事例紹介
Category 不動産
2018年07月24日 更新
不動産所得の場合の事業税の税率は?減免になるケースも解説
事業をして収益があると、所得税や消費税の他にも「事業税」を納める必要があります。
所得税や消費税は国に納める税金なのですが、事業税は地方に納める税金です。事業税は事業を行う者に納税義務が発生しますが、控除になるケースも存在します。
また事業税は、「個人事業」なのか、それとも「法人事業」なのかによっても税率が変化します。
今回は特に不動産所得の場合の、事業税の税率について、さらに控除される条件についても解説していきます。
この記事でわかること
1. 不動産における事業税の税率
不動産所得における事業税の税率ですが、「個人事業」なのかそれとも「法人事業」なのかが、違いを生み出します。それぞれの事業税の場合の税率について考えましょう。
1-1. 個人事業税
まずは個人事業税ですが、70の法定業種に該当する個人事業主に納税義務が発生する税金です。ほとんどの人が支払う税金ですが、税率は業種によって違いがあります。
第1事業は37業種が含まれており、その中に不動産所得に該当する、不動産貸付業や駐車場業が含まれてます。他にも不動産を売買するのであれば、不動産売買業も第1種事業に含まれており、すべて5%の税率がかかります。
他の第2種事業には、畜産業、水産業、薪炭製造業が含められており、こちらは税率が4%になります。
最後の第3業種には、28業種が含められており、税率が5%です。不動産に関する事業では、不動産鑑定業や測量士業、土地家屋調査士業などが含められています。これらに属する事業の場合に、個人事業税を納める必要があります。不動産に関わる事業の場合は5%の税率で計算を進めます。
1-2. 法人事業税
事業をしているのが法人の場合であっても、所得に対して課税されるので、個人事業税と変わりはありません。しかし異なるのは、税率の部分です。地方自治体によって税率が変化することもありますが、基本的な税率は以下の通りになります。
所得額400万円以下・税率5%
所得額400超800万円以下・税率7.3%
所得額800万円超・税率9.6%
事業が個人か、それとも法人かによって税率は異なります。しかし事業を行っている以上、業税はどちらの場合でも納税義務が発生します。
2. 税額の計算方法
事業税を計算する方法ですが、こちらも個人と法人に分けて考えてみましょう。
2-1. 個人事業税の場合
個人事業税を計算する時には、「青色申告特別控除」を差し引く前の課税所得を基準にします。
多くの場合所得税の控除として、青色申告特別控除をセットとして考える場合がありますが、事業税の場合には青色申告特別控除を切り離して、考える必要があります。
基本的な控除として事業主控除の290万円が引かれ、算出された金額に不動産貸付業の税率である5%を掛けると個人事業税を計算できます。
課税所得額が300万円で青色申告特別控除の65万円を受けている個人事業主の場合
例えば、課税所得額が300万円で青色申告特別控除の65万円を受けている個人事業主の場合は、以下の計算方式に当てはめて、算出します。
300万円+65万円=365万円
365万円-290万円=75万円(個人事業主控除を引いた額、その他の控除がある場合は加算)
75万円×5%(不動産貸付業の税率)=37,500円
この時の注意点は、青色申告特別控除は適用されないので、課税所得額から引かれているのであれば、再度加算して計算する必要があるという事です。
さらには所得税の事業専従者給与額も定期用外になるので、差し引く前の所得額を算出する必要があります。
2-2. 法人事業税の場合
次に法人事業税の場合ですが、元々法人事業税は一つだけだったのですが、平成20年より法人事業税と、地方法人特別税に分けられました。
法人事業税
法人事業税の計算方法は以下の通りです。
稼いだ所得から稼ぐための経費を引き、その値に法人事業税の税率を掛けます。
(法人の所得-経費)×法人事業税の税率=法人事業税
地方法人特別税
地方法人特別税の計算方法は以下の通りです。
先ほどの法人事業税に地方法人特別税の税率を掛けます。
地方法人税×地方法人特別税の税率=地方法人特別税
このようにして、法人事業税も計算をしていきます。
3. 事業税の控除について
事業税の控除についても解説します。
個人事業主が控除できる項目は以下の通りです。
3-1. 事業主控除
290万円が基本的に事業主に充てられる控除額になります。事業所得が年間で290万円以下の場合には、個人事業税は課税されなくなります。
3-2. 損失の繰越控除
青色申告をしている場合には、赤字になってしまった時には、翌年以降3ン円以内の事務所の所得から、損失額を引くことが可能です。
3-3. 被災事業用資産の損失の繰越控除
白色申告者が、震災、風水害、火災などの自然災害で事業用資産が被害を受けて、損失が発生した時に翌年以降3年の間繰越控除が可能です。
3-4. 譲渡損失の控除
事業用の資産を他社に譲渡した場合に、損失が発生した場合には、損失額を事業の所得から引くことができます。青色申告者は、翌年以降3年の間繰越控除が可能になります。
3-5. 白色申告者の専従者控除額
白色申告者の場合は、配偶者の場合は86万円、その他の親族の場合には1人当たり50万円の専従者控除があります。
4. 税額の減免になる特殊なケース
事業税はケースによっては減免されます、どのような時に減免され、減免を受けるために何をする必要があるのか項目別に考えます。
4-1. 災害等で被害を受けた場合
風水害や地震、火災などにあってしまった時には、減免が受けられます。この仕組みは、課税された税金のうち、まだ納期限前の税金を軽減したり、免除したりしてもらえる制度です。
個人事業税の場合は、事業用資産(店舗・建物・工場・原材料・製品等)や生活に必要な住宅などの資産が損害を受けた時に、損害の大きさによって減免されます。
条件として、資産の損害合計金額が合計所得の20%を超えている場合にのみ適用されます。減免が適用されるには、納税者からの申請が必要です。申請した日以降の納期限分の税金が減免になるので、早めに手続きを行う必要があります。
もし災害の程度によっては、一時的に税金を納められないというケースも考えられます。その時も、納税が猶予される制度もあります。原則として1年の期間、条件の元に納税が猶予されます。
4-2. 生活扶助を受けている場合
生活扶助を受けている場合には、事業税が減免されます。
減免される金額は、都道府県によって異なりますので、住んでいる都道府県に確認してみるとよいでしょう。
4-3. 高額な医療費を支払った場合
収入が低いのに、高額な医療費が必要になった時には、事業税の減免制度があります。都道府県によって条件が異なるので、こちらも住んでいる都道府県に確認してみましょう。
4-4. 事業主が障害者の場合
事業主が障害を持っている場合も、程度に応じて減免される可能性があります。こちらも都道府県によって減免される金額が異なりますので確認が必要です。
5. まとめ
不動産所得に課かる事業税は個人事業なのか、また法人事業なのかによっても変化が生じます。不動産に関わる事業の場合は、5%の事業税がかかります。また法人事業の場合には、所得によって税率が変化します。
控除できる内容もケースによって異なったり、都道府県によって条件が異なりますので、住んでいる都道府県に確認をしてみるとよいでしょう。不動産所得にかかる事業税は、計算が複雑ですが、知識を持ち合わせていると、減免の対象に気付いたりすることが可能です。