家を売却した後、売主の責任はいつまで続くのか?

家を売るのは大変な作業です。不動産会社を見つけることから始まり、査定、内覧、契約、お金に関する各種の手続き、所有権移転登記を経てようやく売却が完了します。売却後、譲渡所得があれば、譲渡所得税の納入も行わなければなりません。

実際の作業の量だけを考えても大変ですが、金額が高額なため、些細なことにも気を使います。もう二度とやりたくないと考える方が多いのも頷けます。

しかし、売ってしまったらそれで終わりではありません。売主には瑕疵担保責任という責任があります。これは、契約や引き渡しの時には気が付けないような、不具合があった場合は補償しなければならないというものです。

良く法律で、善意、悪意という定義付けがありますが、たとえ善意であったとしても、この責任から逃れることはできません。ちなみに、法律でいう善意とは「知らなかった」という意味で使われることが多いです。一方、悪意とは「知っていた」という意味で使われます。

知らないでやってしまったことを「善意」、知っていて行ったことを「悪意」と呼びます。通常の会話で使う意味とは違いますので注意が必要です。

話が逸れましたが、通常、善意で行った行為(知らなかったこと)に関しては、免責となることが多いのですが、そもそも知らないことが前提のものなので、知らなかったとしても(知っていたら大問題になります)免責とはなりません。

ただ、いつまでも責任が終わらないのでは、いつまで経っても安心することができませんし、時間があまりに経ってしまうと、いつ、何が原因で起こった不具合なのかが不明瞭になることもありますので責任がある期間には期限が設けられています。

1. 家の売主の瑕疵担保責任とは

それでは買主の責任となる瑕疵担保責任について確認をしていきます。瑕疵担保責任の根拠となる法律は、民法第570条です。条文は下記の通りです。

『売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第566条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。』566条まで出てきてわかりにくいので、簡単に内容を要約します。

売主は不具合のないものを渡す義務があるので、不具合があった場合は契約不履行になるというものです。契約不履行にならないためには、不具合を修正しなければなりません。買主は、修正がされない場合は、無条件で契約を解除する権利を持ちます。これは、どんな品物を買った時でも同じですので、特別なことではありません。

ただ、住宅などの不動産の場合は、その不具合がすぐにわからない場合があるので、特例のような形で買主の保護をしているのだと考えるとわかりやすいと思います。

条文に『隠れた』瑕疵とあるように、売主、買主ともにその不具合について知らなかったことが前提となります。ですので、どちらかが知っていた場合には、瑕疵担保責任は適用されないことになります。

適用されないとは言いましたが、売主が知っていた場合は、説明する義務を行わなかった責任が問われることになります。逆に買主が知っていた場合には、承知の上での購入となりますので、不具合の修正を求めるのは難しいかもしれません。

強制競売の時は対象外となっているのは、競売の場合は瑕疵があるのを覚悟して参加していることが前提と考えられているからです。不具合の修正を求められるのは、買主がその問題に気が付いてから1年間となっています。1年以上経過すると請求する権利が失われることになります。

 

2. 家の売主の責任期限はいつまで

買主が不具合があることに気が付いてから、1年以内であれば修正を求められるとお伝えしました。ここで気になるのは、気が付いたのが5年先だったとしたら、10年経ってからだったら…ということではないでしょうか。

実はこの期限については、民法上には定めがありません。そこで、責任を負う期間の期限を定める契約を行うのが慣例となっています。契約を行うと書きましたが、実際には契約書に盛り込まれていることが多いようです。

売主が個人の場合は、契約によって瑕疵担保責任が免除となっているケースがあります。中古である以上、どこにどんな不具合があるのかわからないので責任を持てないということだと思います。買主が一方的に不利なようにも思えますが、その危険負担に見合う分の価格を下げて契約すれば良いことだと思います。

それでは納得がいかない場合や不安な場合は、別の物件を探した方が良いでしょう。ちなみに個人が売主でも、瑕疵担保責任が免除となっていないケースもあります。2~3年の瑕疵担保責任を負うような内容となっていることもありますので、良く確認してみると良いと思います。

ちなみに、瑕疵担保責任を免除するような契約ができるのは、売主が個人の場合だけとなります。不動産会社など企業が売主となる場合は、瑕疵担保責任を免責にしたり、極端に期間を短くするような一方的に買主が不利になる契約は宅建業法で違法とされています。

通常、不動産会社が売主となる場合は、発見までの期間が2年間で、発見後1年以内に申し出があったものに関しては対処しなければなりません。仮に、買主が2年ギリギリに不具合に気が付いた場合には、購入から3年までは修理などを求めることができることになります。

 

3. 新築の家の瑕疵担保責任について

新築物件に関しては、平成12年4月1日施行された住宅の品質確保の促進等に関する法律によって、引き渡し日から10年間の瑕疵担保責任期間が義務となりました。

但し、建物すべてではなく、柱や梁、基礎などの構造に関わる部分のみが対象となります。キッチンや洗面台、お風呂、給湯器、照明などの設備については、保証範囲外となります。

また、法的には10年間が最低ラインとなっていますが、自主的に20年の保証を付けている住宅メーカーもあります。この場合も保証範囲は、柱、梁、基礎などの構造に関わる部分のみで、風雨などによる経年劣化は保証範囲外となります。

 

4. 家を売却した後、売主の責任はいつまで続くのか?まとめ

仮にあなたが自宅を売却した場合に、買主に対して保証をしなければならない期間はゼロとすることが可能ですが、その為には契約書に明記して買主に対してもキチンと伝える必要があります。

キチンと伝えておかないと、後々、トラブルになる可能性が出てきます。もちろん、契約書に明記されていれば、契約書を盾にして交渉に応じないことはできますが、万が一、何らかの不備が契約書に見つかった場合には、契約書の効力が限定されてしまうかもしれません。

心配のし過ぎかもしれませんが、買主の安心を考えれば、丁寧に説明しておいた方が良いことは間違いありません。互いに満足のいく売買をするためには、相手のことを配慮して行動することが良いと思います。