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Category  不動産

2018年09月25日

不動産の登録免許税とは?計算方法を徹底解説!

不動産には登録免除税があります。

登録免許税とは登記や登録、免許・許可などに課される税金です。

今回は、不動産の登録免除税の計算方法について解説していきます。

 1.登録免許税とは

今回は「登録免許税」について説明します。登録免許税とは登記や登録、免許・許可などに課される税金です。不動産取引においてはその中の一つである「不動産の権利の登記」が該当します。「不動産の権利の登記」とは一体どういう意味なのでしょうか。例えば、不動産の売買を行うときに、名義の書き換えを行いますよね。これは、正確に言いますと、法務局に所有権の移転登記の申請を行う、ということです。つまり不動産の権利(所有権)の登記(移転登記)」を行うことになりますので、登録免許税の課税対象となります。名義変更以外にも登録免許税はかかってきます。抵当権の設定、地上権の設定等々、所有権以外の権利に関する登記も課税対象となります。不動産取引でかかる諸費用として押さえておきたいポイントですので、詳しく説明したいと思います。

 

2.登録免許税の主な計算手順

それでは、登録免許税の主な計算手順について説明していきます。

 

2-1. 登録免許税の計算方法

登録免許税は不動産取引において、はずせないポイントではありますが、実際どれくらいかかるのか?わからないまま取引が完了してしまう方も多いと思います。なぜかというと、登記手続きは司法書士に委任する方が大半だからです。後から司法書士に払った登記費用の領収書を見てみると、登録免許税●●円の文字が。なるほど、登録免許税というものがあるのか。という程度の認識でも取引自体は問題なく進んでしまうものです。その一方で、名義の書き換えでこんな何十万もどうしてかかるのか?と思った方もいらっしゃるかもしれません。今回はこの登録免許税がいくらくらいかかるものなのか、計算方法についてもお伝えしたいと思います。

 

2-2. 登録免許税の計算式

登録免許税の計算式は実は単純明快です。

登録免許税=(課税標準)×(税率)

以上です。この、課税標準を何とするかが、不動産の所有権移転登記、抵当権設定登記など、その手続きによって変わってきます。そのため、項目ごとに説明していきたいと思います。

 

3.ケースごとに異なる課税標準とは

3-1. 移転登記の場合の計算方法

一番代表的なケース、売買による所有権移転登記の場合の登録免許税について説明したいと思います。移転登記の場合は課税標準が固定資産税評価額となりますので、計算式は非常に単純です。

登録免許税=(固定資産税評価額)×税率

これだけです!

売買に限らず、そのほかの移転登記も同じです。「固定資産税評価額」は実際の売買金額とは別のもので、1月1日の所有者が納税する固定資産税の評価額のことです。この評価額は「固定資産税評価証明書」という書類に記載がありますから、登録免許税の計算をしたい方はまず、評価証明書を入手する必要があります。この書類は所有者の納税額が分かってしまう個人情報が記載されたものですので、所有者本人もしくは代理人でないと取得ができません。まだ購入前の物件の登録免許税を計算したい方は、不動産屋さんに評価証明書のコピーを見せてください、とお願いしてみましょう。さらに、できれば評価証明書ではなく、「公課証明書」のコピーをお願いするのがオススメです。なぜなら、公課証明書ですと、評価証明書に記載されている固定資産税評価額のみならず、固定資産税・都市計画税の課税標準額が載っているからです。この課税標準額は固定資産税・都市計画税の請求額とほぼ同じ額なので、購入後、年間でいくら税金がかかってくるのかも知ることができます。

※固定資産税評価証明書という名称は地域によって異なります。また、固定資産税の台帳に価格が無い場合は登記所が認定した価格で計算します。詳しくはその地域の登記所にお尋ねください。

 

3-2.  売買を原因とする所有権移転登記の場合

それでは、所有権移転登記の登録免許税の計算方法を見ていきましょう。先ほどお伝えしましたが、移転登記の登録免許税は(固定資産税評価額)×(税率)でしたね!では、さっそく計算してみましょう。

例)Aさんは築30年の木造の戸建を平成30年7月1日に購入しました。固定資産税評価額は土地が1,200万円、建物が400万円でした。登録免許税はいくら?

