事例紹介
Category 不動産
2018年07月03日 更新
不動産の売買を仲介業者を使わないで行う際の注意点
通常、不動産の売買をする時は仲介業者となる不動産会社を利用します。売買の相手を見つけるのが難しいからというのが主な理由ですが、それ以外にも法的な問題だったり、税務上の問題からも利用した方が楽に進めることができます。
しかし、仲介手数料は安くはありません。それこそ、不動産の金額によっては、高価な車を買ってもお釣りがくるくらいの手数料となります。相手が見つからないという場合には致し方ありませんが、知り合い同士で売買できるなら、仲介手数料は節約したいと考えてもおかしくありません。
特に親子や兄弟の場合はその傾向が強いと思います。法律上は双方の意思があれば契約は成立しますが、第三者に対抗するには契約の内容だけでなく、登記も必要となります。どんな点に注意をする必要があるのか順番に見ていきましょう。
この記事でわかること
1. 不動産の売買契約書を業者を使わずに作成
契約と言えば契約書が真っ先に思いつくのではないでしょうか。契約書を取り交わすことで内容をはっきりとさせて互いに確認することができます。しかし、必要なことが書かれていなければ、紙切れくらいの価値となってしまうことも考えられます。
とはいえそんなに難しく考えなくても大丈夫です。契約書のひな型自体はネット上にたくさんありますので、それらの内のひとつを利用すれば問題ないと思います。簡素な内容のものから詳細に書き込むものまでありますので、目的にあったものを見つけて使うと良いと思います。
契約書のひな型を探す際は、弁護士とか司法書士などの方のサイトで見つけると安心だと思います。これらの方は、責任があるので、いい加減なものをWEB上にアップしてしまうと信用に関わるからです。大袈裟な言い方をすれば、自分の信用をかけてサイトに上げていると言っても良いと思います。
もし、その契約書の内容を巡ってトラブルが起きた場合は、責任を問われることになってしまう可能性があるからです。そうなれば、失業してしまうかもしれません。どこの誰がサイトに上げたものかわからないような書類とは違います。
それでも書き方が間違っていれば役には立ちません。良くあるミスや最低限書いて置いた方が良いことについてお知らせします。
1-1. 不動産の契約書にすべての物件を記載する
当たり前の話ですが、すべての物件を記載する必要があります。土地が分筆されているケースなどは特に注意が必要です。分筆されている場合は、対象となるすべての土地を契約書に記載しなければなりません。
また、同様に建物が複数ある場合もすべて記載する必要があります。建物の場合は記載忘れは少ないように思いますが、離れなど別棟の建物をつないでいる場合には、登記が別になっているケースがありますので確認が必要です。
1-2. 不動産の売買代金の支払い方法を決める
絶対に書かなければならない情報ではありませんが、売買金額の記載と共に支払い方法についても記載するようにすると後々のトラブルを防ぐことができます。
主な記載内容は、売買の金額、手付金の額、手付の支払日、最終決済日と支払い方法などです。ローンを組む場合は、契約書がないとローン審査を受けることができないため、契約日と決済日は別の日となります。ローンの審査には通常、1~2ヶ月くらい必要です。
1-3. 不動産の所有権の移転と引渡し日を決める
所有権の移転は決済日となりますので、ローンを組む場合はローンの決済日によって変わります。このため、予定日としておくと良いでしょう。
また、通常、ローンを利用する場合は、ローン特約というローンが組めなかった場合は、契約を白紙撤回できる条項を盛り込むのが一般的ですが、個人間で契約を結ぶ場合は双方の納得があれば特に定めなくても問題はありません。
特に親子間で結ぶ契約の場合は不要だと思います。但し、知人間などで売買をする場合は、トラブルを避けるために盛り込んでおくことをお勧めします。
引き渡し日は、決済日と同じとすることが基本ですが、特に理由があれば別の日にしても構いません。特段の理由がなければ、決済日とすると良いでしょう。
1-4. 不動産の公租公課の精算について
公租公課というのは平たく言うと税金です。具体的には、固定資産税と該当する場所だけとなりますが、都市計画税の2つがあります。この二つは1月1日の所有者が払うこととなっていますので、移転後の期間分の税金についてどちらが負担するのか決める必要があります。
