事例紹介

Category  不動産

2018年09月12日

不動産に関連する税金とは!?種類や税金の計算方法について

土地や建物といった、いわゆる『不動産』を取得や保有、また売却するということは多くの人のライフイベントのなかで少なからず起こりうるのではないでしょうか。

しかし一般的なことだからといって甘く見てはいけません。その際に発生する「税金」についても十分知っておかないと資金繰りが厳しくなり予期せぬ結果に繋がってしまったり、損害を被るトラブルの事由になり兼ねません。

そのため、不動産に関連する税金については誰しもが学んでおくべき必須知識として、念頭に置いておく必要があります。

この記事でわかること

1. 不動産にかかる税金の種類一覧

そもそも不動産に関する税金って何種類あるのでしょうか。

一覧を見ていきましょう。

不動産の購入(取得) 不動産の保有 不動産の売却(譲渡)
税金の種類 購入・新築 贈与 相続
印紙税 × ×
消費税 × × ×
不動産譲渡益税 × × × ×
登録免許税 × ×
不動産取得税 × × ×
固定資産税 × × × ×
都市計画税 × × × ×
贈与税・相続税 × × ×

 

不動産に関連する税金は大きく分けて四種類に分けることができます。

売却時に発生する税金、取得時に発生する税金、継続して保有する際の税金、相続や贈与された際の税金の四種類です。では、それぞれの税金の特徴や納付時期について詳しく見ていきましょう。

 

2. 不動産購入時に発生する税金

2-1.不動産取得税(土地や建物を取得したことにかかる税金)

納付時期:土地購入の場合は3ヶ月~6ヶ月後を目処に納付書が届く

新築住宅の場合は購入後の翌年4月以降に届く

 

2-2.登録免許税(所有権移転や抵当権設定登記時に必要となる税金)

納付時期:法務局への登記を申請時に登記申請書に税額相当分の収入印紙を添付

従って、登記が完了する前に納める必要がある

 

2-3.消費税(媒介業者への報酬や建築工事費などにかかる)

納付時期:都度業者に支払う必要がある

☆チェックポイント:不動産取得税は土地や建物を取得して約半年から一年半の間に各都道府県より納税通知書が届き納付するようになっています。購入時に問い合わせが可能な自治体もあるので納付書送付時期を事前に把握して準備しておくと良いでしょう。また、消費税は土地購入時に関しては非課税対象となっています。

 

3. 不動産売却時(譲渡)に発生する税金

3-1.譲渡所得税(売却時に利益が発生した場合に課税される)

納付時期:翌年の2月16日から3月15日

 

3-2.住民税(譲渡所得税と同じで利益が発生した場合に課税される)

納付時期:翌年5月頃に納付通知が届き四半期後との納付

 

3-3.印紙税(売却時の契約書一枚につきそれぞれ課税対象となる)

納付時期:契約文書締結時に各手数料分を印紙として添付

 

3-4.消費税

納付時期:都度各業者へ支払い

☆チェックポイント:所得税はマイホーム売却時には特例が用意されているので確認を!損をしないように事前に調べておきましょう。

 

4. 不動産を保有する際にかかる税金

4-1.固定資産税(土地と建物のどちらにも課税)

納付時期:その年の1月1日の時点の所有者に1年分課税される

納期は各自治体によって異なっているが納付期限の10日前までに通知

されるよう定められ平均して4月から6月の間に通知される場合が多い

 

4-2.都市計画税(都市計画区域内の土地と建物保有時に課税)

納付時期:その年の1月1日の時点の所有者に1年分課税される

 

Q.都市計画区域とは?

