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Category  不動産

2018年07月24日 更新

不動産の相続税における評価額の詳細や計算方法を徹底解説

不動産の相続があると、相続税が課かります。そもそも相続税はどのような税金なのか、また不動産を相続する時に必要になる、評価額とは何でしょうか?

不動産を相続する時には、難しい不動産の評価額を計算して、相続税が決められていきます。可能な限り自身で計算をして、どのくらいの相続税が課かるのか調べておきたいですよね。

この記事では不動産を相続する際の評価額について、さらに評価額の計算方法を詳しくまとめていきます。

1. 不動産の相続税における評価額とは?

不動産の相続をする時には、不動産がどのくらいの価値を持っているのかが重要なポイントです。

現金や証券の場合には、相続する物の価値がいくらなのかはっきりしているからです。

しかし不動産の場合には、価値を判断するのは簡単ではありません。今持っている建物や土地の値段は、状況によって変化するからです。

それで相続する時には、相続時の不動産の価値を「評価」して、現在の価値がどのくらいを決定していくのです。土地や建物、また立地条件を元にして、不動産の評価額が決定されます。

 

1-1. 相続税の課税方法

不動産を相続する際の相続税がどのように課税されるのかを理解しておくのは重要です。

相続税の課税方法を知っていないなら、自身のケースではどうなるのか判断できないからです。

相続税は税金の中では課税率が高いので、課税方法がどうなっているのか気になるのも当然です。

そもそも相続というのは、何もせずに利益が出る「不労所得」に当たると判断されています。

もし裕福な層が多くの相続によってさらに利益を得ると、貧富の差が激しく原因になりかねません。それで相続税によって貧富の格差が広がらないように、裕福な層からは一定の税金を取ることで抑制していると言われています。

 

 

相続税の税率

相続税の税率は以下の通りです。

法定相続分に応ずる所得額   税率   控除額

1000万円以下         10%   0円

3000万円以下         15%   50万円

5000万円以下         20%   200万円

1億円以下            30%    700万円

2億円以下           40%     1700万円

3億以下            45%   2700万円

6億以下            50%   4200万円

6億以上            55%   7200万円

 

財産が多くなると、税率も高くなっていくのですが、最高税率は55%となっており、数字だけで判断すると、かなりの税金を納めなければいけないように感じます。

しかし上記の表では、相続税算出の最後の段階での金額になります。

相続税が課税される時には、ここで考えている不動産だけでなく、預貯金や現金、証券などの財産から借金などのマイナスになっている財産を差し引きしたものから算出するのです。

さらには相続税には減税措置もあり、「小規模宅地等の特例」などを考慮する必要もあります。基礎控除なども含めて、控除できるものを差し引き、超えた金額に対して、上記の表に当てはめて税率を計算します。

 

1-2. 土地・建物の評価

相続した金額に応じて相続税が課かりますが、その為には土地や建物の価値を算出する必要があります。相続した財産が多いほど税金は高くなっていくのですが、財産の評価額を下げる方法として、土地や建物の不動産があります。

現金や証券の場合は額面通りの価値になりますが、土地や建物の場合には評価方法によって評価額が異なるケースも存在します。なぜなら土地と言っても、様々な用途の土地があります。宅地、田んぼ、畑、山など用途やどこの土地などに関係なく一律の評価になると、負担が生じます。

対象となる土地を正しく評価するのに、2つの方法を用いて評価額が決定されます。それは「路線価方式」と「倍率方式」という方法で、それぞれに特徴がある評価方法です。

 

2. 土地・建物の評価方法

土地や建物の評価は、「路線価方式」か「倍率方式」のどちらかを用いて計算されますが、地方なのか都市部なのかによって選択できる計算方法が変わることもあります。

それぞれの評価方法の詳細を確認し、どのような特徴があるのか確認してみましょう。

 

2-1. 路線価方式

路線価というのは、国税庁が定めている土地の値段になります。相続する不動産を評価する上で重要な指針になる値です。路線価は、毎年1月1日に評価がされ、8月頃に公表されて、国税庁のホームページから価格を確認することができます。

路線価図には、宅地が面している道路上に「1,300B」などのように数字が記載されています。この数字がベースとなる金額になります。単位は千円で、1平方メートルあたりの路線価を表しています。最後のアルファベットは、借地権割合を表し、借地権の評価額を求める時に使われます。

このように路線価は、市街地の土地など土地に面する道路に定められた価値です。路線価を元にして、特殊な宅地の場合には補正が行われて、土地の評価額が決定されていきます。基本的には、下記の計算式に当てはめて計算します。

土地の評価額=路線価×面積×補正率

特殊な宅地には下記の物が該当します。

 

特殊な宅地

・間口が小さく狭い

・奥行きが長い

・宅地が整地されていない

・建築基準法により建築物を後退させる場合

・私道に隣接する土地

・騒音・日照不足・異臭などの土地の価値を下げる要因がある

環境によっては、上記の条件が当てはまる時がありますので、適切な評価額になるように補正していきます。

 

