事例紹介
Category 不動産
2018年11月24日
空き家の固定資産税を滞納したらどうなる!?差し押さえや減免措置についても紹介
不動産を所有している場合、市町村から固定資産税が課税されます。対象となる所有者は毎年1月1日時点に固定資産税課税台帳に登録されている人です。
また空き家を所有している場合、誰も住んでいなくても固定資産税の納税義務があります。たとえば年度の途中で空き家を売却したとしても、月割りで税額分が還付されるわけではなく、1月1日時点の所有者が、その年の固定資産税を全額納税することになります。
では、この空き家の固定資産税を滞納したまま支払わなかった場合、どのようになるのでしょうか。
この記事でわかること
1. 空き家の固定資産税を滞納するとどうなるか
ここからは、空き家の固定資産税を滞納するとどうなるのか、具体的にご紹介していきます。延滞金が発生してくるだけでなく、さらに放置しているとどんどん事態が悪化してきます。
1-1. 延滞金が発生
不動産を所有している場合、納税通知書が送られてきます。不動産の課税標準額をもとに計算した税額が記載されています。この納税通知書に納付期限が記載されているのですが、その期限内に支払わなければ延滞金が発生してしまいます。必ず期限内に納付するようにしましょう。
なお、納付期限の翌日から1か月以内に納付すれば、延滞金の率は優遇されるようになっています。
1-2. 相続時にも影響する
もしも親の家を相続した場合、当然ですがプラスの財産もマイナスの財産も同時に相続することになりますよね。たとえ空き家で誰も住んでいなかったとしても、固定資産税の支払い義務も同時に相続します。さらに相続人が複数人いる場合には、市町村役場に誰が実際の相続人なのかということを伝えておく必要があります。そうでなければ、相続人全員に対して納税通知書が送られることになるでしょう。
さらに注意点として、市町村役場に届出を行っていたとしても、税金が滞納されていれば他の相続人に請求されることになります。
たとえば遺産分割協議の最中であっても、空き家がある限りは固定資産税の請求は発生します。本来、その年の1月1日時点の登記名義人が支払う必要があるものなのですが、登記名義人が亡くなっている場合は、その不動産にかかる権利は相続人に移るようになっています。
つまり固定資産税の支払いも、相続人が支払うことになるのです。
さらに、故人が滞納していた固定資産税について解説していきます。これについても、相続人が支払わなくてはいけないのでしょうか。
時効でない限りは、空き家の所有者が存命時に滞納していた固定資産税は、相続した人が支払わなくてはいけないようになっています。つまり、相続人が固定資産税を支払う義務も相続することになるのです。
相続開始してしばらくすると納税通知書が届きますので、それに従って支払うことになるでしょう。
空き家の所有者が税金などを滞納した状態で亡くなっていた場合は、「相続放棄」の検討をする人も多いです。家庭裁判所で相続放棄の手続きをした後に課税社(市区町村)へ行き「相続放棄陳述受理証明書の写し」を提出すると、滞納分の支払いが免除されるようになっています。
また、相続人が固定資産税を支払えなかった場合、どうなるのでしょうか。
これについては、固定資産税はどうあっても登記名義人に請求されるものです。そのため、不動産を相続しなかった親兄弟に請求がいくということはありません。そのため、家族や親族の滞納を肩代わりする必要もないです。滞納はあくまでも、登記名義人の滞納となっています。
相続不動産の固定資産税を支払う人についてまとめると、故人が滞納していた分を支払うのは相続を受けた人、また故人が亡くなった年の分を支払うのは相続を受けた人、または相続人全員、そして遺産分割協議中の発生分を支払うのは相続を受けた人、または相続人全員、最後に相続した後の税金を支払うのは相続を受けた人、ということになります。
2. 滞納を続けるとどうなるか
ここからは、固定資産税を滞納し続けてしまった場合、どうなってしまうのかを紹介します。一体どうなるのでしょうか。
この場合には、最終的に預貯金や給与の差し押さえによる強制徴収が行われるようになります。
しかし、いきなり行われるわけではありません。いくつか段階を踏んで行われます。
2-1. 督促状が届く
まずは、納付期限後すぐに、役所より自宅に督促状が送られてきます。納付期限を過ぎても税金の支払いがない場合には、役所は20日以内に督促状を送付しなければならないという法律があるのです。さらに督促状に関する法律として、「発送した日から10日を経過するまでに滞納が解消できない場合は、滞納者の財産を差し押さえなければならない」というものまであるのです。
もしもこの段階で期限内に固定資産税の納付が厳しいと分かっている場合は、すぐに役所へ連絡するようにしましょう。固定資産税の分割で納付したりなど、相談にのってくれることが多いです。
督促状が届いてからすぐ差し押さえられるということは少ないですが、督促状を発送することによりいつでも財産の差し押さえができるような状態になります。
2-2. 催告書が届く
督促状が送られてきており、さらに無視を続けていると、「催告書」が発送されます。内容としては督促状とそんなに変わりはありませんが、催告書の方が厳しい文面となります。また、最終勧告になることが多いです。