都市部の市街地や人口1万人を越える町村、居住者が3千人以上の中心市街地などいくつかの条件を満たした場合に指定される地域

☆チェックポイント:固定資産税は毎年支払いが必要となる税金です。1月1日にその不動産所有者に納税義務が発生しますが、所有権移転が行われている場合には日割り計算が一般的に用いられます。これはこの所有者移転による納税負担の偏りを防ぎ不平不満が発生しないようにするための措置です。

しかしこれに関しては法的に明確な定めが決められているわけではいないため、大きなトラブルを防ぐためにも売買契約時に話し合って日割り計算を利用するのか、またその割合においても事前に双方が合意の上決めておく必要があります。

 

不動産を贈与または相続したときにかかる税金

  • 贈与税(土地や建物を贈与した際や住居購入資金を贈与された際にかかる税金)
  • 相続税(相続や遺言によって取得した場合にかかる税金)
  • ☆チェックポイント:相続税に関しては他に相続した財産との合算金額が一定額を越えた場合に課税対象となるので事前に計算しておく必要があります。

 

このように現在の日本の不動産売買契約においては所有時はもちろん、譲渡時や購入時のいずれの場合にも納税義務が発生する仕組みとなっているのです。

そのため冒頭でも申し上げたように税務について知識や資産計画についてプランニングをしっかり立てておき、資産形成を行っていく必要があるのです。

 

5.不動産にかかる税金の計算方法

5-1.不動産取得税の計算方法

土地の税額:固定資産税評価額×50%×3%

建物の税額:固定資産税評価額×3%

5-2.登録免許税の計算方法

売買による所有権移転時:固定資産税評価額×1%

抵当権の設定時:債権額×0.4%

 

5-3.譲渡所得税の計算方法

譲渡所得を計算:売却額―(取得費+譲渡費用)―特別控除

所有期間が五年以上:譲与所得×15%(住民税5%)

所有期間が五年以下:譲与所得×30%(住民税9%)

 

5-4.固定資産税の計算方法

固定資産税の評価額を計算:国土交通省が定める土地や家屋の時価の7割付けの金額

一般的に固定資産税の評価額×標準税率の1.4%

 

5-5.都市計画税の計算方法

固定資産税評価額×0.3%

 

5-6.不動産所得税の計算方法

総合課税として計算されるため所得税の税率に沿って六段階に区分されている

 

課税金額195万円以下:税率5% 控除額0円

195~330万円以下:税率10% 控除額97,500円

330~695万円以下:税率20% 控除額427,500円

695~900万円以下:税率23% 控除額636,000円

900~1,800万円以下:税率33% 控除額1,536,000円

1,800万円以上:税率40% 2,796,000円

以上が不動産関連の主な税金とその計算方法になります。

種類も多岐にわたりますし、場合によっては金額も当初想定していた以上に高額になる可能性もあります。不動産保有や売買に関して不安に思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。

また税理士さんを介して対応する場合も多いかと思いますが、その場合も油断禁物です。自分自身が知識を持ち、よく勉強しておかないと無駄な税金を納付しなくてはならなかったり損害を被る可能性が発生してしまうのです。

不動産を現在所有している方も今後購入や投資目的での売買を検討している全員がこの《不動産に関わる税金との戦い》において十分な知識を持ち、戦っていく必要があるのです。

しかし一方で特例措置や節税の対象となる税金対策方法もあります。

これらを知っておくのは不動産や土地活用にお悩みの方にとって大変有益なことが多いです。ではその特例措置について詳しくみていきましょう。

 

6.  知っておきたい不動産の税金控除や節税対策!

6-1.不動産取得時の特例

本来4%の不動産取得税を3%に軽減する制度です。

新築物件を取得:床面積が規定内、住宅用途の場合1戸につき1,200万円まで控除

中古物件を取得:各物件の新築年月日に応じて350万円から最大1,200万円まで控除

  • 不動産保有時の特例(固定資産税にかかる特例)
  • 住宅用地に関する特例

小規模住宅用地:課税対象の1/6を課税標準とする

一般住宅用地:課税対象の1/3を課税標準とする

新築物件:一定要件を満たす中高層耐火建築住宅は5年間、それ以外の物件に関しては3年間、税額が1/2となる

 

6-2.長期優良住宅にかかる減税措置

長期優良住宅の整備促進の法制定によって平成21年から26年までに新築された長期優良住宅において必要書類を添付して自治体に申告した場合新築後五年間に限定されるが建物にかかる税額を50%減額する制度が設けられている

