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Category  不動産

2019年09月05日 更新

不動産競売における消費税の計算方法|「課税されない」は間違い?!

ローンなどの債務が返済できなくなった時に、借金のかたとして借主の持っている不動産を強制的に売りに出し、売ったお金を返済できなくなったお金の代わりにすることを競売と言います。

ローンが払えなくなった時に、競売をするのは主に以下の二つの場合です。

1.住宅ローンを組んでいたとき

2.ローンを組んだ時に不動産を担保にしていた場合

このどちらも、借金の担保として不動産を抵当に入れていますので、借金が払えなくなった場合には、担保にしていた不動産を売りにだす、つまり、競売にかけるということになります。

競売には消費税がかからない、というのであれば消費税のかからない競売物件は、とてもお得なもの、ということになりますが、実際にはどうなのでしょうか?

不動産の競売にも、消費税はかかるのでしょうか?

今回は、不動産の競売にかかる消費税、消費税の計算方法について説明していきます。

1. 不動産の競売には消費税が必要か

消費税とは、商品などを販売して、その対価としてお金を受け取った時に、そのお金にかかる税金です。消費税は消費にかかる税金ということになります。

競売の場合は、商品を売買しているわけではないので、消費税がかからないような気がしますが、しかし実際には、競売の場合も消費税がかかります。

競売によって売上があった場合、基本的には、その売上に対して消費税がかかります。ただし、消費税がかかるケースと、かからないケースがあります。

 

 

2. 消費税がかかるパターン

競売物件に消費税がかかるのは、売主が課税対象の場合になります。

また、消費税がかかるのは、建物のみで、土地には基本的には消費税はかかりません。

競売にかけた売主が業者の場合、その競売で支払われたお金に消費税がかかるということになります。

・建物のみ

・業者が売主の場合

例えば、住宅メーカーなどからローンを組んで住宅を買ったけれども、ローンを支払うことができなくなった場合に、その家は競売にかけられることになります。

住宅メーカーは消費税の課税対象となる「業者」ですので、こういったケースの場合は、競売の売上に消費税がかかることになります。

 

 

3. 消費税がかからないパターン

では、どういった場合に消費税がかからないのでしょうか?

3-1.個人が売主の場合

個人が不動産を売り主だった場合には、競売の売り上げには消費税はかかりません。

個人が、もともと自分が住んでいた家を、引っ越しなどの事情から、別の人に売った場合などがこのケースにあたります。個人のほとんどは、消費税の課税対象になりませんので、競売にかけた時の売上にも、消費税はかかりません。

住宅ローンを組んで一戸建て住宅を買ったけれども、買主がローンを支払う事が出来なくなり、その物件が競売にかけられるケースがあります。

この場合、家の売主が個人だった場合には、競売の売り上げに消費税はかからない、ということになります。

 

3-2.競売マンションの場合

競売マンションの場合は、個人が売主になる場合が多いです。個人が元々住んでいた自宅を別の人に売るような場合です。

買った人がローンを支払うことができなくなった場合、物件は競売にかけれますが、このような場合は売主が個人になりますので消費税はかかりません。

マンションを買おうとする人の中には、消費税のかからない、お得な競売物件をねらう人もいるようです。

しかし、業者が売主の場合は消費税がかかります。マンションには消費税がかからない、という話を聞いたことのある人もいるかもしれませんが、実際には、消費税がかかるケースもありますので、注意しましょう。

 

3-3.土地のみ

土地には消費税はかかりません。土地は消費財ではないからです。そのため、競売の場合であっても、土地には消費税はかかりません。

更地の土地だけが、競売にかけられるケースもありますが、その場合には、消費税はかからないということになります。

しかし、土地に建物が建っている場合は、建物には消費税がかかります。消費税がかからないのは、あくまでも、土地のみです。

ちなみに、建物付きの土地のほうが、価値がありそうな気がしますが、そんなことはありません。更地に家を建ててしまったら、かえって不動産の価値が下がってしまうことがあります。

