【所得税】不動産の減価償却で節税する方法

不動産を購入して収入を得るようになると、確定申告を行う必要が生じます。そして不動産であれば、減価償却の計算が必ず求められます。

この減価償却というのは、実際のお金の流れはないのですが、毎年経費として計上することが可能なので、上手にコントロールすることが節税につながります。

それで減価償却についての知識を蓄えて、税金をコントロールしていきましょう。

1. 不動産の所得税は減価償却費でコントロールできる

減価償却とは、減価償却資産を購入した場合に、取得費用を一定年数に分けて経費として計上することです。利益が出れば納税をするのはもちろんですが、この減価償却という経費として、計上することで課税額を減らし、納税額をコントロールすることが可能になります。

利益が出ている時に、そのままの金額で所得税を計算すると、高額になりますが、収益資産を購入することで、減価償却という経費を引くことが可能になり、結果として節税につながっていくのです。

もちろん減価償却は、税金の支払いから逃れるという訳ではなく、課税を先送りするというイメージです。課税されるのが先送りされると、資金繰りに役立ったり、無利息で融資を受けたのと同じ効果が出たりと、メリットがたくさんあります。

そのためにも、減価償却の仕組みと、工夫できる点を把握しておき、実際に税務対策をしていくことが欠かせません。

 

1-1. 中古物件の減価償却費は耐用年数で特に工夫ができる

減価償却は取得した不動産の耐用年数によって決定されますが、購入した不動産が中古の場合でも減価償却として見なされる場合があります。建物が中古である場合には、原則として定められた建物の使用可能期間から、耐用年数を決めていきます。

その際にはあと何年使用可能なのかを見積るのは、難しいので税法では一般的に簡便法という方法で計算をします。

簡便法を用いると、簡単に耐用年数を元にして減価償却の年数を割り出すことができます。

ここでポイントになるのは、減価償却として計上することが可能なのは、建物部分だけであるという事です。中古で購入した物件の、建物の割合が多ければ多いほど、減価償却費を大きくすることができ、減価償却の効果を長続きさせることができます。

 

1-2. 注意点

減価償却によって経費を計上をする、というこの事に関しては法律上も全く問題ありませんし、節税に有効な方法です。

しかし注意点もあります。正しくリスクを把握して、減価償却することが避けられません。例えば、何件も不動産を所有していると、必要経費として計上している費用について、税務署による税務調査が入ることもあります。

減価償却に関して気を付けておくべきポイントがあります。このポイントは、後程解説していく計算方法とも関係があります。

まずは使用可能期間です。財務省令によって、建築材料の種類(木造なのか、鉄筋なのかなど)や構造の違いによって使用可能期間が決められています。正しい使用可能期間を調べておき、間違いがないようにしておきます。

建物と土地の割合についても注意します。減価償却では、建物にだけ減価償却が算出できます。そして建物と土地の割合が、減価償却できる額に大きな影響を出します。売買契約書や固定資産税評価額等などを元にして、建物部分の割合や取得費用を計算していくことが求められます。計算をする際に、間違いがないのかどうかポイントを抑えて計算を進めましょう

また減価償却に関しては、売却時の税金が高くなる可能性があることを覚えておきましょう。不動産を保有している時に、減価償却費を多く計上すると、売却時の利益が多くなり、その分所得税が多くなるという計算です。不動産を保有している期間が5年を超えると、税率が変化しますので、保有期間も含めて、どの程度減価償却していくのかを決定すると、上手に賢く税金をコントロールできます。

 

 

2. 減価償却費の仕組みとは

減価償却の仕組みは、年数の経過によって所有している不動産の資産価値を減少させることを言います。経年によって資産価値が下がる物は多いですが、そのような資産を減価償却によって費用化して節税に活かします。

不動産などを一括で購入したとしても、減価償却資産に該当するので、購入代金は一括して経費にはできません。毎年減価償却をすることで、購入代金を費用計上させる必要があります。

 

2-1. 減価償却費の計算対象

減価償却の対象になるのは、年月が経つと価値が減っていく物です。一方で土地や骨とう品などは、年月が経過しても価値が減少しないので、減価償却の対象にはなりません。

それで特に不動産の分野での減価焼却では、建物に関して減価償却をしていくことになります。しかし物件を購入した際には、土地と建物を含めて購入しますので、計算対象になるのはどのくらいなのか、計上する必要がああります。

 

 

3. 不動産の減価償却費の計算方法

では実際に不動産の減価償却の計算方法を見ていきましょう。減価償却をしていくには、取得費、耐用年数、売却率などが関係していきます。

 

3-1. 建物と土地にわける

まず必要になるのは、取得した不動産の建物と土地を分けるという作業です。土地は減価償却の対象に含まれていないので、建物の割合をもとめていく必要があります。

もし売買契約書に土地と建物の金額が記載されていれば、契約書通りの金額で問題ありませんが、記載されていない場合には、固定資産税評価額を元にして計算していく必要があります。

