事例紹介

Category  不動産

2018年09月28日

不動産を購入したいけど、登録免許税って何!?いくらかかるの?

不動産を購入する場合気になるのは、土地・建物そのものの価格もそうですがそれ以外の費用。特に税金は一体いくらかかるのでしょうか?

今回は不動産を購入する際にかかってくる税金、中でも「登録免許税」についてその基本をご紹介致しましょう。

1. 不動産を購入したときの登録免許税はいくらか

不動産を購入する時、目的や流れがどうであれ、土地や建物の名義を変更する「登記」を行います。これはざっくり説明すると、正式な方法を踏んで不動産の持ち主の名前を登録しておくことによって、公的に所有権を主張できるようにするため行います。

もし仮に第3者がその不動産について「ここは自分の持ち物だ!」と主張してきても、この「登記」を行っていれば誰が正式な持ち主なのかは明らかですので、本来の持ち主はこういった主張を突っぱねて自分の所有する不動産であることを証明することができます。登記は必ず行わなければならない義務はありませんが、やはりこういったトラブルを避けるためにも手続きをしておくのが一般的となっています。

そして、この不動産の登記の手続きの際必要となる費用の一つが、今回ご紹介する「登録免許税」なのです。登録免許税は本来不動産登記のみかかるものではなく、登録免許税法に基づいて課税する国税です。

その不動産の所有権を第3者に主張できること(法律では「対抗力」と言います)は立派な利益と見なされますので、流通税として不動産登記にも課税されるわけですね。

詳しい計算方法は後ほどお伝えしますが、この登録免許税の額は土地の価値に応じて決定された価額に所定の税率をかけて算出されます。

「登記費用」=「登録免許税」ではなく、あくまで費用の一部であることをお忘れなく。不動産登記の際は印紙税や、一般的には税理士へ依頼しますのでその場合の報酬や代行手数料がかかります。

また新築の建物の表示(表題)登記の際は登録免許税は非課税ですが、土地家屋調査士への手数料なども支払わなければなりません。

一口に登記と言っても色々ありますので、登録免許税の課税対象となる登記の種類を念のためここで一度押さえておきましょう。

①所有権保存登記

②所有権移転登記

③抵当権設定登記

④抵当権抹消登記

主なものを並べただけでも、結構な種類がありますね。

非課税である「建物の表題(表示)登記」は登記記録の上部「表題部」に記載されますが、ここに挙げた①~④の登記は全て表題部の下にある「権利部」に関わるものです。権利部はさらに甲区と乙区に分けられており、前者は不動産の所有者、後者の乙区には所有権以外の権利が記載されます。

 

1-2.所有権保存登記

その不動産の最初の持ち主が行う登記で、つまりは新築の場合ということですね。

登記記録のうち、建物の所有者を示す「甲」区に名前が載ることとなります。

 

1-3.所有権移転登記

中古物件を購入した場合など、以前の持ち主から新しい持ち主へと所有者が入れ替わった際に行う登記です。もちろんこういったシチュエーションは売買以外にもありますので、相続・贈与などのパターンでも移転登記は行われるでしょう。俗に言う「相続登記」とは、相続による所有権の移動に伴うこの移転登記のことを差すのです。

 

1-4.抵当権設定登記

住宅ローンを組む際に主に行う登記です。登記記録では「乙」区に記されることとなります。

住宅ローンなど多額の債務が発生する場合には土地・建物などを担保にする事となります。もしローンが返せなくなった際は裁判所を通じて所有している不動産が競売にかけられ、そこから金融業者へ返済が行われることとなります。

このように債務者本人からではなく所有の不動産から先に優先して取り立てる事のできる権利を「抵当権」と言い、不動産に抵当権を付けておくことを「抵当権設定」と呼びます。

住宅ローンにおいてはこの抵当権の設定を証明するため「抵当権登記」が行われ、ローンを貸す側である債権者は「抵当権者」、借りる側である債務者は「抵当権設定者」と呼ばれます。

 

1-5.抵当権抹消登記

前述の抵当権を抹消する時に必要となる手続きです。

住宅ローンを払い終えると、この抵当権抹消登記をすることとなりますが、こちらにも登録免許税が課税されます。

さて、登録免許税の基本について確認した所で、次に税率についてお話しましょう。

 

2.登録免許税の税率

不動産を購入する際の登録免許税の税率は、百分率ではなく千分率で表記されます。本記事では便宜上、小数点を使ったパーセンテージで表示することと致します。

登録免許税は、登記の種類やシチュエーションによりその税率が変化します。それぞれの基本的な税率を前項で述べた不動産登記の種別でご紹介すると、以下のようになります。

①所有権保存登記…0.4%

②所有権移転登記

移転登記の場合は、どのようにその不動産を手に入れたかにより税率が変動します。

売買・競売の場合…2.0%

相続・法人合併の場合…0.4%

その他贈与・交換・収用などの場合…2.0%

③抵当権設定登記…0.4%

④抵当権抹消登記

抵当権抹消の際のみ、対象価額に税率を掛けるものではなく、不動産一個につき1,000円で固定されています。

④の抵当権抹消登記を除き、最大で2%の税率を掛けて計算されるようですね。

ここに相続の場合や、後ほどご紹介する軽減税率が適用されると税率が下がっていきます。

それではいよいよ、実際の登録免許税の計算方法について見ていきましょう!

