農地バンクの活用方法とメリット・デメリットまとめ

日本では長らくの間農業従事者の低下と新規参入率の低さ、離農率が問題視されています。農家の高齢化が進み、若者の都心部への就職が増えたことにより日本の農業は衰退していっています。

農業は日本国民の生活を支える重要な産業の1つですので、安倍政権は農業改革をアベノミクスの政策の一つとして掲げました。そこで注目されているのが農地バンクというシステムです。これにより生産効率が向上し農業の活性化見込まれ、空いていた農地の活用などのメリットが生まれるとされています。

ここでは、農地バンクの詳しい仕組みやメリット、デメリットについて以下に解説していきます。

1. 農地バンクの目的

農地バンクとはアベノミクスのうちの1つ農業改革に付する政策で、日本各地に分散している農地をまとめる仲介機関を作り、農業の効率化をはかる目的で始められたものです。最近の日本では農業従事者が年々減少傾向にあり、昔と比べて自給率も下がってきています。

自給率の低下を防ぎ、農業を活性化させる目的もあります。

1-1. 農地バンクで生産効率の向上

農地バンクの一番の目的は農業の生産効率の向上を目指すものです。個人個人で農業を行うより、集約した農地で大規模に農業を行う方が効率も上がります。低下傾向にある自給率を上げるためには効率的に農業を行う必要があり、そのための解決策として農地バンクが期待されています。

1-1-1. 農地バンクで農地の集積化

農家は自分の持っている土地を自分で耕して農業を行ってきました。しかしそのやり方では個人個人が個別に農業を行う事になるので、小規模農業となってしまいます。農地を一つに集約してまとめることで、大規模に農業を行う事ができるので生産効率も良くなります。

1-1-2. 農地バンクは農業経営の規模を大きくする

小さい土地で一人ひとりが個々に農業を行うより、大きな土地を企業が借り上げて使用する方が生産効率の上昇につながります。農地バンクを利用すると農業経営の規模を大きくし、土地を広く使用する事ができます。

1-2. 農地バンクで遊休農地の活用

農地を持っていても、所有者が高齢で農業ができない場合や親の土地で子供は農業を行っていないなど農地として機能していない土地があります。このような土地が多いと生産性も落ち、自給率も低下します。

必要としている人に農地を貸し出すことで、使用していない遊休農地の稼働率を上げる事ができ、土地の稼働率を上げる事で農業の活性化につながります。

1-3. 農地バンクは新規参入を増やす

新しく農業を始めるには土地が必要ですが、肝心の土地を持っていない人もいます。農地を取得するには、各市町村に設置されている農業委員会の許可が必要ですが、その許可をえるには農業をしている(農家である)必要があります。

つまり、一から新しく農業を始めたい人が農地を取得できないといった状況が生じます。こういった状況では、農業従事者が減っていく一方です。農業の新規参入を見込むには簡単に農業を始められる仕組みが必要不可欠です。

農地バンクは土地を自分で取得する必要がなく、希望の土地を借りる事ができるため、農業への新規参入を促すことができます。

2. 農地バンクの仕組み

2-1. 農地中間管理機構が運用

農地バンクとは農林水産省が設立している農地中間管理機構の通称です。農地バンクは、バンクという単語の通り、農地を国が借り上げて管理し、農地を必要としている人に貸し出すといった形で運用されています。

利用されていない農地や空いている農地を借り上げし、新たに農業を始めたいが土地を持っていないという個人や企業に土地を貸し出すといった仕組みになっています。

2-1. 農地のマッチング機関

農地バンクはいわゆる農地と農地の仲介業者のような役割で、貸したい人と借りたい人のマッチングを行ってくれる機関です。農地バンクに土地を登録したからと言って営業をしてくれるわけではないので、必ずしもその土地に借り手が見つかるとは限りません。

借り手側は農地バンクに登録されている農地の中から自分の希望する条件に合った土地を吟味して選ぶので、そこで自分の土地が借り手側の希望に沿った条件の土地であれば借り手がつく、といった仕組みになっています。

