借地借家法が適用されるサブリース契約のトラブルと解決策まとめ

近年サブリースという言葉をよく耳にするようになりました。このサブリースとはいったいどのようなものなのでしょうか?ここではサブリース契約と借地借家法の関係や、想定されるトラブルやその解決のための相談先、そして建物のオーナー、つまり賃貸人のメリット・デメリットについて説明していきます。

1.借地借家法はサブリース契約にも適用される?

サブリースとは簡単に言うと転賃、又貸しのことで一般的には賃貸物件を不動産会社などのサブリース業者が借り受け、持ち主の代わりに賃借人(入居者)の募集を行ったり、管理をしたりすることを言います。投資目的でサブリース契約を結ぶ賃貸人(賃貸物件のオーナー)が増えてきています。

このサブリース契約にも借地借家法が適用され、賃貸物件のオーナーが賃貸人、サブリース業者が賃借人、入居者が転借人として扱われます。そのため賃借人であるサブリース業者の立場は借地借家法により強く守られることになります。

2.借地借家法の適用で起こるサブリース契約トラブル事例

サブリース契約には借地借家法が適用されるため、賃貸人である物件のオーナーの立場より、賃借人であるサブリース業者の立場が強くなる傾向があります。そのためにサブリース契約の内容等においてトラブルになることもあります。

ここではそのトラブルの事例について解説していきます。

2-1.賃貸人であるオーナー側が契約の更新をしたくない場合(契約更新拒絶)

賃貸人である物件のオーナーが賃貸人であるサブリース会社の担当者に不信感を持ったなどの理由で、次の契約更新のときに期間満了をもって契約を終了させることはできるのでしょうか?

この期間満了に伴う契約更新の拒絶については借地借家法の第28条に定められています。

その内容は「建物の賃貸人による第二十六条第一項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。」と定められています。

ここで正当な理由なしに更新拒絶は認められず、期間満了によっても賃貸契約は終了しないと定められています。

一般の賃貸借契約においては立ち退き料の支払いにより契約更新の拒絶が認められるケースもありますが、サブリース会社との契約においては、サブリース会社が建物を使用する必要性に比べて、所有者によって建物が使用される必要性は低いことを理由に、更新拒絶に正当事由があるとはいえないと裁判所が判断した例があります。

このように、一旦サブリース会社と賃貸借契約を結ぶと契約の更新を拒絶することは容易ではありません。

2-2.賃貸人であるオーナー側が契約期間の満了を待たずに解約を望む場合(中途解約)

期間の定めがある賃貸借契約を物件のオーナーがサブリース会社と結んでいた場合、期間満了前に契約を中途解約することはできるのでしょうか?

これは賃貸借契約の中で中途解約条項を定めていない限り中途解約を行うことはできません。そのような場合にも借地借家法の第28条に定められた「正当な理由」が必要になってくる場合があります。

中途解約条項を定めていない場合には、契約期間の満了をもって更新の拒絶により契約を終了させる必要がありますが、前述したように契約更新拒絶もなかなか難しいケースが存在します。

2-3.賃貸人であるオーナー側がサブリース業者に対して賃料の値上げを要求する場合(賃料値上げ)

建物のオーナーとサブリース業者が賃貸借契約を結んでいて、賃貸人であるオーナー側が賃借人であるサブリース業者から受け取る賃料が不当に低いものであると判断した場合、当事者は契約書の内容にかかわらず増額を請求できると借地借家法第32条に定められています。

そこでオーナーとサブリース業者間の話し合いで増額の可否などを協議することになりますが、この協議がまとまらない場合には裁判となります。

2-4.賃借人であるサブリース業者側が賃貸人であるオーナー側に賃料の減額を要求する場合(賃料減額)

建物のオーナーとサブリース業者が賃貸借契約を結んだ場合、賃借人であるサブリース業者側が賃貸人であるオーナー側に支払う賃料が不当に高額だと判断した場合、当事者は契約の内容にかかわらず賃料減額を請求できると賃料値上げの場合と同じく借地借家法第32条に定められています。

賃料減額の際もオーナーとサブリース業者の当事者間の協議で解決することになりますが、この協議がまとまらない場合には裁判となります。

3.サブリース契約のトラブル解決策

サブリース契約を行った場合には、前述したようなトラブルが発生することが予測されます。しかしサブリース業者は借地借家法で賃借人として立場が強く守られているため、賃貸人となる建物のオーナーはトラブルが起こった際に弱い立場に立たされてしまう可能性が高くなります。

このようなトラブルに巻き込まれてしまった際には、どこに相談すればよいのでしょうか?トラブルが当事者間の協議で解決できない場合には裁判になるので、その前に土地取引や賃貸契約に詳しい弁護士に相談することをお勧めします。

