不動産にかかる損害保険に所得税は課税されるの?課税対象になる例外も紹介

「損害保険金」についてご存じですか?

名前は聞いたことがあるけど他の保険との違いが分からない、詳しくは説明できないという方が多いのではないでしょうか。

損害保険の保険金といっても全て同じというわけではなく種類も多岐にわたります。また同じ保険というカテゴリーの生命保険と混同してしまいがちですが全く別物なのです。

では損害保険金とは一体どのようなものなのでしょうか。生命保険との違いに触れながら損害保険金について詳細をみていきましょう。

損害保険 生命保険
保険の対象として定めた対象物(建物あるいは家財など)がなんらかの理由で損害を受けた場合にその損害に対して支払われる保険金ことを指す。

一定金額が支払われるわけではなく損害額によって保険金の支払い額は変化する「実損払方式」が用いられることが多いのが特徴である。

対象は原則「モノ」となる。

病気や怪我、介護や死亡した場合といったように想定外のリスクが生じた場合に経済的な困難によって契約者本人やその家族がこれまでの生活を送れなくなってしまわないようあらかじめ定めたお金を備えておくもの。

対象は「ヒト」になる。

様々なリスクを想定して顧客のニーズにあった保険種類を選択する。 主たる保険金と別枠で受け取れるものなので契約した保険金額以上の金額を受け取れる場合も想定される。
個人向け商品→自動車保険 火災保険 傷害保険

法人向け保険→火災保険 賠償責任保険

貨物運送保険 興業中止保険 等

医療保障 死亡保障 老後、貯蓄型保障

 

 

1. 不動産の損害保険金を受け取った場合に所得税はかかるか

上記の表でまとめたように不動産について火災やその他予期せぬ事故などが発生してしまった場合に修理や修繕工事が必要になった際支払われるものが損害保険金です。

つまり自然災害や思わぬ事故といった偶然発生した事態に関して損害を保障することを目的としているものです。保険料は保険会社の予想する損害率(保険金を保険料で除したもの)に応じて定められています。

この場合に受け取った損害保険金は所得税として課税対象になるのでしょうか?

実は、契約者、受取人またはその対象によって異なるのです。課税対象を「自宅」「個人事業主」「法人」の三種類に区別して詳しくチェックしていきましょう。

 

1-1. 自宅

自宅がなんらかの災害にあってしまった場合は基本的に受けとる保険金に関しては非課税となります。尚、保険契約者本人又は本人と生計を同一にする親族の有する家屋や資産の損失に基づいて支払われる保険金と定められています。またその保険金が損害額を下回ってしまった場合には確定申告時に雑損控除を行うことで税金の還付対象ともなるのです。

 

1-2. 個人事業主

個人事業主は保有する不動産でなんらかの災害が生じた場合も受け取った保険金に関しては非課税となります。対象物の帳簿価額を越えた保険金の差額分に関しても所得税の対象となる場合はございません。

 

1-3. 法人

法人が契約している損害保険で保険金を受けとる場合はその保険金を雑収入として収益計上します。

 

2. 所得税法上でも課税の対象になってしまう損害保険金

所得税法上では課税対象にならない場合が多いなか、どのような原因かそしてどのような経緯で受け取ったかによって課税対象となるものもあります。課税対象となる例について詳しくチェックしていきましょう。

 

2-1. 商品など棚卸資産について支払われる保険金

資産の損害を原因として受け取った保険金のなかで棚卸資産(将来的に販売または一般管理活動を行うために保有している資産のこと。商品や製品のほかに仕掛品、半製品、原材料、消耗品などもこれの対象)などの収入金額に代わるものは課税の対象となります。

 

2-2. 強制的な休業などの補償として受け取る補償金

災害に起因して強制的に休業を余儀なくされた場合に補償金が支払われる場合があります。この際に支払われた補償金に関しても所得税法上の課税対象となります。

 

2-3. 損害に起因して急遽立ち退くための費用

災害に起因して急遽、臨時的に立ち退きが必要となる場合も想定されます。その場合も同様に所得税法上の課税対象となります。

これらは損害保険金のうち、各種所得の金額を計算する上で必要経費として算入される金額を補填するための金額を対象としているために課税対象となるものです。その保険金の金額が損害額を上回るか否かには関わらずその金額を総収入金額に算入する必要があるので注意が必要です。

 

3. 死亡保険金には所得税がかかるか

死亡保険に加入していた場合、対象者が死亡した場合に死亡保険金を受けとることができます。その保険の契約形態によってかかる税金は「所得税」「相続税」「贈与税」の三種類に分類されます。そしてこの三種類の税金のどれが適用になるかは以下の組み合わせによって変化するのです。

  • 契約者と被保険者が誰なのか(誰が保険を誰のかけたのか)
  • 保険料の支払い負担者が誰なのか
  • 保険金の受取人が誰になっているか

 

死亡保険金受け取り時に所得税の対象となるのは

契約者と保険金の受取人が同一の場合です。死亡保険金を一括で受け取った場合は一時所得として所得税の対象となります。

例:契約者が被保険者の子供であり、被保険者の死後その契約者である子供が保険金を受けとる場合の保険金

 

3-1. 相続税・贈与税の対象以外は一時所得

死亡保険金に相続税がかかるのは、契約者と被保険者が同一の場合です。また法定相続人一人あたりの非課税限度額を越える部分に関して課税対象となるのです。(非課税限度額の計算方法:500万×法定相続人の数)ただし、相続人以外の人や相続放棄した人が保険金を受け取った場合は非課税限度額は適用とならず、全額が相続税の課税対象となるのです。

死亡保険金に贈与税がかかるのは、契約者と被保険者そして保険金受取人がすべて異なる人の場合です。贈与額に関しては高税率がかけられることが想定されるため予期せぬ税金額が請求される場合もあるため注意が必要です。

このように所得税が課税となる場合の死亡保険金の受け取りは相続税と贈与税の対象以外は一時所得もしくは雑所得として課税の対象になるのです。一時所得になる場合の計算方法は以下の通りです。

(死亡保険金-払込保険金-50万円)×1/2=課税対象の一時所得

 

4. 損害保険金はなぜ非課税なのか

これまでまとめたように損害保険金に関しては原則税金がかからず非課税となります。

では、なぜ損害保険金は非課税となるのでしょうか?

