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Category  不動産

2019年02月25日 更新

太陽光発電用に土地を貸す場合の契約書の作り方や注意点

両親から相続してそのままになっていたり、借り手が見つからずに放置している土地はありませんか?活用せずに放置していても土地には固定資産税がかかってしまうので、負債を抱えているような状態になってしまいます。

それを回避するためにオススメなのが太陽光発電用に土地を貸し出すことです。産業用の太陽光発電用地として貸し出すことができれば、20年間は賃料が入ってくるので非常に大きな収入になります。

ここでは太陽光発電用地として土地を貸し出す際の契約書の作り方や注意点について解説していきます。メリットだけでなく、デメリットやトラブルにも触れますので太陽光発電用地としての活用を考えている方はぜひご覧ください。

1.太陽光発電に土地貸しする場合の契約書の作り方

太陽光発電用地として土地を貸し出す場合に必ず必要になるのが契約書です。大切な土地を他人に貸し出すわけですから、貸し手と借り手の双方がしっかりと理解した上での契約が重要になります。

土地を貸し出す際に必要な「土地賃貸借契約書」の作り方をまずは説明していきます。あくまでも一例ですので、実際に契約書を作成する場合は必要に応じてアレンジしたり、専門家に相談するようにしてください。

1-1.土地賃貸借契約書

土地賃貸借契約書は土地を貸し出す際には必ず必要なものです。貸し出す相手が不動産業者の場合は求められることがほとんどですが、個人間の貸し出しでも契約書を交わしたほうが安全です。契約書を作成せずに口約束だけで土地を貸してしまうと、後になってトラブルが起こりやすいです。

太陽光発電用地を貸し出す際に作成する土地賃貸借契約書には以下のものを記載するのが一般的です。

  • 用地は太陽光発電にのみ使用するという記載
  • 土地の転貸を禁止とする旨の明記
  • 発電開始から何年間の契約にするか
  • 貸し出し料金+固定資産税分の記載と1年未満の場合の対応方法(月割など)
  • 不測の事態(建物の建設により影が出来た場合など)が発生した場合の解約について
  • 契約義務不履行の場合(賃料の未納など)の場合の解約について
  • 土地を原状復帰の上返却が基本であるという記載

最低限これらの記載を行うことでトラブルを回避しやすくなります。不動産業者に仲介をお願いするとこうした賃貸借契約書は不動産会社が用意してくれます。個人間での貸し出しの場合は借主と協議した上で決まったことを記載するようにしましょう。

1-2.太陽光発電の契約書の注意点

前述した太陽光発電用地の賃貸に関する契約書を結ぶ際に、注意しておきたい点が3つあります。トラブルが発生しやすいポイントですので、自分で契約書を作成する際にはよく確認するようにしてください。

また、不動産業者に仲介を依頼する場合も必ず自分の目で契約内容を確認しておきましょう。

1-2-1.土地を貸し出す期間

当たり前ですが土地を貸し出している間は地主であろうとも自由に土地を使うことが出来ません。太陽光発電用の土地として貸し出す場合、一般的に20年程の長期間を貸し出すことになります。

この貸し出しの期間は契約書に明記する必要があり、契約を結んだ場合は借主の了承がない限り一方的な解約は出来ません。

急に子供が戻ってきたから家を立てたい
自分で太陽光発電の利益を得たい
農地として活用したい
地価が上がったから売却したい

など、土地を別の形で運用したくなっても、契約がある限りはどうにもできなくなります。それを考えた上で貸し出す期間を考えて、契約書に必ず明記するようにしましょう。

1-2-2.太陽光発電が困難になった場合の対処

貸し出したときは周囲に建物がなく、太陽光発電に適した土地だったとしても、月日が流れて周辺の開発が進む可能性があります。高いビルや大きな建物が建設され、太陽光発電用地として貸し出した場所が長時間日陰になってしまう可能性もあります。

そうなると太陽光発電ができなくなり、借主と貸主の間で必ずトラブルになります。そのような不測の事態が発生した場合にどうするのかを明記しておく必要があります。契約期間中でも解約が可能である旨を記載したり、太陽光発電による利益に応じた賃料に変更するなどの対処が一般的です。

1-2-3.契約義務不履行の場合の対応

借主が何らかの理由で賃料を支払えなくなった、禁止としているのに他人に又貸しを行ったなど、契約違反が発生することもあります。特に賃料の未納は非常に多発する問題で、貸主が頭を抱える事態になります。

そのような場合の対処方法を記載しておかないと、トラブルが発生した際に対応が遅くなってしまいます。借主にしっかりと責任を負わせて契約違反の抑止力にもなるので必ず記載するようにしましょう。

2.太陽光発電に土地貸しする場合に気をつけたいトラブル

太陽光発電用の土地として貸し出しを考えると、思わぬトラブルに見舞われる事も少なくありません。

起こりがちなトラブルやそれを回避する方法について解説していきます。

2-1.地目によって太陽光発電に適さないことが後からわかった

ご自分の土地がどの地目となっているかわかっているでしょうか?

