土地信託の6つのメリットと4つのデメリット|失敗しないための注意点

土地を手に入れた場合、様々な活用方法が考えられます。その中でも近年注目されているのが土地信託です。土地信託は、所有者側の初期費用が不要で、経営や建物の建築、運用管理までを信託会社が執り行ってくれるという特徴があります。

専門の知識がなくても土地活用ができて配当金がもらえるという点が最大のメリットとして挙げられます。しかし、必ず黒字になるわけではなく、デメリットももちろんあります。有効に土地活用を行うためにも、土地活用のメリットとデメリットについての理解を深めていきましょう。

1. 土地信託とは

土地信託とは、その土地の所有者がその土地の活用や運用を信託会社などに任せることにより、収益を得る方法です。信託会社がその土地にビルやマンションを建設して運用し、その収益を配当金として受け取ることができます。自分自身での土地活用が難しく、ノウハウもない場合に選択される方法で、その土地の管理も信託銀行が行ってくれます。

土地信託には賃貸型の土地信託と処分型の土地信託の大きく分けて2種類の方法があります。

 

1-1. 賃貸型の土地信託

一般的に土地信託というとこちらの賃貸型土地信託を指していることが多いです。一時的に信託会社に土地を信託し、その土地を一定の契約期間信託会社が運用・管理します。オフィスビルや賃貸マンションなど、その土地にあった活用方法で利益をだしてもらい、諸経費や信託報酬を差し引いた金額を信託配当金として受け取ります。

契約期間が終了すると、その土地と建物は自分の元に戻ってくるため、土地を手放す必要はありません。土地の所有者が自分で不動産運用を行うのではなく、信託会社に仮の地主になってもらって土地を有効活用してもらうというシステムです。

 

1-2. 処分型(分譲型)の土地信託

処分型の土地信託とは、その土地の所有者が最終的にその土地を手放す形式の信託です。その土地はもう所有していても仕方がなく手放したいという時に、その土地に付加価値をつけて少しでも高く有利に売却するために使用されることが多いです。そのままではあまり価値のない更地に、分譲マンションを建築したり、宅地として使用できるように造成を行うなどして土地を加工し、開発利益をのせていきます。

土地の所有者は、土地開発後の付加価値も含めての受益が可能なため、そのままの状態で売却するよりも利益を得られる可能性があります。

 

2. 土地信託の大まかな流れ

土地信託を依頼した場合の流れとしては、まず信託会社と契約を結び、それによって所有権が移動します。その後、契約期間中は信託会社がその土地を運用し、運用中に出た収益は配当金として支払われます。契約期間の終了とともに、その土地と運用に利用した建物も一緒に返還されます。

具体的な流れを項目ごとに見てきましょう。

 

2-1. 土地信託契約

まずは土地信託を扱っている信託会社を調べましょう。三菱東京UFJ銀行やみずほ銀行など、そのグループの中に信託銀行を所有している銀行もあります。地方であっても、日ごろから利用している銀行が土地信託を扱っている可能性がありますので、相談してみるのもいいでしょう。

1社だけの話や内容を聞いて決めるのではなく、なるべく複数の信託会社の話を聞いてから判断することが大切です。どの信託会社に依頼するかが決まったら、土地の所有者(地主)と銀行などの信託会社との間で、信託契約を締結します。

 

2-2. 土地の所有権が移動する

信託会社と契約が結ばれるとその土地の所有権が一時的に信託会社に移行します。その際には、今後のトラブルを防ぎ円滑に取引を行うために登記をしておきましょう。所有権を信託会社に渡す代わりに、信託受益権を取得することができます。

 

2-3. 信託会社による運用

土地の所有権が移ったら、信託会社はその土地で利益を出すために運用を始めます。マンションを建てたり、駐車場にしたり様々な方法があります。マンションにするのか駐車場にするのか、またはテナントを作るのかなどの事業計画はその信託会社が決めます。

委託者がやるべきことは受託者からの運用方法の提案に同意することくらいです。委託者は事業参加する必要はなく、提案をする必要もないので知識がなくても安心です。

 