まず、売買を原因とする所有権移転登記の場合、平成31年3月31日までであれば、土地の税率は1.5%です。建物の税率は2.0%です。それぞれ計算すると、

土地の登録免許税=1,200万円×1.5%

=18万円

建物の登録免許税=400万円×2.0%

=8万円

登録免許税合計=18万円+8万円

=26万円

この場合のAさんの登録免許税は26万円です。

以上、売買による所有権移転登記の登録免許税を計算してみました。

登録免許税=(土地の固定資産税評価額)×1.5%+(建物の固定資産税評価額)2.0%

が計算式です。意外と簡単だな、と思った方も多いのではないでしょうか。

※固定資産税評価額の千円未満は切り捨てで計算します。

※登録免許税額に100円未満があった場合は切り捨てで計算します。

 

3-3. 贈与を原因とする所有権移転登記の場合

次に、贈与を原因とする所有権移転登記の場合について解説します。贈与の場合は税率が土地・建物いずれも2%です。では、先ほどのAさんが購入後にその妻であるBさんに贈与した場合、登録免許税はいくらになるでしょうか。

土地の登録免許税=1,200万円×2%

=24万円

建物の登録免許税=400万円×2.0%

=8万円

登録免許税合計=24万円+8万円

=32万円

この場合の登録免許税は32万円です。

ところで、贈与をお考えの方で、所有権を丸ごと移してしまう、ということを検討されている方はあまりいらっしゃらないかとおもいますので、先ほどのAさんが持分の半分を贈与する場合について考えてみようと思います。持ち分移転の場合の登録免許税の計算は、固定資産税評価額のうち、その持分に応じて分割して計算します。

土地の登録免許税=1,200万円×1/2×2%

=12万円

建物の登録免許税=400万円×1/2×2.0%

=4万円

登録免許税合計=12万円+4万円

=16万円

単純に持分が2分の1の贈与であれば、先ほどの半分が登録免許税となります。

 

3-4.  相続を原因とする所有権移転登記の場合

贈与に続いて、相続の際の所有権移転登記における登録免許税を見ていきましょう。相続の場合は土地・建物いずれも税率が0.4%です。再び、Aさんを例にして計算してみましょう。今回の相続人はBさんだけとします。

ケース1 Aさんが購入後、そのまま亡くなってしまった場合

Bさんにそのまま所有権が移りますので、

土地の登録免許税=1,200万円×0.4%

=4.8万円

建物の登録免許税=400万円×0.4%

=1.6万円

登録免許税合計=4.8万円+1.6万円

=6.4万円

登録免許税は6万4千円となります。

ケース2 Aさんが持分2分の1をBさんに贈与したのち、亡くなってしまった場合

すでにBさんは持分2分の1を所有しています。今回の登録免許税は新たに所有権移転をする残りの2分の1となります。

土地の登録免許税=1,200万円×1/2×0.4%

=2.4万円

建物の登録免許税=400万円×1/2×0.4%

=0.8万円

登録免許税合計=2.4万円+0.8万円

=3.2万円

登録免許税は3万2千円となります。

贈与と相続、両方の登録免許税を見てきましたが、どちらの方が安く済むでしょうか。

  • 生前にすべて贈与した場合→32万円
  • 生前に半分贈与した場合→16万円+3万2千円=19万2千円
  • すべて相続した場合→6万4千円

3つのパターンを比較すると、相続の方が安い、ということがよくわかると思います。生前贈与と相続と、どちらの方が節税になるだろう、とお悩みの方は登録免許税の差額についても検討材料の一つに加えてみてはいかがでしょうか。

 

4.  所有権保存登記の場合

今まで所有権の移転登記の場合についてみてきました。今度は所有権保存登記の場合について説明したいと思います。まず、「所有権保存登記」とは、一体どういうことでしょうか。これは、今まで表題部にしか登記がない不動産に初めて所有権の登記を行うことをいいます。つまり、最初に所有権を登記することを、所有権の保存といいます。この場合の登録免許税は課税標準が「法務局の認定価格」となります。これは、今まで見てきた所有権の移転登記の場合と異なり、新築の建物の固定資産税課税台帳はまだ作成されておらず、不動産の価格を決めるうえで公的な書類がないため、法務局が構造・用途別に便宜上作成しているものです。計算式は次のようになります。