 

6-3.既存住宅にかかるバリアフリー改修工事の減税措置

現在日本で問題化されている高齢者増加及び障害者居住住宅への対策として平成19年から平成28年度末までに一定のバリアフリー改修工事を行った場合改修住宅の翌年度分の固定資産税額を1/3を減額する制度が設けられている

 

6-4.省エネ改修工事住宅にかかる減税措置

省エネ改修工事を行った住宅の固定資産税額を減額する制度が創設されている。減額を受けることを希望する場合は必要証明書を添付した上で改修後3ヶ月以内に各自治体に申告する必要があります。

 

6-5.都市計画税の特例

小規模住宅用地:課税対象の1/3を課税標準とする

一般住宅用地:課税対象の2/3を課税標準とする

 

6-6.住宅ローン控除

不動産を扱うすべての人にとってもっとも関心が高いといえる住宅ローン控除について詳しく見ていきましょう。住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用して住宅を購入、新築また増築工事を行った場合に一定の要件を満たすことで入居年月日から10年間、所得税支払い分から控除を受けることができる措置のことです。現在のところ2021年末までにその住居へ入居した場合に控除対象になると規定されています。

 

6-7.適用条件は?

  1. 住宅取得後半年以内に入居し、控除を受ける年の12月末日まで入居している
  2. 床面積が50平方m以上であること
  3. 控除を受ける年の所得が3,000万円以内であること 等

 

6-8.☆番外編☆不動産事業の拡大を検討した場合の重要事項

ここでは、不動産を単に保有したり売買するのみでなく、投資や事業目的として不動産を保有している方向けの重要項目について紹介したいと思います。

現在副業で不動産投資が注目されていますが実は個人やサラリーマンの方が副業で不動産購入投資をしていくと壁にぶつかります。それが税金対策なのです。日本は累進課税制度が適用されるため不動産投資によって所得が増えた分税金の重さに悩まされている方も多いのではないでしょうか。そんな方に検討していただきたいのが「法人化」です。

この番外編では「法人化」にかかるメリット、そしてデメリットについても詳しく見ていきましょう。

 

「法人化」にかかるメリット

メリット1:個人法人間で生じる税率差を活用することが可能

メリット2:所得分散効果が見込める

メリット3:生命保険を活用した場合の外部留保が可能である

メリット4:個人の小規模企業共済の退職金積み立て制度などから課税繰延が実施できる

メリット5:相続時の対策が可能である

 

これらが主にあげられるメリットです。しかし個々の保有状況や判断基準によってもこのメリット全てが享受できるとは限らないので専門税理士等によく相談することが重要となります。これまでメリットをあげましたが法人化には以下のデメリットもあります。

 

「法人化」にかかるデメリット

デメリット1:設立時の費用や決算処理に必要経費が発生する

デメリット2:個人事業主が通常利用する青色申告のような控除を受けることができない

デメリット3:不動産投資が赤字決算になった場合でも法人住民税を納付する必要がある

といったデメリットが主にあげられます。しかし一般的に見て法人化を行うことは税務上多くの税務上利益に繋がる場合が多いのです。

現在不動産事業拡大や新たに参入を考えている方は是非このメリット、デメリットの双方をよく理解した上で資産拡大のための法人化を検討してみてはいかがでしょうか。

 

7.まとめ

これまでまとめたように、不動産にかかる税金や特例措置は様々な種類があります。

また特例措置や税金金額の計算方法についても法改正が行われたり、税金納付方法や納付時期も変更になる場合も考えられます。税金納付を誤って規定の時期に行えなかった場合はトラブルに繋がったり延滞金が発生してしまう場合もあるので注意が必要です。

不動産投資や売買契約を結んでいる方、また今後検討されている方は何度も費用の計算を行うと共に、税金についての知識を十分に付けて、損をすることがないよう注意しておきましょう。ライフプランニングを考える上で税金について知ることは大変重要ですので、今現在不動産や土地活用でお悩みの皆様も改めて考える機会をもってみてはいかがでしょうか。