しかも催告書は、内容証明郵便として発送されます。そのため「受け取っていない」「郵送されていない」という嘘もつけないようになっています。
2-3. 財産調査が行われる
催告書が届いてもなお無視を続けていた場合、差し押さえの準備が始まってしまいます。まず「財産調査」というものが行われます。これは、強制徴収できるお金がないか調査をされることです。
財産調査の対象になるのは、「給与」「預貯金」「不動産」「動産」「積立保険金」「貴金属」「有価証券」などになります。
2-4. 差し押さえ
財産調査が完了すると、差し押さえが行われます。まずは、給与や預貯金から差し押さえされるために、財産調査の段階で全額支払うことができれば他のものが差し押さえられることはありません。
しかし、給与や預貯金で補うことができなかった場合、他のものも差し押さえの対象となってしまいます。もしも所有している空き家が差し押さえの対象となってしまった場合、競売により強制的に売却されてしまうのです。競売では、相場より安い金額でしか空き家を売却しないため、大きな損をしてしまうことは間違いありません。
固定資産税を滞納すると余計に延滞金もかかってしまいます。固定資産税を滞納せずに支払うことが重要ですね。しかし、不動産を差し押さえられてしまったとしても、滞納分を完済すれば差し押さえは解除されます。期限に関しては役所に確認をしましょう。注意しなくてはならないのは、差し押さえの期日までに納付し、差し押さえが解除されたとしても、差し押さえをされたという事実は消えないことです。
差し押さえをされてしまった時点で、職場に通達が届いてしまいます。さらに不動産の場合は「差押」という登記が付けられてしまいます。たとえこの登記はなかったことにしたとしても、履歴はずっと残ってしまいます。
3. 減免措置が取られる場合もある
さらに、徴収猶予などの対応をしてもさらに納税困難の場合は、減免措置がとられる場合もあります。
しかし減免措置については、いくつか条件があります。
- 天災やその他特別の事情がある
- 不動産が自治会などの公益のために利用されている場合
- 生活保護など公的扶助を受けている
などなど、客観的にみて「税負担の能力がない」と判断された場合や、公益のために不動産が利用されている場合などが対象です。条例上の根拠が必要になりますね。
相続による特別な減免はありませんが、自治体によって減免の適用条件は少しずつ違います。もしも固定資産税が支払えないような場合には、窓口に直接行って交渉してみましょう。減額措置を受けるのは簡単ではありませんが、可能性がゼロではないのです。さらに、たとえ減免は受けられなくとも、きちんと役所で相談をすれば、そのときの担当者にもよりますが猶予などの措置をとってもらえることもあります。
そのほかにかかる経費のなかで減免措置があるものについては、「相続税」があります。不動産など、なにか資産を相続した場合は必ず「相続税」というものが発生します。相続税は、遺産の総額から基礎控除額を差し引いた額に対して課されるようなシステムです。その基礎控除額は、相続人の人数が多いほど金額も大きくなるという特徴があります。
さらに、配偶者が相続する際には「配偶者控除」といって、控除額がさらに加算されるようになります。相続人が配偶者や子供だけでなく、兄弟やいとこなどの親戚も含まれる場合は、その全員に相続税の支払いの義務が発生し、受け取った遺産額に応じた額が課されてしまうのです。
以上が不動産の固定資産税の滞納についてでした。
期限を過ぎれば延滞金がかかってしまいますので、例え空き家だったとして、自分が住んでいない住宅でも、必ず期限を守って納付するようにしましょう。もしも期限内に間に合いそうにないという場合には、その事情を自治体に伝えるなど相談するようにしましょう。支払えないからといって何もせず放置しておくと、督促状が届いたり、財産や給料が差し押さえられたり、強制的に売却などが行われる可能性もありますので、必ず相談するようにしてください。
このように固定資産税を滞納し、督促状が届いても無視や放置をすると、かなり大変なことになってしまいます。万が一差し押さえをされた場合には、まず役所に行きましょう。そして担当者に現状を話すことが大切です。さらに滞納金が支払えないという場合は、差し押さえをされる前に相続不動産や現在の住居を売却するなどの対処をとることもできます。
もしも差し押さえとなって競売での売却がなされた場合、売却価格は相場よりも低くなりますし、またその金額は全て滞納金の返済にあてられてしまうのです。しかし、差し押さえによる強制的な売却ではなくて、不動産会社によって任意による売却をすれば、滞納金を上回る値段で売却できる可能性もあります。
まず差し押さえを受ける前に、「役所(管轄の税務署)への相談」「不動産会社へ売却の査定相談」ができるか考えてみましょう。
4. まとめ
「相続した空き家の固定資産税は誰が払うのか」ということで、固定資産税の基本ルール、滞納し続けた場合について紹介しましたが、いかがだったでしょうか。
相続した人が空き家を使う予定が今後ない場合は、できるだけ早く売却してしまうことがおすすめです。空き家を持っているだけで固定資産税の納付は続きますし、建物の老朽化が進めば維持管理費もかかってくるのです。さらに、年数が経てば経つほど家は売りにくくなってしまいます。
空き家を所有している間は、くれぐれも固定資産税の払い漏れがないように気をつけてくださいね。