事例紹介

Category  不動産

2018年11月26日

土地を貸すには税金がかかる?各税金と節税について

せっかく土地を所有しているのなら、賢く貸したいものです。土地の貸付に必要な税金は主に4つ挙げられますが、それぞれの税金の基礎知識をきちんと知ることで節税にも繋がるでしょう。

現在土地を所有している方はもちろんのこと、将来土地を所有し貸付を行いたい方は必見です。

1.土地を貸すときに知っておくべき税金の種類

土地を貸すときの税金は「所得税・住民税」「事業税」「固定資産税」「相続税」の大きく4つに分けられます。それぞれ一体どんな税金なのでしょうか?各税金を知ることで賢く土地を貸すことができます。

1-1.不動産所得にかかる所得税と住民税

土地を人に貸すと不動産所得として所得税と住民税が課されます。土地を貸す場合の不動産所得は、貸し手が見つかると収入として得た税金ということになります。この不動産所得は土地の貸付以外にも、アパートマンション経営をはじめさまざまな不動産で用いられます。不動産所得は、総収入額-必要経費で計算しますが、青色申告をしている場合には不動産所得を計算した後に青色申告特別控除を差し引くことができます。

そもそも不動産所得にかかる税金は、主に「所得税」と「住民税」が挙げられます。所得税は、その名のとおり所得に対する税金で、住民税はその土地に住んでいる者を対象に支払いを行うことになります。

ちなみに、所得税と住民税は、不動産所得だけでなく事業所得や一時所得などをすべてを合わせたあと、所得控除から計算されることになります。所得税と住民税の最高税率は55%となっていますが、この場合、課税所得は4,000万円超。所得は45%、住民は一律10%となっています。

1-2.事業税

次に事業税です。事業税は法人や個人の行う事業から生まれた収入が対象になる税金のことで、「個人事業税」と「法人事業税」に分類されます。土地の貸付を行う場合でも、個人で行っていれば個人事業税になりますし、会社で行っていれば法人事業税になるというわけです。また、この税金は業種によって支払わなければいけない場合とそうでない場合があり、土地の貸付は「第1種事業(37業種)」の「不動産貸付業」にあたるため支払いが義務付けられています。

事業税を計算する場合は、個人の場合290万円の控除額を含めて計算することになります。計算方法は、(総収入額-必要経費-事業主控除(290万円))×税率=税額。先にも述べたように290万円の控除額を引いて計算することになります。一方で法人事業税は、(総収入額-必要経費)×税率で計算します。ただ平成20年10月1日から地方法人特別税(国税)と分離したため、別途こちらも計算しなければいけません。

1-3.固定資産税

土地の貸付を行うということは、個人でも法人でも「土地を所有している」ということになりますから、当然「固定資産税」もかかってきます。課税が決定するのは、その年の1月1日。それ以降に貸付を行った場合は課税されませんが、1日に行った場合は必ず支払わなければいけません。ただ税金は地価や建築物によって変わってくるため、一律ではないでしょう。それを踏まえた上で基本的な計算方法は、「課税標準額×標準税率」です。標準税率は各自治体によって異なるため、地域によって変動します。しかし一般的に決められているのは1.4%ですので、そのまま使用している自治体も少なくありません。こればかりは住んでいる地域の自治体で確認するしかないでしょう。また、固定資産税を納付する方法は一括払いまたは年4回から選択できます。

1-4.相続税

最後に相続税です。相続税は亡くなった方の資産を相続すると課される税金で、亡くなった方の資産が基礎控除額より多いと相続税を支払うことになります。これは、土地を貸した場合も同様です。そもそも土地には貸地と借地の2つに分けられますが、貸付を行っている場合は前者の「貸付」になり土地の評価によって支払う税金が変わってきます。

