借地借家法は賃貸借契約にどのように影響するのか?不利な契約を結ばないために内容を知ろう

借地借家法では土地や建物の賃貸借契約を結ぶ際に守らなければならない法律です。この法律は賃借人の立場を守る趣旨が強い法律なので、賃貸人は賃貸借契約の内容をよく考えて決める必要があります。

賃貸借中にトラブルになりやすい事項としては解約や更新の拒絶、賃料の変更などがあります。そのような事柄でトラブルを起こさないためにも、借地借家法の内容を理解しておくことをお勧めします。

ここでは借地借家法の適用範囲や民法との関係などについて解説していきます。

1.借地借家法の賃貸借契約期間とは?

土地の賃貸借契約である借地契約や借家の賃貸借契約である借家契約を結ぶ際には、一般的に契約期間を決めて契約を結びます。契約期間については契約を結ぶ時期や土地の利用法などによって適用される法律が異なってきます。この章では上記のそれぞれのケースの契約期間について説明していきます。

1-1.借地契約の存続期間

借地契約の存続期間は賃貸借契約を結んだ土地の利用目的や賃貸借契約を結んだ日時によって変わります。ここではそれぞれのケースについて説明していきます。

1-1-1.建物を所有する以外の目的で借地契約を結んだ場合の存続期間

借地借家法2条1項で建物を所有する以外の目的で借地契約を結んだ場合には借地借家法は適用されないと規定されています。建物を所有する以外の目的とは、資材置き場や駐車場として借地契約を結ぶ場合が考えられます。この場合の借地契約の存続期間に対しては民法が適用されます。民法604条で借地契約の存続期間は20年以内と定められています。

借地契約の内容に20年以上の期間で契約を結ぶと記してあっても、無効になります。契約期間に下限はないため、20年以内であればどんなに短い期間で借地契約を結んでも有効となり、例えば一か月といった短期間の契約を結ぶことも可能です。特に契約期間を定めずに契約を結んだ場合には、契約を結んだ日から一年以上たてば賃貸人、賃借人のどちらからでも契約解除を申し入れることが可能です。

1-1-2.1991年7月31日以前に交わされた期間の定めのない借地契約の存続期間

1991年7月31日以前は旧法と呼ばれる借地法が用いられました。借地法2条1項により、借地の上に鉄筋や「堅固建物(主にRC造)」を建てる目的で借地契約を交わした場合には、契約期間を定めなかった場合60年です。一方、「非堅固建物(主に木造)」だと30年です。

契約を交わす際に「堅固建物」を借地の上に建てることが明示されていない場合には契約の存続期間は自動的に30年となります。

1-1-3.1991年7月31日以前に交わされた期間が定められた契約の存続期間

借地法2条2項では、借地の上に「堅固建物」を建てる時で30年、「非堅固建物」を建てる時で20年となっています。30年未満、もしくは20年未満で契約を結ぶと、賃借人に不利な契約内容であるとしてその期間は無効とされ、契約期限は自動的に期限を定めない場合と同様になります。

借地法5条により契約の更新について定められており、「堅固建物」で最低30年、「非堅固建物」で最低20年となっています。当事者同士の協議によりこれより長い期間を定めて契約の更新を行うことも可能で、その場合上限はありません。この契約の更新時に注意が必要な点は、最初の契約が「借地法」の下で結ばれたものであれば、契約更新の日時が「借地借家法」施行後であっても「借地法」が適用されるという点です。

1-1-4.1991年8月1日以降に交わされた期間が定められていない契約の存続期間

借地契約のうち、1991年8月1日以降に交わされた契約については借地借家法が適用されます。ですので借地借家法第3条により、契約時に契約期間を定めなかった場合には、契約期間は30年となります。

1-1-5.1991年8月1日以降に交わされた期間が定められた契約の存続期間

契約を結ぶ際に期間を決めて契約を結ぶ際には、その期間を最低30年としなければならないと第3条で定められています。定めは無効になり、自動的に期間は30年となります。当事者間の協議により、これより長い期間を定めることは可能です。

この契約は更新を行うことも可能ですが、第4条により1度目の更新時には最短で20年、2度目以降の更新時には最短で10年に定める必要があります。更新時に期限を定めなかったり、第4条に定められた期間より短い期間を定めたりした場合には、自動的に1度目の更新時には20年、2度目以上の更新時には10年が契約の存続期間となります。