なぜかというと、気に入った土地を見つけて、自分の家をその場所に建てたいと思っても、別の家が建っていたら、その家を取り壊してから自分の家を建てなければいけませんが、家の取り壊しにはお金がかかります。そういった理由で、更地のほうが、建物付きの土地よりも価値が高い場合があるのです。

そのような場合には、建物を取り壊して更地にしてから競売にかけることがあります。

土地に建物が建っている状態で競売にかけられる事も多いですが、土地に建物が建っている場合には、土地と建てものを分けて考えることが難しいですから、土地と建物の割合を評価額に掛けて計算をした、建物の分に消費税がかかることになります。

土地の上に建物が立っている状態の競売物件を買うときに、注意が必要なのは、土地の債権者と、建物の所有者が同一かどうか、また、それぞれの権利がどうなっているかです。

たとえば、土地と建物の債権者が別の場合もあります。そのような土地を買った場合、建物の所有者が既にそこに住んでいて、立ち退いてくれないというトラブルが発生することもあります。また、その建物を別の人に賃貸していて、居住者が出て行ってくれないということもあります。

土地の上に建物が立っている競売物件の場合は、特に注意したほうが良いでしょう。

 

一括競売

上記のようなトラブルが起きることもあって、一括競売という競売の方法が法律で定められています。

一括競売とは、一定の条件をクリアした場合に、土地のみに抵当権が設定されていて、抵当権の設定されていない建物とセットにして競売にかける競売の方法です。

一括競売ができるのは、土地に抵当権を設定した時点で、その土地の上に建物が無かったことが条件です。つまり建物は、土地に抵当権を設定したあとに建てられたものであるということです。

土地には消費税がかかりませんが、建物とセットになっている場合には、消費税以外にもさまざまな問題が絡みますので、注意しましょう。

 

3-3. 消費税の計算方法

実際に競売物件に、消費税がどれくらいかかるか計算してみましょう。

ちなみに、消費税がかかるのは、前述したように、売主が業者の場合になります。

個人の場合は、消費税はかかりません。

 

土地1500万円、建物2000万円の場合

たとえば、土地が1500万円、建物が2000万円だった場合、建物2000万円に消費税8%の160万円がかかります。

売買価格合計は、土地1500万円+建物2160万円(税込み)=売買価格合計3660万円、という計算になります。ちなみに、競売の時にかかるお金は、消費税込みで計算されます。

また、物件にかかる消費税の計算は、譲渡する場合と競売の場合では違いますので、注意しましょう。

上の計算に使用した、土地が1500万円、建物が2500万という価格は、土地と建物の割合を裁判所の評価額に掛けて決めています。

つまり、この物件の価値は、土地が3:建物が4の割合であるということになります。

土地の価値の割合と建物の価値の割合を決めておいて、それをそれぞれ裁判所評価額に掛け算した建物の売り上げに、消費税がかかることになっています。

 

土地と建物の割合を掛けて計算する理由

なぜこのように、土地と建物の割合を掛けて計算するのでしょうか?

それは、土地と建物はセットで存在するもので、両者をわけることが物理的に難しいからです。

また、裁判所評価額というのは、最低売却価格のことです。最低売却価格というのは、これ以上の値段で買ってくださいという、最低ラインの金額のことです。

競売にかけているうちに、価格がつりあがり、実際には、もっと高値で売れることもあります。

しかし、実際に消費税がかかるのは、裁判所評価額つまり最低売却価格です。

競売物件の裁判所評価額は、市場価格の4~5割程度まで減額されていることが多く、また、そこから2割低い価格で入札できます。

つまり、競売物件を入手することで、通常よりも割安な価格で物件を手に入れられるということになります。

そのため、不動産を手に入れたいと思っている人にとっては、競売物件は、お得に感じられることも多いと思います。

 

競売物件が安い理由

しかし、競売物件がなぜ安いかと言うと、それなりの理由があります。

競売物件は問題があったり、事故があったなどの曰くつきの物件であることもあります。

また、競売で物件を手に入れた後に、競売物件に人が住んでいて出て行かない、などの思わぬトラブルが発生することもあります。

競売物件は、鍵の引渡しが保証されない、建物に瑕疵があっても瑕疵担保責任を売主に追及することができないなど、安いけれども、リスクも多いです。

競売にいたるまでのいきさつを全く気にしない人や、不動産についての知識がある人にとっては、競売物件はお得な買い物かもしれませんが、そうでない人にとっては、競売物件はリスクの高い不動産かもしれません。

