農地バンク(農地中間管理機構)を利用して農地を借りる際の流れ

農地を新しく借りたい時に便利なシステムに農地バンクがあります。農地バンクは各都道府県に設置された農地中間管理機構が運営しており、農地の貸し借りの際に仲介や斡旋としての役割を果たします。

農地の貸し借りには、不動産業者などを仲介したり、個人間で契約を結んだりする方法もありますが、手続きが面倒な上、トラブルが発生しやすいという課題があるのが現状です。農地バンクを利用することで、公的機関が間に入って農地の貸し借りを行うことができるため、安心して借りることができます。

この農地バンクを利用して農地を借りたい場合、まずは農地中間管理機構に申し込みをする必要があります。農地中間管理機構は同時期に貸し手側の公募も行なっており、申し込みを受けて条件に沿った貸主を確認します。条件が合えば、貸主と借主が賃料や期間などの交渉を行い、実際に農地中間管理機構が貸主から農地を借ります。

そして農地中間管理機構側が整備等を行なって初めて、農地を借りることができます。賃料も貸主に直接支払うのではなく、農地中間管理機構に支払うなど、基本は農地中間管理機構とのやりとりとなります。そのため面倒なトラブルに巻き込まれるリスクが減り、また複数の土地を借りた場合でも、窓口一つでやりとりが可能となるため、負担を減らすことにもつながります。

農地バンクは借り手の立場を尊重した制度とも言われています。規模拡大や新規参入などで新しく農地を借りたい人は、是非利用してみると良いかもしれません。ここでは、農地バンクを利用して農地を借りる方法についてみていきましょう。

1. 農地バンクとは

農地バンク(農地中間管理機構)は、平成26年度に全都道府県に設置されました。農地の遊休農地化の防止や新たに就農しようとする方への支援を目的としており、簡単に説明すると農地の貸し借りの管理や仲介を担うものです。

農地の貸し出しをしたい人が、農地バンクに貸し出したい農地を登録し、借りたいと思っている人が農地バンクに登録されている農地から希望に沿ったものを選び、借ります。

国は、今後10年間で日本国内の農地を現状の5割から8割まで拡大させることを目標と掲げています。その中で、農地バンクには大きく二つの狙いがあるとされています。それは、農業人口の増加と農業の生産効率の改善です。

農業人口が増えない理由の一つとして、農地の借りにくさがありました。農地バンクを利用せずに農地を農地として貸し借りを行いたい場合、通常農業委員会から許可をもらう必要があります。しかし、規制が厳しく、若者や法人の新規参入が難しいことが問題視されていました。

一方、農地バンクを利用すれば、現在農業を行なっていない人でも農地を借りることができます。また、農地中間管理機構がある程度整備してくれるため、初期投資も少なくて済みます。このことから、農業人口の増加につなげられるのではないかと期待されています。

日本の農家は、農地が小さいのが一般的です。戦後、それまで地主が小作人に農地を貸して農業を行なっていたものを、農地改革で各小作人に土地を割り当てました。そのため土地は細かく区切られることになりました。

そのため、土地を拡大しようにもたくさんの人と契約を結ぶ必要があり、なかなか農地を拡大することが難しいことが課題の一つとして挙げられています。一方、海外では一つの農家が広い農地を所有していることが多く、効率的に大量生産を行うことができます。

そこで、耕作放棄地となってしまった場所などを農地バンクを利用して貸し出すことにより、農地を拡大したい人や新しく農業を始めたい人がその農地を利用できるようになります。

また、複数の貸主から土地を借りた場合でも、契約や支払いは農地中間管理機構に一本化することができ、手続きが簡単になります。こうすることで、一つの農家がまとまった農地を耕作することが可能となり、生産効率の向上が期待されています。

農業分野における海外との競争力を高めるには、農業の生産性の向上が必須と考えられています。こういったことからも、農地の集積化は重要視されています。

この農地バンクを利用する人は、様々です。高齢のため今までのように農業ができなくなり、持っている農地を貸したい人。所有している農地が分散しており、利用権を交換することで一箇所にまとめたい人。会社を退職したり、新たに田舎暮らしを始めたりするなどして新しく農業を始めたい人。規模の拡大を図ることで、競争力を強化したい人。