1-2.借家契約の存続期間

借家契約の存続期間は期限を定めない借家契約と、期限の定めがある借家契約の場合で異なります。

1-2-1.借家契約の存続期間について

期間が定まっていない賃貸借契約を結んだ場合、いつまでも借家契約は存続します。しかし、この契約が期限の定めがある借家契約と異なる点は、解約を申し入れることができる点です。この場合、借地借家法第27条により、賃貸人から解約を申し入れる際には解約の日から6か月以上前である必要があります。しかし、賃貸人からの解約申し入れをするためには借地借家法第28条に定められた「正当な理由」が必要になります。

賃借人からの解約申し入れは解約の日から3か月以上前に解約を申し入れる必要があると民法617条で規定されています。

1-2-2.期限を定めた借家契約の存続期間

期限を定めた借家契約の場合、その定めた期限の満了をもって解約となります。しかし、定める契約期間は1年以上にする必要があり、それより短い期限を定めた場合には、借地借家法第29条により期限の定めのない借家契約と同様に扱われます。

期限を定めた借家契約において契約期間が終了した場合には、契約の更新をすることも可能です。この時に新たな契約においても期限は1年以上と定める必要があり、1年未満の期限を定めた契約は、期限の定めのない借家契約と同様に扱われます。

1-3.借地借家法と民法の関係

民法と借地借家法は一般法と特別法の関係にあります。一般的な物の貸し借りに関しては民法が適用されますが、土地や建物の貸し借りには借地借家法が適用されます。では、なぜ土地や建物に対してのみ借地借家法という特別法が適用されるのでしょうか?

これは通常の賃貸借契約において、土地や建物の賃貸人の立場が強く、賃借人は弱い立場であるためです。ですので賃借人が不当に虐げられることがないよう賃借人の地位を保護するために1991年に制定された法律が借地借家法です。これ以前には借地法や借家法、建物保護に関する法律などありましたが、それらが改正されて借地借家法になりました。賃借人保護の立場から、建物所有のための土地の賃貸借と建物の賃貸借においては、借地借家法が民法より優先して適用されます。

2.借地借家法の適用範囲

適用範囲について、借地と借家に分けて説明していきます。

2-1.借地借家法が適用される借地

借地権が設定されている土地に対しては借地借家法が適用されます。借地権は建物を所有するための地上権や土地の賃借権のことで、土地に建物が建っているかどうかを目安とします。

2-2.借地借家法が適用される借家

賃貸契約が結ばれた建物に対して借地借家法が適用されます。しかし、一時使用が目的の場合にはその期間にもよりますが借地借家法が適用されないケースもあります。

3.借地借家法の解約や契約更新拒絶、賃料の変更について

賃貸借契約の解約や更新拒絶、賃料の変更については借地借家法で定められています。

3-1.解約

解約については借地借家法第27条に記載があります。これは期間に定めがない場合、賃貸人が解約を希望する際には解約日から6か月前に申し入れなければならず、なおかつ借地借家法第28条に定められた正当な理由があることが必要です。

賃借人が解約を希望する際には解約の日から3か月以上前に申し入れることが必要であると民法により定められています。

3-2.更新拒絶

2年間など決められた契約の期間が満了する際に次の更新を拒絶したいと当事者が考えている場合は満了の6カ月~1年前までにその旨を相手方に申し入れなければならないと第26条で定められています。

賃借人が更新の拒絶を借地借家法で定められた期間に申し入れれば、期間の満了により賃貸借契約は終了します。しかし、賃貸人から更新の拒絶を申し入れる場合には、借地借家法第28条に定められた「正当な理由」が必要になります。

3-3.賃料の変更

賃料の変更は当事者間の話し合いによって合意が得られれば可能です。しかし、話し合いがまとまらない場合には最終的には裁判で争うことになります。

4.借地借家法の賃貸借契約期間と注意点まとめ

ここまで、借地借家法に基いた賃貸借契約の存続期間、借地借家法と民法の関係、借地借家法の適用範囲について解説してきました。またトラブルになりやすい事項に関して借地借家法がどのように定めているかもお分かり頂けたと思います。

借地借家法は基本的に賃借人の立場を守る法律であることを理解し、契約内容を決める際には賃貸人が不利にならないような内容を考えて契約書を作成しましょう。

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