事例紹介

Category  不動産

2019年09月05日 更新

持っている空き家、そのままにしていて大丈夫?放置空き家の固定資産税が6倍に!

空き家を相続した場合、空き家にももちろん固定資産税がかかります。親から相続したけれど、そのまま誰も住むことがない空き家状態の家にも、固定資産税は発生します。

しかし、空き家の固定資産税が大幅に上がってしまう可能性があるのです。

あなたの空き家は大丈夫でしょうか?空き家と固定資産税の関係についてしっかり見ていきましょう。

1.空き家の放置は危険?!固定資産税が6倍に!

日本の限られた土地に、年々空き家が増え続けていることは社会問題になっています。そこで、平成27年から「空き家対策特別措置法」が実施されました。

この「空き家対策特別措置法」に基づいて、市区町村役場が空き家の現状がどうなっているのか、手付かずで放置されていないかなどの確認作業を行い、その結果で著しく景観を損ねたり、ゴミが放置されたりしている問題のある空き家かどうかを判断するようになります。この特定の状態が当てはまる空き家のことを「特定空き家」としています。

特定空き家だと判断されてしまった空き家は、固定資産税がこれまで支払っていた金額に対して最大6倍になる可能性があるのです。

2.空き家対策特別措置法とは

そもそも「空き家対策特別措置法」とは、放置された空き家を活用促進していくために作られた法律です。

2-1.空き家等対策の推進に関する特別措置法

適切な管理が行われていない空家等が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしており、地域住民の生命・身体・財産の保護、生活環境の保全、空家等の活用のため対応が必要(1 条) 参考:現在、空家は全国約 820 万戸(平成 25 年)、401 の自治体が空家条例を制定(平成 26 年 10 月)

2-2.特定空き家等

① 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態

② 著しく衛生上有害となるおそれのある状態

③ 適切な管理が行われないことにより 著しく景観を損なっている状態

④ その他周辺の生活環境の保全を図るために 放置することが不適切である状態 にある空き家等をいう。(2 条 2 項)

(国土交通省ホームページより抜粋)http://www.mlit.go.jp/common/001080534.pdf

3.放置された空き家は固定資産税が6倍の可能性も!

「空き家対策特別措置法」が施行されたことによって、各市区町村自治体が、周囲の迷惑になるような状態である「特定空き家」だと判断した場合、固定資産税における「住宅用地の特例」という税金の軽減措置が適用されなくなったのです。

「住宅用地の特例」という税金の優遇措置がなくなってしまうと、これまでの固定資産税は、住宅の用地、土地に対して最大6分の1に軽減されていたのですが、元の税率である1.4%に戻り、これまでの6倍の額に戻ってしまいます。

ですので、6倍になるというよりは、これまで6分の1に軽減されていたものが元の金額に戻るというイメージです。

3-1.固定資産税の税率

土地の状態 固定資産税
更地で建物もない状態の空き地 課税標準額 × 1.4%
小規模住宅用地(1戸につき200平方メートル以下の住居用地部分) 課税標準額 × 6分の1× 1.4%
一般住宅用地(1戸につき200平方メートル以上の住居用地部分) 課税標準額 × 3分の1× 1.4%

 

住宅用地の特例により、空き地(土地)に建物が建っている場合、何も建物が建っていない更地に比べると、固定資産税は軽減されています。特に1戸につき200平方メートル以内の空き家の場合、課税標準額の6分の1になる軽減措置が取られています。

もちろん建物本体にも固定資産税がかかります。建物本体は「課税標準額 × 1.4%」で計算されます。

4.放置していた空き家の固定資産税を払わないと財産の差押さえ?!