2-4. 委託者への配当

その土地をマンションや駐車場として活用した場合、契約期間内に収入が入ってきます。例えば賃貸マンションの場合、契約期間中に得た利益から、借入金や管理費用などの必要経費と信託会社への報酬を差し引きした残りが、委託者への配当金となります。

経営の諸経費や、賃料の収入はその月々の状況によって変動するので、毎月決まった額を配当金として受け取れるわけではありません。差し引きの結果、収入よりも諸経費の方が上回った場合は利益を得られませんので注意しましょう。

 

2-5. 信託契約の終了と土地建物の返還

契約期間が満了になると、その土地は委託者の元へ返却されます。また、土地の返還の際には信託会社が建てた建物も一緒に戻ってきます。契約期間は信託会社がどのような運用を行うかによって変わってきますが、一般的に賃貸マンションなどの場合は20年~30年程度の期間になります。

理想的な終わり方は、信託会社がその土地を活用するために借り入れた金額が信託契約中に完済され、収入やその後の建物がそのまま手に入るケースが理想的です。信託契約が終了した時点で借入金が残っている場合は、その土地や建物を売却するか、信託契約を継続するかを選択するかなどの判断が必要になります。

 

3. 土地信託のメリット

土地信託の大きなメリットは、難しい土地活用を自身で行う必要がないため、土地の所有者にかかる負担が少なくなることです。安心できる信託会社と契約を結ぶことができれば、土地を無駄にすることなく、土地活用に非常に有効な手段となります。

 

3-1. 土地が建物付きで返ってくる

信託会社と契約を結ぶと一時的に所有権が移りますが、契約が満期になるとその土地の所有権が戻ってきます。その際に、土地運用として建てた建物も一緒に返還されるため、建物の自分の所有物となります。建物が建った状態の土地が返還されるため、可能であればその建物を利用して今後は自分でその物件を賃貸物件として貸し出すことも可能です。

ただし、信託した土地に建った建物は信託中にでた収益などから支払われています。実費の負担がないので建物がただで手に入ったような感覚になりがちですが、実質は自分で支払ったことと同じですので注意しましょう。

 

3-2. 資金が必要ない

自分自身で建物を利用した土地活用をする場合は多額の費用が必要になります。その土地を担保にして借り入れを行いますが、多額の借金を背負うのは勇気がいりますしなかなか手がでないものです。

土地信託を依頼した場合、基本的に提供するのはその土地だけで、あとは信託会社が行ってくれます。建物を建築したり、維持管理費用などの費用もすべて信託会社の負担となります。資金を自分で借り入れる必要も、連帯保証人にもなる必要もありません。

初期投資費用も必要なく、その後の金銭的負担もないという点で、土地信託は非常にリスクの少ない投資であると言えます。

 

3-3. すべての業務を信託会社にしてもらえる

信託会社は土地信託の専門家です。その土地を活用して利益を得るためにはどのような活用方法があるのか、初期投資費用はいくらくらい必要なのか、どのくらいの利益を出せば赤字にならないのか、などのシミュレートや計算もすべて信託会社にしてもらうことができます。

建物の建築に関しても、建築会社を探す手間や建築費用なども信託会社が全て行ってくれます。建築後の管理や入居者の募集、手続きなどについても信託会社が行います。

信託会社に任せてしまえば、委託者側が経営について考えたりする必要がないため、初心者の方にはとても安心なシステムです。しかし、自分で調べて準備をしたり、手続きや契約も自分で行いたい人には向いていないと言えます。

 

3-4. 土地活用の専門家に託せる

一般的に土地活用は、マンションを建てたり駐車場にしたりして利益を得る方法があります。しかし、いざ土地活用を始めようと思ってもノウハウがないままに素人が手を付けても失敗してしまうリスクが非常に高いです。マンションを建てたとしても、満室にならなかったりして資産が減っていくことも考えられます。

土地活用で利益を得たい場合は、やはりその道の専門家に依頼するのが得策です。建物の建築から事業の運営管理まで、すべて任せてしまうことができるので安心です。

信託会社の中には、土地活用を専門的に行っている部署を持っている会社もあります。信託会社は、個人とはくらべものにならない量の情報量を持っています。実際に土地活用を行っている経験値においても優れていますので、個人で経営を行うよりは確実に収益が期待できます。

 