2-2. 倍率方式

倍率方式での計算は、主に地方などで路線価が定められていない土地などで使用する計算方法です。倍率方式でも国税庁のホームページから確認することができます。

相続に関しての注意点では、相続税の土地の評価額を計算する時には、相続を開始した年で計算するので、必ずしも最新の情報が当てはまる訳ではありません。もし今の値段を調べて、現在の価格をベースに計算をしていくのであれば、最新の情報を用いて計算できます。

国税庁のホームページから確認すると、路線価がついていない場所には、倍率地域と記載されています。対象となる地域を探し、路線価がついていない場所の場合には、固定資産税評価額を元にして計算を行います。固定資産税評価額とは、役所が固定資産税をかけるために計算した土地の価格です。

国税庁のホームページから、対象の地域の評価倍率表を参考にして、計算を進めていきます。宅地などであれば、1.1倍になることが多いですが、これが評価倍率になります。その後以下の計算式に当てはめて計算します。

固定資産税評価額×倍率=評価額

路線価方式は、いくつかの条件下では補正をしていく必要があるのに比べて、倍率方式はシンプルな計算方式になります。

 

3. 不動産の相続税評価額の計算方法

不動産の相続税評価額を計算するのには、土地や建物に分けて、それぞれに評価額を決定する必要があります。それぞれの評価額のポイントを解説していきましょう。

 

3-1. 土地の相続税評価額

土地の評価額の計算方法には、「路線価方式」と「倍率方式」の2種類があることはすでに解説しました。

しかし土地の評価は、利用形態によっても変化しますので、評価額が変わる事もあります。

評価額が変わることもあるいくつかのケースを見てみます。有償で貸している土地なのか、有償で借りている土地なのかという違いがあります。

 

3-3-1. 貸している土地の場合

借地権が設定されている土地の場合

貸宅地の評価額=自用地の評価額×(1-借地権割合)

 

貸家建付地

所有する土地に貸家を建てて、他人に貸している土地

貸家建付地の評価額=自用地の評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)

 

貸している土地の場合

・土地を有償で借りて、自分の建物を建てられる借地権のある土地

借地権の評価額=自用地の評価額×借地権割合

 

期限が決まっている定期借地権の場合

定期借地権の評価額=自用地の評価額×定期借地権割合×逓減率

 

このように、借りている場合と、貸している場合によっても土地の評価額が変わります。

もし被相続人が、自宅や事業用、貸付事業用として使っていた宅地の場合は、「小規模宅地等の評価減の特例」が適用され、評価額が減額されます。

この特例を利用するには、要件が細かく設定されているので、税理士などの専門家に依頼して、どのように相続税対策をするのが良いのか相談するのが賢明です。

 

3-2. 建物の相続税評価額

建物の場合は、「固定資産税評価額」で計算を進めます。

毎年5月から6月頃に、不動産が所在する役所からの固定資産税の納税通知書が届きます。もしくは、役所から取り寄せることができる、固定資産税の評価証明書でも建物の評価額を知ることが可能です。

固定資産税の評価証明書と、固定資産税の評価証明書に記載されている評価額は同じですので、あえて役所から取り寄せる必要はないでしょう。

この「固定資産税評価額」は役所が建物の新築の際に、役所が建物を見て、固定資産税評価額を決めることになっています。それで建物ごとに細かな計算や法律を元にして、固定資産税評価額が決定されているのです。

まれに固定資産税評価額が分からない建物もあります。借地に建物を建てて、築50年ほど経っている場合にそのようなケースが多いです。このような建物は、築50年以上が経過していることが多いので、固定資産税評価額の免税点(20万円)以下になることが多くなります。

それほど多くないケースになりますが、もし固定資産税評価額が分からない場合には、このような方法で手続きを進めることができます。

 

3-3. マンションの相続税評価額

マンションの相続税評価額は、今までの「土地の相続税評価額」と「建物の相続税評価額」に「持分割合」をかける事でマンション各戸の評価額を決定していきます。

マンションの場合には、自分が専用で利用する「専有部分」と廊下やロビーなどの「共有部分」に分けられています。マンションの相続税を考える場合には、専有部分だけでなく共有分も計算に含める必要があります。

持分割合は土地の登記簿を取得するか、もしくはマンションの売買契約書に記載されているものから確認できます。この持分割合は、管理費や修繕積立金を割り当てる際にも使われます。普段から知っておくと良いでしょう。

マンションの相続税評価額の計算は、土地の相続税評価額を求めることから始めます。通常の土地の時と同じように計算式に当てはめて、土地の相続税評価額を計算していきますが、最後にマンションの全体の評価額に、先ほどの持分割合をかけてマンション各戸の土地の相続税評価額を計算しましょう。

建物の相続税評価額は、固定資産税評価額と同じですので、特別な計算をしなくてもすでに算出されています。毎年送られてくる固定資産税の納税証明書などを見れば、固定資産税評価額が書かれていますので、参考にして計算を進めることが可能です。

 

4. まとめ

不動産を相続する際には、その不動産によって計算式を当てはめて実際に課税される相続税を算出する必要があります。相続する不動産に合わせて、計算をしていき、相続税対策が可能なのか判断すると良いでしょう。