 

4. 不動産価格以外に消費税がかかるものはあるか

建物と土地の価格だけで消費税を計算していると、後から思わぬところに消費税がかかり、痛い出費になってしまいます。

競売時に不動産価格以外にかかる消費税も、あらかじめ考えておきましょう。不動産価格以外に、消費税がかかるものはなんでしょうか?

 

4-1. 仲介手数料

不動産の価格以外に消費税がかかるものとして、仲介手数料があります。

仲介手数料は、不動産の売買を業者に依頼して、仲介してもらう場合に業者に支払う手数料のことです。

不動産の売買をするときには様々な手続きを行いますので、不動産業者に仲介することが多いと思います。仲介してくれた業者に支払った仲介手数料にも消費税がかかるので注意しましょう。

 

仲介手数料の計算方法

ちなみに、仲介手数料は、物件価格が200万円以下の場合は物件の価格×5%、物件価格が200万円~400万円の場合は物件の価格×4%+2万円、物件価格が400万円以上の場合は物件の価格×3%+6万円と決められています。

  • 物件価格が200万円以下:物件の価格×5%、
  • 物件価格が200万円~400万円:物件の価格×4%+2万円、
  • 物件価格が400万円以上:物件の価格×3%+6万円

たとえば、売買価格が400万円を超えた場合には、売買価格の3%+6万円+消費税が、仲介手数料としてかかることになりますから、3660万円の不動産を競売にかけたときは、

売買価格合計3660万円-消費税160万円=3500万円

3%をかけた、

3500万円×3%+6万円=105万円が仲介手数料になります。

仲介手数料は税抜きで計算し、さらに、この仲介手数料に消費税がかかることがあります。

上記のケースの場合は、

105万円+105万円×8%(消費税)=113万4千円

が仲介手数料になります。

ちなみに、仲介手数料計算するときに使う物件価格とは、土地と建物を合わせた、不動産全体の金額のことです。

 

4-2. 弁護士への報酬

不動産登記をする際に依頼した、弁護士への報酬にも消費税がかかります。

弁護士への報酬がいくらかかるかは、その弁護士によって違ってきます。安価で引き受けてくれる弁護士さんから、高額で依頼を受ける弁護士さんもいます。

しかし、弁護士費用のある程度の目安は決まっています。

弁護士に払うお金には、着手金と報酬金があります。着手金は、弁護士に依頼した時に払うお金です。補助金は、実際に手続きが完了してから払うお金です。

ローンが払えなくて自宅が競売にかけられたにもかかわらず、物件に住んでいる人たちがいて、その人たちが立退かない場合に、その住人を説得する仕事も、弁護士に依頼できます。

明け渡しの交渉や、強制執行も弁護士に依頼できるということです。その時にかかる代金も、それぞれの弁護士事務所で設定されています。

また、法律相談料や書類作成費用、文書作成料などがかかる場合もあります。どのぐらいのお金がかかるかは、弁護士事務所などのホームページを見て、確認してみると良いでしょう。

これら、弁護士に払ったお金にも、8%の消費税がかかります。忘れないようにしましょう。

 

5. まとめ

いかがでしたか?

不動産を競売に掛けたときには消費税がかかります。ただし、消費税がかかるのは、売主が業者の場合のみです。

また、土地には消費税はかからず、建物のみに消費税がかかります。土地の上に建物が立っている場合は、土地と建物をわけて考える事は物理的に難しいです。そのため、その不動産の建物の割合を、その不動産の評価額に掛けた金額に消費税がかかります。

建物以外に、仲介手数料や弁護士費用にも、消費税はかかります。不動産価格だけで消費税を計算していると、後から、思わぬ出費に驚く事になります。

あとで、びっくりしないように、消費税がかかるものについては、あらかじめしっかりと把握しておくとよいでしょう。