借地料ってどうやって決まるの?借地料の算定基準について解説

土地を持っていらっしゃる地主の方々にとっての一番の悩みは、土地を貸す代金すなわち借地料(地代)ではないでしょうか?手持ちの土地をだいたいいくらで貸せば良いのかわからないという場合は案外多く散見されている状態で、周りの地代からおおよそで決めている場合や昔から変えていないという場合もしばしば。不動産関係に従事するスタッフでも、その地域のおおよその地代相場を常に把握できていない場合もあります。

この記事では、借地料のおおよその算定基準や、不動産鑑定士に依頼をする際の注意点について詳しく解説していきます。

1.借地料を算定する不動産鑑定評価基準とは?

借地料を決める際に、固定資産税や都市計画税などの公租公課を基準にして計算しても、その不動産の利用目的・得られる収益により大きくその値段感は変わってきてしまいます。目安としてはこれら公租公課のおよそ3倍前後であるとされているものの借地料はあくまで慎重に決定されねばならず、たとえ借地料が同じ値段の土地でも、賃貸マンションなどの集合住宅をその敷地で経営するには割安、店舗経営をすれば割高すぎるなんてことになるのです。

自分の持つ土地に一体どのくらいの価値があり、どのように値段を決めれば良いのか、その基準となるのがここにご紹介する「不動産鑑定評価基準」です。

不動産鑑定基準は、適正な地代の決定のために国土交通省、つまり国が発表している基準で、現代ではこれを元にして不動産鑑定士が土地を鑑定・借地料を決定し適用するという流れが一般的になっています。

それでは、実際に借地料を決定する際にはどのような算出方法が用いられるのでしょうか?

以下にその方法をご紹介いたしますが、その土地を新規で貸す場合は「新規賃料」、契約を継続して土地が貸し出される場合は「継続賃料」とし、両者の間には微妙な差異が生じますのでご注意ください。

1-1.新規賃料(借地料)の算定方法

まずは土地を新たに貸す場合の賃料「新規賃料」の算定方法についてご紹介したいと思います。

◆積算法

積算法においては、以下のような計算式で賃料を算出します。

更地価格×期待利回り+必要経費

期待利回りとは、貸主がその土地を取得するのにかかった初期投資金に対して、借主の一度の賃料支払いでどのくらいのリターンが得られるか、その割合を期待値として数値化したものです。

例えば貸主がその土地を手に入れるのに3,000万円を費やしており、それに対して借主の1ヶ月あたりの賃料が30万円ならば利回りは1%となります。

しかし実情としてはかなり大雑把な勘定であることが多く、概算で2%あたりに決められることが多いですが、貸主の裁量によって大幅に上下してしまうため借主にとっては不利な算定方法と言えるでしょう。

◆賃貸事例比較法

その土地近辺の同じような条件の土地に関する新規借地契約での賃料をデータとして集計し、そこからおおよその適正賃料を導き出す方法です。まずは参考となるデータをできるだけ集めなければなりませんので、住宅地ではやりやすく、土地取引の少ない田舎などにはあまり適していない手法と言えます。

メリットとしては、同じような土地の取引事例を参考にしているため信ぴょう性が高く、比較的フェアな手法である点です。不動産取引の多いエリアであればあるほどその時期の土地価格をより正確に反映することができます。

デメリットとしては前述のように取引の少ないエリアでは効果が激減してしまうことと、例え同じようなエリア・似たような条件であっても路線価がずいぶん違う場合があることです。国土交通省の交付する「路線価」はおおよそ公示価格に対する適正な割合が決められているものの、同じエリア内でもどの道路に面している土地なのかで多少前後してしまうのです。

◆収益分析法

その名の通り、その土地に建てる不動産から得られる収益を概算し賃料の参考とする方法です。

敷地の広さから建物の高さ・大きさを考慮し、おおよそその物件から出るであろう仮想利益を算出しなければなりません。このような方法はとても複雑であるため専門家に依頼しなければならずその手間・報酬と、周辺の類似不動産と差異が少なからず出てしまうことが難点です。

この点さえ納得できれば、貸したい側・借りたい側の双方にとって気持ちの良い取引となることでしょう。

1-2.継続賃料(借地料)の算定方法

続いて、借地の契約を継続した場合の賃料基準算出方法についてもお話ししたいと思います。

◆差額配分法

契約を更新する際に、改めて算出した新規の適正賃料と以前までの賃料の差額を借主・貸主で配分する方法です。両者がWin×Winの関係を長く築くためにも、妥当な方法だと言えるでしょう。

