大納税してしまった分の還付金を受け取ることが出来ます。この方法ならわざわざ書類ごと処分する必要性がないので、非常に便利です。

用意するものは、

  1. 印紙税過誤納確認申請書
  2. 還付請求の対象となる文書
  3. 印鑑

以上の3つです。

文書を作成してから5年以内に以上の3つを納税地の税務署長に提出するか、郵送することで確認してもらえます。税務署で還付請求が認められたら、税務署の確認印が押された申請書と文書が返還されると共に、数日以内に還付金が銀行口座に振り込まれるか、または郵便局を通して送金されます。

ただし、

  • 登記印紙など収入印紙を貼る必要性がない書類に収入印紙を間違えて貼ってしまった
  • 成立した契約を後で修正する為に契約書を作成し直した
  • 領収書に収入印紙を貼った後、領収書を返してもらい、金額を半分ずつにした

以上のような場合には還付請求が認められません。

還付請求で重要になるのはどこに収入印紙を貼ったかどうかではなく、その文書が成立しているかどうかです。つまり、一度文書として成立してしまったものは後から還付請求しても認められない為、還付金を受け取ることが出来なくなります。

最初に間違えて収入印紙を貼ってすぐに気付いた場合は還付請求が認められやすいですが、上記の2番目のように既に成立した契約書を作り直した場合は最初に貼った収入印紙は還付されませんし、3番目のように後から領収書を返してもらい、金額を調整しても最初の領収書に貼った収入印紙は還付されません。

文書が成立してから気づくようでは遅いので、文書を提出する前に収入印紙を間違えて貼っていないかしっかりとチェックしましょう。

2-4. 印紙税を抑える方法はあるか

上記では契約書のコピーを作成することによって印紙税を節税出来ることをご説明しましたが、他にも印紙税を抑える方法は二つあります。それは、

  • ファックスや電子メール
  • 契約書や領収書に消費税と地方消費税の金額を区分記載する

以上の二つです。

一つめの方法の場合、ファックスや電子メールだと手元に原本が保存されており、契約書を送信しても相手側には交付されていない状態です。加えて送信された契約書はコピーと同じ効力を持っているので印紙税の課税対象にはなりません。

二つめの方法の場合、契約書や領収書に消費税や地方消費税が区分記載されていることによって消費税額などが明確に記載されていると、不動産売買契約書を初めとする一部の文書に限り、消費税額がカウントされない仕組みになっているので印紙税が節税出来ます。

このようにコピー以外にも印紙税を節税出来る方法があるので、出来る限り節税したい人はこれらの方法を実践してみてはいかがでしょうか。

3. まとめ

不動産売買に限らず、様々な場面で印紙税が発生するので節税出来る方法を実践する必要性が出てくるでしょう。印紙税は一見安いように思われるかもしれませんが、契約金額が高くなるにつれて無視出来ない金額になってしまいます。

軽減措置はもちろん、何とか節税出来る方法が分かれば可能な限り損をしないで済むかもしれません。これから自分が不動産売買を行う際には、節税出来ないか調べてみましょう。

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