太陽光発電は基本的に土地を選びませんが、地目によっては不向きであったり利用出来ない場合もあります。

・宅地

電気も引かれているので問題なく太陽光発電用地として貸し出すことが出来ます。

・雑種地、原野

地盤に問題がある場合は改良工事が必要になります。

・農地

太陽光発電に転用する場合は許可が必要になり、地盤改良が求められる事が多いです。

・山林

樹木が多い場合は伐採の許可が必要で、1ha以上の規模になると開発許可も必要になります。宅地以外は太陽光発電用地として使う場合に手続きや地盤の改良工事、電線を引く必要などが出てくることが多いです。

場合によってはかなりの費用がかかるので、あとになって思わぬ出費というトラブルが発生することがあります。

2-2.転貸や太陽光発電以外の目的に使用された

契約書で禁止としているにもかかわらず、借主の勝手な判断で大切な土地が太陽光発電以外の目的に使われる事があります。太陽光発電をしつつ、別の目的にも使われるというケースも少なくありません。そこで事故が発生してしまったり、法律違反が発生すると貸主まで巻き込まれることになりかねません。

契約書で契約違反が発生した場合の責任の所在や対応などを明記したり、不動産会社を介すことでこのトラブルは回避しやすくなります。

2-3.賃料の未払いや借主の失踪

最も多いトラブルが賃料の未払いから借主の失踪へと繋がるケースです。思ったように太陽光発電の収益が上がらずに賃料が支払えなかったり、工事費が用意出来ずなにも手付かずのまま借主が失踪ということもあります。

このような場合も契約書で契約不履行の際の対応を記載しておくことで被害を小さく抑える事が出来ます。特に賃料の未払いの場合は放置するほど負担が増えてしまうので、早急に対応できる準備をしておくといいでしょう。

3.太陽光発電に土地貸しするメリット・デメリット

最後に太陽光発電用に土地を貸した場合のメリットとデメリットをご説明します。

デメリットはあまりありませんが、大切な土地の運用ですのでメリットと合わせてご確認ください

3-1太陽光発電に土地貸しをするメリット

大きなメリットとしては4つあります。

・設備投資をせずに収入に繋げられる

太陽光発電にかかる設備の資金は基本的には借りる人が用意します。ですので土地を貸し出す側は一切のコストを心配することなく、遊ばせていた土地を収入源に変えることが出来ます。

・長期間の安定収入を見込める

産業用の太陽光発電の場合は、20年間の電力買い取りの保証が付いています。借主にとっても貸主にとっても20年間は固定された収入を得られるということになるので、非常に大きなメリットになります。

・借り手を見つけやすくなる

太陽光発電は利回りの良い投資なので、土地が太陽光発電に向いていると借りる人は見つけやすくなります。もちろん周辺の環境にもよりますが農地や宅地よりも借り手が見つかる確率が上がります。

・土地の維持や管理が必要なくなる

土地は放置しているとすぐに雑草や不法投棄されたゴミで荒れてしまうので、定期的な手入れや見回りが必要です。遠方に土地がある場合などはかなりの負担になりますが、太陽光発電用地として貸し出せば管理の必要がなくなります。

3-2.太陽光発電に土地貸しをするデメリット

メリットはとてもわかりやすいものが多かったですが、デメリットは少し複雑です。

・自分で太陽光発電を管理したほうが儲かる

土地を貸すことでコストを抑えて安定した収入につなげることが出来ますが、貸すよりも自分で太陽光発電を運用するほうが、より多くの収入に繋がります。賃料による収入よりも200万~400万ほどの利益を多く得ることが可能なこともあるので、初期投資額と比べて検討する必要があります。

・契約期間中は土地を使えなくなる

20年など長期間の契約になることが多い太陽光発電用地の賃貸契約なので、その間は土地を使えなくなります。別の用途に使いたくても契約がある以上は持ち主であっても簡単には自由にできないという覚悟が必要です。

4.まとめ

空き地として放置してしまっている土地がある場合、太陽光発電用地としての貸し出しには非常に多くのメリットがあります。デメリットもさほど大きくなく、何よりも初期投資がほぼ不要で安定した収入に繋げられるというのはとても大きいです。

太陽光発電に向いている土地は日照時間が長く、周りに建設予定地がない場所です。田舎の山の中や休耕地として遊ばせている土地がある場合はぜひ検討してみてください。

土地を貸し出すと決めた場合は、不動産会社か個人に貸し出すかをまずは選ぶことになります。どちらにもメリット、そしてデメリットがあるので、そこもよく考えてから決めるといいでしょう。

大切な土地をより安定した収入源として活用出来るようにもっとも適した活用方法を探してみてください。