いい条件の土地は引き合いが多くなりますが、土地の条件が悪いとなかなか借り手が見つからないこともあります。

・農業委員会の現況調査

農地バンクに貸し出ししたい旨を伝えると、農業委員会による土地の現況調査が行われます。農地バンク側が借り上げることになる土地が農業に使用できる状態であるかを調べる必要があるためです。

現況調査にて、農業ができる土地である、もしくは再休耕中であっても、生可能であると判断されれば土地を貸し出し登録することができます。

2-3. 農地の貸付期間は最低10年

農地バンクに登録した土地を借りてもらえるとなった場合、最低でも貸付期間は10年と設定されていますので、賃借契約は10年以上で結ぶことになります。貸し出している期間はその土地を他の事に使用することができません。

登録を行う際や貸し出しを行う際には、その後の土地計画についてもしっかりと考えることが大切です。

2-3. 農地バンクが賃料を設定

土地を貸す、というと高額な賃料をもらえそうに聞こえますが、貸し出す際の賃料は貸出側が希望する金額で貸し出されるのではなく、様々な要件と借り手の希望を鑑みて農地バンク側が設定しています。

農地バンクのデメリットのところで具体的に説明しますが、農地バンクの賃料は決して高いものではないため、家賃収入のようにそれだけで生活するのは難しいので注意が必要です。

3. 農地バンクを利用する5つのメリット

使用してない農地を農地バンクに登録し貸し出すことには、様々なメリットがあります。節税対策などにも役立つので知っておくと非常に便利です。農地バンクを利用するメリットについて、5つ紹介していきます。

3-1. 土地活用ができる

例えば田舎に土地を持っていても、農業をしていた親が高齢になって農業をやめている場合や今は農業をしておらず使っていないという場合、農地バンクが便利です。土地を持っているだけで、維持費もかかりますし管理費用も必要になってきます。

使わずに実質空き地となっている土地も、農地バンクに登録し借り手を見つける事ができれば土地を遊ばせることもなく活用することができます。

3-2. 農地中間管理機構が借り手を見つけてくれる

いざ土地を貸そうと思っても自分で借り手を探すのはとても難しく、手間もかかります。農家に知り合いがいる、貸し手を探している人に心当たりがあるといった話があれば別ですが、一から借り手を探すとなると大変な労力が必要です。

農地バンクを利用すれば、農地中間管理機構が借り手を探してくれるため自分自身で探す必要がなくなります。デメリット部分でも触れますが、自分の土地を第三者が使用することに抵抗がない場合は大きなメリットとなります。

3-3. 農地を貸し出すことで利益を得る事ができる

自分が所有している土地を希望する第三者に貸し付けるので無料というわけではなく、そこには賃料が発生します。基本的には賃料と協力金の2種類の利益を得ることができます。

・農地の賃料が手に入る

所有する土地を希望する第三者への貸し出すため、借り手からの賃料を受け取る事ができます。日当たりや土壌がいい、交通アクセスが良く立地がいいなど、所有している土地の条件がいい場合は借り手も多くなりますので競争が生まれ高い賃料で貸し出すことも可能です。

土地によっては大きな収入は期待できませんが、そのままにしておくよりも貸し出した方が利益は出ます。

・農業協力金がでる

農地バンクで土地を貸し出すと、賃料とは別に協力金をもらう事ができます。農地バンクに貸し出す土地の規模によって支払われる金額は異なってきますが、10年以上の貸し付けを行っている、などの交付要件を満たせば協力金を受け取ることができます。

3-4. 農地バンクに貸すことで節税対策になる

分譲マンションや一戸建て、土地を持っている人には毎年固定資産税という税金がかかり、支払いの義務があります。使用していない農地であっても、土地を所有しているというだけで税金を支払わなくてはいけません。

固有資産税の税額については、その土地の価値で決まるのですが、農地の場合は税率が低く設定されています。

しかしこれは農地として機能している場合のことで、平成29年度からは税率が変わり元は農地であっても今は使用されていない耕作放棄地の場合は減税処置の対象から外されるようになりました。

所有しているだけで使用していない場合は、農地バンクに登録して他の人にその土地を農地として使用してもらうことで増税対象からは外れるため結果的に節税することができます。