所有権保存登記の登録免許税=(法務局の認定価格)×0.4%

税率は0.4%です。ただし、新築の住宅に関しては登録免許税の軽減措置が複数あり、居住用の不動産であれば、0.4%の税率となる場合の方がむしろ少ないです。この軽減措置については後ほど説明します。

 

5. 抵当権設定登記の場合

今までは所有権の登記、いわゆる名義の書き換えの際の登録免許税についてみてきました。登記簿謄本には抵当権等、所有権以外の権利も書かれています。登録免許税の課税対象は、権利に関するものとされているため、所有権以外の権利を書き換えた場合にも、登録免許税がかかってきます。所有権以外の権利として一番代表的な抵当権の場合について説明していきたいと思います。抵当権設定登記の場合の課税標準は不動産の価格ではなく、債権金額となります。税率は0.4%です。例えば、1,000万円の住宅ローンを組んだ場合の登録免許税は

抵当権設定登記の登録免許税=1,000万円×0.4%

=4万円

ということになります。

 

6.  抵当権抹消、所有権者の住所又は氏名の変更の登記などの場合

抵当権の抹消、名義人の氏名や住所変更登記。こういったものも権利に関する登記手続きになりますので、登録免許税がかかります。ただし今まで説明してきたものよりは単純です。

登記する不動産の個数×1,000円=登録免許税です。

例えば一戸建てで住所変更登記を行った場合、土地と建物で個数は2になりますので、登録免許税は2,000円です。

注意点としては、マンションなどで土地の筆数が多い場合です。5筆にまたがっているマンションの1室の抵当権抹消の場合、個数は土地5筆と建物の合計6個になりますので、登録免許税は6,000円です。

 

7. 登録免許税には軽減措置がある

さて、ここまでは不動産の取引において実務上多いとされる登記手続きの登録免許税を項目別に原則だけ説明していましたが、ここからは登録免許税の軽減措置について、ご紹介したいと思います。

 

7-1. 住宅用家屋の所有権の保存登記に関する軽減措置

まずは所有権保存登記の場合について説明したいと思います。所有権保存登記の場合の軽減措置は条件が5つあります。

  • 個人が所有権を保存する
  • 自己居住用の物件である
  • 新築もしくは築後未入居
  • 平成32年3月31日までに取得
  • 市区町村の発行する住宅用家屋証明書を添付

以上の条件を満たすと、税率は0.4%から0.15%に軽減されます。

 

7-2. 住宅用家屋の所有権の移転登記の軽減措置

新築以外の不動産の取得でも軽減措置があります。

  • 個人が取得
  • 自己居住用の物件である
  • 平成32年3月31日までに取得
  • 市区町村の発行する住宅用家屋証明書を添付

以上の条件を満たすと、税率は2%から0.3%に軽減されます。中古住宅もほとんど軽減されるんだな、とおもってしまいそうですが注意が必要です。実はこの「住宅用家屋証明書」の発行にはいくつか条件があるんです。

  • 個人が取得した自己居住用の家屋であること
  • 謄本上の床面積が50㎡以上であること
  • 事務所・店舗等の併用住宅は、その床面積の90%超が住宅であること
  • 区分所有建物は耐火または準耐火建築物であること
  • 築20年以内(耐火建築物は築25年以内)、新耐震基準の場合は例外有り

特に築年数が経過している建物の場合、耐震基準適合証明書が必要だったりと、条件が重なりますのでよく調べる必要があります。

 

7-3. 特定認定長期優良住宅を所有権保存登記等する場合の軽減措置

先ほどの「住宅用家屋の所有権の保存登記に関する軽減措置」の条件に加えて、市区町村等から「特定認定長期優良住宅」と認められた場合、税率は0.4%から0.1%まで軽減されます。この軽減措置は所有権の保存だけではなく、築後未入居であれば所有権移転登記でも利用することができます。但し、一戸建ての特定認定長期優良住宅の移転登記の場合、計電税率は0.2%となります。

 

8. まとめ

登録免許税について、代表的なものを説明していきました。実務上はほとんどの場合、登記手続きを司法書士に委任してしまうため、あまりなじみがない税金かもしれませんが、実はそんなに難しいものではないことが分かったかと思います。司法書士が登記費用の見積もりで登録免許税を多く見積もる、ということは考えにくいとは思いますが、気になる方は計算してみるといいかもしれません。