3-5. 賃貸住宅以外の事業も可能

土地信託を利用した場合、その多くは賃貸物件を建てられます。賃貸物件は、分譲マンションや大きなビルを建てるよりも初期費用が安く、入居者が決まれば毎月決まった額の賃料を得るとこができるからです。

しかし、土地信託に提供する土地によっては賃貸住宅以外の事業も選択肢に入ってきます。信託会社がその土地に一番見合った、収益の期待できる土地活用方法を考えてくれます。例えば郊外の土地で敷地面積が広い場合は、商業施設が建つこともありますし、商業地にある土地であればテナントを募集できるビルになる可能性もあります。国道などの車通りが多い場所であれば、駐車場になることもあります。

 

3-6. 信託受益権を売買できる

信託会社に土地の信託を依頼すると所有権が移り、信託受益権を取得することができます。信託受益権を持っていると、その資産から得た利益を受け取ることができます。信託契約期間中は、信託契約を解約することはできません。

しかし、信託受益権は不動産と同じく財産であるとみなされるため、まとまったお金が必要になった時などはこの信託受益権を譲渡したり、借入の担保とすることで資金化させることができます。

通常、不動産の売買は流動性が低いものとされていますが、信託受益権は流動性が高く、売買しやすいと考えられています。また、不動産売買は契約書の記載金額によって印紙税が変わってきますが、信託受益権の売買の場合は一律200円となっています。

 

4. 土地信託のデメリット

土地信託のメリットとして一番大きな部分は、すべてを信託会社に任せてしまうことができる、という点です。しかし、その点がデメリットになることもあります。どのようなケースが考えられるのか、以下でデメリットについて見ていきましょう。

 

4-1. 収益が保証されない

前述している通り、委託者への配当金は、信託契約期間中にその土地を活用して得た利益から、諸経費や信託報酬を差し引いた金額となります。例えば賃貸マンションを建てていた場合、家賃収入が諸経費よりも上回っていると利益を算出できたということになります。空き家期間ができるなどして思うように利益に結び付かない場合は赤字になります。

初期費用などの準備をせず、委託者側の資金持ち出しがない分、配当に関しては少しシビアになっています。配当時に赤字分は委託者へ請求されますので、その点は理解しておく必要があります。

 

4-2. 成功・失敗は信託会社次第

土地信託を依頼した場合、その運用が成功するか失敗するかはすべて信託会社次第です。信用して任せたことになるので、その会社が運用を失敗したとしても文句は言えません。失敗した場合も、信託会社が負債を負ってくれるということもなく、場合によっては追加の投資が必要になることもあります。

そのため、信託会社を選ぶときには何社も訪れて話を聞き、一番安心して任せられる会社を選ぶことが大切です。提供する予定の土地をどのように運用してもらえるか、提案内容も信託会社によって異なる場合があります。複数の会社の話を聞き、提案内容とどのような運用方針になるかをしっかりと吟味した上で会社を選ぶようにしましょう。

 

4-3. どんな土地でも信託できる訳ではない

土地を所有していればどんな土地でも信託会社に運用を任せられるわけではありません。土地の状態や立地環境が悪く、収益が見込めないとなれば信託会社に契約を断られる可能性もあります。信託会社は土地活用の専門家ですので、利用価値があるのかどうかを厳しく判断します。

 

その上で、この土地であれば利益を出すことができると判断された土地であれば契約を結んでくれます。一社で断られた場合でも、別の信託会社であればまた違った側面から判断してくれることもありますので、複数の会社に相談することをおすすめします。

また、どの信託会社でも断られてしまった場合、その土地は事業展開に向いていない可能性があります。どうしても土地活用ができない場合、空き地のまま放置しているだけでも固定資産税が発生するので、その場合は売却してしまうことも検討しましょう。

 

4-4. 収益性が悪くなる

手元に入る配当金は、その土地を運用して得た収益から、諸経費や建物建築にかかった借入金などを差し引いた金額になります。さらに、信託会社に任せた場合は、信託報酬と呼ばれる手数料も差し引かれることになります。そのため、自分で土地運用を行ったときの利益よりも少ない金額になります。