相続税の評価は、主に相続税路線価と呼ばれる指標をもとに行われますが、貸付の場合は利用制限があるため借地よりも評価は低くなってしまいます。というのも、不動産の貸し借りにおいては、法律上借りている人の権利が強く設定されており、不動産を貸している側は、正当な理由がない限り契約を破棄することができないため、評価が下がるのです。しかし、土地と建物を貸した場合はまた変わってきます。

まず前者の場合の相続税ですが、評価額-借地権の価額で計算します。借地権の価額は、評価額+借地権割合をかけた金額を入れて計算してください。一方で土地と建物を貸した場合、土地に自分の建物を建て貸している場合は、貸家建付地になり、評価額のうち「借地権」「借家権」「賃貸の割合」が差し引かれます。

このように、土地を貸している場合の相続税は状況によって変わってきますので、事前にきちんと確認しておくことが大切です。

2.不動産所得に対する税金(節税)対策

土地を貸している場合、貸すことで収入になりますが、そのぶん各税金を支払うことになります。この税金は節約することはできるのでしょうか?結論からいいますと、節約できます。その方法は大きく2つに分類されます。

まず、「必要経費」です。必要経費とは固定資産税をはじめ、管理費や損害保険料などが挙げられます。この必要経費を計上することで利益を減らし節税できるといわれています。もう1つは、不動産所得そのものを減らす方法です。代表的な方法は「法人化」「贈与」「建てる」の3つが主に挙げられます。法人化というのは、いわゆる土地の経営を個人から法人にする方法です。税金の種類は多いほどお得になるといわれていますから、税金の種類が少ない個人のほうがどうしても法人より事業税が高くなってしまいます。ですから、法人化することで節税対策に繋がるでしょう。贈与は、生前の土地を子供に与えることで所得を分散する方法です。この場合、贈与税がかかってしまいますが節税のひとつにはなるでしょう。

可能であれば、土地に建物を建ててしまうのもひとつの手になります。ただ効果は4〜5年しか持たないため、長い期間節税することを考えると不向きかもしれません。

3.土地を貸す時の借地料(地代)相場と固定資産税の比較

土地の貸付は素人でも比較的収入を得やすいため人気があります。そこで気になるのが借地料の相場です。相場は、地域や利用方法によって異なるため、土地の評価額や収益などで差が出てくるでしょう。しかし目安としては、固定資産税の2〜3倍程度。

借地料は土地を貸した相手、いわゆる借主が建物を建てる場合と建てない場合とで異なってくるため、どうしても相場という相場がはっきりと決まっていません。ですが、先にも述べたように固定資産税を目安に考えられることが多く、その他にも積算法・賃貸事例比較法・収益分析法などそれぞれの方法を基に算出されます。正確な金額を知りたい場合は、不動産鑑定士に相談することをおすすめします。

4.土地を貸すと相続税対策になる

土地を貸した場合の税金を節約する方法はいくつかありますが、そもそも土地を貸すこと自体が節税に繋がるといわれています。なかでも相続税の評価額が減りやすく、節税対策に最適でしょう。

土地の貸付には自用地・貸家建付地・貸宅地の3つに分類されることはすでに知っていると思いますが、このうち貸家建付地・貸宅地は他人に土地を貸しているため貸主は処分や利用ができなくなります。一方で自用地は自身の土地に自分の建物を建て利用しているため、自由に処分できます。こういった違いから、前者の2つは土地の評価が下がり相続税の節税に繋がるというわけです。

5.土地を貸す前に確認したい税金の知識まとめ

近年は、土地を所有し貸付を行う人が増えているといいます。この土地の貸付は特別知識がなくても行えるため、近年増加傾向にあるのでしょう。その反面、土地を貸すときの税金について無知な方も少なくありません。ここでは土地の貸付で必要になる税金について紹介してきましたが、同じ土地でも自用地・貸宅地・貸家建付地では大きく異なることが分かりました。また節税についても、土地をどのように利用しているかで変わってくることも分かったでしょう。

今後土地を貸したいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。