それは税金のそもそもの規定に関連しています。

保険金に関する税金は大きく分けて「所得税」「相続税」「贈与税」があります。所得税は給与所得などのように収入として受け取ったお金にかかる税金です。相続税は相続したお金にかかる、贈与税はもらった金銭にかかる税金のことを指します。このように税金というのはなんらかの利益を授受した際にかかるものであって、利益が発生していない場合には生じないのです。

損害保険金というのはなんらかの予期せぬ災害などによって損害が発生した場合に支払われる保障のため、利益を受けたとはなりません。

よって、損害保険金に関しては非課税となるのです。

一方で、死亡保険金以外にも課税の対象となるものもあります。満期保険や年金が挙げられます。満期保険金は生命保険の種類によって一定期間後に満期保険金を受け取れるものがあります。その代表的なものが「養老保険」や「学資保険」となります。これらは満期時に払込保険料以上の保険金を受けとる可能性があり、それらは利益を得た所得と見なされ課税対象となるのです。

 

4-1 .Q.死亡保険金でも非課税になる場合がある?

A.リビングニーズという特約が適用となった場合は非課税になります。リビングニーズとは医師から余命6ヶ月の宣告を受けた際に死亡保険金を一部自分で受けとるという特約であり、これは被保険者が残された時間を有意義に過ごすことを目的とした場合や保険金を活用して十分な治療や療養環境を整えたりする目的として保険金を利用する場合に関しては非課税とするというものです。

 

5. 保険会社が損害保険金を支払う際には控除がある

「損害保険料控除」という言葉をご存じですか?普段聞きなれない言葉なのではじめて知ったという方も多いのではないでしょうか。

損害保険料控除とは平成19年まで用いられていた控除であり、1月1日から12月31日までの間に損害保険料として支払った場合に支払った保険料に応じて所得税金や住民税の控除が受けられる制度のことです。長期保険契約と短期保険契約の二種類をそれぞれ計算して算出します。損害保険控除を受けるためには、損害保険会社から送られてくる損害保険料控除証明書を添付する必要がありました。

平成20年からは見直され、地震保険料控除として新たに適用が開始されています。この地震保険料控除とは納税者本人もしくは生計を同一にする配偶者や子供などの医療費を補填する傷害保険や住居である家屋や家財道具や衣服を対象とした火災保険などの損害保険契約が対象として挙げられます。

反対に、この対象とならないものに自家用車にかかる自動車損害賠償責任保険や財形貯蓄に基づく損害保険が挙げられます。

 

6. まとめ

損害保険金に関する所得税の非課税となるものや例外的に課税対象となるものについてまとめた当記事はいかがだったでしょうか。最後に分かりやすく表にまとめてみたいと思います。

所得税が課税されないもの

物的損害の対象となるもの 1.       資産の損害に起因する損害保険契約によって支払われる保険金

2.       資産に加えられた損害によって被る損害賠償金

事業所得などの対象となり課税されるもの

売り上げを補填するためのもの 1.       棚卸資産や山林等の損失を補填するための保険金

2.       資産に与えられた損害による収益補償金ならびに休業補償金

必要経費になる金額を補填するための保険金 1.       従業員の給与を補填するもの

2.       店舗の賃借料を補填するためのもの

3.       賃借料などを除く維持管理費用を補填するためのもの

 

一時所得の対象となり、課税されるもの

生命保険契約や損害保険契約の契約内容に基づき支払われる保険金のなかで保険契約者として払込を行った人と保険金の受取人が同一だった場合は一時所得の対象となり、課税されるのです。対象となる保険金は以下の四つです。

死亡保険金 解約返礼金 満期保険金 満期返礼金

 

相続税または贈与税が課税されるもの

相続税の課税対象となるもの 保険契約者と被保険者が同一の場合に保険契約者の死亡などで保険契約者以外の保険金受取人が生命保険金などを受け取った場合
贈与税の課税対象となるもの 保険契約者と被保険者が異なり、被保険者の死亡などにより保険契約者以外のものが保険金受取人となり保険金を受け取った場合

 

☆対象が法人であった場合はいかなる要因で得た保険金に関しては、保険契約内容や支払い金額に関わらず得た保険金のすべてが課税対象となるので注意が必要となります ☆

これまで述べたように、損害保険金や損害賠償金に関しては、その他の課税適用規定よりも課税の有無やどの税金の課税対象となるのか様々であり、また内容によって細かく区分されています。すべてが非課税な訳ではなく事業収入として計上しなければならない例外のパターンもありますし個人が契約した保険なのか、法人が契約した保険なのかによっても大幅に異なってきます。

取り扱いが多種多様かつ保険金受け取りは日常的に行われるわけではない為、受け取り時にはそれらの点において困惑してしまう方も多いかと思いますが、各種保険締結時に事前にある程度調べておくことや、不明点については保険会社に質問して疑問を解消しておくこと、また保険内容をよく把握しておくと十分対応できると思います。

なんらかの災害によって保険金を受けとる場合は気が動転していることが想定できますし、様々な処理に追われて大変だと思います。その過程で損害保険受け取りに関して間違った方法や不利益を被るような方法を誤って選択しないように事前によく調べておきましょう。

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