信託会社によって報酬額は様々ですが、一般的に賃貸マンションなどで土地活用をした場合、賃料収入の約10%であると言われています。契約時に、信託報酬がいくらになるのかをしっかりと確認しておきましょう。

 

5. 土地信託の税法上の取り扱い

土地信託の契約を締結すると、信託登記を行う必要があります。信託登記には登録免許税が発生しますし、契約期間中の受益に対しては所得税が発生します。信託受益権を売買して得た収入に対しても所得税がかかります。土地信託を行った場合の税法上の取り扱いについて、以下にまとめます。

 

5-1. 信託登記の必要性

先に述べたように、その信託契約を締結すると所有権が委託者から受託者に移行されます。不動産の売買や相続などでも所有者の名義は変わりますが、信託の場合はその場合とは少し異なります。信託の場合は契約を締結すると信託受益権を取得することができます。財産価値があるとみなされるのはこの信託受益権です。

登記がなぜ必要かというと、登記をすると第三者に対しての証明ができるためです。土地信託を受託された側は、所有権を有していますが所有者ではありません。そのため、信託に関係のない第三者にその土地の信託を受けていることを主張するためには登記が必要なのです。

 

5-1-1. 信託登記の登録免許税が必要

所有権の移転登記自体は非課税ですが、信託登記をするには登録免許税が必要です。登記の対象となる不動産の固定資産税評価額に0.4%をかけた金額が登録免許税となります。ただし、平成29年3月31日までは税率の軽減措置があるため0.3%となります。

信託登記には、登記の受付年月日、信託を原因とする登記である旨、受託者や委託者の住所、氏名が記載されます。土地信託を行っている財産は、固有の財産とは別に管理をしなければならないので、信託を原因とする登記は必要です。

 

5-2. 受益に対して所得税がかかる

信託期間中に、その土地で得た利益は配当金として受託者に支払われます。この配当金は、受託者にとって収益であるため課税対象として扱われます。総合課税として扱われるため、各種所得の金額を合計して税額を計算することになります。

 

5-3. 受益権の売却の際にも所得税がかかる

信託期間中に、信託受益権を譲渡したり売買したりして得た収入に対しても所得税が発生します。信託受益権の売却は、所得税法上の信託不動産の売却と同様の扱いになります。そのため、信託受益権を売却した際にも譲渡所得税が受益者に対して課税されることになります。

 

6. 土地信託は相続税対策として有効

土地信託は高齢になった親の財産管理を行うための信託や、遺産を残す順番を指定できる信託、遺言書の補完としての信託など様々な相続関係の内容に使用することができます。土地信託は、土地を活用させて収益を得ることを目的とするだけではなく、家族信託を行うことにより相続税の対策としても有効に利用できます。

 

6-1. 信託の活用方法

高齢者の財産管理を行うにあたって、法的な制度としては成年後見制度と呼ばれるものがあります。しかし、この制度を利用するほどでもない、という場合や、煩雑な手続きを避けて簡単に済ませたいという場合には、信託を活用する方法があります。

例えば、親の財産管理を子どもが行う場合、親を委託者兼受益者、子どもを受託者にした家族信託を設定します。こうすることで、親の財産管理を行う法的な権限が子どもに移行され、なおかつ贈与税がかかりません。信託契約の際に、子どもではなく孫を指定して契約を結べば、孫に信託受益権を贈与することも可能です。

信託はこのほかにも、受益者連続信託と言って遺産の相続先を先々の代まで指定して残すことができます。また、遺言書の補完として信託を利用することもできます。

家族信託を行う場合も、信託銀行や信託会社が窓口になってくれますので、相談を重ねてベストな方法で相続対策ができるようにしましょう。

 

7. まとめ

土地信託は自分の所有する土地を第三者に委託して、代理で土地活用を行ってもらうことになります。自分自身での土地活用とは違って特殊な面もあります。土地は所有しているだけで固定資産税が発生します。空き地のままで遊ばせておくよりは、活用させていきたいところです。

第三者に預けてしまうのは不安に思う人もいるかと思いますが、自身の知識がない場合は専門家に任せてしまった方が利益がでる可能性が高いです。土地信託のメリットとデメリットをしっかりと理解した上で、土地信託を行うかどうかを判断することが大切です。

 

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