事例紹介

Category  不動産

2018年11月26日

資産経営したい人必見!「事業用借地権」って?

事業用借地権とは、土地所有者が1から店舗などを建設して、第三者に建物を賃貸することもないため、メリットが大きい資産経営です。

借主側は、自社が十分な土地を所有していなくても建物を建てられるというメリットがあります。土地所有者は、建物投資や借入金返済の事業リスクがなく、そのまま地代収入を得ることが出来ます。

年間地代収入額は、土地代に対して3~6%程度であることが多く、リスクがなく収益性は高いため、資産運用としてはやりやすい事業になります。

1.事業用定期借地権の設定契約とは?

事業用借地権は、平成4年8月から施行された「借地借家法」に基づいて生まれた定期借地権です。

定期借地権は、3種類あります。

  • 一般定期借地権(貸付期間50年以上のもの)
  • 事業用借地権(事業用のために使われることが条件、貸付期間10年から50年間のもの)
  • 建物譲渡特約付定期借地権(借地人が建てた建物を30年以上経過すると地主が買いとることになって借地権が消滅する特殊な借地契約)

定期借地権は、当初に定められている契約期間で借地関係が終了します。そして、その後の契約の更新はありません。定期借地権は、契約期間で必ず借地関係が終了するので、土地の所有者も安心して土地を貸すことが出来ます。また借り主側も、これまでより少ない金額で、良質な建物を持つことが可能になります。

定期借地権が施行される以前の借地権とは、借地人の権利が強く、いったん土地を貸してしまうと、地主が土地を返してもらうことはかなり困難でした。そのため、地主側は土地を貸すことを渋るようになり、借りられる土地も激減したのです。そこで、地主側が安心して土地を貸すことができるようにするための制度として、定期借地権が活用されるようになったのです。

事業用定期借地権の設定期間は10年から50年未満の間と定められており、地主側が土地の返還を希望した場合、契約終了とともに必ず土地は返還されることが約束されています。また、契約終了後であっても、地主側とテナント側が貸し借りについて新たに合意すれば、また別の事業用借地権を設定することも可能です。

ただし気をつけないといけないのは、人の住居のために事業用定期借地権は実行できないということです。必ず事業用に限ります。

2.事業用定期借地権の契約には公正証書が必要

事業用定期借地権の契約をするためには、必ず公正証書の作成が必要になります。公正証書を作成しておくことで、公証人がその内容をチェックすることが出来ます。

公正証書にしておくことは、将来の紛争を未然に防ぐことが出来ることはもちろん、公正証書に強制執行の認諾文言を入れておくことで、賃料や敷金等の不払いがあった場合にも、裁判を通すことなく強制執行をすることが出来ます。

2-1.事業用定期借地権設定のメリット

事業用定期借地権設定のメリットとして、貸主は借地上の建物が借地権付の建物として、売買等により第三者に譲渡されることや、第三者に所有権が移転することがあっても、最終的は借地期間が終了すれば土地は変換されるということがあります。

借地借家法第19条の「地主(借地権設定者)の承諾に代わる許可の裁判」が借地人から提起された場合は譲渡が許可されることもあります。しかし、そのようなケースでも、最終的に第三者対抗力である登記の効力によって、借地期間終了後は土地の返還を求めることが出来ます。

2-2.事業用定期借地権設定のデメリット

地主が事業用定期借地権を設定した場合、特に大きなデメリットはありませんが、事業用定期借地権設定をする際に登記費用の出費がかかるということがあります。

しかし、この登記費用は、地主側と借地人側どちらが負担しても良いことになっていますので、双方でよく話し合いをしてから決めると良いでしょう。

3.事業用定期借地権の契約書の作成方法

貸主側にも借主側にもメリットがある「事業用定期借地権」ですが、設定契約書をきちんと作成しなければトラブルを引き起こす可能性があります。

「借りた土地の契約更新ができない」「借地上の建物を買い取ってもらえない」など、万が一トラブルに陥ってからでは手遅れの場合もあります。

「事業用定期借地権設定契約書」を作成する時には、企業間のトラブルにならないよう細心の注意を払って作成しましょう。

3-1.契約前の覚書

契約前には、貸主側と借主側が以下のことをしっかり共通理解しておく必要があります。

  • 公正証書での作成でなければならいこと
  • 賃貸借契約の目的を明記すること
  • 契約期間を確定的に定めておくことは必須
  • 特約を設けるかどうかはっきりとする
  • 強制執行認諾文言を入れること

「事業用定期借地権」の設定をする時は、貸主側と借主側との間で合意が出来た段階で、あらかじめ覚書を締結しておくようにしておくことも大切です。双方がきちんと「事業用定期借地権」の内容を把握しておきましょう。

それでは「事業用定期借地権」の設定方法について、詳しくご説明します。

3-2.公正証書

「事業用定期借地権」の設定をする時は、公証役場で「公正証書」にすることが重要です。「事業用定期借地権」を公正証書にしなかった場合は、いかなる理由でも「事業用定期借地権」の効力が無効になってしまいますので注意しましょう。

しかし、「事業用定期借地権」を公正証書で作成しなかった場合、「事業用定期借地権」は成立することがありませんが、「普通借地権」の扱いとして成立するケースもあります。「普通借地権」の扱いで成立してしまった場合、契約期間が終了したとしても、正当な事由がない限り借地契約が更新されてしまうことになるので、貸主が返還を要請出来なくなってしまいます。

賃貸人側で事業用定期借地権を設定することになった場合は、「事業用定期借地権」を公正証書にして設定することが必須です。「借地権を設定するけれども、一定期間が経過したら土地を返してほしい」と考えている土地の貸主の場合、普通借地権になってしまうと、貸した土地が半永久的に返してもらえないということになりかねません。

3-3.注意点

  • 事業目的でなければならない

「事業用定期借地権」を設定する際は、設定目的が「事業」にあるということが重要です。

「事業用定期借地権契約書」には「事業の用に供する建物の所有を目的とする」という文言を必ず入れなければなりません。

「事業用定期借地権設定契約」においては、居住のための建物の所有は不可です。

「居宅・店舗」と表示されている住所と店舗が共有の建物や、共同住宅、社員用などの建物の所有が目的である場合も「事業用定期借地権設定契約」は締結不可ですので注意しましょう。

  • 契約期間の終了を明示

「事業用定期借地権設定契約」の際は、契約期間が終了する時期も確定し、明示しておく必要があります。

  • 強制執行認諾文言

賃貸人の側となる企業の場合、「事業用定期借地権設定契約書」の規定に「強制執行認諾文言」を入れておきましょう。

4.まとめ

企業経営や資産運営の際に度々登場する「事業用定期借地権」や「事業用定期借地権設定契約書」についてご説明しました。

「事業用定期借地権設定契約」とは、借主側にとっては事業の中心となる不動産契約です。土地を借りてから建物を建設し、そこから経営が始まります。ですから、「事業用定期借地権設定契約書」は事業経営をする際、非常に重要な意味を持つことになります。

「事業用定期借地権設定契約書」を締結する際は、細心の注意をもって契約を締結しましょう。わからないことがあった時は、「事業用定期借地権設定契約書」についての専門家のアドバイスを受けてみるとよいでしょう。