◆利回り法

利回り法の算出式は以下のとおり。

土地価格×継続賃料利回り+価格時点での諸経費

なお、継続賃料利回りは以下の計算式で求めることができます。

価格時点での地代÷純賃料(現行賃料-諸経費)

最後の「諸経費」には、土地の維持管理費や公租公課、貸倒れ準備金などが挙げられます。

基本的に以前からの賃料を尊重しつつ、地代の変動や地域の類似不動産の利回り状況、賃料改定した際の利回りなどを総合的に加味して微調整が行われる算出方法です。

◆スライド法

上記の利回り法と出る値は非常によく似ていますが、計算式としては異なります。現行の賃料を純賃料と必要諸経費に分け、前者の純賃料に変動率をかけて得た利益に必要諸経費を足して算出が行われる方法です。

◆賃貸事例比較法

新規賃料を求める際と同じく、最近の同エリア・類似不動産の取引事例を参考に適正賃料を算出する方法です。

2.不動産鑑定評価基準は一般人にも利用できる?

上記でもお話しした通り、一応公に地代の算定基準が国土交通省から発表されているものの、残念ながら一般人にこれらを取り扱って借地料を算定することはできません。

このことは「不動産の鑑定基準に関わる法律」でも定められており、専門家つまり不動産鑑定士により適正な賃料が算出されなければならないこととなっています。

2-1.借地料の目安を計算する方法

しかしながら、不動産鑑定評価基準を用いておおよその借地料を求めることは可能です。

ここまでご紹介してきた借地料算定方法の中で最も現実的なのは「積算法」を用いることです。

賃料事例を用いるには近所の膨大な不動産データの中から条件が類似しているとみられる取引を探し出さねばなりませんし、収益分析法ともなるともはや手に負えません。

積算法を用いておおよその価格を算定し、あとは公租公課の変動や地域の不動産取引価格の動向を加味します。また、借主がその借地を用いて住宅を建てるのか店舗を建てるのかでも話は変わってきます。前者ならば宅地に対する大幅な税率軽減に準じて賃料は下げねばなりませんし、事業利用なら公租公課が高額になるので賃料は高くすることができます。

ちなみに積算法では更地価格が必要とされますが、これは必要項目を伝えるだけで複数の不動産会社に無料で概算査定してもらえる「不動産一括査定サイト」の利用がオススメです。

2-2.不動産鑑定士に依頼する方法

それではここで、何度もワードとして登場してきました「不動産鑑定士」への鑑定依頼方法をお話ししておきましょう。

前述の通り、不動産の地代鑑定は不動産鑑定士の独占業務です。鑑定士なら誰に頼んでも一緒かと言われればそうではなく、鑑定の力量も報酬もかなり差があります。

全国に存在している不動産鑑定士の中からこの人!と選び出すのは至難の技ですが、それでもいくつか見つけ出すポイントのようなものはあります。

◆インターネット経由の場合

インターネットを使って不動産鑑定士に依頼を行う場合は、そのサイトの充実度を参考にすると良いでしょう。

「安い!」「早い!」をあまりうたいすぎている事務所に依頼するのは大変危険です。そうではなく、鑑定に関する説明を「いかに分かりやすく」行なっているかをポイントにしましょう。ご自身で読んでスッキリ納得できるようなサイトなら、優良な鑑定士が派遣される可能性大と言って良いでしょう。

◆地元なら良いのか

よく取りざたされる話の中での最大の疑問が、「不動産住所地近くの方が地域のことをよくわかっているだろうから、地元の鑑定士に頼めば良いのだろう」という点について。

この話題については、残念ながらノーと言わざるを得ません。確かに近くにいる鑑定士の方が地域の事情には精通しているでしょうが、それだけに地元の人間の力関係・利害関係に左右されるリスクは否めません。

それよりは、あえて離れた場所に事務所を構える鑑定士に依頼した方が、しがらみなく鑑定を行なってもらえることでしょう。

以上のような点に留意して鑑定士へ電話・メール・訪問などで依頼を行い、契約を結びます。

土地の鑑定にかかる期間は、条件にもよりますがおよそ1~2週間。その後依頼人との話が交わされて合意のうち、報酬を支払い、鑑定書が交付されます。

3.借地料の算定基準まとめ

いかがでしたでしょうか?

借地料の算定方法や、算定を実際に行う不動産鑑定士に関してご紹介してまいりました。

どちらにせよ最終的には鑑定士に賃料計算を手伝ってもらうことになるのですが、それでもご自身でまず予備知識を身につけておくことは不動産経営を行うにあたって決して無駄ではなく、また良い鑑定士を選ぶ際にも必要なことです。

是非しっかりと賃料決定について流れを勉強した上で、お手持ちの土地を用いた快い取引を目指しましょう!

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