農地バンクを利用することで、農地中間管理機構が貸し借りの手続き等もサパートしてくれるため、うまく使えば便利なサービスと言えます。個人間の契約ではなく、公的機関が間に入るため、安心して農地の貸し借りを行うことができます。

また、農地バンクを利用しない貸し借りにおいては、土地を返す際に離作料を借主に払わなければならない場合があります。主に貸主が土地を返して欲しい時に、借主に農地価格の約半分程度の価格を支払うというものです。農地バンクを利用している場合は、離作料を払う必要はなく、また一定の契約期限が過ぎれば土地は持ち主の元に戻ります。

一方、農地バンクを利用する際には、農地の条件もいくつかあります。まず一つ目は、対象農地が農業振興地域内にあることです。農業振興地域とは、市町村が定めるもので、農業の振興を図ることが必要とされた地域を指します。

二つ目は、農業を行うことが可能な農地であることが挙げられます。現在農業が行われていれば問題ありませんが、長い間空き地として放置されていた場所やすでに農業以外の用途で使用されている場所などは対象から外れてしまう可能性がありますので、注意が必要です。

 

2. 農地バンクで農地を借りる際の流れ

農地バンクを利用して農地を借りる際、まずは農地中間管理機構に申し込みをする必要があります。農地中間管理機構は同時期に貸し手側の公募も行なっており、申し込みを受けて条件に沿った貸主を確認します。

条件が合えば、借り手側と貸し手側のマッチングを行い、賃料や期間などの交渉をします。交渉がまとまって初めて、実際に農地中間管理機構が貸し手側から農地を借ります。そして農地中間管理機構側が整備等を行なってから、農地の使用の権利が渡されます。

マッチングを行ってから借り受け希望者が実際に借りるまで、2〜3ヶ月かかるとされており、すぐに借り入れができるわけではありません。ここでは、申し込みをしてから実際に借りるまでの流れを順に見ていきましょう。

 

2-1. 農地バンクの借り受け希望者募集に申し込みをする

農地を借りる際、まずは市町村の担当窓口で借り受け希望者募集に応募する必要があります。借り受け希望者募集は、毎年特定の時期(6月頃と9月頃が多い)で年間2、3回程度、市町村などの区域ごとに実施されています。

ホームページなどでも公表されていますので、確認してみると良いかもしれません。申し込み用紙は、市町村の農業主務課や農業委員会窓口などにある他、メールや郵送による応募が可能な地域もあります。

応募対象は
・地域で作成された「人・農地プラン」に載っている地域の中心経営体、あるいは位置付け見込みの方。
・市町村に農業経営改善計画を提出し認定を受けた、認定農業者の方。
・新規に就農を希望する人が就農計画を作成し、都道府県知事に認定を受けた、認定就農者の方。
・法人形態で農業を営んでいる、農業生産法人の方。
・市町村が定める効率的で安定的な農業経営の指標水準に達している、基本構想水準到達者の方。
・新規参入者(企業参入含む)の方。
などです。詳しくは窓口で相談してみると良いかもしれません。

また、申込書では主に
・希望する農地の場所や種類、面積
・借りた場合に作付けする予定のもの
・借りる期間、時期
・現在耕作している農地の面積、場所等
・農地を借りたい理由
について記入します。

また、応募した際には、貸し手とのマッチングなどのためにインターネット上などで氏名などが公表される場合があります。詳しくは、担当者にお問い合わせください。

 

2-2. 農地バンクの貸主とのマッチング

農地中間管理機構は、 毎年特定の時期に農地の貸し手も公募しており、借り手の希望する農地が確保できるかどうか、農地中間管理機構側が確認します。その選考基準はいくつかあります。

・借受希望者が、農地の規模拡大を目的としているか、あるいは、現在耕作している農地が分散していて隣の農地と入り組んでいる状況を解消することを目的としている場所かどうか。
・借り受け希望者が新たに農地を借りることで、すでに農業を行なっている人の支障とならないかどうか。
・新しく農業を始めた人が効率的で安定的な農業経営を目指していけるような場所であるかどうか。