 

3. 不動産を購入したときの登録免許税の計算方法

不動産購入の際の登録免許税の計算式は、以下の式が基本となります。

課税標準×税率

この「課税標準」については、算出のされ方が以下の3種に分かれます。

 

3-1.固定資産税評価額

固定資産税標準価額とは、3年に1度決定される、固定資産台帳に登録されている価額です。

国土交通省が毎年3月に発表する公示地価(全国の標準地の土地価格)の70%あたりになるよう調整されています。

この価額は前項②の所有権移転登記の際に用いられる課税標準となり、以下のように算出されます。

固定資産税標準価額×税率

 

3-2.法務局設定価額

所有権保存登記、つまり新築の物件の登記の際は固定資産台帳に初めて記載をするわけなので、前述の固定資産税標準価額がまだありません。

そこで、類似した価格を法務局が設定しており保存登記の際はその価格を用いることとなります。

所有権保存登記の登録免許税の計算には、事前の法務局への問い合わせが必要となり、最終的な計算は以下のように行われます。

法務局設定価額×税率

 

3-3.債権金額

抵当権設定登記、つまり住宅ローンを組んだ時には債権金額が課税標準となります。計算方法は以下の通り。

担保する不動産の債権金額×税率

以上のように登録免許税が算出されます。

それではここで、気になる軽減措置についてお話しておきましょう。

 

4.購入時の登録免許税の軽減措置はあるか

登録免許税の基本的な税率、計算方法についてはここまでご紹介してきた通りですが、実は不動産の種類や状況により軽減税率が適用される場合があるのです。

主なものをリストアップしておきますので、コスト削減のため積極的に調査・活用していってくださいね。

所有権移転登記における軽減税率

中古住宅を売買取得した時に以下の条件を満たしていると、登録免許税が0.3%になります。大幅な軽減措置ですので、是非ご自身の物件が以下に当てはまらないか調べておきましょう。

登記簿面積の床面積が50平方メートル以上の場合

・当該物件の新築~取得時点までの年数が耐火建築物は25年以内、耐火建築物以外は20年以内の場合

・住宅面積が家屋全体の90%を超えている

・区分所有家屋の場合は、耐火建築物・準耐火建築物・低層集合住宅に当てはまること

個人の自己住居用で、住宅の取得時から1年以内の登記であることが前提として適用されます。

また軽減税率が適用されるには、住宅用家屋証明書が必要となりますのでお忘れなく。

また、住宅の取得から1年が経過した場合でも以下の条件に当てはまれば軽減措置を受ける事ができます。

・新耐震基準をクリアしている事が証明されている(耐震基準適合証明)

・既存住宅売買瑕疵(かし)保険に加入している

更に、以下の条件に該当していると税率がより軽減されます。

・認定長期優良住宅である

戸建ては0.2%、マンションなど共同住宅の場合0.1%まで下がります。

・認定低炭素住宅である

0.1%の軽減税率が適用されます。

所有権保存登記における軽減税率

新築住宅の登記の際にも、条件に合えば以下のような軽減税率が適用されます。

・登録簿面積が50平方メートル以上の場合

移転登記と同じく、個人の自己居住目的で取得後1年以内に申請すれば0.15%まで税率が抑えられます。

更にこちらも移転登記と同じく、

・認定長期優良住宅

・認定低炭素住宅

の場合は、それぞれ0.1%の軽減税率が適用されますので見逃せませんね!

抵当権設定登記における軽減税率

実は、住宅ローンを組んだ際の抵当権設定登記の税率も軽減される場合があります。

条件は、新築の登記である所有権保存登記、中古住宅の売買時の所有権移転登記での軽減税率適用条件とリンクしています。つまり、これら移転登記・保存登記で軽減税率が適用されれば抵当権設定登記も一緒に軽減措置がとられ、0.1%まで税率が下がりますので押さえておきましょう。

 

5.購入時における登録免許税の注意点

不動産を購入する時にかかる登録免許税の注意点としては、以下のような内容が挙げられます。

・原則、現金での納付。ただし登録免許税額が3万以下の場合は収入印紙で納付できる

・税額の計算は端数切り捨てで行われる。1,000円未満切り捨て、税額が1,000円未満の場合は一律1,000円。

・軽減税率は適用期間や条件、軽減措置の幅に見直しがあり、年度により変動する。必ずその年度の税率を確認しておく。

これらのポイントを留意して登録免許税の計算・納付を行いましょう。

 

6.まとめ

いかがでしたでしょうか?

不動産を購入する時にかかる登録免許税について、計算や税率をお話致しました。

登録免許税は千分の一単位で計算されるほど微小なものかもしれませんが、住宅購入という大きな出費の中では決して小さなものではありません。

特にご自身の不動産と条件の合う軽減税率は、場合によってかなりの助けとなるので適用されるか必ず調べておきましょう。