大手のサブリース業者側にはほとんどの場合、専門の弁護士がついていることが多いので、オーナーが協議の場に出ても太刀打ちできないケースが考えらえます。ですのでオーナー側も専門知識が豊富な弁護士に相談し、協議を依頼するとよいでしょう。

協議がまとまらなかった場合にはそのまま裁判となりますが、そのようなときにも弁護士の存在はオーナー側に有利になります。

4.サブリース契約時の注意点

サブリース契約に関してのトラブルが増えてきているため、消費者庁はサブリース契約に関する注意喚起を行っています。その内容は、サブリース業者側からの説明を十分に受け、賃料減額リスクなどを把握してから契約を結ぶこととなっています。

サブリース業者の中には国土交通省の賃貸住宅管理業者登録制度による登録を受けているものもあります。このような業者は契約締結する前に、オーナー側に対して将来の家賃の変動にかかわる条件を書面にして交付し、一定の実務経験者等が重要事項として説明することなどが義務付けられています。

また、サブリース契約のある不動産に関して融資を受ける際に、不動産業者や金融機関に直接確認するようにしましょう。

詳しくは消費者庁のサイトをご覧ください。
http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/caution/caution_011/

5.サブリース契約のメリット・デメリット

サブリース契約にはメリットもあればデメリットもあります。ここではサブリース契約のメリットとデメリットをあげていきます。

5-1.サブリース契約のメリット

  • 空室や家賃滞納のリスクを回避することができる

建物のオーナーとサブリース業者の契約は一括借り上げなので、空室や家賃の滞納があってもオーナーがサブリース業者から受け取る賃料に変化はありません。そのためサブリース契約を結ぶと毎月定額の賃料を受け取れるのが一般的です。

  • 管理業務をサブリース業者に委託できる

サブリースの場合、賃貸住宅を運営するのは建物のオーナーではなくサブリース業者になります。ですので建物の管理もサブリース業者が行うことになります。これにより建物のオーナーは管理業務を行う必要がなくなります。

  • 確定申告が簡単になる

建物のオーナーが直接入居者と賃貸借契約を行った場合、空室や家賃滞納などでその建物から得られる収入にばらつきが生じ、また入居・退去時に発生する収入や支出についても事細かに把握しつつ確定申告を行わなければなりません。

サブリース業者とサブリース契約を結んでいればそのような細かな収入や支出はなく、サブリース業者から支払われる賃貸料のみを申告すればよいので、確定申告が簡単になります。

  • 入居者とトラブルが発生した際、建物のオーナーが当事者にならずに済む

家賃や退去に伴い、賃貸人と賃借人の間でトラブルが起こる可能性があります、サブリースの場合、賃貸人はサブリース業者、賃借人が入居者となるので、トラブルの解決はこの2者の協議によって解決されます。

そのため、建物のオーナーがトラブルの当事者にならずに済みます。

5-2.サブリース契約のデメリット

サブリース契約のメリットを紹介してきましたが、この契約にはデメリットもあります。ここではサブリース契約のデメリットを挙げていきます。

  • サブリース契約を結ぶと、業者に家賃収入から管理費等を差し引かれる

サブリース業者を介して所有する建物から利益を得ようとすると、建物の賃貸料から管理費や保証料を業者が差し引いた金額が建物のオーナーに支払われることになります。

このようにサブリース業者へ支払う費用が発生するため、賃貸料すべてを建物のオーナーが得ることができません。

  • 建物のオーナーが入居者を選ぶことができない。

サブリース業者とサブリース契約を結んでいる場合、入居者の審査はサブリース業者が行います。ですので、誰を入居させるかということについて建物のオーナーが口を挟むことができません。

  • サブリース会社が倒産する可能性

サブリース業者も会社ですから当然倒産するリスクをはらんでいます。もし、サブリース契約を結んでいる業者が倒産した場合には、業者と入居者の契約が、そのまま建物のオーナーに引き継がれるように契約書に記されていることが一般的です。

この時にサブリース業者が預かっていた敷金は、建物のオーナーに引き継がれることになるのですが、サブリース会社が倒産した場合には敷金を回収することが難しいでしょう。

6.借地借家法が適用されるサブリース契約のトラブルと解決策まとめ

ここまで、借地借家法とサブリース契約の関係やサブリース契約のメリット・デメリットについて解説してきました。サブリース契約においてはサブリース業者より建物のオーナーのほうが弱い立場にあると考えられがちです。

しかし、借地借家法の適用を受けるサブリース契約においては賃貸人が建物のオーナー、賃借人がサブリース業者となるため、サブリース業者の立場のほうが強く守られることになります。

サブリース業者とサブリース契約を結ぶ際にはこのことを頭に入れつつ、またメリットとデメリットをきちんと把握し、契約内容をよく確認するようにしましょう。

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