こういった基準から、地域農業の発展を前提にしつつも、農地中間管理機構は借り受け希望者のニーズに当てはまる場所を適正に調整します。

条件の合う貸し手が見つかった場合、双方のマッチングが行われます。マッチングでは、賃料や期間について交渉をし、基本的には借主と貸主が直接行います。しかし、上手く交渉がまとまらない場合、農地中間管理機構が間に入って協議を行う場合もあります。

 

2-3. 農地バンクによる借り受け

交渉がまとまるなどして農地の借り手の見通しがついた場合、ようやく農地中間管理機構(農地バンク)は貸主の農地を10年以上(一部地域では5年以上)で借り受けます。ここで、農地中間管理機構側に農地中間管理権が発生します。

農地中間管理権とは、「賃借権または使用貸借による権利」。つまり、農地中間管理機構が借りた農地を貸し付けて運用する権利のことで、他の目的では使用できないということです。そして、農地中間管理機構は借りた農地を貸し付ける前に、必要に応じて草刈りなどの農地の整備を行います。

 

2-4. 農地バンクから借り受け希望者への貸付

次に、農地中間管理機構は借り手に貸し付ける際に、「農用地利用配分計画」を作成します。これは農地中間管理機構が借り手に農地を貸し付ける手続きを簡単にするために設けられるものです。

通常、農地の貸し借りなど権利の移転を行う場合、農地法により農業委員会からの許可が必要となります。これを不要とするために、農用地利用配分計画が作成されます。

農用地利用配分計画が公告されると、借受希望者に農地が貸し出されます。また、賃料は借り手は農地中間管理機構に支払い、農地中間管理機構から貸主に支払われる仕組みとなっています。

 

3. 各都道府県の農地中間管理機構(農地バンク)一覧

農地バンクは各都道府県に設置されています。ここでは、各都道府県の農地中間管理機構のホームページのリンク先、問い合わせ先をまとめました。一部メール等のお問い合わせができない地域がございますので、ご注意ください。

また、実際には農地バンクは各市町村に業務が委託されています。そのため、借りたい農地のある市町村の担当部署やJAなどに問い合わせをすると、農地の情報を得ることができます。ですので、お近くの市町村やJAの窓口に相談しても良いかもしれません。

また、全国の農地の情報をまとめたサイト「全国農地ナビ(農地情報公開システム)」https://www.alis-ac.jp/SelectPrefectureを参考にするのも良いでしょう。全国農地ナビは、市町村や農業委員会が農地法に基づいて農地情報を公開しているインターネットサイトです。

全国農地ナビでは農地の情報を地図と合わせて視覚的に見ることができるようになっています。新しく農業を始める場所を探されている方などは、全国農地ナビで情報を収集するとより検討しやすいかもしれません。

 

参考
http://www.maff.go.jp/j/keiei/koukai/kikou/kikou_ichran.html
https://www.alis-ac.jp/Doc/RelatedLink

 

 

4. 農地バンクを利用して農地を借りる際の流れまとめ

農地バンクを利用して農地を借りたい場合は、まずは借りたい農地のある都道府県の農地中間管理機構か市町村の窓口、JA(農業協同組合)に相談に行くと良いでしょう。貸し手側の情報が集まっており、自分の条件と会う場所があるかどうか確認することができます。

また、実際に借りる手続きを始める際は、担当者に自分の希望や今後の計画などをしっかり伝えることが、より理想の農地を借りる最善の方法となるでしょう。

また、農地バンクは地域でまとまって貸付されていると、より借り手側も借りやすくなり、地域内の農地利用の再編成を行いやすくなります。そのため農林水産省は、それぞれの地域で話し合いを行い、地域が抱える問題を解決するためのプラン「人・農地プラン(地域農業マスタープラン)」の作成を呼びかけており、この中で、地域で連携して農地バンクを利用することを促しています。

地域でまとまって農地バンクに農地を貸し付けた場合、地域に協力金(地域集積協力金)が支払われるというメリットもあります。農業で生計を立てていくことが難しいことなどが原因で、農業離れが問題となっている中、農業を再生するきっかけとなるとも言われている農業バンク。借り手の要求に見合った農地の貸し手が少ないことなどから、最近は農地バンクの利用率が下がってきていると言われています。

そのため、制度として上手くいっていないなどの批評もされていますが、まだ利用は始まったばかり。今後に期待といったところだと思います。