3-5. 農地は貸付期間満了後に返ってくる

農地バンクはあくまで第三者との貸し借りが行われる仕組みです。売買契約ではなく賃借契約で成り立つものですので、貸し付けの期間が満了すれば貸し出していた土地は自分の元に戻ってきます。

貸し付け中の土地の管理権は借主にありますが、契約満了後には自分へ戻ってくるので安心して貸すことができます。戻ってきた土地はまた貸し出しにだすこともできますし、その時の情勢を見て売却したいと判断すれば売りに出すことも可能です。

4. 農地バンクの4つのデメリット

自分の土地を仲介して貸し出してくれる農地バンクにはメリットも多くありますが、デメリットもあります。手元を離れている間はその土地の管理権は借り手に移るため、自分の思い通りに売却したり手を加えたりできなくなります。

また、賃料で生活ができるといった保証もありません。デメリットについてもしっかりと理解した上で、農地バンクを利用するかどうかの判断をし-ましょう。

4-1. 農地の借り手を選べない

農地バンクは、自分の所有している土地を農地中間管理機構に預けて借り手を見つけてもらうシステムのため、自分で借り手を選ぶことができません。借り手との直接交渉などもできず、賃料の設定なども農地バンクと借り手の間で行われるため、どのような人が自分の土地を使用するのかが分かりません。

大きなデメリットではないと感じる人もいると思いますが、例えば使用していない土地でもその土地に愛着があり、まったくの第三者にその土地を貸すのには少し抵抗があるといった場合は、農地バンクへの登録はおすすめできません。

4-2. 農地を必ず借りてもらえるとは限らない

余らせている土地を農地バンクに登録すると自分で貸し手を探す必要はなくなりますが、登録すれば借り手が見つかるわけではありません。農地を借りたいと思っている人は農地バンクに登録されている土地の中から、自分の希望する土地を探します。

その土地のある場所、日当たり、広さなど様々な要素を比較して借りる土地を選ぶため、自分の土地を確実に選んでもらえるという保証がありません。

また、貸し出したい土地が農地として適していないと判断された場合は、農地バンク側から貸し出し申請を断られるといったケースもあります。

4-3. 農地が10年以上使えなくなる

農地バンクは、自分が使用してない土地を農業希望者に一時的に貸し出しているにすぎないため、最終的には自分の元にその土地は返却されます。これは、土地を売り渡すわけではないため大きなメリットです。

しかし、農地バンクでの貸し出しには最低でも10年の賃借契約が原則として定められています。そのため、一度自分の土地を貸し出すと最低でも10年間は土地が戻ってきません。

また、貸し出している10年間は土地の管理権が借主に移るため、例えばその期間に土地の価格が高騰して売却したい、と思ってもできなくなります。自分の好きなタイミングで売却などができなくなるので注意が必要です。

4-4. 農地の賃料が保証される訳ではない

農地バンクを利用して土地を貸し出す場合には、貸出金いわゆる賃料は農地中間管理機構が設定して貸し出しを行います。賃料の設定は、借り手との交渉によって農地バンクが決定するため、自分がこの金額で貸し出したいと思っている金額はもらえない可能性があります。

貸し出す側としてはできるだけ高い賃料で貸し出したいと思いますが、農地バンクは収益を目的とした事業ではなく農業の活性化を目指したもののため、まずは農地を借りてもらわなければなりません。

そのため、借り手側が借りたいと思える条件や賃料に設定する必要があり、基本的には借り手市場になります。マンションの家賃収入のような大きな金額は期待できないことを理解しておいてください。

5. 農地バンクの活用方法とメリット・デメリットまとめ

日本の第一次産業を今後も育てていくためには、自給率の低下を防ぎ生産性を上げる事が大切で、そのためには農業の活性化が必要不可欠です。農地バンクが今よりも全国的に浸透し認知が広まれば、若い世代の農業従事者が増える可能性もあり現在注目を集めています。

大きな利益を見込めないことや普及率が低いことなど、デメリットや課題点はまだまだありますが、農地を所有している人は土地活用の一つの選択肢として農地バンクがあるということを知っておくと今後役に立つかもしれません。

農地バンクの詳しい使い方に関しては、「農地バンク(農地中間管理機構)を利用して農地を貸す際の流れ」で詳しくご紹介していますので、ぜひこちらも参考にしてください。

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