例えば一億円で購入した不動産の場合、固定資産税評価額が7千万になり、その内訳が土地4割で、建物6割の場合を考えます。この場合土地建物1億円×60%をした6千万円が建物の金額になります。

このように建物と土地の割合を売買契約書や、固定資産税評価額を元にして計算していき、減価償却可能な額を計算していきます。

 

3-2. 計算方法を選ぶ

次に考えるのは、計算方法です。

実は減価償却には2つの方法があり、定額法と定率法というものがあります。

平成28年度の税制改正によって平成28年4月1日以後の取得する建物附属設備及び構造物については、定率法を廃止し定額法のみの方法にすると決定されました。

建物については、平成10年4月以降に取得したものについては、定額法になりましたが、これまでは定額法と定率法のどちらかから減価償却の方法を選ぶことができました。

 

定率法

まずは定率法について解説していきましょう。

定率法の場合は、減価償却費が毎年少しずつ減っていく償却法です。

この方法の場合には、初めの年のほうが減価償却額が多くなるので、早期に経費に計上することができるというメリットがあります。取得した年には、多くの減価償却額になるのですが、その後段々と減価償却額が低くなっていきます。

 

定率法の計算方法

定率法での計算方法は、「未償却残高×定率法の償却率」となり、将来の税金リスクを減らし、早期に償却できるので税務上のメリットがあるのも事実です。

しかし定率法をとっても、もう一つの方法の定額法をとったとしても、長期的な視点で見たときには、減価償却で計上される費用に大きな違いがありません。しかし短期的な視点で見たときに、違いが生じます。

定率法の場合は、初期にまとまった額の償却を行うので、初期の税負担が少なくなります。

それでより多くのキャッシュを手元に残すことができ、残ったキャッシュによって再投資をしやすくなるというのが、大きなメリットでした。

現在では定額法による減価償却の計算がメインですので、以前から物件を所有しているのでない限り、定率法を選択できません。

 

定額法

次に定額法について考えていきましょう。

定額法では、耐用年数の間、毎年決まった額を減価償却していくという減却方式です。

1年目から最後の年まで減価償却率は変わらずに同じ割合になります。

 

定額法の計算方法

計算方法は「取得価額×定額法の償却率」という計算方式です。

定額法では、減価償却費の金額が一定になるので、計算がしやすいというのが大きなメリットです。

定率法と比べても、初期の減価償却費が小さいので、投資初期から大きな利益を出しやすい方法になっています。

基本的には、現在は不動産の減価償却としてはほとんどが定額法になっているので、定額法を選んでおけば間違いがないでしょう。

取得したのが2016年3月31日以前の不動産で、定率法を選択している建物附属設備や構築物については、そのまま定率法で減価償却することになります。

 

3-3. 不動産の利用可能年数を調査

建物は、時間をかけて価値を失っていくものです。それは不動産という資産でも同じで、その期間が法廷耐用年数として決められています。この法定耐用年数を元にして、償却していく年数が決定されます。

 

法定耐用年数

法定耐用年数は以下のとおりです。

・鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造:47年

・レンガ造・石造・ブロック造:38年

・鉄骨造・金属造(骨格材肉厚4ミリ超):34年

・鉄骨造・金属造(骨格材肉厚3ミリ超4ミリ以下):27年

・鉄骨造・金属造(骨格材肉厚3ミリ以下):19年

・木造:22年

このように、建物の構造によって耐用年数が異なっているので、これにより減価償却の年数も異なります。

 

3-4. 計算式に当てはめて減価償却費を算出する

不動産の耐用年数が分かると、計算式に当てはめて計算することが可能になります。

一般的な定額法での計算方法を考えましょう。

定額法での計算は、

取得価額×定額法の償却率=1年間の減価償却費 

という計算になります。

 

構造別の定額法による減価償却率

鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造:0.022

レンガ造・石造・ブロック造:0.027

鉄骨造・金属造(骨格材肉厚4ミリ超):0.03

鉄骨造・金属造(骨格材肉厚3ミリ超4ミリ以下):0.038

鉄骨造・金属造(骨格材肉厚3ミリ以下):0.053

木造:0.046

この数値を当てはめると、毎年の減価償却費が算出できます。

 

 

4. まとめ

不動産の減価償却は、不動産事業で利益を出し、節税をしていくことができます。そのためには、すでに説明した減価償却について理解すこと、また取得した不動産を使ってどのように収益を出していくのか、ビジネスプランも減価償却と関係します。

節税をしていくのは、この減価償却の仕組みや計算方法をイメージできるのかが大きなポイントになります。計算方法がややこしい事もありますが、できる限り計算をして支払うべき税金をコントロールしていきましょう。