土地や建物に対する固定資産税は、1月1日の時点で不動産を所持している所有者にかかって来ます。空き家に対しても当然固定資産税は発生します。

毎年4月ごろに固定資産税の納税通知書が届きますので、金融機関や指定のコンビニで支払いをします。一括払いもしくは年4回の分割払いで支払うことが出来ます。第1期の納付の締め切りは4月下旬になります。

固定資産税をうっかり忘れてしまったり意図的に納付しなかったりすることもありますが、固定資産税の支払いを滞納したり後回しし続けた結果、預貯金を差し押さえされたり、自宅を競売(公売)にかけられたりすることがあります。

固定資産税は必ず支払わなければならないものですので、後回しにしても金額が膨れ上がるだけです。

固定資産税の納付期限の締め切りを過ぎても支払わなかった場合、固定資産税の滞納ということになります。税金は滞納すれば滞納税を払わねばなりません。

納付期限を過ぎても支払がない場合、市区町村役場から納付期限より20日以内に督促状が送られてきます。

「督促状を発送した日から10日を経過するまでに、解消できない場合は、滞納者の財産を差押えなければならない」と法律で決まっているのです。すると、いつでも財産を差押えてしまうことが可能ということになります。督促状が来た場合は、無視をせずにきちんと対応しましょう。電話に応じないなど無視の態度を続けていくと、納税意志や誠意がないと判断されてしまい、財産の差押えリスクが高まります。

固定資産税など税金を滞納した時の処分は、裁判所の申立てをおこなう必要がないため、行政処分という形でいきなり差押えを実行出来るのです。

市区町村役場から連絡や督促状が来た場合は、電話に出ないなどはせず誠実に対応しておきましょう。

「民間のカードローン会社は厳しそうだけど、市役所は緩いだろう」と思うのは大間違い、税金関係のことこそより対応が厳しくなっているのです。

また固定資産税の滞納が溜まって支払いに応じることが難しい場合も、まずは市区町村役場の窓口で相談しましょう。

5.放置していた空き家はどうすればいい?

相続した空き家は、放置していると固定資産税が大幅に上がる可能性があります。

両親や祖父母が亡くなって相続した空き家は、そのままに放置して置けなくなってきています。

これまでのように、土地に建物があるだけで税金が安くなるという時代は終わったのです。

それでは、放置していた空き家はどのように対処するのがベストなのでしょう?

5-1.放置していた空き家の対策

空き家をそのまま放置していると、固定資産税が大幅に上がってしまう可能性があります。そこで、空き家対策としておすすめの対策をご紹介します。

  • 誰かが住む

空き家は無人であることが老朽化の原因にもなります。誰かが住むことによって風通しが良くなったり、掃除も出来たりします。

身内の誰かが住むことが出来れば最適でしょう。

  • 賃貸住宅として貸す

賃貸住宅にすれば、毎月決まった家賃収入もあるためメリットも大きいです。しかし、古い空き家を賃貸にする場合、耐震対策や老朽化対策もしっかりしておかねばなりません。

突然の雨漏りなども古い家屋では良くある話です。賃貸住宅の大家さんになると、全てのトラブルに対応しなければならず、修繕箇所が出てくれば修繕費もかかります。

家賃収入だけではまかないきれない部分もあるので、賃貸住宅にする場合は金銭の収支が合うかどうかもシミュレーションしておきましょう。

  • 空き家を解体して更地にする

空き家をそのまま残しておいても、建物は日々劣化して行きます。行政が空き家の調査をした時に「老朽化した危険な空き家」と判断されてしまうと『特定空き家』となってしまい、固定資産税の免除が無くなってしまいます。すると本来の金額を払うことになり、6倍以上にもなりえる出費になることもあります。

そうなると、空き家を取り壊して更地にしてしまうという選択肢もあります。解体すれば、スペースはコインパーキングにしたり貸し倉庫にしたりといろいろな使い道があります。

しかし、建物を解体するときは、かなりの費用もかかります。解体費用については、いくらか負担してくれる自治体もありますので、まずは空き家が存在する市区町村役場へ相談してみましょう。

  • 空き家のままの状態で売却する

何も手を入れずに、そのままの状態で買い取ってくれる人がいればベストです。空き家は長く持っておくよりも、欲しいという人が現れた時に手放しておく方が良いでしょう。

6.まとめ

空き家は放置しておいて良いという時代は終わりました。年々増え続ける空き家に対しては、これからは空き家に対しての規制がどんどん厳しくなる可能性があります。

家は放置しておくと、どんどん劣化します。特に室内の細部にまで劣化が進むと、家の価値自体が下がっていくのです。

さらに行政から「特定空き家」に認定されると、固定資産税も大幅に上がる可能性があります。

親から譲り受けた空き家がマイナス資産となってしまう前に、空き家についての対策はしっかり考えておきましょう。