事例紹介
Category 不動産
2018年07月06日 更新
不動産を取得した場合の取得税と法人税について
個人ではなく、法人が不動産を取得したときには、取り扱いが異なります。
法人の場合、「取得税」、「法人税」に注意する必要があります。
「取得税」の課税対象、課税額の計算方法、注意すべき点、「法人税」の課税対象、課税額の計算方法、節税のため注意すべき事項を解説していきます。
この記事でわかること
1. 法人が不動産を取得した際の取得税と法人税の考え方
法人が不動産を取得したとき、「取得税」および「法人税」が必要です。
どのようなアプローチをするのが節税対策として合理的でしょうか。
合理的なアプローチの工夫をしてみましょう。
2. 取得税について
「取得税」とは、土地・建物など不動産、自動車を取得したときに、法人の本店事業所が存在する都道府県が課税する地方税のことです。
不動産取得税は、すべての土地・建築物の取得について課税されます。
建築物は、新築、増築、改築を含みます。取得の要因が有償か無償かを問いません。取得した不動産が登記されていなくても課税されます。
市町村が毎年課税する「固定資産税」とは異なり、不動産を取得したとき一度だけ課税されます。不動産所有権取得の要因となる契約を解除されても、「所有権移転の事実」がある限り課税されます。
2-1. 課税対象
それでは、不動産所得税の「課税対象」について見ていきましょう。
どのような対象物に課税されるのか確かめておきましょう。
課税の対象
課税の対象は土地・家屋などの不動産です。
原則
まず原則を確かめましょう。
課税の対象とされる「土地」は、宅地などその「地目」は問われません。宅地のほか農地、山林、原野なども課税対象になります。
ただ、「農地」については、贈与によって取得しケースでは、「納税猶予」の制度がありますから活用されるようお奨めします。
これに対し、不動産取得税の課税対象とされる「家屋」には、すでに現在、建築されている中古住宅、分譲住宅だけでなく、これから建築される新築・増築・改築のケースでも、課税の対象になります。
建築物には、住宅のほか、店舗、工場、倉庫、事務所などが含まれます。
例外
次に例外として課税されない「非課税」のケースをあげておきましょう。
公共的な目的に供される不動産の取得には、例外として取得税は課税されません。
相続、法人の合併・分割、2年以内の債権消滅による「譲渡担保」の設定者への所有権移転のケースにも例外として課税されません。
この例外に気をつけましょう。
2-2. 建設した場合の計算方法
課税対象とされる不動産を新たに「建設」したケースでは、課税額はどのように計算されるのでしょうか。
新たに建設した場合
建物を新築・増築するなど、対象物が新たに「建設」されたケースでは、課税額はどのようにして計算されるか確かめましょう。
このケースは、法的視点にたてば、買い取りなどの「承継取得」ではなく、「原始取得」により不動産を取得したケースといえます。
課税額の計算方法は次のようになります。
・住宅については、住宅の価格(評価額)に3%を掛ける税額になります。
・住宅以外のケースでは、不動産の価格(評価額)に4%を掛けると税額になります。
その「価格」は、国で定めた基準に基づいて都道府県市町村が決定します。
特別措置として、延床面積が50㎡(一戸建以外に貸家用は40㎡)以上240㎡以下の住宅を建設したケースでは、最高1,200万円(認定長期優良住宅の場合は最高1,300万円)まで評価額から差し引かれます。
2-3. 購入した場合の計算方法
これに対し、不動産を購入したケースの税額はどのようにして計算されるのでしょうか。
このケースでは、土地・建物の「固定資産税評価額」に「税率」を掛けて算出します。
不動産取得税額は、固定資産税評価額(課税標準額)に標準税率4%を掛けた額になります。
固定資産税評価額とは
固定資産税評価額は、固定資産評価基準に基づいて、市町村が個別の土地・不動産に対して策定した評価額をいいます。この「固定資産評価基準」は総務大臣が定めます。
固定資産税評価額の確認方法
「固定資産税評価額」を確認方法は以下のとおりです。
まず固定資産税の納税通知書に同封された「課税明細書」を見ましょう。
次に都税事務所、市役所、区役所、町村役場で「固定資産税評価証明書」の交付を受けるとか、「固定資産課税台帳」を閲覧する手法もあります。
2-4. 注意点
不動産取得税について、なにか注意すべき点はあるでしょうか。
節税対策の一環として税の軽減措置を採るために、非課税とされるケース、免税・軽減の特例など課税の例外制度をしっかり理解するようお奨めします。
不動産取得税を免税・軽減する特例
不動産取得税には、免税や税額を軽減する特例があります。
この特例を上手に活用することによって、不動産取得税をゼロ円に持ち込むとか、数万円程度に抑え込むこともできます。
そうはいっても、不動産取得を申告するときに、「不動産取得税減免」の手続きをしておかないと、数十万円も課税される例もありから注意しましょう。