通常は、新しい所有者が前の所有者に対して日割り計算で払います。法律的にはどちらが払わなければならないという決まりはありませんので、話し合いで決める必要があります。本来の意味から考えると日割りが良いと思いますが、税金分を含んだ形で売買金額を決めるという方法もあります。
また、マンションの場合には、税金以外にも毎月の管理費や修繕積立金などの負担がありますので、それらの精算についても話し合っておく必要があります。
1-5. 付帯設備等の引渡しについて
付帯設備とはエアコンや照明、カーテンレールなどを指します。通常、新築で購入した時にはこれらの物は付いていないものなので、そのまま引き継いでもらうのか、引き取りもしくは廃棄するのか決めておくと良いでしょう。
特にエアコンなどは引き渡し後、すぐに壊れてしまった際に問題となることがあります。捨てるにもお金が掛かることになるので、もめないように文書化しておくと安心です。
1-6. 不動産の売買契約の契約解除について
決済前に契約を解除する際は、買主の都合によるものなら手付放棄をして、売主の都合によるものの場合は手付の倍返しというのが一般的です。ただ、一般的な慣習となっているだけで、法律で決まっていることではありません。
双方が納得しているなら、契約解除はなしとしても問題ありません。尚、契約の解除を認める場合は、解除が可能な期間について定めておくと良いでしょう。
信頼関係のある人との契約だと思いますので、契約違反の可能性は少ないと思いますが、違反があった場合は、通常よりも揉める可能性があります。契約違反があった際の契約解除についても定めておくと良いと思います。
1-7. 不動産の瑕疵担保責任
瑕疵担保責任というは、簡単に言うと売買時に見つかっていない不具合があった場合には、売主が修理をしなければならないという制度です。通常は、問題があることを知った時から1年以内であれば請求できることになっていますが、個人間の売買の場合には双方でそういったものが見つかった時にどうするか決めておくのが良いと思います。
1-8. 不動産の重要事項の説明
重要事項というのは、売買する不動産に関わるすべてのことを指します。例えば、その土地にかかる法的な制限などです。法的な制限とは、その土地の使い方の制限などです。自分の土地だからといって好きなように使うことはできません。
例えば、建物を建てようとした場合、建物の大きさには制限がかけられますし、中には建物が建てられない土地もあります。そのような制限について説明する書類が重要事項説明書というものです。
法的な制限だけでなく、建物の構造なども重要事項に含まれますので、非常にボリュームのある内容となります。重要事項の内容を素人が作成するのは無理だと思いますので、専門家に相談して作ってもらうことをお勧めします。
余程の信頼関係があれば、うやむやなまま契約しても法的には問題はありませんが、何かあった時は関係が壊れる原因となるかもしれません。
買主は、これから所有する不動産について、基本的なことを知っておいた方が良いと思いますので、書類は用意しておいた方が良いでしょう。
2. 業者を使わず不動産の登記をする
通常は司法書士に依頼して登記をしてもらいます。法的に信頼できる第三者に依頼する方がお互いに安心だからです。ですが、信頼関係があるのであれば、自分でやることもできます。
登記の仕方は法務局の窓口で聞けば教えてくれます。私が知っているところでは、とても親切に教えてくれました。親切かどうかは担当者次第かもしれませんが、概ね親切に教えてくれるようです。特に嫌な思いをしたという話は聞きませんので、相談してみると良いと思います。
司法書士に依頼すると5万円前後の費用がかかりますので、自分でやればかなりの節約になりますね。
ただし、ローンを組む場合には、金融機関の方で司法書士に依頼をするように指示されるかもしれません。お金を貸してもらう立場ですので、その際は従うしかないかもしれません。
3. 不動産の売買を仲介業者を使わないで行う際の注意点まとめ
簡単にお話してきましたが、契約というのは双方が合意すればそれだけで成立します。法的にこういう内容でなければならないというものではありませんし、書面にしなければならないというものでもありません。
ただ、双方が考えている内容にズレがないかを確認するためには書類にすることが一番良いと思います。そんなに細かい契約書を作らないとしても、最低限の内容は記載することで互いに内容の確認ができます。
親しい間だからこそ、その関係を壊さないために、きちんとした書類を作る方が良いかもしれません。