不動産取得税は「固定資産税評価額(課税標準額)」が、次の金額未満のケースでは課税されませんから、免税となります。
・取得した土地の「課税標準額」が10万円未満のケース
・売買・贈与などによって取得した家屋の「課税標準額」が12万円未満のケース
・新築・増築・改築などで建築した家屋の「課税標準額」が23万円未満のケース
注意すべき例外の仕組み
ここで注意すべき例外の仕組みを要約しておきましょう。
標準税率の軽減
標準税率が軽減される例外もあります。
不動産取得税の計算に用いられる通常の標準税率4%が、「住宅用の土地、非住宅用の土地」および「住宅用建物」に対して3%に軽減されます。
それに対し、「住宅以外の建物」は原則の4%ですから、注意しましょう。この標準税率の軽減ついては、「不動産取得税軽減」の手続きを採る必要はありません。
既に触れたように、不動産を取得したときでも、公共的な目的に供される不動産の取得、相続、法人の合併・分割、2年以内の債権消滅による「譲渡担保」財産の設定者への移転などのケースでは、課税されません。
宅地の課税標準額の軽減
「宅地の課税標準額の軽減」という仕組みもあります。
宅地の評価は、固定資産税評価額の2分の1になります。
このように、宅地の課税標準額は、固定資産税評価額に2分の1を掛けて算定されます。
新築住宅およびその敷地の不動産取得税が軽減される場合
新築住宅およびその敷地の不動産取得税が軽減される仕組みがあります。
建物としての「新築住宅」、土地としての「敷地」について、所定の要件を満たすときには不動産取得税を軽減することができます。
具体的にいえば、建物の固定資産評価額から1,200万円を引くことができます。
土地についても次のA・Bのどちらか高い金額が不動産取得税より減額されます。
A:45,000円
B:土地1㎡当たりの固定資産税評価額×課税床面積×2(200㎡限度)×税率3%
この不動産取得税の軽減は、不動産取得税減税の手続きが必要ですから、軽減の所定要件該当する新築住宅を購入するときには、手続きを取るよう注意しましょう。
3. 法人税について
「法人税」に関する内容について説明していきます。
法人に賦課される税金には、
A「法人(取得)税」
B「法人事業税」
C「法人住民税」と3類型があります。
そのうち、Aは「国税」ですが、BとCは地方税です。
3-1. 法人税の種類
法人税は、会社など法人の所得金額を課税標準として賦課される税金をいいます。
直接税としての「国税」ですが、「広義の所得税」にあたります。
法人(取得)税
法人取得税は、会社など法人の所得金額を課税標準として賦課される税金です。
この税は、直接税としての「国税」で、「広義の所得税」といえます。
法人事業税
「法人事業税」とは、法人の所得に対して課税され、法人の事業所とされる本店。支店・工場などが存在する都道府県に支払う「地方税」です。
「国税」としての「法人所得税」とは別の税です。
法人事業税は、公益法人などについては、収益事業を営んでいるケースに限り、納付義務があります。
法的には「権利能力なき社団・財団」といわれる「人格がない社団・財団」でも、収益事業を営んでいる法人とみなされるケースでは、納税義務を負担します。
法人住民税
「法人住民税」とは、法人の本店・支店など事業所が存在している市町村などに支払う「地方税」です。
「法人税額」に「住民税率」を乗じて算定します。「法人税額」は、法人の所得から算出します。
3-2. 法人税の課税対象
法人税の課税対象はどうでしょうか。
法人税の課税対象となるのは、その法人が事業活動によってあげた各事業年度における所得となります。
各事業年度における「所得」とはなにをいうのでしょうか。
法人税法上は、会社の「所得金額」に賦課されます。その「所得金額」は、収益金から損益を控除して算定されます。
3-3. 法人税の計算方法
法人税の課税額はどのようにして計算されるのでしょうか。
法人について、それぞれの各年度にける決算に合わせて計算されます。
その年度の「所得金額」は、その決算期の事業活動においてあげた利益から経費のうち「損金として算入できる額」を差し引いて算出されます。
こうして算出された「所得金額」に「法人税率」を掛けると「法人税額」となります。
3-4. 注意点
法人税での注意点を確認しておきましょう。
まず節税対策として、税金が免除されるケースがあります。
しかし、節税対策だからといって、その工夫がゆきすぎて、「節税」の壁を乗り越えてしまい、「脱税」にならないよう注意しなければなりません。「節税」と「脱税」を混同しないことが大切でしょう。
免除されるケースは複雑でわかりにくい為、税理士、公認会計士、弁護士などそのプロに相談するのようにしましょう。
4. まとめ
いかがでしたか?
不動産取得の際の取得税及び法人税について説明してきました。課税対象や計算方法等同じ税金でも違いがありましたね。
節税対策を行う場合は、ご自身の知識だけで対策するのではなく、必ず専門家に相談や確認をしてから行うようにしましょう。